2007年11月30日 北朝鮮問題に進展があるか 12月19日韓国大統領選
キム・デジュン、ノ・ムヒョンと2期10年に及ぶ左翼政権が続いてきた韓国だが、政権政党であるウリ党の苦戦が伝えられている。政権交代が行われた場合、最有力視されているのはイ・ミョンパク前ソウル市長であるが、この候補を擁立している最大野党はどこか?
正解 ハンナラ党
保守野党ハンナラ党は前ソウル市長のイ・ミョンパク(李明博)氏を大統領候補として擁立した。
イ・ミョンパク氏は経済界出身で、36歳で大手建設会社の社長に就任し若手経営者として注目を浴びていた人物である。一介のサラリーマンから若くして出世したためサラリーマンの鑑として神話化されている。
イ・ミョンパク氏はハンナラ党の予備選挙で、前党代表のパク・クネ氏を破って大統領候補となった。韓国民の不満は、ノ・ムヒョン大統領の経済政策に大きな不満を持っており、イ・ミョンパク氏の経済手腕を評価されての大統領候補選出となった。
イ・ミョンパク氏はすべての世論調査で他候補をリードしており、次期大統領に最も有力とされている。北朝鮮問題では、イ・ミョンバク氏は、ノ・ムヒョン政権の対北朝鮮政策を「国家が危機に陥っても一方的な融和政策を続けた。」と批判し、融和政策の見直しを訴えている。同時に、「核放棄を条件に、経済協力を通じて、北朝鮮の一人当たりの国民所得を10年以内に今の3倍の3000ドルにする。」構想を示している。
強硬姿勢だけではなく、硬軟織り交ぜで南北経済協力に柔軟な姿勢を見せている。宥和政策に変更はないものの、これまでのような北化した韓国ではなく、一定の距離を置いた政策となるだろう。
過去、韓国の保守政権は一貫して対北強硬姿勢で臨んできたが、左翼政権下の10年間に国民の対北意識は変化し、一方的な敵視策をとるのは選挙戦に不利とするのが大方の見方である。保守政党であってもある程度の宥和策は取らざるを得ないのが現状である。
選挙におけるハンナラ党の課題は、予備選で激しく戦ったイ・ミョンバク氏とパク・クネ氏との間にしこりが残っており、挙党体制が築けるかどうかだ。過去に予備選で敗れた候補者を応援したことがないというのが歴史的事実だ。民主統治というよりも人治統治といった色合いが強い韓国で、民主的手続きを経ながら政党政治が進められるのかどうかが見ものである。
一方の与党であるが、現実的にはすでに与党は存在していない。ノ・ムヒョン大統領のあまりの不人気に与党は事実上崩壊状態で、今回の選挙は11月5日発足した新党「大統合民主新党」が事実上の与党で、この新党は民主新党によるウリ党の吸収合併である。
民主新党は2007年に入ってウリ党から独立した政党である。ノ・ムヒョン大統領の不人気を嫌ってできた党である。分離して分離した政党が元の政党を吸収しただけであるから実態は変わらない。所属議員143人のうち138人は元ウリ党議員である。
ノ・ムヒョン大統領の不支持率は80%を超え、レームダックどころか両足がない状態である。
与党からは多くの大統領候補が手を挙げたが、民主新党の大統領候補となったチョン・ドンヨン氏が有力である。テレビのニュースキャスターから政界入りし、ノ・ムヒョン政権で統一相を努めたほか、ウリ党の議長にも着いたことがある。早い段階からノ・ムヒョン大統領の有力な後継者と見られていたが、今年に入り、大統領と袂を分かってウリ党を離党し、民主新党の設立に参画した。
政治的なスタンスは、革新陣営の中では、中道派と見られている。さらに革新陣営からは、ムン・グクヒョン氏と言う政治の世界では無名の会社経営者が、大統領選挙への立候補を表明している。
2007年12月13日 追記
イ・ミョンパク(李明博)氏は、大阪出身で知日派である。親日かどうかは不明だが、リベラルな福田首相との間に日韓関係の距離を縮める外交政策を取ると予想される。
大統領選における韓国民の最大関心事は経済政策である。60%以上が関心事として第1位に上げている。(KBS)
2007年12月15日 追記
選挙まであと3日と迫ってきたが、情勢が大きく変化している。野党側からイ・へシャン(李会昌)氏が立候補し分裂選挙となったためだ。イ・へシャン氏は、イ・ミョンパク氏と大統領予備選で激しく争ったパク・クネ氏と路線が同じで急速に保守層の支持を集め、野党側の票を割っていた。また、与党サイドが仕掛けていたBBK(投資ファンド)による株価操作疑惑の背後にイ・ミョンパク氏が実質オーナーとして存在しているとの政府・検察・マスコミを挙げてのキャンペーンにより、イ・ミョンパク氏の支持率は低迷していた。さらに政府与党による金大中氏拉致事件の機密文書公開、日本非難にによって反日発言、報道を煽り、日本の反論を待って保守陣営への打撃を画策していた。しかし、政府与党の目論見に反し、日本政府は冷静な対応に終始し、韓国内の反日論議を巻き起こすに至らなかった。さらに検察はBBK事件とイ・ミョンパク氏とは無関係との結論を出し不起訴処分とした。これにより2030世代(若者層)の支持はイ・ミョンパク氏に傾いた。追い打ちをかけるようにかつての政敵パク・クネ氏がイ・ミョンパク氏支持を表明し、実質的に保守は一本化された。これまでの動きからするとイ・ミョンパク氏の勝利はほぼ確定的である。
これまでの動きで注目すべき点は2つある。
第1に、パク・クネ氏の行動発言である。韓国では歴史的に予備選での対立候補が最終候補者を支持することはなく、民主主義というよりも人治主義的傾向が強かったが、今回はパク・クネ氏の民主的判断が選挙民に与える影響は大きい。
第2点は、検察は常に政権政党につくという点である。政府与党によってBBK事件は政争の具として取り上げられたが、検察は次期政権は保守イ・ミョンパク氏と読んだようだ。選挙選後、例によって前政権は不正を暴かれることになるだろう。すでに多くのスキャンダルを抱える金大中一族もさることながらノ・ムヒョン大統領の不正行為の掘り起こしが行われるだろう。政権が変わっても経済状況が急に好転することはなく、5%の経済成長が不動産バブル、北朝鮮のために使われて帳消しとなっている現状からそう簡単に脱却できるとは思われない。国民の目を逸らすために不正追及は必至である。