2008年5月12日 FX検定 きょうの問題 インドの大学教育
インド人科学者の優秀さはよく知られているが、モトローラの母と呼ばれる現最高技術責任者パドマリス・ウォリア氏、インフォシス・テクノロジーズ創業者のナラヤン・ムルティ氏、UCLA工学部教授で無線インターネット・コンソーシアムの代表を務めるラジト・ガル氏などを輩出したインドの大学はどこか。
正解 IIT インド工科大学
解説
インド工科大学(IIT)は、インド初代首相ジャワーハルラール・ネルーが『国の発展は人材と技術にかかっている』と、イギリス、ドイツ、ソ連の援助を得て設立した国立大学である。現在は、デリー校、ムンバイ校(旧ボンベイ)、チェンナイ校(旧マドラス)、カラグプール校、カンプール校、グワハーティ校、ルールキー校の7つのキャンパスがある。インド全土の優秀な学生が集まり、4000人から5000人の入学定員に対し、毎年20万人から30万人が受験する超難関校である。学生数は、学部生が1万5500人、大学院生が1万2000人。
国際的評価も高く、毎年発表される大学ランキングでは工学系で常時上位にランクされ、2006年のランキングでは世界第3位であった。
The Times Higher Education Supplement
第1位 マサチューセッツ工科大学(MIT)
第2位 カリフォルニア大学バークレー校
第3位 インド工科大学(IIT)
第4位 ロンドン王立大学
第5位 スタンフォード大学
第6位 ケンブリッジ大学
第7位 東京大学
第8位 シンガポール国立大学
第9位 カリフォルニア工科大学
第10位 カーネギーメロン大学
インドでは、インド工科大学の成功を前例に、国立工科大学(National Institutes of Technology)、インド情報技術大学(Indian Institute of Information Technology)、インド経営大学院(Indian Institutes of Management)などの大学が新設されている。
インド工科大学は下記のような人材を輩出している。(現役職は2007年現在)
ナラヤン・ムルティ インフォシス・テクノロジーズ創業者
ロノ・デュッタ ユナイテッド航空元社長、サハラ航空元会長
ヒテンドラ・ゴーシュ ヒューズ・ネットワーク最高品質責任者
アルン・ネトラバリ ベル研究所元所長、HDTV、デジタル画像処理の基礎技術を発明、
ルーセントテクノロジーズ・主任サイエンティスト
ラジト・ガル UCLA工学部教授、無線インターネット・コンソーシアム代表
アジット・ジャイン バークシャー・ハザウェイ、ウォーレン・バフェットの頭脳
パドマリス・ウォリア モトローラ最高技術責任者
クリシュナ・バラト グーグル主任サイエンティスト、グーグル・ニュース開発者
ラジャット・グプタ アメリカ・インド協会会長、マッキンゼー&カンパニー元マネージング・ディレクター
ゴールドマン・サックス社外取締役
ビクター・メネゼス シティグループ元副会長
グルラージ・デシュパンデ シカモア・ネットワークス共同創業者
アルン・サリン ボーダフォン最高経営責任者
ウマンダ・グプタ キーノート・システムズ会長兼最高経営責任者、IBM時代にオラクルの事業計画立案
グプタ・コーポレーション上場
ラージ・メノン フラット・ワールド・デザイン経営、メノン・グループ経営
プリス・バネルジ ヒューレット・パッカード研究所所長、元イリノイ大学工学部学部長
ラグゥラム・ラジャン 国際通貨基金(IMF)元経済参事、シカゴ大学経営学部教授
スニール・コール シティバンク銀行日本社長
ラケシュ・ガングワール USエアウェイズ元会長兼最高経営責任者、
ワールドスパン会長兼最高経営責任者
ビノッド・コースラ サン・マイクロシステムズ共同創業者、ベンチャーキャピタル経営
カーネギーメロン大学工学部学部長
インド工科大学の卒業生の半数は海外へ出て就職、起業している。新興国の多くは、欧米の大学を卒業して、そのまま就職するケースが多く、一部が帰国して起業するケースが多いが、インドの場合、インド国内の大学を出て海外に出るケースが多い。これは国内に充実した教育機関が存在すること、公用語が英語であり、大学の授業が英語で行われていることなどが原因であるが、国内の優秀な学生を集めることができ、それぞれが出身地の期待を背負い、故郷に貢献しようという気持ちを維持し続けながら生活している点が大きい。
インドはフィリピン、ブラジルなどと並んで母国への送金が多い国である。家族、一族の中で優秀な人間が期待を担って大学へ行き、海外へ出ているようである。海外からの送金が国家経済の一部を担い、為替にも影響を与えるほどの規模でった。現在では、海外で成功した企業家や投資家が母国インドへ投資したり起業するケースが目立っている。
インド工科大学の卒業生の半分が海外に出ているが、カラグプール校の卒業者名簿からのデータでは、2007年時点での卒業生1万953人中、インド国内に残っている卒業生は53%である。38%がアメリカに在住している。その他では、イギリス、カナダ、シンガポール、オーストラリア、UAE、ドイツなどで、日本には僅か27人のみである。英語圏への進出が多い。
2008年5月9日 FX検定 きょうの問題 ヘネス・アンド・モーリッツ (Hennes & Mauritz) H&M
ヘネス・アンド・モーリッツ (Hennes & Mauritz) は、H&Mのブランド名で全世界28カ国に1500店舗を展開しているアパレルメーカーであるが、本社所在国はどこか。
正解 スウェーデン
解説
H&Mは、スウェーデンを本社を置くアパレルメーカー、ヘネス・アンド・モーリッツ (Hennes & Mauritz)が世界展開するファッション・ブランドである。創業は1947年である。スウェーデン中部の都市ヴェステロースで創業したが、創業時は婦人服を専門にしており、社名も「Hennes」であった。1968年にストックホルムの狩猟用品店「Mauritz Widforss」を買収し、紳士服も扱うようになった。買収後の店名は「Hennes & Mauritz」となった。その後「H&M」を略称な正式なブランド名としている。
H&Mは女性用ではコート、ワンピース、カットソー、ドレス、ブラウス、ボトムスを取り扱い、男性用ではジャケット、パーカー、セーター、シャツ、パンツを扱っている。H&Mでは商品が売り切れると再生産はせず、次から次へと新商品を投入する経営方法をとっている。H&Mでは、100名のデザイナー、60名のパタンナー、100名のバイヤーを擁している。
また化粧品への展開も進めている。自社工場は持たず、GAP、ユニクロ、良品計画、ファイブ・フォックス、ワールドなどと同様に自社企画、自社デザイン、自社販売、生産外部委託による業態であるSPA戦略をとる。SPAとは、Specialty Store Retailer of Private label Apparel。アジア、ヨーロッパの独立サプライヤー700社と生産委託契約を結び、世界各地20か所に生産管理事務所を持つ。
店舗展開はEU各国(キプロス、ラトビア除く)、スイス、ノルウェーなどヨーロッパで強く、ドイツでは、2004年にアメリカの同業大手GAPが撤退した店舗を全店舗買収して一気に販売網を拡大した。2000年には、ニューヨーク、、フィラデルフィア、ボストン、シカゴ、ワシントンD.C.、サンフランシスコなどのアメリカの主要都市に出店し、2004年にはカナダにも進出した。トロントのフェアビュー・モールへの出店を皮切りに、イートン・センターに旗艦店を出店し、トロント周辺エリアを含めた展開をしている。2006年ににはケッベクへ進出、2007年にはケベックでの2号店もオープンした。
2008年5月現在、カナダ全域で33店舗を展開するが、そのうちオンタリオ州に19店舗、ケベック州に11店舗、アルバータ州にも3店舗出店した。バンクーバーに出店したのは2007年8月である。今後バンクーバー地区には8店舗の出店を計画している。アジアでは、2006年にはドバイ、クウェートにFC店として出店し、2007年3月、アジアの旗艦店として香港に進出した。2007年4月上海店を出店。2007年中に4店が香港を含む中国に出店している。その他、エジプト、カタールにも出店した。
香港店出店の際には開店前から1000人以上の客が並び、国際ニュースにもなった。2008年秋には、香港と並ぶアジアの旗艦店として東京・原宿店、銀座店を出店する予定である。原宿店は明治通り沿いに、銀座店は東京ガスの子会社が建物を建設中で、1階から3階まで占有する1500平米の大型店舗である。銀座店、原宿店ともにライバルであるユニクロ、同業態のスペインのアパレル大手ZARAが近隣に出店している。
ヘネス・アンド・モーリッツは、2007年の売上は、92,123 million SEK(スウェーデン・クローネ、SEK=17.4円2008年5月)、日本円にして1兆6000億円余り、従業員数は68,000人(2008年)である。ユニクロの従業員数は1733人、店舗数748店、売上高5,252億円(2007年8月期)と比較すると企業規模の大きさが推定できるだろう。
2008年5月2日 FX検定 きょうの問題 世界の鉄鋼業
鉄鋼業界の世界的再編が続いているが、現在世界最大の粗鋼生産会社はどこか。
正解 アルセロール・ミッタル
解説
アルセロール・ミッタル (Arcelor Mittal) は、2006年にヨーロッパのアルセロールとインドのミッタル・スチールの経営統合によって誕生した世界最大の鉄鋼メーカーである。年間粗鋼生産量で世界シェアの約10%を占める。本社はルクセンブルクにある旧アルセロール本社に置かれている。
経営者(CEO)はインド人のラクシュミー・ニワース・ミッタル氏である。
フォーブス誌によれば、2006年のミタル氏の資産は約4兆円、世界第5位の資産家である。ミッタル家はアルセロール・ミッタル社の株式の43.6%を保有している。
世界の鉄鋼生産は、2000年までは、ほぼ7億トン台で推移していたが、2000年には8億トン台、2002年には9億トン台、2004年には10億トン台、2005年には11億トン台、2006年には12億トン台へと再度拡大基調へ転じている。
なかでも中国の生産増大は著しく中国国内需要の増大とともに急拡大している。また、インド、ブラジル、ロシア企業による再編が進んでいる。
上海証券報によると、2008年の中国の粗鋼生産は5億3000万トンと過去最高に達する見通し。中国の粗鋼生産は毎年10%以上の拡大を続けており、国内需要を超える生産が輸出に向き、貿易摩擦の原因となっている。
鉄鋼の国際価格が上昇している原因は、新興国の需要によるものが大きいが、特に高いのは中国の需要増大である。2006年の粗鋼生産を見ると中国の生産シェアは40%程度まで上昇している。
その結果、鉄鋼の原材料である鉄鉱石、石炭の価格も大幅に上昇している。2006年の鉄鉱石の需要に占める中国の割合は40%に達している。石炭は36%、製品である鉄鋼の需要シェアも30%に及ぶ。
2006年世界粗鋼生産企業ランキング
第1位 ミッタル・スチール(オランダ) 6,366万トン
第2位 アルセロール (ルクセンブルク)5,432万トン
第3位 新日本製鉄 3,370万トン
第4位 JFEスチール 3,202万トン
第5位 ポスコ (韓国) 3,120万トン
第6位 上海宝鋼集団 (中国) 2,253万トン
第7位 USスチール (アメリカ) 2,125万トン
第8位 Nucor (イギリス) 2,031万トン
第9位 唐山鉄鋼 (中国) 1,906万トン
第10位 Corusグループ (英・蘭) 1,830万トン
第11位 Riva (イタリア) 1,819万トン
第12位 Severstal (ロシア) 1,760万トン
第13位 Thyssen Krupp (ドイツ) 1,686万トン
第14位 Evraz (ロシア) 1,610万トン
第15位 Gerdau Group (ブラジル) 1,557万トン
第16位 鞍山鉄鋼 (中国) 1,500万トン
第17位 江蘇沙鋼 (中国) 1,463万トン
第18位 武漢鋼鉄 (中国) 1,376万トン
第19位 住友金属工業 1,358万トン
第20位 Sail (インド) 1,358万トン
第32位 現代製鉄 (韓国) 892万トン
第33位 Usiminas (ブラジル) 890万トン
第36位 神戸製鋼所 774万トン
第55位 Tata Steel (インド) 565万トン
第75位 CSN (ブラジル) 350万トン
*第1位のミッタルと第2位のアルセロールは2006年合併
*2007年、第10位のコーラスは、第55位のタタ製鉄傘下
*CNSはコーラスの買収合戦敗退
*第33位ウジミナスは実質新日鉄傘下に
*世界の鉄鋼メーカー上位127社中中国企業は55社である。
2008年4月28日 FX検定 きょうの問題 レアアース
レアアース
ベースメタル、レアメタルなど資源価格が高騰しているが、レアアースもまた価格高騰を続けている。レアアースの産出は非常に偏在しているが、世界のレアアースの90%を算出する地域はどこか。
正解 チベット
解説
レアアースとは、希土類元素(きどるいげんそ、Rare earth elements)のことで、原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までのランタノイドと21番のスカンジウムと39番のイットリウム(Y)を加えた計17種類の元素のことである。
レアアースは化学的性質が大変似ている。また産出もゼノタイムやイオン吸着鉱などの同じ鉱石中に混在し、単独で分離することが難しい。レアアース混合合金であるミッシュメタルとして使用されることが多い。物質としての存在量は決して少なくないが、地域的偏在、各元素の分離精製技術が確立されていないため、元素単体としてはレアな元素のままである。
世界需要の50%は日本が占めている。同時に世界産出量の90%はチベットである。中国全体で見れば95%のシェアを持つ。中国政府がチベットの弾圧を続ける理由のひとつは、このような戦略的地下資源がチベットに豊富に存在することである。
レアアースは、チベット以外では、インド、オーストラリア、ブラジルなどに偏在している。現在のところ、日本は風化花崗岩を中国から輸入して精製加工しているが、最近の研究で日本国内のマンガン鉱床に花崗岩を上回る割合で希土類元素が含有されている事が判明したため、採掘が実現すると世界有数のレアアース資源国になる可能性を秘めている。
また、環境対策用に設置された火力発電用集塵装置などで集められた塵灰中にレアアースが含まれていることも判明している。早期の利用展開が求められる。
さらに、日本近海の大陸棚海底のマンガン団塊やコバルトクラスト、熱水鉱床等の海洋資源も供給源として期待されている。
それでも、ジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)の中重希土類は、これらを多く含むイオン吸着鉱が中国でしか産出しないため、安定供給に不安を残す。中土類の産生が期待されるカナダのThor Lake鉱山の稼動開始が2010-2011年であり、中国に依存する体制が続く。
各レアアースの用途
磁石
ネオジム(Nd) サマリウム(Sm) ジスプロシウム(Dy)
光磁気ディスク
テルビウム(Tb) ジスプロシウム(Dy)
蛍光体
イットリウム(Y) セリウム(Ce)
ユウロピオム(Eu) テルビウム(Tb)
レーザー
イットリウム(Y) ホルミウム(Ho) イッテルビウム(Yb)
光ファイバ増幅器
エルビウム(Er) ツリウム(Tm)
コンデンサ
イットリウム(Y) ランタン(La) ネオジム(Nd)
水素吸蔵合金
ランタン(La)
ネオジウム(ネオジム)
日本は、ネオジウム磁石に代表されるような高磁力磁石の生産で世界を圧倒的にリードしている。ネオジウム磁石は、1984年に住友特殊金属(現NEOMAX)で開発された技術であるが、現在は日立金属が住友特殊金属を吸収して最大の生産者になっている。また、インターメタリックは耐熱性を強化した新ネオジウム磁石を開発しており、三菱商事が資本参加している。従来のネオジウム磁石は熱に弱く、熱によって磁力を失う欠点があった。
ネオジウム磁石の用途は先端技術と直結している。ハイブリッド自動車用モーター、電気自動車用モーター、省エネルギー型エアコン、MRI(磁気共鳴画像装置)、パソコンのハードディスクドライブ、携帯電話、風力発電システムのエネルギー効率の向上など将来性の高い分野に多く用いられている。
この先端技術を支える素材物質の大半が中国からの輸入となっているのである。
ジスプロシウム
中性子吸収断面積が大きいので原子炉の制御用材料として利用される。光磁気ディスク(光メモリ)の材料や磁石、蓄光剤の添加剤としても利用される。
ネオジウム磁性体の欠点を補う添加剤としても注目されてきた。ジスプロシウムを添加することで保磁力が高まる。
イットリウム
イットリウムは、コバルト、鉄との合金で永久磁石として使われる。また、イットリウム-アルミニウム-ガーネット(YAG)による複合酸化物のガーネット構造の結晶は、赤色レーザー発振に使われる。
セラミックにイットリウムを混ぜると耐久性が増すことがわかっており、高温時の無酸素状態において炭素の無酸素奪取力に耐えうる特性を持つなど特殊な性質を保有する。この性質により、ウラン酸化物の還元、レア・アース合金磁石の製造、チタン合金の溶解用ルツボ、保護管・絶縁管および精密鋳造用などに利用される。
イットリウムを含む銅酸化物高温超伝導体は、液体窒素温度(およそ77 K)より高い転移温度を持つ超伝導物質である。これは、イットリウム系超伝導体と呼ばれ、高温超伝導体のひとつである。
イットリウムを含む酸化物はカラーテレビの赤色蛍光体として利用されている。
セリウム
セリウムは、酸化物が研磨剤として使われる。また、ガラス添加剤、製鋼原料、触媒としも使われる。
ガラス研磨剤として鉱物酸化剤が使われており、光学ガラス研磨剤として必要不可欠である。セリウム酸化物は、硬度が高いだけでなく、セリウムやフッ素がガラスと化学反応を起こし、化学機械研磨という研磨法が可能となるため、液晶パネルや水晶・石英などケイ酸系の宝石研磨に利用される。また、電子部品の研磨剤として、他の希土類を抽出除去した高純度酸化セリウムがフォトマスク、ハードディスクなどのガラス基板、多層化集積回路の層間絶縁膜平滑化に用いられている。
酸化セリウムは屈折率が大きく紫外線をよく吸収・遮蔽するため、紫外線吸着剤として使用される。UVカットガラス、日焼け止めなどの化粧品に使われる。
セリウムは、青い蛍光を発することからブラウン管の発光体として利用されてきた。イットリウム-アルミニウム-ガーネット(YAG)にセリウムを添加した黄色蛍光体を青色発光ダイオードの補色とすることで、白色LED灯が初めて商品化された。また、蓄光材料としても用いられる。
酸化セリウムは黄色系顔料の成分として使用される。ガラスに添加して淡い黄色に発色させる着色剤としての用途もある。
セリウムを含むミッシュメタルは、従来からフェロセリウムが発火合金(ライターの石)として広く用いられた。ニッケル・水素蓄電池の負極(水素吸蔵合金)としても利用されている。
溶接用電極棒の交流アーク用に、セリウム入りステンレス鋼が使われている。また、セレンを含む金属間化合物が磁性体として利用されている。フェロセリウムは、鉄鋼添加剤としてステンレス鋼に使われる。強い酸化作用で硫黄や酸素原子による還元作用を抑制する機能を持つ。合金添加剤としては、腐食防止用インヒビターとして、航空機用・高強度アルミニウム合金に添加されるほか、マグネシウム合金にも3~4%添加される。セリウムは、酸化物の酸素貯蔵能が高いことから、自動車排ガス用三元触媒に、助触媒として添加されている。このような性質から、抵抗型気中酸素濃度センサーとして排ガス中の酸素濃度を測定し、エンジンの燃焼効率改善のため空燃比制御にも使用される。
医薬品としては、シュウ酸セリウムが、鎮静・鎮吐作用を持つとして医薬品に使用される。また、抗血液凝固作用があり、血栓防止などに有用とする研究がある。有機セリウム求核試薬やヒ素吸着剤にも利用される。
超伝導物質、強磁性体物質としても注目されている。
セリウムは約90%をチベット自治区で産出され、磁鉄鉱副産物の複雑鉱石から精製される。
ランタン
ランタンは、、セラミックコンデンサや、光学レンズの材料に使われるが、近年、注目を浴びているのは水素吸蔵合金の材料としてである。水素を燃料としてすようする場合、その貯蔵に難点があったが、気体水素貯蔵、ヒートポンプ、高効率電池などの観点から水素吸蔵合金の開発は進められている。ランタンは、マグネシウム基合金やバナジウム基合金などの水素吸蔵合金の添加元素として使用されている。また、高温超伝導体としてランタンを含む銅酸化物セラミックスがある。
2008年4月25日 FX検定 きょうの問題 レアメタル
資源価格が高騰している。産業のビタミンといわれるレアメタルも同様に高騰している。日本が国家として備蓄しているレアメタル7元素は、ニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、バナジウムであるが、これらに追加して備蓄を検討している金属を挙げよ。
正解 インジウム、リチウム
解説
日本が国家備蓄をしているレアメタルはニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、バナジウムの7元素がある。1983年改正の「金属鉱業事業団法」によって経済安全保障の理由から供給停止等の障害に備えて平常時の消費量を基準にして、国家備蓄の42日分と民間備蓄の18日分の合計60日分の国内備蓄が石油天然ガス・金属鉱物資源機構によって行われている。
レアメタルの産出は、世界的に産出地域が非常に偏っている。そのためレアメタル産出国の治安情勢、レアメタル産出国の国家戦略によって資源の安定的供給の確保が難しい情勢が生まれる可能性がある。また、価格の変動が激しく安定的な供給システムが必要不可欠である。
2007年、経済産業省はこれらのレアメタルのうち、インジウム、ジスプロシウム、タングステンの3元素について、代替材料を産官共同で開発する計画「希少金属代替材料開発プロジェクト」を発足させた。同様に文部科学省も2007年から「元素戦略プロジェクト」を行なっている。こんなところにも国家戦略を一元化できない日本の弱みが露呈している。
レアメタルの生産は、銅、亜鉛、鉛、アルミニウム、リチウム、モリブデンなどのベースメタルを生産する過程で副次的に生産されるものが多い。ところが日本では、採算性の悪化から国内でベースメタルの産出を行うことは少なくなってきた。例えば、インジウムの生産は日本の豊羽鉱山が世界第1位であった。北海道の豊羽鉱山(とよはこうざん)では、銀、亜鉛、鉛を採掘していたが、副産物としてインジウムが生産されていたためである。ところが、2006年3月、豊羽鉱山の閉山により世界最大のインジウム産出鉱山が突然無くなってしまった。
副産物として産出されるレアメタルとベースメタルの関係は以下のようになる。
ベースメタル⇒レアメタル
銅⇒コバルト、セレン、テルル、タリウム
亜鉛⇒ゲルマニウム、インジウム、タリウム、ビスマス
鉛⇒アンチモン
アルミニウム⇒ガリウム
モリブデン⇒レニウム
日本には黒鉱ベルト(グリーン・タフ)と呼ばれる鉱床ベルトが存在する。伊豆半島から静岡-糸魚川構造線に沿って、さらに新潟から東北地方の日本海側、北海道西部に抜ける地域である。この地帯には、かつて様々な鉱山が存在していたが、その多くは採算性の悪化によりほとんどが閉山している。金鉱山だけとっても下記のようにたくさんの金鉱山がこの黒鉱ベルトに存在していたことがわかる。
黒鉱ベルト内には、金鉱山として、伊豆半島には土肥金山、清越金山、蓮台寺金山、縄地金山、伊豆天城鉱山、天正金鉱、大仁金山、伊豆猪戸金山、静岡富士川沿いには、梅ヶ島の安部金山、日陰沢金山、富士宮の富士金山、静岡市井川の笹山金山、奥三河の津具金山、山梨には大月の金山金山、北杜の金山金山、身延の川尻金山、下部町の湯之奥金山、塩山の黒川金山、午王院平金山、竜喰金山、黄金沢金山、早川の黒桂金山、保金山、雨畑金山、黒桂山金山、韮崎の御座石金山、金沢金山、長野県には茅野の金沢金山、新潟県には青海町の橋立金山、北海道には鴻之舞鉱山などが存在していた。
黒鉱ベルトには金山以外にも多くの鉱山が存在していた。秋田県には主だった鉱山だけで、小坂鉱山(鉛、亜鉛、銅、銀、金)尾去沢鉱山(銅、金、銀、亜鉛、鉛、硫化鉄)荒川鉱山(銅、鉛、亜鉛、硫化鉄)、花岡鉱山(銅、鉛、亜鉛、重昌石、金、銀)、院内銀山(銀、金、亜鉛、鉛)、餌釣鉱山(銅、鉛、亜鉛)、吉之鉱山(銅、亜鉛、鉛)、釈迦内鉱山(銅、亜鉛、鉛)、深沢鉱山(銅、亜鉛、鉛)、松峰鉱山(銅、亜鉛、鉛)などがあるが、この他にも数十に及ぶ鉱山が存在していた。
上述したように、銅、亜鉛、鉛が産出する場合は、副産物として多くのレアメタルが抽出される。レアメタルの価格は直近の数年で5倍から10倍くらい上昇している。金銀価格についても同様である。このまま金属価格が上昇し、高止まりした場合、これらの閉山鉱山の多くが採算レベルに乗ってくる可能性もある。すでに伊豆の金山では再採掘の試掘も始まっているようである。
かつて日本は世界有数の金属輸出国であった。江戸時代、明治時代には、金、銀、銅などが日本の輸出を支えていた時代もあったのだ。メタンハイドレートのようなエネルギー資源を含めて、資源価格が高騰すると日本は資源国家として復活する可能性を秘めているのかもしれない。これを推進する人材資源は枯渇しそうであるが・・・・。
レアメタルの産出国とシェア
ニオブ ブラジル97.7%
タンタル オーストラリア93.0%
プラチナ 南アフリカ88.7%
リチウム チリ73.2%
タングステン 中国62.1%
マンガン ウクライナ46.7%
アンチモン 中国43.9%
バナジウム ロシア38.5%
モリブデン 中国38.4%
クロム カザフスタン35.8%
ニッケル オーストラリア35.5%
ボロン トルコ35.3%
レアメタルの用途
ニオブ
鉄鋼添加剤:自動車や石油パイプライン用の高張力鋼、
高耐蝕性ステンレス鋼、タービン用耐熱超合金
タンタル
コンデンサー(パソコン、携帯電話)、歯科インプラント接合剤
プラチナ
自動車用排ガス浄化触媒、点火プラグ、排気センサー、
燃料電池触媒、磁性体材料、抗がん剤原料
リチウム
軽量合金、還元剤、結晶化耐熱ガラス、潤滑剤、
抗鬱剤原料、リチウム電池負極
タングステン
反物質生成実験用ターゲット素材、ドリルなどの高速度鋼、
超硬合金、X線遮蔽用の金属、装弾筒付翼安定徹甲弾の弾芯、
真空蒸着による薄膜形成用素材、TIG溶接の非消耗電極素材
プラズマアーク溶接・プラズマ切断の電極材料
マンガン
乾電池陽極、耐磨耗性・耐食性・靭性鋼鉄添加素材
アンチモン
鉛蓄電池電極材料、ハンダ合金材料
バビットメタルなどの軸受合金、半導体材料への添加物
ポリエステルを製造する際の触媒、ゴム、プラスチックの顔料
繊維、プラスチック、紙を難燃性にするための添加物の原料
バナジウム
製鋼添加剤:バナジウム鋼(高張力鋼、非調質鋼、工具鋼、耐熱鋼)
アルミニウム合金素材、チタン合金素材、超伝導体
触媒;硫酸製造用触媒、酸化触媒
排ガス処理:脱硝用複合材・触媒
顔料、塗料、セラミックス釉薬、
電子素子:酸化物半導体
レドックスフロ-電池:電力貯蔵用大型電池
蛍光体:小型表示素子
化学気相蒸着法(CVD)用材料
モリブデン
ステンレス鋼の添加元素、工業用の潤滑油、エンジンオイルの添加剤
モリブデン銅合金(ハイブリッドカー、ロケットの電子基板)
金属モリブデン:電子管の陽極、液晶パネル製造ライン
クロム
ステンレス鋼、メッキ素材
ニッケル
ステンレス鋼、硬貨
軟磁性材料:変圧器の鉄心、磁気ヘッド
ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池の正極
不飽和炭素結合に対する水素付加の不均一系触媒
ボロン
ガラスの原料、防腐剤、金属の還元剤、溶接溶剤や研磨剤、火の抑制剤
ホウ酸:目の洗浄剤、うがい薬や鼻スプレーなど口腔衛生のための医薬品
ゴキブリ駆除剤、スピーカーの高・中音域ユニット振動板
半導体素材、原子炉内において中性子の吸収のため制御棒
加圧水型原子炉の余剰反応度制御、放射性物質運搬容器
複雑な化合物の前駆体として利用
インジウム
液晶・プラズマなどフラットパネルディスプレイの電極(透明導電膜)
半導体添加素材、ハンダ材料
酸化インジウム錫は、導電性があるのに透明であることから液晶やプラズマといったフラットパネルディスプレイの電極(透明導電膜)に使われている。また、シリコン、ゲルマニウムに添加してP型半導体を形成する。
インジウムを産出している世界最大の鉱山は札幌市の豊羽鉱山であったが、採算の悪化や資源枯渇を理由に2006年3月31日をもって採掘を停止した。豊羽鉱山の産出品目は銀、亜鉛、鉛などであるが、インジウムは副産物として産出されていた。豊羽鉱山は新日鉄グループが開発していたが、鉱床深部の地熱温度の上昇による採掘可能な鉱石の鉱量枯渇のため2006年3月31日をもって閉山した。鉱脈は深部まで存在する事が確認されているが、発破に使用するダイナマイトが岩盤の高温に耐えられず、現在の採掘技術では事業継続が不可能である。豊羽鉱山はインジウムの産出が世界一の鉱山であっただけに非常に残念である。
インジウムは現在、液晶ディスプレーや発光ダイオードなどのハイテク製品の原材料として広く用いられているが、一方で産出量は限られており、需要の逼迫・資源枯渇の危険性が問題となっている。2003年から3年間で価格は5倍に上昇した。
レアアース
希土類元素原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までのランタノイド
21番のスカンジウムと39番のイットリウム(Y)を加えた計17種類の元素
水素吸蔵合金、二次電池原料、光学ガラス、強力な永久磁石、蛍光体、研磨材などの材料
チベットは世界のレアアース生産の90%を占めている。
2008年4月18日 FX検定 きょうの問題 世界の航空機産業 三菱重工MRJ
三菱重工が小型旅客機製造の事業化に踏み出した。世界の旅客機製造はヨーロッパのエアバス社、アメリカのボーイング社によってリードされているが、中型機、小型機はこの2社に続いてカナダのボンバルディア社が続いている。では、世界第4位の旅客航空機製造会社はどこか。
正解 エンブラエル社
解説
2008年3月28日、三菱重工が小型ジェット旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の事業化を決定した。三菱重工は航空機製造の新会社・三菱航空機を設立する。2008年4月1日、資本金30億円で設立、事業展開とともに増資し、資本金1000億円まで増資する予定である。三菱重工は資本金の3分の2を保有する予定である。残りの3分の1は、トヨタ自動車、日本政策銀行、三菱商事、三井物産、住友商事が出資予定である。
全日本空輸(全日空、ANA)は、MJRの事業化を前提に25機を発注した。MRJは、世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた70~90席クラスの最新鋭小型ジェット旅客機。リージョナル機として初めて主翼、尾翼に複合材を本格的に採用、新型エンジンの搭載や最先端の空力設計などとも相俟って、燃費の大幅な低減を実現、エアラインの競争力と収益力の向上に大きく貢献する。
ちなみにリージョナルジェットとは航続距離3000キロ程度で乗客数が70~90名程度の小型ジェット旅客機の事である。
MRJプロジェクトには、最新鋭の高効率エンジン「Geared Turbofan」を供給するプラット アンド ホイットニー(Pratt & Whitney)のほか、パーカー・エアロスペース(Parker Aerospace、担当:油圧システム)、ハミルトン・サンドストランド(Hamilton Sundstrand Corporation、担当:電源、空調、補助動力などの各システム)、ロックウェル・コリンズ(Rockwell Collins、担当:フライト・コントロール・コンピューター、アビオニクス)、ナブテスコ(担当:フライト・コントロール・アクチュエーター)、住友精密工業(担当:降着システム)の各社が主要なパートナーとして参画する予定である。
世界の大型旅客機市場は、アメリカ・ボーイング、ヨーロッパ・エアバス社によって2分されているが、中型機、小型機は上記2社に続き、カナダ・ボンバルディア社、ブラジル・エンブラエル社が続いている。新規参入の三菱重工MRJが事業化に成功するためには、量産化によるコストダウンが必要であるが、価格、性能で競争力を確保していく必要がある。三菱MRJの強みは燃費効率の良さであるが、機体コストではボンバルディア社、エンブラエル社に及ばない。ボーイング社、エアバス社を含めてどこまで差別化が図れるかが今後の課題である。
エンブラエル社
エンブラエル社は、ブラジル最大の輸出企業である。2000年年代に入って急速に成長してきた世界第4位の航空機製造会社である。2007年の売上は、52億2400万ドル、従業員数2万3600人。
エンブラエル社は、1069年、ブラジルの国営会社として設立された。ブラジル空軍の航空技術研究所の研究員によって開発されたプロペラ機バンデランテス、ブラジリアを開発、小型旅客機として各国で採用されて成功した。さらにターボプロップ式タンデム複座型練習機としてイギリス空軍などで採用されたほか、ブラジル空軍でも練習機兼用のゲリラ掃討用COIN機として利用されている。
1990年には3億ドルをかけて開発した、「CBA123」を発表したが、価格競争力に欠け事業としては失敗した。この失敗でブラジル政府からの援助は打ち切られ、さらに湾岸戦争による世界的航空需要の減退でエンブラエル社は、窮地に陥った。相次ぐ受注キャンセルのなか1万4,000人の大半をリストラ敢行したが受注減による業績悪化から黒字転換は達成できなかった。
ブラジル政府は事業売却、民営化を試みたが相次いで失敗した。その後、1994年12月、金融コングロマリット「ボザノ・シモンセン」、社会福祉年金運用会社「プレビ」、「システル」が共同で出資し、1億4670万米ドルで買収した。
1999年、フランスの航空機製造企業グループ・ダッソーと資本・技術提携し、ダッソー社がエンブラエル社の株式を20%保有するに至った。ダッソー社の技術支援を受けて、70人乗り「ERJ170」、98人乗り「ERJ190」、108人乗り「ERJ195」の開発を相次いで発表した。2007年2月、日本航空グループ(JALグループ)は、ERJ-170を10機導入することを決めた。
エンブラエル社の2000年以降の成長は著しく、売上は世界第3位のカナダ・ボンバルデア社に迫る勢いである。ビジネスジェット分野にも参入し、売上は好調である。また、軍用機分野でも好調を維持し、ブラジル空軍の50%はエンブラエル社の航空機であり、オーストラリア空軍など世界20カ国以上の軍隊で採用されている。
また、特筆すべき点として、エンブラエル社の子会社ネイバ社がアルコール燃料で飛ぶ農業用小型飛行機を開発したことである。ブラジルのエネルギー政策との連動でバイオ・エタノールの利用を高める戦略と見られる。環境重視の世界的流れから大きな需要が見込まれる。
2002年、エンブラエル社は、中国ハルビンで中国の国営会社と合弁の航空機製造工場を建設している。エンブラエル社のの株式保有比率は51%である。2004年には第1号機(ERJ-145型、客席数50)が製造されている。年間生産能力は24機である。リージョナルジェットの今後20年間の需要予測は、中国で600機であり、リージョナルジェットの中国国内保有数は2004年現在で70機であることを考えると今後の需要増が見込めると読んでいるようである。また、世界需要は4000機が予測されており、ボンバルデア社、三菱重工MRJとの競合が予想される。
2008年4月14日 FX検定 きょうの問題 世界の造船業
造船業界の再編が進む。JFE子会社で国内2位のユニバーサル造船とIHIが全額出資するアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドが統合し、今治造船を抜いて国内最大手になる。世界の造船受注が最も多い国はどこか。
正解 韓国
解説
JFEホールディングスは2008年3月6日、日立造船と折半出資しているユニバーサル造船を子会社化し、日立造船が保有するユニバーサル株のうち34.9%を3349億円で取得し、出資比率を84.9%に高めた。これに続いての造船再編である。JFEは、造船を鉄鋼に次ぐ中核事業として強化するのが狙いで、統合後のユニバーサル造船は全株をJFEホールディングス本体が所有する。
日本の大手造船業は、JFE、三井造船、住友重機械、三菱重工に集約されてきた。他に中堅造船所として、今治造船、常石造船、新来島ドック、大島造船所、名村造船所、佐世保重工、サノヤス・ヒシノ・明昌、尾道造船、豊橋造船、内海造船、函館ドック、福岡造船、南日本造船、臼杵造船所、旭洋造船、向島ドック、桧垣造船、浅川造船、山中造船、三和ドックなどがあるが、造船技術者不足などもあり、再編が予想される。
世界の造船企業のトップ10社は、韓国、日本、中国で占められている。
2008年1~2月の世界の造船受注量は2110万DTW(載貨重量トン)で、このうち韓国企業が3分の2に相当する1400万DTWを占めた。
2007年は、世界の船舶受注量は2億4470万DWTで、韓国はこのうち39.4%となる9640万DWTを占めたが、中国の1億530万DWTを下回っており、2008年に入ってから韓国の造船業界は好調を見せていることになる。中国の2月までの受注量は、韓国の40%水準の550万DWTにとどまっているほか、日本が110万DWT、台湾が40万DWT、欧州が10万DWTなどとなっている。
造船は、タンカー、コンテナ船、バラ積船などの商船建造においてはすでに最先端技術を必要とする分野は少なく、基礎技術を持ちコスト競争力のある企業が生き残る産業分野となっている。かつての造船国であったイギリス、アメリカ、ノルウェー、ドイツ、デンマークなどはこれらの分野から撤退している。かろうじて軍用船の建造企業が一部残されているのみである。
しかし、旧造船国各国は、タンカーなどの大型商船分野からは撤退しているものの、ノルウェーにおけるレジャーボート、海洋特殊建造物、調査船、特殊船、掘削船、大型ディーゼル・エンジンなど付加価値が高い分野で高いシェアを維持している。したがって、新造船受注が多いことがそのまま利益には直結していないのが造船業の特徴である。
それでも近年はBRICsなど新興国の資源需要の高まりから海運需要が高まり、新規造船コストも上昇気味である。今後は新規造船の運航に伴い新規造船が一巡すれば海運コストも下がり、新規造船受注量も安定、低下してくると思われる。
大型船のディーゼル・エンジンを例にとれば、中国、韓国は大型船舶エンジンの生産ができない。
現在大型船舶用エンジンの世界市場シェアは、ドイツの輸送機械大手MANグループ(MAN B&W Diesel)が7割を、フィンランドの重電、ディーゼルエンジン大手バルチラ(Wartsila)が2割を、三菱重工が1割を占めている。
海洋調査船ではノルウェーのAker Yards Groupなどが強く、排水量、積載量換算の造船受注量ではベスト10に入らないが、売上ではAker Yards Groupは世界第4位である。ノルウェーには他にもUlstein Group、Umoe Groupなどの造船会社がある。また大型客船も旧造船国が得意とする分野である。Aker Yards Groupは2009年運航開始予定の豪華大型客船Royal Caribbeanの建造中であるが、この船の受注額は9億ユーロである。これらの造船企業は大型商船、タンカーの受注よりも、オフショア船、ケーブル敷設船、ダイビング支援船、RORO船、地質調査船、ケミカル・タンカー、フェリー、トロール船など付加価値の高い船舶建造に注力している。Aker Yards Groupの2006年の売上は258億6100万クローネ(5172億円)、営業利益14億4300万クローネ(288億円)、純利益10億3700万クローネ(207億円)だった。
韓国の造船業界は2007年、全世界の船舶受注量の40.4%に当たる3200万CGT(標準貨物船換算トン数)の受注を記録し、中国(2920万 CGT)、日本(650万CGT)を上回った。2008年に入っても、1-2月に世界の62.5%に当たる400万CGTを受注した。現代重工業は2007年、過去最高の250億ドル(約2兆5550億円)の受注に成功したが、2008年はそれを上回る294億ドル(約3兆50億円)の受注を目標に掲げている。
現代重工業は、2007年の業績は設立以来の好業績であったが、売上高を15兆5330億ウォン(約1兆7512億円)、営業利益1兆7507億ウォン、当期純利益1兆7361億ウォンであると発表している。営業利益は対前年比で99.2%の増加、純利益は143.6%の増加であるから、2006年までの業績がいかに悪かったか判る。船舶価格の上昇に助けられた形であるが、今後船舶価格の落ち着き、低下を見せてくると業績の悪化が予想され、高付加価値化が生き残りのポイントとなる。
世界の新造船受注量の推移 (単位: 千総トン)
年 日 本 韓 国 中 国 その他 世界合計
90 11,143 5,737 602 6,583 24,065
91 8,073 5,106 608 6,123 19,910
92 5,208 2,213 994 4,384 12,799
93 7,534 8,317 592 6,202 22,645
94 11,719 5,659 781 7,192 25,351
95 8,906 7,762 1,108 7,754 25,530
96 9,158 6,737 1,665 5,847 23,407
97 15,362 13,733 1,461 5,924 36,480
98 10,979 8,819 662 6,278 26,738
99 8,695 11,843 3,011 5,390 28,939
00 13,475 20,791 2,620 9,208 46,092
01 14,551 11,840 4,122 5,986 36,499
02 12,363 9,719 3,070 3,648 28,800
03 23,626 32,399 10,650 7,325 74,000
04 28,860 24,976 10,974 12,390 77,200
05 16,502 21,609 10,621 11,268 60,000
06 22,557 38,109 27,352 11,582 99,600
Lloyd's Register資料より作成
世界造船所ランキング
1位:現代重工業 1082万CGT
2位:大宇造船 782万CGT
3位:サムスン重工業744万CGT
4位:現代尾浦造船 393万CGT
5位:現代三湖重工業327万CGT
6位:STX造船 213万CGT
7位:韓進重工業 210万CGT
8位:三菱重工業 209万CGT
9位:IHI 173万CGT
10位:常石船舶 172万CGT
受注残量基準の世界造船所ランキング
調査:Clerkson社 2006年(標準貨物船換算トン数)
新造船船価の推移 (単位:百万ドル)
年 VLCC Suez Afra Handy Cape Panamax HandymaxHandy
1992 100.0 62.5 48.0 32.0 44.0 28.0 24.0 20.0
1993 95.0 62.0 44.0 32.0 46.0 28.5 25.0 21.0
1994 82.0 51.0 41.0 32.0 42.0 28.0 24.0 19.0
1995 85.0 54.0 43.5 33.5 42.5 28.5 24.0 19.5
1996 82.0 51.0 40.5 31.5 39.0 26.5 23.0 19.0
1997 83.0 52.0 41.0 31.5 40.5 27.0 22.5 18.0
1998 72.5 44.0 34.5 26.0 33.0 20.0 18.0 14.3
1999 69.0 42.5 33.0 26.0 34.0 21.5 20.0 15.5
2000 76.5 52.5 41.5 29.5 40.5 22.5 20.5 15.0
2001 70.0 46.5 36.0 26.3 36.0 20.5 18.5 14.5
2002 63.5 43.8 34.8 27.0 36.3 21.5 19.0 15.0
2003 77.0 51.5 41.5 31.5 48.0 27.0 24.0 18.0
2004 110.0 71.0 59.0 40.0 64.0 36.0 30.0 23.5
2005 120.0 71.0 58.5 43.0 59.0 36.0 30.5 25.5
2006 129.0 80.5 65.5 47.0 68.0 40.0 36.5 28.0
2007 146.0 90.0 72.5 52.5 97.0 55.0 48.0 34.5
バルク船
ケープサイズバルカー
南アフリカ共和国東岸のリチャーズベイ(リチャードベイ)港に入港可能な満喫水18.1m以下の最大船型をいう。一般的には、150,000~170,000DWT程度のバルカーの名称。
パナマックス
パナマ運河を通航できる最大船型という意味で、長さ900フィート(約274m)以内、幅106フィート(約32m)以内の船で、ばら積み船の場合は載貨重量トン(D/W)が6万~6万8,000トンクラスの船.
ハンディ
載貨重量6万t未満の撒積船一般の呼称。
ハンディマックス
ハンディサイズのうち最大船型。載貨重量トン(D/W)が4万トン~5万トンクラスの船を指す。
タンカー船
LVCC
超大型原油タンカーの略称で,ULCCはUltra Large Crude oil Carrier,VLCCはVery Large Crude oil Carrierの頭文字である。一般的に載貨重量20万トンから30万トンまでのタンカーをVLCC、それ以上のものをULCCと呼ぶ。
スエズマックスタンカー
パナマ運河を通過できる最大サイズの商船。パナマ運河を通過するには、最大長900フィート、最大幅106フィートという制約がある。重量トンで言うと6~7万トンぐらいのサイズ。
アフラマックスタンカー
「AFRA」とはAverage Freight Rate Assessmentの頭文字。ロンドン・タンカー・ブローカー委員会が作成している原油タンカーのサイズ別運賃指数。AFRAは、載貨重量が8万トンを超えると運賃レートがかなり下がるので,そのレートを最大限に享受できるように載貨重量を上限ぎりぎりの79,999トンとしたタンカーを呼称したことに由来するが、現在では,載貨重量8万トンから12万トン程度のタンカーをひろくアフラマックスタンカーと呼んでいる。
パナマックスタンカー
パナマ運河を通航出来る最大船型のタンカーをいう。載貨重量は6万トンから7万トンでタンク容積は概ね50万バレルとなる。
2008年4月8日 FX検定 きょうの問題 原子力発電開発
かつては世界中で忌避されていた原子力発電も時代が変わると評価も大きく変わりました。現在ではクリーンエネルギーの代表として再度脚光を浴びています。原子力発電の実用方式として大きく加圧水型と沸騰水型がある。
世界の原子力発電は方式によって3グループが競争を繰り広げているが、日本はいずれのグループにも属している。日本の代表的原子力発電プラント会社である三菱重工はどの方式を採用しているか。
正解 加圧水型
解説
原子力発電に使われる原子炉にはいくつかの方式がある。実用レベルでは加圧水型、改良型加圧水型軽水炉と沸騰水型、改良型沸騰水型軽水炉があるが、他にも実験炉を含めて高速増殖炉、新型転換炉、黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉などが存在する。
2008年現在、世界には30ヶ国439基の原子炉が稼働中であり、127基が建設中か計画中である。
世界の原子力発電建設は旧ソ連(ウクライナ)のチェルノブイリ発電所事故以来、新規の原子力発電所開発は抑制されてきたのが実情である。ところが、地球温暖化防止のため、二酸化炭素排出のない原子力発電が見直されてきている。
世界の原子力発電所建設における競争は、3つのグループによって形成されている。第1グループは、フランスのアレバ社と三菱重工によるグループである。このグループは前述のとおり加圧水型の原子炉を得意とするグループである。また、フランスのアレバ社は天然ウランの生産高も高く、世界シェア13%を持っている。
三菱重工は、業務提携先であった米ウェスチングハウス社がM&A合戦の結果、ライバルである東芝の傘下に入ってしまったため、対抗措置としてアレバ社と業務提携した。2007年9月、三菱重工とアレバ社は共同会社『アトメア(ATMEA)』を設立した。アトメア社では、第3世代原子炉の開発、営業、ライセンス許諾、販売を行う予定である。アレバ社は、使用済み核燃料処理施設の開発、および使用済み核燃料のリサイクルを行う次世代原子炉建設などを得意としている。
2007年10月2日、アレバ社、三菱重工の共同子会社『アトメア社』は、米政府が公募していた560万ドル(約6億5000万円)規模の核燃料リサイクル計画の調査・開発事業を獲得した。
日本原燃は、アレバ社、ワシントン・グループ・インターナショナル社、BWXテクノロジーズ社とともに米国における原子燃料リサイクルに関する検討チームを形成している。
第2グループは、東芝+ウェスチングハウスである。東芝はウェスチングハウス社の持株会社の株式を77%保有していたが、2007年8月カザフスタンの国営ウラン生産会社カザトムプロム社に対し、持株の10%を5億4000万ドルで売却した。カザトムプロム社は世界有数の天然ウラン生産会社で世界シェア9%である。東芝は日本の電力会社4社、丸紅とともにカザトムプロム社傘下の会社に投資し、カナダのウラン鉱山開発会社とともにカザフスタンのウラン鉱山(ハラサン鉱山)の新規開発に参加している。
この戦略的提携によりウラン燃料の供給から原子力発電所の建設、維持管理まで一貫した体制を整える戦略である。東芝-ウェスチングハウスは、加圧水型、沸騰水型の両システムを提供する。
2008年4月3日、東芝-ウェスチングハウスは、米電力大手、スキャナ社がサウスカロライナ州に建設する原発2基と、米サザン社がジョージア州に建設予定の2基を受注したと報道されている。2016~2019年の稼動を予定。
第3グループは、沸騰水型原子炉グループを形成するGE、日立製作所連合である。2006年11月、日立製作所とGEは、原子力事業の提携を強化することで合意している。日立製作所とGEは、両社の原子力事業の提携強化を図ると発表している。2007年7月、日立製作所、GEは原子力発電所の建設や保守・サービス事業を行うグローバル事業として新会社『GE-日立ニュークリア・エナジー』を設立した。株式保有比率は日立製作所60%、GE40%である。
地球温暖化対策、世界的エネルギー資源獲得競争により原子力エネルギーの需要が急速に高まっている。世界的には需要が高い発電用原子炉ではあるが、日本国内では、政府機関、電力会社による秘密隠ぺい体質に対する国民の不信感は拭い切れておらず、安全性と経済性をバランスするには難しい状況にある。
現在日本には60基ほどの原子炉が稼働しており、アメリカ、フランスと並んで稼働原子炉が多く、原子力発電大国である。アメリカはスリーマイル島の事故以来新規の原子力発電所の建設はなかったが、既存の原子炉の老朽化も進み、地球温暖化防止、原油価格の高騰から原子力発電所の建設に前向きになっている。
2008年4月4日 FX検定 きょうの問題 インド財閥 タタ自動車、フォードからジャガー、ランドローバーを買収
インド経済は財閥企業によって支えられている。インドにおける純資産の40%は20財閥によって所有されている。老舗2大財閥としてタタ財閥は、2007年、イギリス製鉄大手コーラスグループを買収したが、2008年3月、不振のフォード・モーターズからジャガー、ランドローバーを20億ドルで買収すると発表した。タタ財閥と並ぶインドにおける最大の財閥はどこか。
正解 アンバニー財閥
解説
アンバニー財閥(Ambani 財閥)は、インド最大の私企業である。
2008年現在、アンバニー財閥最大の企業リライアンス・インダストリー(Reliance Industries)は、GEプラスチック買収を画策していると報道されている。リライアンスはすでに、2004年、欧州のポリエステル繊維メーカーのTrevira を買収し、ポリエステル繊維トップメーカーとなっている。リライアンス・グループ(Reliance Group)の事業は多岐にわたり、ガスパイプライン、石油精製、化学繊維、アパレル等の上流から下底までの石油化学事業、通信、電力等インフラ事業を行っている。
リライアンス・グループの中心は石化事業のリライアンス・インダストリー(Reliance Industries)で、パラキシレンでは世界3位、高純度テレフタル酸では、世界4位となっている。インドの拠点は4箇所。
ジャムナガル(Jamnagar)に新設する製油所の隣には年産27百万トンの製油所があり、石化原料のナフサ、芳香族とPPを生産している。ポリプロピレン(PP)は当初の3系列77万トンに、2006年第4系列28万トンが加わった。同じく27百万トンの新製油所では上述の通り、100万トンのPPを新設する。
ハジラ(Hazira)ではジャムナガル(Jamnagar)から送られるナフサを原料に石油化学コンプレックスがある。エチレン能力75万トン(100万トンに増設中)と、ポリエチレン(PE)(16万+20万トン)、ポリプロピレン(PP)(36万)、VCM(塩化ビニールモノマー)PVC(ポリ塩化ビニール)(16万)、テレフタル酸(PTA)(35万x2)、その他を生産している。
パタルガンガ(Patalganga)ではPTA、ポリエステル繊維、LAB等を生産し、ナロダ(Naroda) はインドで最も近代的な繊維のコンプレックスである。
2002年5月、リライアンス・インダストリー(Reliance Industries)はインド政府から国営石油化学会社・インド石油化学(Indian Petrochemicals Corp. Ltd. )(IPCL)の株の26%を買収し、同社の経営権を取得した。現在インド石油化学(IPCL)の取締役10人のうち、5人はリライアンス社の指名で、リライアンス社のムケシュ・アンバニー(Mukesh Ambani) 会長がIPCLの会長を兼務している。IPCLは3箇所にコンプレックスを持っている。エチレン能力はヴァドダラ(Vadodara )が13万トン、ナゴザネ(Nagothane)が40万トン、ガンダール(Gandhar)(Dahej)が30万トンである。TPA能力は100万トンを超えている。
タタ財閥
タタ財閥はインドの老舗財閥であるが、元を辿ればイランの出身である。ヒンズー教を国教とするインドにあって、タタ一族はゾロアスター教の信者である。主なグループ企業には、自動車メーカーのタタ・モーターズ、製鉄のタタ・スチール、電力会社のタタ・パワー、ソフトウェア会社のタタ・コンサルタンシー・サービシーズなどがある。タタ・グループのグループ企業は、IT、製鉄、電力、科学、食品、ホテルなど91社、22万人を有する。
タタ・スチールは、2000年までは世界50位にも入らない地域製鉄会社であったが、同じインド出身のミタルによる製鉄会社再編に対抗し、2007年、イギリス・オランダに展開する世界第8位の製鉄会社コーラスグループを買収した。その結果、世界第5位の鉄鋼会社に躍進した。タタ・グループ内には高品位鋼板を必要とするタタ・モーターズなどがあり、高品位鋼板供給源を確保する狙いもあったようだ。2002年新日本製鐵と自動車用鋼板製造の技術提携契約を結んでいる。
タタ・モーターズは、1945年に設立された。本社はグループ本社のあるムンバイにある。2007年の単体売上は8000億円に及び、時価総額は9000億円、従業員は22000人を擁する。商用車(バス・トラック)部門は世界第5位の生産量を誇る。商用車の国内シェアは60%で第1位であるが、乗用車部門は第2位につけている。2004年、韓国のデウ(大宇)のトラック部門を買収して、タタ大宇商用車を設立。2003年からMGローバーに対する乗用車のOEM供給を開始したが(シティローバー)、MGローバーの破たんで計画はとん挫した。2005年、イギリスに技術センターを設立、2006年にはフィアットと業務提携してジョイントベンチャーを設立している。2008年3月、タイでピックアップ・トラックの生産が開始された。
タタ・モーターズは、2008年1月、5人乗り乗用車「ナノNano」を公開したが、販売価格は10万ルピー(約28万円)で、発売されれば量産車としては世界最安値である。2008年8月からインド国内で発売予定。
タタ・モーターズは、2008年3月、経営不振のフォード・モーターズからジャガー、ランドローバーを20億ドルで買収すると発表した。現状では、タタ・モーターズの主力は商用車であり、ナノなどの低価格車の投入で乗用車部門の販売も拡大すると思われるが、ジャガー、ランドローバーは高級車であり販売における相乗効果はあまり高いとは言えないが、長期的に高級車から中級車、普及車、低価格車とすべてのラインナップを充実させていくものと思われる。
ルイア財閥(エッサール財閥)
鉄鋼、電力、海運、建設、石油、ガス、通信など重工業分野を中心に展開している。
20億USドルの売上、44億USドルの資産を保有。
エッサール・スティール 1976年設立。売上高6116千万ルピー(2005年3月期)財閥の旗艦企業。
自動車用、石油・ガス関連、造船用など幅広く鋼板製造を行っている。
主要顧客にはキャタピラー、ヒュンダイ、スワラージマツダ、マルチウドヨグなど。
エッサール海運 1969年設立 749千万ルピー:2006年3月期
外国人の株式保有比率は36%。
エッサール石油 1989年設立
石油小売に進出し、売上は急拡大しているが赤字転落。
外国人の株式保有割合は、70%以上に達しています。
エッサール・パワー 非上場
天然ガスや石炭による火力発電を行っている。
エッサール建設 非上場
パイプライン、港湾、ビル、運河、ハイウェー、防波堤、橋梁、など多種多様な建設事業を行っている。
ハチソン・エッサール
香港ハチソン・ワンポアとの合弁企業移動体通信事業を行っている。
8つの州をカバーしている。
2008年3月31日 FX検定 きょうの問題 ロシアの石油天然ガス・パイプライン
資源価格が高騰しているが、ロシアが主導する地下資源は多いが、ロシア国内の資源会社の多くは民営化されている。しかし、すべてのロシア企業がロシアの国家戦略に基づいて活動しているわけではない。ロシアが国家として主導している地下資源は、天然ガスとウランである。ロシア政府が主導する天然ガス・パイプラインが2ルートあり、ひとつは黒海海底を通り、ブルガリアに至るサウス・ストリームであれうがもうひとつは何と呼ぶか。
正解 ノルド・ストリーム
解説
ノルド・ストリームは、ヨーロッパ寄りのベラルーシ、ポーランドを迂回してバルト海底を通ってドイツに繋がる天然ガスパイプラインである。
サウス・ストリームは、ガスプロムとイタリアの石油大手ENIがスイスに設立する合弁会社が、2008年中に事業性検証を行う。合弁会社が海洋部分の建設を行い、陸上部分はパイプライン通過各国のガス会社と共同で建設するものである。ブルガリア、セルビア、ハンガリーは建設に合意している。ブルガリアからギリシャ、イタリアへの延長も検討されている。これに対し、ロシアからのエネルギー依存度を下げたいEUは、アゼルバイジャン、トルクメニスタンからの天然ガス・パイプライン・ルートであるナブコ(Nabucco)パイプラインの建設を進めている。
ロシアからの石油・天然ガス・パイプラインはすでにいくつか敷設されている。バルト3国への石油パイプライン「バルトパイプライン」、ベラルーシ経由でウクライナ、ヨーロッパへと供給する「友好」石油パイプライン、ベラルーシ、ポーランド経由で供給される「ヤマル・ヨーロッパ」ガスパイプライン、ウクライナ経由でヨーロッパに供給される「兄弟」ガスパイプライン、ロシアから別ルートでウクライナに供給される「ソユーズ」ガスパイプライン、黒海からトルコに繋がる「ブルー・ストリーム」ガスパイプラインなどがある。
ロシアに対抗してEUが計画中のナブコパイプラインは、トルクメニスタン、カザフスタンからカスピ海底を通ってアゼルバイジャン、グルジア、トルコを経由してヨーロッパに供給するルートであるが、十分な供給量を確保できるかが課題となっている。アゼルバイジャン、グルジアからトルコへ供給される石油パイプラインとして「バクー・ジェイハン」がある。ロシアはサハリン1・2から日本、中国へのLNG供給ルートを開発中である。さらに東シベリア・太平洋・石油パイプラインの敷設も計画している。カザフスタンからはロシアルートのパイプラインが敷設され、中国への石油パイプラインの計画もある。
2008年3月28日 FX検定 きょうの問題 寡占化が進む金属メジャー
世界最大の資源メジャーBHPビリトンによる世界第2企業リオ・ティントの買収が注目されている。この2社に続く世界第3位の資源メジャーはどこか?
正解 アングロ・アメリカン
解説
金属メジャー売上ランキング
第1位 BHPビリトン(豪英) 475億ドル
第2位 アングロ・アメリカン(南ア) 331億ドル
第3位 エクストラータ(スイス) 269億ドル
第4位 リオ・ティント(豪英) 225億ドル
第5位 ヴァーレ(旧リオ・ドセ、ブラジル)215億ドル
2007年、リオ・ティントはアルミニウム大手アルキャンを買収している。統合売り上げは460億ドルとなり、BHPビリトンがリオ・ティントを買収した場合、売上高900億ドルの超巨大メジャーが誕生することになる。両社はロスチャイルド系の企業であり、統合は充分に可能性がある。また、買収の噂が絶えない世界第2位のアングロ・アメリカンもまたロスチャイルド系の企業である。巨大化したBHPビリトンがアングロ・アメリカンを飲み込まない保証はどこにもない。
BHPビリトン+リオ・ティントが実現した場合の売り上げ構成と世界シェア
売上構成
鉄鉱石 第1位 13%
石炭 第1位 13%
銅・亜鉛・鉛 第1位 20%
ニッケル 7%
アルミニウム 第1位 21%
ダイヤモンド 2%
合金鉄 1%
その他(ウラン)第1位 23%
世界シェア
鉄鉱石 37%
原料炭 21%
銅 13%
ウラン 25%
アルミニウム 16%
ニッケル 10%
1990年以降の資源各社の買収、合併は急速に進んでおり、寡占化が進んでいる。BHPビリトンは2001年、BHPとビリトンが合併してできた会社であるが、2005年にはオーストラリア第2位の鉱山会社WMC(ニッケルに強み)を買収している。アングロ・アメリカンは南アフリカで唯一絶対の大企業であるが、1997年にAACとミノルコが合併してできた会社である。2003年には鉄鉱石を得意とするクンバを買収している。スイスのエクストラータは、2003年、銅・亜鉛のMIMを買収、2005年にはニッケル・銅のファルコン・ブリッジを買収。リオ・ティントは、1996年、RTZとCRAが合併してできた会社であるが、2000年には鉄鉱石のノース、2007年にはカナダ・アルミニウム大手アルキャンを買収。リオ・ドセ(現ヴァーレ)は、2006年、ニッケルのインコを買収している。
2008年3月24日 FX検定 きょうの問題 世界のウラン生産
2006年の世界のウラン消費量は6.6万トンであった。需要量が供給量を上回り、需給がひっ迫している。2015年まで年間生産量は6万トンから6.5万トンで推移する予測であるが、年間消費量は9万トンに及ぶと推定されている。現在、世界の天然ウラン生産量は4万トン余りである。天然ウラン生産の世界1位はカナダ。第2位はオーストラリアであるが、第3位国はどこか。
正解 カザフスタン
解説
世界の天然ウラン生産の70%は10のウラン鉱山で採掘されている。最近は消費量が生産量を上回っているが、天然ウランの不足分は劣化ウランの再濃縮による疑似天然ウラン(EUP)、回収ウラン、軍事用高濃縮ウランの希釈による原子炉用燃料によって補ってきた。ウラン価格は6年で10倍に高騰している。2006年12月現在のウラン価格は、1ポンド(約0.45キロ)あたり72ドルで、ウラン国際価格史上最高値を更新した。これは2000年末の7.1ドルの約10倍の価格である。
ロシアの天然ウラン埋蔵量は17.5万トンで世界の4%である。量的にはたいした量ではないが、天然ウランの需給逼迫と高水準の濃縮ウラン技術で世界をリードする可能性が高い。ロシアは1993年、アメリカとの間で、核兵器解体による高濃縮ウラン利用協定を結んでいる。
2013年までの間、ロシアの解体核兵器から出てきた高濃縮ウランを低濃縮ウランに希釈して原発燃料としてアメリカ濃縮公社(USEC)に限定供給することになっている。この契約が切れると、ウラン価格が高騰している中で、ロシアはこの濃縮ウランを戦略物資として管理し、高価格で輸出することが可能になる。ロシアの遠心分離技術による濃縮ウランは低コストであるため国際競争力がある。
2007年9月、この技術を背景にロシアは、オーストラリアと核エネルギー利用協力で合意している。ロシアは年間4000トンのオーストラリア産ウランを輸入して、ロシア国内で濃縮し海外に販売する予定である。買い付け価格は10億ドル。各関連分野では、ロシアでは、「国家コーポレーション」という会社が管理している。ロシアはウラン燃料を外交カードの切り札として確保しつつある。
ドイツ、デンマーク、オランダなどでは再生可能エネルギーとして風力発電、太陽光発電、バイオマス利用などの促進を図っているが、これらのエネルギーは供給が不安定であることが欠点である。そこで電力供給の安定化を図るために電力の輸入を行っている。
主な供給国はフランスである。フランスは電力の80%以上を原子力発電で賄っている原発先進国である。フランスは周辺国の不安定な電力需給を原子力発電でカバーしているのである。日本のように電力の輸入が不可能な国は、水力などの自然エネルギーと再生可能エネルギーの開発、原子力エネルギーの安全で安定的かつ経済的な供給が必要であるが、政府・電力会社の安全性確保は国民の信任を得ているとは思えない。
さらに原子力発電のコスト低減の必要性は高く、安いエネルギー源確保が国際競争力の強化につながると考えられるが、原発は利権争いの具に成り下がっている。中東原油依存からの脱却が急務のはずであるが、国益を追求する政治家はいない。
ウラン生産国ランキング 2006年
第1位 カナダ 26%
第2位 オーストラリア 20%
第3位 カザフスタン 14%
第5位 ニジェール 9%
第5位 ロシア
代表的ウラン鉱山
コンゴ民主共和国 シンコロブエ鉱山
ニジェール アクータ鉱山
オーストラリア オリンピック・ダム鉱山 ナバレク鉱山 レンジャー鉱山 ビバリー鉱山
カナダ アサバスカ堆積盆地
カザフスタン ハラサン鉱山
オーストラリア
レンジャー鉱山、Jabiluka鉱山は、Energy Resources of Australia Ltd.(ERA)社により運営され、収益の約68%をRio Tinto社が、約10%を日豪ウラン資源開発(株)が保有している。
オリンピック・ダム鉱山は豪州の代表的な鉱山会社であるWestern Mining Corp.(WMC)が所有し、1988年より生産している。
ビバリー鉱山は1990年に米国のGeneral Atomics社の子会社であるHeathgate Resources社が保有している。
オーストラリアは、3鉱山政策により上記3鉱山以外の鉱山開発を留保していたが、近年のウラン価格高騰、供給不足から、第4の鉱山としてカナダのSouthern Cross Resources社が保有するHoneymoon鉱山の開発を認可した。2008年操業開始。
カザフスタンの国営企業カザトムプロムが新規開発するウラン鉱山に対し、日本の電力会社(東京、中部、東北、九州)と東芝、丸紅の六法人は、カザトムプロム社やカナダのウラン鉱山開発会社と協力してカザフスタンのウラン鉱山(ハラサン鉱山)の新規開発・生産・ウラン販売をするプロジェクトに参画、カザトムプロム社の関係会社の株式を取得している。
3社が出資するプロジェクトは、カザトムプロム社が出資するキズルクム社(Kyzylkum LLP)とバイケン‐U社(Baiken-U LLP)が南カザフスタンのハラサン鉱山(キズルクム社が鉱区1およびバイケン‐U社が鉱区2)を新規に開発するものである。日本側3社が取得したカザトムプロム社の関係会社は、キズルクム社およびバイケン‐U社を間接的に保有している。2007年からウラン試験生産を開始し、2014年以降年間5000トンのウランを生産する予定で、そのうち2000トン分について日本側株主が引取り権を有している。40年間は産出が可能という。
2007年7月、東芝は原子力発電プラント大手米ウェスチングハウス(Westinghouse)株77%のうち10%を、カザフスタンの国営企業カザトムプロム(Kazatomprom)に約4億8630ドル(約600億円)で譲渡している。
ウラン埋蔵国ランキング
第1位 オーストラリア
第2位 カザフスタン
第3位 カナダ
第3位 南アフリカ
第4位 アメリカ
ウラン生産企業ランキング
第1位 Camecoカメコ(カナダ)21%
第2位 リオ・ティント(豪英)18%
第3位 Areva NC アレバ(フランス)13%
第4位 カザトムプロム(カザフスタン)9% カザフスタン国営会社
第5位 TVEL(ロシア)8%
上位5社で70%を占める。
2008年3月21日 FX検定 きょうの問題 デンマークの失業対策
2005年、デンマークは雇用対策として労働対策と失業給付とを合わせてGDPの4.6%を支出した。1993年の失業率は10%以上あったが現在では3%未満になり、1年以上の長期失業者は0.8%にまで落ち着いている。デンマークの柔軟性と保障・安定性を兼ね備えた雇用政策を何と呼ぶか。
正解 フレキシキュリティ(Flexicurity)
解説
柔軟性Flexibility 保障・安定性Securityからの造語
デンマークの労働政策が注目を集めている。労働政策上、柔軟な雇用と安定した雇用は二律背反になると考えられてきたが、デンマークはこの両立を目指している。OECDのなかでデンマークは解雇が容易な国に分類される。しかし、就業支援など積極的労働市場支援は手厚く、失業給付の水準も高い。
有体に言うと、企業は容易に解雇ができるが、労働者は失業しても高水準の失業手当が受けられ、再就職のための就業支援が完備しているということである。デンマークでは、労働者の11%が毎年失業し、20%が自発的に離職している。つまり毎年労働者の30%が離職しているのである。それでも失業率は3%、長期失業率は0.8%に留まっているのである。
スウェーデンでは労働組合の組織率が高く、労働交渉力も強いのに対し、デンマークでは解雇が容易である。デンマークでは失業補償額が失業前の80%であるため求職活動に熱心でないとの批判もある。この批判に応えて失業給付を短縮した。それでも給付期間は4年である。スウェーデンでは、低所得者層を対象に失業給付水準を当初は80%、40週以降は70%、60週以降は65%と低減させるように変更した。
デンマーク、スウェーデンなど北欧諸国では、解雇された労働者に対する失業保険は、失業前の賃金の60%程度を受け取れる。イギリスは26%、アメリカは33%、日本は45%~80%であるが上限は日額7,000円である。北欧各国は税引き前で、スウェーデン70%、ノルウェー72%、フィンランド73%、デンマーク78%である。いずれの国の政策も高水準の手当てがあり、日本とは雲泥の差である。国民負担率40%の日本、国民負担率70%の北欧各国との差は国民の幸せ度にも出ている。高福祉国家スウェーデンの社会保障支出はGDP比で32%にも及ぶ。
また、就業者の割合は福祉・地域サービス・個人サービスの部門で40%弱にも及ぶ。日本では22%程度である。スウェーデンの社会保障支出GDP比32%は、日本に当てはめると163兆円になる。現状の113兆円との乖離が不足している幸福分である。スウェーデン最大の産業部門は福祉産業なのである。福祉産業は内需と国民の幸福感を維持する内需産業なのである。輸入品の支払いができるるだけの外貨獲得ができるならば、それ以上の外貨獲得よりも国民の幸福感を高める内需に向けるべきであるが、「道路建設」か「福祉」か、どちらが国民の幸せ、国益に准ずるのかは明らかである。
OECDによれば、積極的労働市場政策支出の対GDP比が最も高いのはデンマークの4.5%、オランダ、ドイツ、フィンランドが3%台でフランス、スウェーデンが2%台後半である。これに対し、イギリス、日本、アメリカは0.7%程度と低水準である。新自由主義を採る国の政策が数値的対比を成しているが、日本はこれでいいのだろうか?
2008年3月17日 FX検定 きょうの問題 石油天然ガス企業
2008年3月14日 原油価格が110ドルを超えた。2006年のデータによると原油・天然ガスを合わせた生産で世界第1位の企業はアラムコ(サウジアラビア)であったが、世界第2位の企業はどこか?
正解 ガスプロム(ロシア)
解説
原油・天然ガス生産量・企業ランキング(シェア)
第1位 アラムコ(サウジアラビア) 8.3%
第2位 ガスプロム(ロシア) 7.4%
第3位 NIOC(イラン) 4.2%
第4位 Pemex(メキシコ) 3.3%
第5位 エクソンモービル(アメリカ)3.3%
第6位 BP(イギリス) 3.1%
第7位 シェル(オランダ・イギリス)3.0%
第8位 PDV(ベネズエラ) 2.5%
第9位 Sonatrach(アルジェリア) 2.4%
第10位 ペトロチャイナ(中国) 2.0%
Energy Intelligence社 PIW Ranks The World's Top Oil Companies 2006
原油・天然ガス埋蔵量・企業ランキング(シェア)
第1位 NIOC(イラン) 13.1%
第2位 アラムコ(サウジアラビア) 13.0%
第3位 ガスプロム(ロシア) 9.3%
第4位 INOC(イラク) 5.8%
第5位 QP(カタール) 5.5%
第6位 KPC(クウェート) 4.4%
第7位 ADNOC(UAE) 4.2%
第8位 NNPC(ナイジェリア) 1.7%
第9位 Sonatrach(アルジェリア) 1.6%
第14位 エクソンモービル(アメリカ) 1.0%
Energy Intelligence社 PIW Ranks The World's Top Oil Companies 2006
現在の生産量と埋蔵量を比較すると、今後の利権争いの中心がどこにあるか理解できる。
中国の中東、アフリカ、中米への進出はこのような背景がある。
アラムコの原油生産量は日量で980万バレル、天然ガスを原油換算して合計すると1100万バレルになる。
1バレル当たりの原油価格が100ドルとすると1日当たりの売り上げは11億ドルになる。2008年に入って原油価格は20ドル以上の上昇を見ているが、この価格上昇だけでアラムコの売り上げは2億ドル、200億円の増収になる。これは年換算で4000億ドル、40兆円の売り上げ、20ドルの価格上昇は730億ドル、7兆3000億円の増収に当たる。アラムコは国営企業であるから収入の多くが政府系ファンドを通して国内投資、海外投資に振り向けられることになる可能性が非常に高い。
2006年の日本の原油・天然ガス輸入量は、657.5万バレル/日である。
2008年3月10日 FX検定 きょうの問題 ウォーレンバーグ財団
スウェーデン最大の財閥であるウォーレンバーグ家の財団が最大株主となる事業持株会社はどこか。
正解 インベスター
解説
スウェーデンのウォーレンバーグ家はヨーロッパ有数の同一家系を維持する財閥である。ウォーレンバーグ家は一族の財産を財団管理することで富の集積を図り、遺産相続などによる富の散逸・分散を防いでいる。その財団こそウォーレンバーグ財団である。ウォーレンバーグ財団は事業持株会社であるインベスター社の22%の株式保有、47%の議決権割合を保有している。
ストックホルムに本社を置くインベスター社の社員数は120人でしかない。しかし保有する純資産は、2007年9月末現在で1746億クローナ(17円換算で約3兆円)に及び、投資資金はすべて自己資金で、支配権の及ぶ傘下企業の売上高は14兆円を超える。
ウォーレンバーグ財団はインベスター社を通して多くの企業を傘下に持つ。以下は傘下企業に対する株式保有率、議決権割合、売上高(億円)、営業利益(億円)である。
SEB銀行 17.9% 18.2% 6,979億円 2,652億円
エリクソン 5.0% 19.4% 3兆226億円 6,086億円
アトラスコプコ 15.0% 21.1% 8,587億円 1,564億円
ABB 7.6% 7.6% 2兆7,585億円 9,284億円
アストラゼネカ 3.4% 3.4% 2兆9,916億円 9,284億円
スカニア 11.0% 20.0% 1兆2,025億円 1,488億円
エレクトラックス 11.1% 27.6% 1兆7,654億円 777億円
サーブ 19.8% 38.0% 3,580億円 296億円
ハスクバーナ 11.1% 29.2% 4,998億円 530億円
OMX証券取引所 10.7% 10.7% 613億円 205億円
OMX傘下の取引所
ストックホルム証券取引所:スウェーデン
ヘルシンキ証券取引所:フィンランド
コペンハーゲン証券取引所:デンマーク
ビリニュス証券取引所:リトアニア
リガ証券取引所:ラトビア
タリン証券取引所:エストニア
ロンドン証券取引所
インベスターの歴史は150年を超える。1856年ストックホルムに設立されたSEB銀行が国内企業に投資したことに始まる。A.O.ウォーレンバーグ氏によって設立されたこの銀行は1916年に銀行と持株会社とを分離しているが、設立以来ウォーレンバーグ家が支配している。現在は、同家が設立したウォーレンバーグ財団がインベスター社議決権の47%を保有している。現会長はジェイコブ・ウォーレンバーグ氏で、5代目の当主である。ウォーレンバーグ家もまたロスチャイルド家と関係の深いユダヤ人家系である。
インベスター社の投資先としては、上記上場企業以外にも、携帯電話会社の「3スカンジナビア」、ストックホルム市内の高級ホテル「グランドホテル」など6社に投資し、さらにベンチャー企業10社に投資している。インベスター社は単なる長期保有会社ではなく、各社に対しボードメンバーを派遣し、各社を担当するアナリストは経営戦略の策定にも関与する。資本増強、不採算部門の売却なども積極的に行う。かつてはボルボ、スカンジナビア航空の筆頭株主でもあった。東京にも事務所を持ち、ITベンチャーなどに投資している。
スウェーデンの人口は908万人、大阪府881万人に匹敵する。GDPは43.7兆円、九州全域の47.6兆円に匹敵する経済規模である。
ウォーレンバーグ財団の傘下企業の売上総額は14兆円超であることはすでに述べたが、スウェーデンのGDPが43.7兆円であることを考えるとスウェーデンにおけるウォーレンバーグ財団の位置付けが自ずとわかるだろう。
スウェーデンにはウォーレンバーグ以外にも世界最大の家具製造販売会社「IKEA」があり、創業者のイングヴァル・カンプラードは世界屈指の資産家である。イケアには製造部門の子会社であるスウェドウッド(Swedwood)、サービス部門を統括するイケアサービス、デザインや商品企画などを担当するイケア・オブ・スウェーデン他、各国の販売チャンネルなど多くの子会社を抱え、「イケアグループ」と呼称されている。売上高154億ドル(2005)。雇用者数9万人。イケア・グループもまたグループを統括する事業持株会社「インカ・ホールディング」をスティヒティング・インカ財団が保有する支配形態をとっている。
この他、世界展開するファッションブランドであるWESC (WE are the Superlative Conspiracy)がスウェーデンの企業である。ファッション業界ではH&M(H&M Hennes & Mauritz AB)がある。世界22カ国で展開する衣料品チェーンで1900店舗を展開している。雇用者数5万人。売上高613億SEK、86億ドル。2007年にはアジアの旗艦店として香港店を開業している。
2008年3月7日 FX検定 きょうの問題 SWF 政府系ファンド
2008年のダボス会議で最も話題になったことに政府系ファンドがある。国家ファンドと呼ばれることもあるこのファンドは通称SWFと呼ばれることがある。SWFとは何の略か。
正解 Sovereign wealth funds 政府系ファンド、国富ファンドなどと訳される 国家ファンドともいう
解説
政府系ファンドの規制が先進各国で話題になっている。2008年のダボス会議において、リーマン・ブラザース会長兼CEOのリチャード・ファルド氏は、「政府系ファンド(SWF)の運用資産総額は現在3兆ドル規模で、それが今後5年内に20兆ドルに膨らむ可能性がある」と発言している。年金基金は60兆ドルの規模があるが政府系ファンド(SWF)の存在は侮れない規模になってきている。2007年末現在の政府系ファンドの運用規模は2.5兆ドルと推定され、3分の2がオイルマネーを背景とした中東マネーといわれている。モルガンスタンレーの推計では、世界のSWFは今後10年間に17.5兆ドルに達するとしている。また米証券取引委員会(SEC)では、世界のSWFは毎年5000億ドルずつ増え続け、2015年には総額約12兆ドルに達すると推計している。現在のヘッジファンドの運用規模が1.5兆ドルから2兆ドルと推計されているから政府系ファンドのインパクトの大きさが推し量れる。
日本でも政府系ファンド設立の検討に入っているが、原資は100兆円に及ぶ外為国債発行で調達した資金で購入した外貨準備金である。また外貨準備金8000億ドルの運用も検討されている。
日本の場合、リスクに対する考え方が情緒的であるため、与党の一部、野党、国民の理解が得られる可能性は低い。年金にせよ、道路財源にせよ、政府に大きな資金を任せるのは不安を感じるが、不作為もリスク管理なしと同じ行為であることに注意したい。
●クウェート
○クウェート投資庁(KIA) 運用資産700億ドル
旧ダイムラー・クライスラーに6.9%出資 中国工商銀行の株式7.2億ドル出資 トルコ・ハルク銀行の株式取得 シティ・グループに対し30億ドル出資 メリルリンチに対し、みずほコーポレート銀行、韓国投資公社と共同で優先株に総額66億ドルの出資(年9%優先配当)KIA出資分は20億ドル さらに40億ドルの追加投資検討
●アブダビ
○アブダビ投資庁(ADIA)運用規模8750億ドル、シティ・グループに75億ドル出資(5%) 日本へは400億ドル投資予定 スイスの金融機関UBSの資産運用部門と折半で合弁会社を設立2008年6月までに5億ドルのファンド設立
○ムバダラ開発会社(Mubadala Development Company)フェラーリの株式5%、オランダ自動車リース大手LeasePlanの株式25%、カーライル・グループの株式7.5%とカーライルが運用する投資ファンドに5億ドル投資、その他、発電、アルミ精錬、通信、医療、不動産などに幅広く投資。100-170億ドル 2002年10月設立
○アブダビ国際石油投資公社 2007年9月コスモ石油の株式20%取得
○アブダビ投資評議会 アブダビ投資庁と合わせて5000-10000億ドル 2006年6月設立
●ドバイ
○イスティスマール 2007年6月英国の華客客船「クイーン・エリザベス2世号」買収 2007年8月バーニーズ・ニューヨーク買収、ファースト・リレーリングと買収合戦の末獲得 不動産開発会社ナヒールと経営統合、海外不動産投資を目論む。
○ドバイ・インターナショナル・キャピタル(DIC)投資総額70億ドル⇒100-250億ドル
ソニー、トヨタの株式取得、今後3年間で日本、インド、中国での運用資産残高を計50億ドル(約5400億円)とする方針。欧州航空防衛最大手EADSの株式3.1%保有
○ドバイ国際金融センター 2007年5月ドイツ銀行に2.2%出資
○ドバイ・ワールド 米カジノ・MGMミラージュの株式9.5%取得 港湾管理会社ドバイ・ポート・ワールド
○ドバイ取引所 ドバイ金融取引所(DFM)、ドバイ国際金融取引所(DIFX)の持ち株会社 2007年9月ロンドン証券取引所の株式28%保有 2007年9月米ナスダック・ストック・マーケットの株式19.99%保有 ナスダックはDIFXの33%を保有
ドバイの石油資源埋蔵量は40億バーレルである。可採年数は8年余りしかない。ドバイの政府系ファンドの原資はすでに石油収入から脱却している。GDPにしめる石油収入もすでに5%に低下している。資金調達の大半は国際金融市場からの借入、株式発行となっている。
●カタール
○カタール投資庁(QIA) 2008年内に150億ドル(約1兆6000億円)を投じて欧米金融機関の株式を取得することを計画、すでにクレディ・スイス株取得 2007年9月ロンドン証券取引所の株式20%取得
○カタール・ディアル 2007年4月イギリス国防省からロンドン市内の兵舎を買収、再開発へ
○デルタ・ツー イギリス小売大手セインズベリー買収表明、セインズベリーは英スーパー・マーケット第3位
●韓国
○韓国投資公社(KIC) シンガポール政府投資公社(GIC)をモデルに2005年設立 運用額200億ドル、2015年までに2000億ドルに拡大予定 2008年メリルリンチに20億ドル出資 2008年2月ドバイ投資公社と共同で20億ドルのファンド設立表明
●シンガポール
○シンガポール政府投資公社(GIC)運用規模33兆円
シンガポールの政府系ファンドの「シンガポール政府投資公社」(GIC)の不動産部門であるGICリアル・エステートは、米大手証券のモルガン・スタンレーとスターウッド・キャピタルが共同保有していた東京・目黒の「ウェスティンホテル東京」を770億円で買収したと、2008年2月26日に発表した。GICは07年春にも、米不動産投資会社のコロニーキャピタルから福岡市の複合施設「ホークスタウン」を約1000億円で買収している。2007年12月UBSに対して110億フランの転換社債引き受け。
○テマセク・ホールディング 運用規模11兆円 シンガポール航空、DBS銀行、シンガポール・パワー、ワイルド・ライフ・シンガポール(動物園、ナイトサファリ運営)国内メディアのMedia Corp、地元有力紙 Straits Timesを発行するSingapore Press Corporationなどの筆頭株主 投資先としては、韓国ハナ銀行、中国銀行、スタンダード・チャータード銀行、インドネシア・ダナモン銀行、UBS、シン・コーポレーション(タイ)、キャピタランド不動産、日本への投資としては、三井生命、イーモバイル、オープン・ワイアレス・ネットワークなど
プロジェクト投資としては、マネジメントを含めた途上国投資として中国の蘇州、無錫、ベトナム、インドでの工業団地開発などの実績がある。
●サウジアラビア
○サウジアラビア通貨庁(SAMA)2007年60億ドルのSWF設立 現在1兆ドル規模のSWFを設立準備
○サウジアラビア基礎産業公社 2007年5月GEのプラスチック部門買収
○キングダム・ホテル・インベストメント アルワリード・ビン・タリード王子経営
●中国
○中国投資有限責任公司(CIC)運用額約2000億ドルのうち約3分の1を海外に振り向ける方針、モルガン・スタンレーに優先証券50億ドル出資、転換後の持ち株比率9.9%。日本へは100億ドルの投資を計画 国際石油開発帝国ホールディングスの株式保有の噂⇒尖閣諸島の問題と絡んで国際問題化の恐れもある。 アメリカ投資会社ブラックストーンに対し30億ドル(10%)投資したがサブプライム問題にかかわる損失でブラックストーン株は30%下落し多額の損失を出した。また、サブプライムローン問題に揺れる住宅ローン大手カントリーワイドを買収する計画も進めている。
中国の国家ファンドSWFの原資は貿易黒字で稼ぎ出した外貨準備金である。中国の外貨準備は2007年12月現在で1兆3500億ドルに及ぶ。
●ノルウェー
○ノルウェー政府年金基金 年金ファンドでは日本に次ぎ世界第2位の規模 2005年石油基金、年金基金が改組されて設立 年金基金の規模は総額1兆2千750億クローネ(1千6百億ユーロ) ノルウェーは国民一人当たりの年金基金は500万円ほどの規模であるが、日本は国民一人当たり500万円以上の借金がある。ノルウェー最大にして世界有数の石油会社スタトイルの最大株主がこのファンドである。
●ロシア
○ロシア安定化基金(国家福祉基金)320億ドル
○準備基金1250億ドル
●リビア
○リビア投資庁
●ブルネイ
○ブルネイ投資庁
国家ファンド規模ランキング
第1位 アブダビ通貨庁 8750億ドル
第2位 シンガポール(GIC+テマセク) 4300億ドル
第3位 サウジアラビア 3000億ドル
第4位 ノルウェー政府年金基金 3000億ドル
第5位 中国(CIC) 3000億ドル
第6位 クウェート投資庁 700億ドル
第7位 オーストリア(スーパーアニエーションファンド) 400億ドル
第8位 アラスカ州永久ファンド公社 350億ドル
第9位 ロシア(安定化基金) 320億ドル
現在、全世界で40ほどの国家ファンドSWFが存在すると言われている。
2008年3月3日 FX検定 きょうの問題 日本の国際競争力
日本の国際競争力の低下が目立っている。スイスの国際経営開発研究所(IMD)によれば、1996年の日本の国際競争力はアメリカ、シンガポール、香港についで世界第4位であったが、2007年の順位は何位になっているか。
正解 24位
解説
国際経営開発研究所(IMD)の国際競争力ランキング分析方法は、各国の経済状況、ビジネスでの条件整備、企業アンケートを基本にしているが、なかでも国家の財務状況を重視する傾向がある。同様の調査に、世界経済フォーラム(WEF)による調査もあるが、こちらの調査では、2007年の国際競争力ランキングは第8位となっている。
日本の国債・地方債を合わせた長期債務残高は2008年度末には778兆円に達すると見込まれている。この他にも短期債、政府保証債などを加えると1000兆円を超えるといわれている。
長期債務残高比率は対GDP比率で177%に達し、主要国では圧倒的に高い比率である。最悪といわれるイタリアですら100%超である。EU加盟のための長期債務比率は60%以内、年間GDPの3%以内との基準がある。日本の国債発行は2008年度予算案を見ると2007年度の国債発行額である25兆4320億円を下回る25兆3480億円となる公算が強まっており、国債発行額26兆円、日本のGDP510兆円として計算した場合、発行比率は5.1%となる。国債費が21兆円の見込みなので純発行比率は1%弱となる。
仮に日本がEUに加盟したいと言っても基準に達していないためユーロの発行はできない。
日本の新規国債発行は4年ぶりに増額となり、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化目標である2011年達成は困難視されている。財政再建、構造改革の後退は海外投資家の失望を買い、最近の東証株価の下落は、アメリカのサブプライムローン問題が引き金となって入るが他国以上に売られているのはこのような背景があるからと思われる。
2008年は、景気後退懸念だけではなく、原油価格、穀物価格、資源価格の高騰が消費財にも及び、物価の上昇が見込まれている。これまでの安定した物価が国債費の負担増を食い止めてきたが、今後は景気後退期での金利上昇もありうる状況となる。物価上昇を無視した低金利維持は実質所得の減少につながり、景気後退の原因ともなりうる。恐れていた「悪い金利上昇」が目前に見えてきている。
国際経営開発研究所(IMD)国際競争力ランキング
順位 1996年 2007年
第1位 アメリカ アメリカ
第2位 シンガポール シンガポール
第3位 香港 香港
第4位 日本 ルクセンブルク
第5位 デンマーク デンマーク
第6位 ノルウェー スイス
第7位 オランダ アイスランド
第8位 ルクセンブルク オランダ
第9位 スイス スウェーデン
第10位 ドイツ カナダ
第11位 ニュージーランドオーストリア
第12位 カナダ オーストラリア
第13位 チリ ノルウェー
第14位 スウェーデン アイルランド
第15位 フィンランド 中国
第16位 オーストリア ドイツ
第17位 ベルギー フィンランド
第18位 台湾 台湾
第19位 イ