2007年12月7日 ベネズエラ国民投票 大統領選再選制限撤廃案否決
2007年12月2日 ベネズエラで憲法改正を問う国民投票が実施された。
投票の結果、大統領の再選制限撤廃などを盛り込んだ憲法改正法案は否決さ
れた。現ベネズエラ大統領は誰か。
正解 チャベス大統領
投票の結果は、賛成49%、反対51%で否決された。
選管によると、総投票数は、900万2439票で棄権率は44.11%であった。
有効投票数は888万3746票で、無効投票が11万8693票だった。
改正法案は69条あり、大統領の再選制限の撤廃のほか、労働時間の短縮、中央銀行を大統領管轄下に置くといったものだった。事前の世論調査や出口調査などでは、賛成が優勢だった。
結果は僅差で否決されたが、チャベス大統領は当初この結果を受け入れなかったが、軍部の説得により受諾した。
「21世紀の社会主義」建設を掲げて「終身大統領」をもくろんだチャベス氏だったが、独裁体制を危惧した反対派がかろうじて勝利した。
チャベス政権は、反米左派民族主義を掲げた政権である。ベネズエラは原油生産量世界第5位の産油国である。かつて石油メジャーが支配していた産油設備を国権で国有化し、貧困層への再分配を図ることで国民の支持を受けてきたチャベス大統領であるが、再選制限撤廃など長期独裁体制を築こうとするチャベス氏に対し、富裕層を中心とした民主勢力に待ったをかけられた。
ベネズエラは反米政権でありながら、外貨獲得の最大資源である原油の65%はアメリカ向け輸出である。チャベス政権は中南米の左翼政権、キューバ、ボリビアなどと連携して反米グループを形成してきた。
1999年に大統領に就任したチャベスは独裁色を強めながら、現在では立法、司法、行政すべてを自派で占めている。この事実上の独裁政権は反米主義、反新自由主義、反グローバリズムを訴えて次第に国内の他の政治勢力やマスメディアへの締め付けを行い始めている。
チャベスが政権を取ってから徐々に独裁色を強めているが今回の憲法改正に関する国民投票はその一環である。これまでにも大統領の任期が5年から6年に延長されたり、大統領自身が行政府の長として内閣を統率するようになった。 議会は、新憲法になって両院制から一院制に変わった。今回の選挙は3選を禁ずる憲法を改正しようとするものであった。
親米国からは非難が多いチャベス政権も内政という観点からは見え方が違う。
内政では保健と教育を最重要視する政策をとっている。低所得層が住む地区での無料診療所の開設、学校の建設、非識字者や学校中退者のための補習プログラムなどがその例である。貧困層重視の政策は、強引な政治手法とあいまって、富裕層、中産階級、以前の有力政党と結ぶ労働組合から強い反発を受けた。不足する医師はキューバから支援を受け、見返りに石油を提供している。
2002年4月にはチャベスのやり方に反発する富裕層や軍部が、CIAの協力の下にクーデターを起こしてチャベス大統領を逮捕し、代わりの政権を樹立したが、大衆の大規模デモと軍内部の反乱によって失敗した。
2002年12月から2003年2月にかけては石油産業でチャベス辞任を求めるストライキが起こり、ベネズエラ経済は大打撃を受けた。このときベネズエラ石油公社のゼネストにより原油供給が止まり、アメリカの原油価格が高騰した。
ベネズエラの政情不安は原油供給元として常に波乱要因である。