2008年5月12日 FX検定 きょうの問題 インドの大学教育
インド人科学者の優秀さはよく知られているが、モトローラの母と呼ばれる現最高技術責任者パドマリス・ウォリア氏、インフォシス・テクノロジーズ創業者のナラヤン・ムルティ氏、UCLA工学部教授で無線インターネット・コンソーシアムの代表を務めるラジト・ガル氏などを輩出したインドの大学はどこか。
正解 IIT インド工科大学
解説
インド工科大学(IIT)は、インド初代首相ジャワーハルラール・ネルーが『国の発展は人材と技術にかかっている』と、イギリス、ドイツ、ソ連の援助を得て設立した国立大学である。現在は、デリー校、ムンバイ校(旧ボンベイ)、チェンナイ校(旧マドラス)、カラグプール校、カンプール校、グワハーティ校、ルールキー校の7つのキャンパスがある。インド全土の優秀な学生が集まり、4000人から5000人の入学定員に対し、毎年20万人から30万人が受験する超難関校である。学生数は、学部生が1万5500人、大学院生が1万2000人。
国際的評価も高く、毎年発表される大学ランキングでは工学系で常時上位にランクされ、2006年のランキングでは世界第3位であった。
The Times Higher Education Supplement
第1位 マサチューセッツ工科大学(MIT)
第2位 カリフォルニア大学バークレー校
第3位 インド工科大学(IIT)
第4位 ロンドン王立大学
第5位 スタンフォード大学
第6位 ケンブリッジ大学
第7位 東京大学
第8位 シンガポール国立大学
第9位 カリフォルニア工科大学
第10位 カーネギーメロン大学
インドでは、インド工科大学の成功を前例に、国立工科大学(National Institutes of Technology)、インド情報技術大学(Indian Institute of Information Technology)、インド経営大学院(Indian Institutes of Management)などの大学が新設されている。
インド工科大学は下記のような人材を輩出している。(現役職は2007年現在)
ナラヤン・ムルティ インフォシス・テクノロジーズ創業者
ロノ・デュッタ ユナイテッド航空元社長、サハラ航空元会長
ヒテンドラ・ゴーシュ ヒューズ・ネットワーク最高品質責任者
アルン・ネトラバリ ベル研究所元所長、HDTV、デジタル画像処理の基礎技術を発明、
ルーセントテクノロジーズ・主任サイエンティスト
ラジト・ガル UCLA工学部教授、無線インターネット・コンソーシアム代表
アジット・ジャイン バークシャー・ハザウェイ、ウォーレン・バフェットの頭脳
パドマリス・ウォリア モトローラ最高技術責任者
クリシュナ・バラト グーグル主任サイエンティスト、グーグル・ニュース開発者
ラジャット・グプタ アメリカ・インド協会会長、マッキンゼー&カンパニー元マネージング・ディレクター
ゴールドマン・サックス社外取締役
ビクター・メネゼス シティグループ元副会長
グルラージ・デシュパンデ シカモア・ネットワークス共同創業者
アルン・サリン ボーダフォン最高経営責任者
ウマンダ・グプタ キーノート・システムズ会長兼最高経営責任者、IBM時代にオラクルの事業計画立案
グプタ・コーポレーション上場
ラージ・メノン フラット・ワールド・デザイン経営、メノン・グループ経営
プリス・バネルジ ヒューレット・パッカード研究所所長、元イリノイ大学工学部学部長
ラグゥラム・ラジャン 国際通貨基金(IMF)元経済参事、シカゴ大学経営学部教授
スニール・コール シティバンク銀行日本社長
ラケシュ・ガングワール USエアウェイズ元会長兼最高経営責任者、
ワールドスパン会長兼最高経営責任者
ビノッド・コースラ サン・マイクロシステムズ共同創業者、ベンチャーキャピタル経営
カーネギーメロン大学工学部学部長
インド工科大学の卒業生の半数は海外へ出て就職、起業している。新興国の多くは、欧米の大学を卒業して、そのまま就職するケースが多く、一部が帰国して起業するケースが多いが、インドの場合、インド国内の大学を出て海外に出るケースが多い。これは国内に充実した教育機関が存在すること、公用語が英語であり、大学の授業が英語で行われていることなどが原因であるが、国内の優秀な学生を集めることができ、それぞれが出身地の期待を背負い、故郷に貢献しようという気持ちを維持し続けながら生活している点が大きい。
インドはフィリピン、ブラジルなどと並んで母国への送金が多い国である。家族、一族の中で優秀な人間が期待を担って大学へ行き、海外へ出ているようである。海外からの送金が国家経済の一部を担い、為替にも影響を与えるほどの規模でった。現在では、海外で成功した企業家や投資家が母国インドへ投資したり起業するケースが目立っている。
インド工科大学の卒業生の半分が海外に出ているが、カラグプール校の卒業者名簿からのデータでは、2007年時点での卒業生1万953人中、インド国内に残っている卒業生は53%である。38%がアメリカに在住している。その他では、イギリス、カナダ、シンガポール、オーストラリア、UAE、ドイツなどで、日本には僅か27人のみである。英語圏への進出が多い。
2008年5月9日 FX検定 きょうの問題 ヘネス・アンド・モーリッツ (Hennes & Mauritz) H&M
ヘネス・アンド・モーリッツ (Hennes & Mauritz) は、H&Mのブランド名で全世界28カ国に1500店舗を展開しているアパレルメーカーであるが、本社所在国はどこか。
正解 スウェーデン
解説
H&Mは、スウェーデンを本社を置くアパレルメーカー、ヘネス・アンド・モーリッツ (Hennes & Mauritz)が世界展開するファッション・ブランドである。創業は1947年である。スウェーデン中部の都市ヴェステロースで創業したが、創業時は婦人服を専門にしており、社名も「Hennes」であった。1968年にストックホルムの狩猟用品店「Mauritz Widforss」を買収し、紳士服も扱うようになった。買収後の店名は「Hennes & Mauritz」となった。その後「H&M」を略称な正式なブランド名としている。
H&Mは女性用ではコート、ワンピース、カットソー、ドレス、ブラウス、ボトムスを取り扱い、男性用ではジャケット、パーカー、セーター、シャツ、パンツを扱っている。H&Mでは商品が売り切れると再生産はせず、次から次へと新商品を投入する経営方法をとっている。H&Mでは、100名のデザイナー、60名のパタンナー、100名のバイヤーを擁している。
また化粧品への展開も進めている。自社工場は持たず、GAP、ユニクロ、良品計画、ファイブ・フォックス、ワールドなどと同様に自社企画、自社デザイン、自社販売、生産外部委託による業態であるSPA戦略をとる。SPAとは、Specialty Store Retailer of Private label Apparel。アジア、ヨーロッパの独立サプライヤー700社と生産委託契約を結び、世界各地20か所に生産管理事務所を持つ。
店舗展開はEU各国(キプロス、ラトビア除く)、スイス、ノルウェーなどヨーロッパで強く、ドイツでは、2004年にアメリカの同業大手GAPが撤退した店舗を全店舗買収して一気に販売網を拡大した。2000年には、ニューヨーク、、フィラデルフィア、ボストン、シカゴ、ワシントンD.C.、サンフランシスコなどのアメリカの主要都市に出店し、2004年にはカナダにも進出した。トロントのフェアビュー・モールへの出店を皮切りに、イートン・センターに旗艦店を出店し、トロント周辺エリアを含めた展開をしている。2006年ににはケッベクへ進出、2007年にはケベックでの2号店もオープンした。
2008年5月現在、カナダ全域で33店舗を展開するが、そのうちオンタリオ州に19店舗、ケベック州に11店舗、アルバータ州にも3店舗出店した。バンクーバーに出店したのは2007年8月である。今後バンクーバー地区には8店舗の出店を計画している。アジアでは、2006年にはドバイ、クウェートにFC店として出店し、2007年3月、アジアの旗艦店として香港に進出した。2007年4月上海店を出店。2007年中に4店が香港を含む中国に出店している。その他、エジプト、カタールにも出店した。
香港店出店の際には開店前から1000人以上の客が並び、国際ニュースにもなった。2008年秋には、香港と並ぶアジアの旗艦店として東京・原宿店、銀座店を出店する予定である。原宿店は明治通り沿いに、銀座店は東京ガスの子会社が建物を建設中で、1階から3階まで占有する1500平米の大型店舗である。銀座店、原宿店ともにライバルであるユニクロ、同業態のスペインのアパレル大手ZARAが近隣に出店している。
ヘネス・アンド・モーリッツは、2007年の売上は、92,123 million SEK(スウェーデン・クローネ、SEK=17.4円2008年5月)、日本円にして1兆6000億円余り、従業員数は68,000人(2008年)である。ユニクロの従業員数は1733人、店舗数748店、売上高5,252億円(2007年8月期)と比較すると企業規模の大きさが推定できるだろう。
2008年5月2日 FX検定 きょうの問題 世界の鉄鋼業
鉄鋼業界の世界的再編が続いているが、現在世界最大の粗鋼生産会社はどこか。
正解 アルセロール・ミッタル
解説
アルセロール・ミッタル (Arcelor Mittal) は、2006年にヨーロッパのアルセロールとインドのミッタル・スチールの経営統合によって誕生した世界最大の鉄鋼メーカーである。年間粗鋼生産量で世界シェアの約10%を占める。本社はルクセンブルクにある旧アルセロール本社に置かれている。
経営者(CEO)はインド人のラクシュミー・ニワース・ミッタル氏である。
フォーブス誌によれば、2006年のミタル氏の資産は約4兆円、世界第5位の資産家である。ミッタル家はアルセロール・ミッタル社の株式の43.6%を保有している。
世界の鉄鋼生産は、2000年までは、ほぼ7億トン台で推移していたが、2000年には8億トン台、2002年には9億トン台、2004年には10億トン台、2005年には11億トン台、2006年には12億トン台へと再度拡大基調へ転じている。
なかでも中国の生産増大は著しく中国国内需要の増大とともに急拡大している。また、インド、ブラジル、ロシア企業による再編が進んでいる。
上海証券報によると、2008年の中国の粗鋼生産は5億3000万トンと過去最高に達する見通し。中国の粗鋼生産は毎年10%以上の拡大を続けており、国内需要を超える生産が輸出に向き、貿易摩擦の原因となっている。
鉄鋼の国際価格が上昇している原因は、新興国の需要によるものが大きいが、特に高いのは中国の需要増大である。2006年の粗鋼生産を見ると中国の生産シェアは40%程度まで上昇している。
その結果、鉄鋼の原材料である鉄鉱石、石炭の価格も大幅に上昇している。2006年の鉄鉱石の需要に占める中国の割合は40%に達している。石炭は36%、製品である鉄鋼の需要シェアも30%に及ぶ。
2006年世界粗鋼生産企業ランキング
第1位 ミッタル・スチール(オランダ) 6,366万トン
第2位 アルセロール (ルクセンブルク)5,432万トン
第3位 新日本製鉄 3,370万トン
第4位 JFEスチール 3,202万トン
第5位 ポスコ (韓国) 3,120万トン
第6位 上海宝鋼集団 (中国) 2,253万トン
第7位 USスチール (アメリカ) 2,125万トン
第8位 Nucor (イギリス) 2,031万トン
第9位 唐山鉄鋼 (中国) 1,906万トン
第10位 Corusグループ (英・蘭) 1,830万トン
第11位 Riva (イタリア) 1,819万トン
第12位 Severstal (ロシア) 1,760万トン
第13位 Thyssen Krupp (ドイツ) 1,686万トン
第14位 Evraz (ロシア) 1,610万トン
第15位 Gerdau Group (ブラジル) 1,557万トン
第16位 鞍山鉄鋼 (中国) 1,500万トン
第17位 江蘇沙鋼 (中国) 1,463万トン
第18位 武漢鋼鉄 (中国) 1,376万トン
第19位 住友金属工業 1,358万トン
第20位 Sail (インド) 1,358万トン
第32位 現代製鉄 (韓国) 892万トン
第33位 Usiminas (ブラジル) 890万トン
第36位 神戸製鋼所 774万トン
第55位 Tata Steel (インド) 565万トン
第75位 CSN (ブラジル) 350万トン
*第1位のミッタルと第2位のアルセロールは2006年合併
*2007年、第10位のコーラスは、第55位のタタ製鉄傘下
*CNSはコーラスの買収合戦敗退
*第33位ウジミナスは実質新日鉄傘下に
*世界の鉄鋼メーカー上位127社中中国企業は55社である。
2008年4月28日 FX検定 きょうの問題 レアアース
レアアース
ベースメタル、レアメタルなど資源価格が高騰しているが、レアアースもまた価格高騰を続けている。レアアースの産出は非常に偏在しているが、世界のレアアースの90%を算出する地域はどこか。
正解 チベット
解説
レアアースとは、希土類元素(きどるいげんそ、Rare earth elements)のことで、原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までのランタノイドと21番のスカンジウムと39番のイットリウム(Y)を加えた計17種類の元素のことである。
レアアースは化学的性質が大変似ている。また産出もゼノタイムやイオン吸着鉱などの同じ鉱石中に混在し、単独で分離することが難しい。レアアース混合合金であるミッシュメタルとして使用されることが多い。物質としての存在量は決して少なくないが、地域的偏在、各元素の分離精製技術が確立されていないため、元素単体としてはレアな元素のままである。
世界需要の50%は日本が占めている。同時に世界産出量の90%はチベットである。中国全体で見れば95%のシェアを持つ。中国政府がチベットの弾圧を続ける理由のひとつは、このような戦略的地下資源がチベットに豊富に存在することである。
レアアースは、チベット以外では、インド、オーストラリア、ブラジルなどに偏在している。現在のところ、日本は風化花崗岩を中国から輸入して精製加工しているが、最近の研究で日本国内のマンガン鉱床に花崗岩を上回る割合で希土類元素が含有されている事が判明したため、採掘が実現すると世界有数のレアアース資源国になる可能性を秘めている。
また、環境対策用に設置された火力発電用集塵装置などで集められた塵灰中にレアアースが含まれていることも判明している。早期の利用展開が求められる。
さらに、日本近海の大陸棚海底のマンガン団塊やコバルトクラスト、熱水鉱床等の海洋資源も供給源として期待されている。
それでも、ジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)の中重希土類は、これらを多く含むイオン吸着鉱が中国でしか産出しないため、安定供給に不安を残す。中土類の産生が期待されるカナダのThor Lake鉱山の稼動開始が2010-2011年であり、中国に依存する体制が続く。
各レアアースの用途
磁石
ネオジム(Nd) サマリウム(Sm) ジスプロシウム(Dy)
光磁気ディスク
テルビウム(Tb) ジスプロシウム(Dy)
蛍光体
イットリウム(Y) セリウム(Ce)
ユウロピオム(Eu) テルビウム(Tb)
レーザー
イットリウム(Y) ホルミウム(Ho) イッテルビウム(Yb)
光ファイバ増幅器
エルビウム(Er) ツリウム(Tm)
コンデンサ
イットリウム(Y) ランタン(La) ネオジム(Nd)
水素吸蔵合金
ランタン(La)
ネオジウム(ネオジム)
日本は、ネオジウム磁石に代表されるような高磁力磁石の生産で世界を圧倒的にリードしている。ネオジウム磁石は、1984年に住友特殊金属(現NEOMAX)で開発された技術であるが、現在は日立金属が住友特殊金属を吸収して最大の生産者になっている。また、インターメタリックは耐熱性を強化した新ネオジウム磁石を開発しており、三菱商事が資本参加している。従来のネオジウム磁石は熱に弱く、熱によって磁力を失う欠点があった。
ネオジウム磁石の用途は先端技術と直結している。ハイブリッド自動車用モーター、電気自動車用モーター、省エネルギー型エアコン、MRI(磁気共鳴画像装置)、パソコンのハードディスクドライブ、携帯電話、風力発電システムのエネルギー効率の向上など将来性の高い分野に多く用いられている。
この先端技術を支える素材物質の大半が中国からの輸入となっているのである。
ジスプロシウム
中性子吸収断面積が大きいので原子炉の制御用材料として利用される。光磁気ディスク(光メモリ)の材料や磁石、蓄光剤の添加剤としても利用される。
ネオジウム磁性体の欠点を補う添加剤としても注目されてきた。ジスプロシウムを添加することで保磁力が高まる。
イットリウム
イットリウムは、コバルト、鉄との合金で永久磁石として使われる。また、イットリウム-アルミニウム-ガーネット(YAG)による複合酸化物のガーネット構造の結晶は、赤色レーザー発振に使われる。
セラミックにイットリウムを混ぜると耐久性が増すことがわかっており、高温時の無酸素状態において炭素の無酸素奪取力に耐えうる特性を持つなど特殊な性質を保有する。この性質により、ウラン酸化物の還元、レア・アース合金磁石の製造、チタン合金の溶解用ルツボ、保護管・絶縁管および精密鋳造用などに利用される。
イットリウムを含む銅酸化物高温超伝導体は、液体窒素温度(およそ77 K)より高い転移温度を持つ超伝導物質である。これは、イットリウム系超伝導体と呼ばれ、高温超伝導体のひとつである。
イットリウムを含む酸化物はカラーテレビの赤色蛍光体として利用されている。
セリウム
セリウムは、酸化物が研磨剤として使われる。また、ガラス添加剤、製鋼原料、触媒としも使われる。
ガラス研磨剤として鉱物酸化剤が使われており、光学ガラス研磨剤として必要不可欠である。セリウム酸化物は、硬度が高いだけでなく、セリウムやフッ素がガラスと化学反応を起こし、化学機械研磨という研磨法が可能となるため、液晶パネルや水晶・石英などケイ酸系の宝石研磨に利用される。また、電子部品の研磨剤として、他の希土類を抽出除去した高純度酸化セリウムがフォトマスク、ハードディスクなどのガラス基板、多層化集積回路の層間絶縁膜平滑化に用いられている。
酸化セリウムは屈折率が大きく紫外線をよく吸収・遮蔽するため、紫外線吸着剤として使用される。UVカットガラス、日焼け止めなどの化粧品に使われる。
セリウムは、青い蛍光を発することからブラウン管の発光体として利用されてきた。イットリウム-アルミニウム-ガーネット(YAG)にセリウムを添加した黄色蛍光体を青色発光ダイオードの補色とすることで、白色LED灯が初めて商品化された。また、蓄光材料としても用いられる。
酸化セリウムは黄色系顔料の成分として使用される。ガラスに添加して淡い黄色に発色させる着色剤としての用途もある。
セリウムを含むミッシュメタルは、従来からフェロセリウムが発火合金(ライターの石)として広く用いられた。ニッケル・水素蓄電池の負極(水素吸蔵合金)としても利用されている。
溶接用電極棒の交流アーク用に、セリウム入りステンレス鋼が使われている。また、セレンを含む金属間化合物が磁性体として利用されている。フェロセリウムは、鉄鋼添加剤としてステンレス鋼に使われる。強い酸化作用で硫黄や酸素原子による還元作用を抑制する機能を持つ。合金添加剤としては、腐食防止用インヒビターとして、航空機用・高強度アルミニウム合金に添加されるほか、マグネシウム合金にも3~4%添加される。セリウムは、酸化物の酸素貯蔵能が高いことから、自動車排ガス用三元触媒に、助触媒として添加されている。このような性質から、抵抗型気中酸素濃度センサーとして排ガス中の酸素濃度を測定し、エンジンの燃焼効率改善のため空燃比制御にも使用される。
医薬品としては、シュウ酸セリウムが、鎮静・鎮吐作用を持つとして医薬品に使用される。また、抗血液凝固作用があり、血栓防止などに有用とする研究がある。有機セリウム求核試薬やヒ素吸着剤にも利用される。
超伝導物質、強磁性体物質としても注目されている。
セリウムは約90%をチベット自治区で産出され、磁鉄鉱副産物の複雑鉱石から精製される。
ランタン
ランタンは、、セラミックコンデンサや、光学レンズの材料に使われるが、近年、注目を浴びているのは水素吸蔵合金の材料としてである。水素を燃料としてすようする場合、その貯蔵に難点があったが、気体水素貯蔵、ヒートポンプ、高効率電池などの観点から水素吸蔵合金の開発は進められている。ランタンは、マグネシウム基合金やバナジウム基合金などの水素吸蔵合金の添加元素として使用されている。また、高温超伝導体としてランタンを含む銅酸化物セラミックスがある。
2008年4月25日 FX検定 きょうの問題 レアメタル
資源価格が高騰している。産業のビタミンといわれるレアメタルも同様に高騰している。日本が国家として備蓄しているレアメタル7元素は、ニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、バナジウムであるが、これらに追加して備蓄を検討している金属を挙げよ。
正解 インジウム、リチウム
解説
日本が国家備蓄をしているレアメタルはニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、バナジウムの7元素がある。1983年改正の「金属鉱業事業団法」によって経済安全保障の理由から供給停止等の障害に備えて平常時の消費量を基準にして、国家備蓄の42日分と民間備蓄の18日分の合計60日分の国内備蓄が石油天然ガス・金属鉱物資源機構によって行われている。
レアメタルの産出は、世界的に産出地域が非常に偏っている。そのためレアメタル産出国の治安情勢、レアメタル産出国の国家戦略によって資源の安定的供給の確保が難しい情勢が生まれる可能性がある。また、価格の変動が激しく安定的な供給システムが必要不可欠である。
2007年、経済産業省はこれらのレアメタルのうち、インジウム、ジスプロシウム、タングステンの3元素について、代替材料を産官共同で開発する計画「希少金属代替材料開発プロジェクト」を発足させた。同様に文部科学省も2007年から「元素戦略プロジェクト」を行なっている。こんなところにも国家戦略を一元化できない日本の弱みが露呈している。
レアメタルの生産は、銅、亜鉛、鉛、アルミニウム、リチウム、モリブデンなどのベースメタルを生産する過程で副次的に生産されるものが多い。ところが日本では、採算性の悪化から国内でベースメタルの産出を行うことは少なくなってきた。例えば、インジウムの生産は日本の豊羽鉱山が世界第1位であった。北海道の豊羽鉱山(とよはこうざん)では、銀、亜鉛、鉛を採掘していたが、副産物としてインジウムが生産されていたためである。ところが、2006年3月、豊羽鉱山の閉山により世界最大のインジウム産出鉱山が突然無くなってしまった。
副産物として産出されるレアメタルとベースメタルの関係は以下のようになる。
ベースメタル⇒レアメタル
銅⇒コバルト、セレン、テルル、タリウム
亜鉛⇒ゲルマニウム、インジウム、タリウム、ビスマス
鉛⇒アンチモン
アルミニウム⇒ガリウム
モリブデン⇒レニウム
日本には黒鉱ベルト(グリーン・タフ)と呼ばれる鉱床ベルトが存在する。伊豆半島から静岡-糸魚川構造線に沿って、さらに新潟から東北地方の日本海側、北海道西部に抜ける地域である。この地帯には、かつて様々な鉱山が存在していたが、その多くは採算性の悪化によりほとんどが閉山している。金鉱山だけとっても下記のようにたくさんの金鉱山がこの黒鉱ベルトに存在していたことがわかる。
黒鉱ベルト内には、金鉱山として、伊豆半島には土肥金山、清越金山、蓮台寺金山、縄地金山、伊豆天城鉱山、天正金鉱、大仁金山、伊豆猪戸金山、静岡富士川沿いには、梅ヶ島の安部金山、日陰沢金山、富士宮の富士金山、静岡市井川の笹山金山、奥三河の津具金山、山梨には大月の金山金山、北杜の金山金山、身延の川尻金山、下部町の湯之奥金山、塩山の黒川金山、午王院平金山、竜喰金山、黄金沢金山、早川の黒桂金山、保金山、雨畑金山、黒桂山金山、韮崎の御座石金山、金沢金山、長野県には茅野の金沢金山、新潟県には青海町の橋立金山、北海道には鴻之舞鉱山などが存在していた。
黒鉱ベルトには金山以外にも多くの鉱山が存在していた。秋田県には主だった鉱山だけで、小坂鉱山(鉛、亜鉛、銅、銀、金)尾去沢鉱山(銅、金、銀、亜鉛、鉛、硫化鉄)荒川鉱山(銅、鉛、亜鉛、硫化鉄)、花岡鉱山(銅、鉛、亜鉛、重昌石、金、銀)、院内銀山(銀、金、亜鉛、鉛)、餌釣鉱山(銅、鉛、亜鉛)、吉之鉱山(銅、亜鉛、鉛)、釈迦内鉱山(銅、亜鉛、鉛)、深沢鉱山(銅、亜鉛、鉛)、松峰鉱山(銅、亜鉛、鉛)などがあるが、この他にも数十に及ぶ鉱山が存在していた。
上述したように、銅、亜鉛、鉛が産出する場合は、副産物として多くのレアメタルが抽出される。レアメタルの価格は直近の数年で5倍から10倍くらい上昇している。金銀価格についても同様である。このまま金属価格が上昇し、高止まりした場合、これらの閉山鉱山の多くが採算レベルに乗ってくる可能性もある。すでに伊豆の金山では再採掘の試掘も始まっているようである。
かつて日本は世界有数の金属輸出国であった。江戸時代、明治時代には、金、銀、銅などが日本の輸出を支えていた時代もあったのだ。メタンハイドレートのようなエネルギー資源を含めて、資源価格が高騰すると日本は資源国家として復活する可能性を秘めているのかもしれない。これを推進する人材資源は枯渇しそうであるが・・・・。
レアメタルの産出国とシェア
ニオブ ブラジル97.7%
タンタル オーストラリア93.0%
プラチナ 南アフリカ88.7%
リチウム チリ73.2%
タングステン 中国62.1%
マンガン ウクライナ46.7%
アンチモン 中国43.9%
バナジウム ロシア38.5%
モリブデン 中国38.4%
クロム カザフスタン35.8%
ニッケル オーストラリア35.5%
ボロン トルコ35.3%
レアメタルの用途
ニオブ
鉄鋼添加剤:自動車や石油パイプライン用の高張力鋼、
高耐蝕性ステンレス鋼、タービン用耐熱超合金
タンタル
コンデンサー(パソコン、携帯電話)、歯科インプラント接合剤
プラチナ
自動車用排ガス浄化触媒、点火プラグ、排気センサー、
燃料電池触媒、磁性体材料、抗がん剤原料
リチウム
軽量合金、還元剤、結晶化耐熱ガラス、潤滑剤、
抗鬱剤原料、リチウム電池負極
タングステン
反物質生成実験用ターゲット素材、ドリルなどの高速度鋼、
超硬合金、X線遮蔽用の金属、装弾筒付翼安定徹甲弾の弾芯、
真空蒸着による薄膜形成用素材、TIG溶接の非消耗電極素材
プラズマアーク溶接・プラズマ切断の電極材料
マンガン
乾電池陽極、耐磨耗性・耐食性・靭性鋼鉄添加素材
アンチモン
鉛蓄電池電極材料、ハンダ合金材料
バビットメタルなどの軸受合金、半導体材料への添加物
ポリエステルを製造する際の触媒、ゴム、プラスチックの顔料
繊維、プラスチック、紙を難燃性にするための添加物の原料
バナジウム
製鋼添加剤:バナジウム鋼(高張力鋼、非調質鋼、工具鋼、耐熱鋼)
アルミニウム合金素材、チタン合金素材、超伝導体
触媒;硫酸製造用触媒、酸化触媒
排ガス処理:脱硝用複合材・触媒
顔料、塗料、セラミックス釉薬、
電子素子:酸化物半導体
レドックスフロ-電池:電力貯蔵用大型電池
蛍光体:小型表示素子
化学気相蒸着法(CVD)用材料
モリブデン
ステンレス鋼の添加元素、工業用の潤滑油、エンジンオイルの添加剤
モリブデン銅合金(ハイブリッドカー、ロケットの電子基板)
金属モリブデン:電子管の陽極、液晶パネル製造ライン
クロム
ステンレス鋼、メッキ素材
ニッケル
ステンレス鋼、硬貨
軟磁性材料:変圧器の鉄心、磁気ヘッド
ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池の正極
不飽和炭素結合に対する水素付加の不均一系触媒
ボロン
ガラスの原料、防腐剤、金属の還元剤、溶接溶剤や研磨剤、火の抑制剤
ホウ酸:目の洗浄剤、うがい薬や鼻スプレーなど口腔衛生のための医薬品
ゴキブリ駆除剤、スピーカーの高・中音域ユニット振動板
半導体素材、原子炉内において中性子の吸収のため制御棒
加圧水型原子炉の余剰反応度制御、放射性物質運搬容器
複雑な化合物の前駆体として利用
インジウム
液晶・プラズマなどフラットパネルディスプレイの電極(透明導電膜)
半導体添加素材、ハンダ材料
酸化インジウム錫は、導電性があるのに透明であることから液晶やプラズマといったフラットパネルディスプレイの電極(透明導電膜)に使われている。また、シリコン、ゲルマニウムに添加してP型半導体を形成する。
インジウムを産出している世界最大の鉱山は札幌市の豊羽鉱山であったが、採算の悪化や資源枯渇を理由に2006年3月31日をもって採掘を停止した。豊羽鉱山の産出品目は銀、亜鉛、鉛などであるが、インジウムは副産物として産出されていた。豊羽鉱山は新日鉄グループが開発していたが、鉱床深部の地熱温度の上昇による採掘可能な鉱石の鉱量枯渇のため2006年3月31日をもって閉山した。鉱脈は深部まで存在する事が確認されているが、発破に使用するダイナマイトが岩盤の高温に耐えられず、現在の採掘技術では事業継続が不可能である。豊羽鉱山はインジウムの産出が世界一の鉱山であっただけに非常に残念である。
インジウムは現在、液晶ディスプレーや発光ダイオードなどのハイテク製品の原材料として広く用いられているが、一方で産出量は限られており、需要の逼迫・資源枯渇の危険性が問題となっている。2003年から3年間で価格は5倍に上昇した。
レアアース
希土類元素原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までのランタノイド
21番のスカンジウムと39番のイットリウム(Y)を加えた計17種類の元素
水素吸蔵合金、二次電池原料、光学ガラス、強力な永久磁石、蛍光体、研磨材などの材料
チベットは世界のレアアース生産の90%を占めている。
2008年4月18日 FX検定 きょうの問題 世界の航空機産業 三菱重工MRJ
三菱重工が小型旅客機製造の事業化に踏み出した。世界の旅客機製造はヨーロッパのエアバス社、アメリカのボーイング社によってリードされているが、中型機、小型機はこの2社に続いてカナダのボンバルディア社が続いている。では、世界第4位の旅客航空機製造会社はどこか。
正解 エンブラエル社
解説
2008年3月28日、三菱重工が小型ジェット旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の事業化を決定した。三菱重工は航空機製造の新会社・三菱航空機を設立する。2008年4月1日、資本金30億円で設立、事業展開とともに増資し、資本金1000億円まで増資する予定である。三菱重工は資本金の3分の2を保有する予定である。残りの3分の1は、トヨタ自動車、日本政策銀行、三菱商事、三井物産、住友商事が出資予定である。
全日本空輸(全日空、ANA)は、MJRの事業化を前提に25機を発注した。MRJは、世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた70~90席クラスの最新鋭小型ジェット旅客機。リージョナル機として初めて主翼、尾翼に複合材を本格的に採用、新型エンジンの搭載や最先端の空力設計などとも相俟って、燃費の大幅な低減を実現、エアラインの競争力と収益力の向上に大きく貢献する。
ちなみにリージョナルジェットとは航続距離3000キロ程度で乗客数が70~90名程度の小型ジェット旅客機の事である。
MRJプロジェクトには、最新鋭の高効率エンジン「Geared Turbofan」を供給するプラット アンド ホイットニー(Pratt & Whitney)のほか、パーカー・エアロスペース(Parker Aerospace、担当:油圧システム)、ハミルトン・サンドストランド(Hamilton Sundstrand Corporation、担当:電源、空調、補助動力などの各システム)、ロックウェル・コリンズ(Rockwell Collins、担当:フライト・コントロール・コンピューター、アビオニクス)、ナブテスコ(担当:フライト・コントロール・アクチュエーター)、住友精密工業(担当:降着システム)の各社が主要なパートナーとして参画する予定である。
世界の大型旅客機市場は、アメリカ・ボーイング、ヨーロッパ・エアバス社によって2分されているが、中型機、小型機は上記2社に続き、カナダ・ボンバルディア社、ブラジル・エンブラエル社が続いている。新規参入の三菱重工MRJが事業化に成功するためには、量産化によるコストダウンが必要であるが、価格、性能で競争力を確保していく必要がある。三菱MRJの強みは燃費効率の良さであるが、機体コストではボンバルディア社、エンブラエル社に及ばない。ボーイング社、エアバス社を含めてどこまで差別化が図れるかが今後の課題である。
エンブラエル社
エンブラエル社は、ブラジル最大の輸出企業である。2000年年代に入って急速に成長してきた世界第4位の航空機製造会社である。2007年の売上は、52億2400万ドル、従業員数2万3600人。
エンブラエル社は、1069年、ブラジルの国営会社として設立された。ブラジル空軍の航空技術研究所の研究員によって開発されたプロペラ機バンデランテス、ブラジリアを開発、小型旅客機として各国で採用されて成功した。さらにターボプロップ式タンデム複座型練習機としてイギリス空軍などで採用されたほか、ブラジル空軍でも練習機兼用のゲリラ掃討用COIN機として利用されている。
1990年には3億ドルをかけて開発した、「CBA123」を発表したが、価格競争力に欠け事業としては失敗した。この失敗でブラジル政府からの援助は打ち切られ、さらに湾岸戦争による世界的航空需要の減退でエンブラエル社は、窮地に陥った。相次ぐ受注キャンセルのなか1万4,000人の大半をリストラ敢行したが受注減による業績悪化から黒字転換は達成できなかった。
ブラジル政府は事業売却、民営化を試みたが相次いで失敗した。その後、1994年12月、金融コングロマリット「ボザノ・シモンセン」、社会福祉年金運用会社「プレビ」、「システル」が共同で出資し、1億4670万米ドルで買収した。
1999年、フランスの航空機製造企業グループ・ダッソーと資本・技術提携し、ダッソー社がエンブラエル社の株式を20%保有するに至った。ダッソー社の技術支援を受けて、70人乗り「ERJ170」、98人乗り「ERJ190」、108人乗り「ERJ195」の開発を相次いで発表した。2007年2月、日本航空グループ(JALグループ)は、ERJ-170を10機導入することを決めた。
エンブラエル社の2000年以降の成長は著しく、売上は世界第3位のカナダ・ボンバルデア社に迫る勢いである。ビジネスジェット分野にも参入し、売上は好調である。また、軍用機分野でも好調を維持し、ブラジル空軍の50%はエンブラエル社の航空機であり、オーストラリア空軍など世界20カ国以上の軍隊で採用されている。
また、特筆すべき点として、エンブラエル社の子会社ネイバ社がアルコール燃料で飛ぶ農業用小型飛行機を開発したことである。ブラジルのエネルギー政策との連動でバイオ・エタノールの利用を高める戦略と見られる。環境重視の世界的流れから大きな需要が見込まれる。
2002年、エンブラエル社は、中国ハルビンで中国の国営会社と合弁の航空機製造工場を建設している。エンブラエル社のの株式保有比率は51%である。2004年には第1号機(ERJ-145型、客席数50)が製造されている。年間生産能力は24機である。リージョナルジェットの今後20年間の需要予測は、中国で600機であり、リージョナルジェットの中国国内保有数は2004年現在で70機であることを考えると今後の需要増が見込めると読んでいるようである。また、世界需要は4000機が予測されており、ボンバルデア社、三菱重工MRJとの競合が予想される。
2008年4月14日 FX検定 きょうの問題 世界の造船業
造船業界の再編が進む。JFE子会社で国内2位のユニバーサル造船とIHIが全額出資するアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドが統合し、今治造船を抜いて国内最大手になる。世界の造船受注が最も多い国はどこか。
正解 韓国
解説
JFEホールディングスは2008年3月6日、日立造船と折半出資しているユニバーサル造船を子会社化し、日立造船が保有するユニバーサル株のうち34.9%を3349億円で取得し、出資比率を84.9%に高めた。これに続いての造船再編である。JFEは、造船を鉄鋼に次ぐ中核事業として強化するのが狙いで、統合後のユニバーサル造船は全株をJFEホールディングス本体が所有する。
日本の大手造船業は、JFE、三井造船、住友重機械、三菱重工に集約されてきた。他に中堅造船所として、今治造船、常石造船、新来島ドック、大島造船所、名村造船所、佐世保重工、サノヤス・ヒシノ・明昌、尾道造船、豊橋造船、内海造船、函館ドック、福岡造船、南日本造船、臼杵造船所、旭洋造船、向島ドック、桧垣造船、浅川造船、山中造船、三和ドックなどがあるが、造船技術者不足などもあり、再編が予想される。
世界の造船企業のトップ10社は、韓国、日本、中国で占められている。
2008年1~2月の世界の造船受注量は2110万DTW(載貨重量トン)で、このうち韓国企業が3分の2に相当する1400万DTWを占めた。
2007年は、世界の船舶受注量は2億4470万DWTで、韓国はこのうち39.4%となる9640万DWTを占めたが、中国の1億530万DWTを下回っており、2008年に入ってから韓国の造船業界は好調を見せていることになる。中国の2月までの受注量は、韓国の40%水準の550万DWTにとどまっているほか、日本が110万DWT、台湾が40万DWT、欧州が10万DWTなどとなっている。
造船は、タンカー、コンテナ船、バラ積船などの商船建造においてはすでに最先端技術を必要とする分野は少なく、基礎技術を持ちコスト競争力のある企業が生き残る産業分野となっている。かつての造船国であったイギリス、アメリカ、ノルウェー、ドイツ、デンマークなどはこれらの分野から撤退している。かろうじて軍用船の建造企業が一部残されているのみである。
しかし、旧造船国各国は、タンカーなどの大型商船分野からは撤退しているものの、ノルウェーにおけるレジャーボート、海洋特殊建造物、調査船、特殊船、掘削船、大型ディーゼル・エンジンなど付加価値が高い分野で高いシェアを維持している。したがって、新造船受注が多いことがそのまま利益には直結していないのが造船業の特徴である。
それでも近年はBRICsなど新興国の資源需要の高まりから海運需要が高まり、新規造船コストも上昇気味である。今後は新規造船の運航に伴い新規造船が一巡すれば海運コストも下がり、新規造船受注量も安定、低下してくると思われる。
大型船のディーゼル・エンジンを例にとれば、中国、韓国は大型船舶エンジンの生産ができない。
現在大型船舶用エンジンの世界市場シェアは、ドイツの輸送機械大手MANグループ(MAN B&W Diesel)が7割を、フィンランドの重電、ディーゼルエンジン大手バルチラ(Wartsila)が2割を、三菱重工が1割を占めている。
海洋調査船ではノルウェーのAker Yards Groupなどが強く、排水量、積載量換算の造船受注量ではベスト10に入らないが、売上ではAker Yards Groupは世界第4位である。ノルウェーには他にもUlstein Group、Umoe Groupなどの造船会社がある。また大型客船も旧造船国が得意とする分野である。Aker Yards Groupは2009年運航開始予定の豪華大型客船Royal Caribbeanの建造中であるが、この船の受注額は9億ユーロである。これらの造船企業は大型商船、タンカーの受注よりも、オフショア船、ケーブル敷設船、ダイビング支援船、RORO船、地質調査船、ケミカル・タンカー、フェリー、トロール船など付加価値の高い船舶建造に注力している。Aker Yards Groupの2006年の売上は258億6100万クローネ(5172億円)、営業利益14億4300万クローネ(288億円)、純利益10億3700万クローネ(207億円)だった。
韓国の造船業界は2007年、全世界の船舶受注量の40.4%に当たる3200万CGT(標準貨物船換算トン数)の受注を記録し、中国(2920万 CGT)、日本(650万CGT)を上回った。2008年に入っても、1-2月に世界の62.5%に当たる400万CGTを受注した。現代重工業は2007年、過去最高の250億ドル(約2兆5550億円)の受注に成功したが、2008年はそれを上回る294億ドル(約3兆50億円)の受注を目標に掲げている。
現代重工業は、2007年の業績は設立以来の好業績であったが、売上高を15兆5330億ウォン(約1兆7512億円)、営業利益1兆7507億ウォン、当期純利益1兆7361億ウォンであると発表している。営業利益は対前年比で99.2%の増加、純利益は143.6%の増加であるから、2006年までの業績がいかに悪かったか判る。船舶価格の上昇に助けられた形であるが、今後船舶価格の落ち着き、低下を見せてくると業績の悪化が予想され、高付加価値化が生き残りのポイントとなる。
世界の新造船受注量の推移 (単位: 千総トン)
年 日 本 韓 国 中 国 その他 世界合計
90 11,143 5,737 602 6,583 24,065
91 8,073 5,106 608 6,123 19,910
92 5,208 2,213 994 4,384 12,799
93 7,534 8,317 592 6,202 22,645
94 11,719 5,659 781 7,192 25,351
95 8,906 7,762 1,108 7,754 25,530
96 9,158 6,737 1,665 5,847 23,407
97 15,362 13,733 1,461 5,924 36,480
98 10,979 8,819 662 6,278 26,738
99 8,695 11,843 3,011 5,390 28,939
00 13,475 20,791 2,620 9,208 46,092
01 14,551 11,840 4,122 5,986 36,499
02 12,363 9,719 3,070 3,648 28,800
03 23,626 32,399 10,650 7,325 74,000
04 28,860 24,976 10,974 12,390 77,200
05 16,502 21,609 10,621 11,268 60,000
06 22,557 38,109 27,352 11,582 99,600
Lloyd's Register資料より作成
世界造船所ランキング
1位:現代重工業 1082万CGT
2位:大宇造船 782万CGT
3位:サムスン重工業744万CGT
4位:現代尾浦造船 393万CGT
5位:現代三湖重工業327万CGT
6位:STX造船 213万CGT
7位:韓進重工業 210万CGT
8位:三菱重工業 209万CGT
9位:IHI 173万CGT
10位:常石船舶 172万CGT
受注残量基準の世界造船所ランキング
調査:Clerkson社 2006年(標準貨物船換算トン数)
新造船船価の推移 (単位:百万ドル)
年 VLCC Suez Afra Handy Cape Panamax HandymaxHandy
1992 100.0 62.5 48.0 32.0 44.0 28.0 24.0 20.0
1993 95.0 62.0 44.0 32.0 46.0 28.5 25.0 21.0
1994 82.0 51.0 41.0 32.0 42.0 28.0 24.0 19.0
1995 85.0 54.0 43.5 33.5 42.5 28.5 24.0 19.5
1996 82.0 51.0 40.5 31.5 39.0 26.5 23.0 19.0
1997 83.0 52.0 41.0 31.5 40.5 27.0 22.5 18.0
1998 72.5 44.0 34.5 26.0 33.0 20.0 18.0 14.3
1999 69.0 42.5 33.0 26.0 34.0 21.5 20.0 15.5
2000 76.5 52.5 41.5 29.5 40.5 22.5 20.5 15.0
2001 70.0 46.5 36.0 26.3 36.0 20.5 18.5 14.5
2002 63.5 43.8 34.8 27.0 36.3 21.5 19.0 15.0
2003 77.0 51.5 41.5 31.5 48.0 27.0 24.0 18.0
2004 110.0 71.0 59.0 40.0 64.0 36.0 30.0 23.5
2005 120.0 71.0 58.5 43.0 59.0 36.0 30.5 25.5
2006 129.0 80.5 65.5 47.0 68.0 40.0 36.5 28.0
2007 146.0 90.0 72.5 52.5 97.0 55.0 48.0 34.5
バルク船
ケープサイズバルカー
南アフリカ共和国東岸のリチャーズベイ(リチャードベイ)港に入港可能な満喫水18.1m以下の最大船型をいう。一般的には、150,000~170,000DWT程度のバルカーの名称。
パナマックス
パナマ運河を通航できる最大船型という意味で、長さ900フィート(約274m)以内、幅106フィート(約32m)以内の船で、ばら積み船の場合は載貨重量トン(D/W)が6万~6万8,000トンクラスの船.
ハンディ
載貨重量6万t未満の撒積船一般の呼称。
ハンディマックス
ハンディサイズのうち最大船型。載貨重量トン(D/W)が4万トン~5万トンクラスの船を指す。
タンカー船
LVCC
超大型原油タンカーの略称で,ULCCはUltra Large Crude oil Carrier,VLCCはVery Large Crude oil Carrierの頭文字である。一般的に載貨重量20万トンから30万トンまでのタンカーをVLCC、それ以上のものをULCCと呼ぶ。
スエズマックスタンカー
パナマ運河を通過できる最大サイズの商船。パナマ運河を通過するには、最大長900フィート、最大幅106フィートという制約がある。重量トンで言うと6~7万トンぐらいのサイズ。
アフラマックスタンカー
「AFRA」とはAverage Freight Rate Assessmentの頭文字。ロンドン・タンカー・ブローカー委員会が作成している原油タンカーのサイズ別運賃指数。AFRAは、載貨重量が8万トンを超えると運賃レートがかなり下がるので,そのレートを最大限に享受できるように載貨重量を上限ぎりぎりの79,999トンとしたタンカーを呼称したことに由来するが、現在では,載貨重量8万トンから12万トン程度のタンカーをひろくアフラマックスタンカーと呼んでいる。
パナマックスタンカー
パナマ運河を通航出来る最大船型のタンカーをいう。載貨重量は6万トンから7万トンでタンク容積は概ね50万バレルとなる。
2008年4月8日 FX検定 きょうの問題 原子力発電開発
かつては世界中で忌避されていた原子力発電も時代が変わると評価も大きく変わりました。現在ではクリーンエネルギーの代表として再度脚光を浴びています。原子力発電の実用方式として大きく加圧水型と沸騰水型がある。
世界の原子力発電は方式によって3グループが競争を繰り広げているが、日本はいずれのグループにも属している。日本の代表的原子力発電プラント会社である三菱重工はどの方式を採用しているか。
正解 加圧水型
解説
原子力発電に使われる原子炉にはいくつかの方式がある。実用レベルでは加圧水型、改良型加圧水型軽水炉と沸騰水型、改良型沸騰水型軽水炉があるが、他にも実験炉を含めて高速増殖炉、新型転換炉、黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉などが存在する。
2008年現在、世界には30ヶ国439基の原子炉が稼働中であり、127基が建設中か計画中である。
世界の原子力発電建設は旧ソ連(ウクライナ)のチェルノブイリ発電所事故以来、新規の原子力発電所開発は抑制されてきたのが実情である。ところが、地球温暖化防止のため、二酸化炭素排出のない原子力発電が見直されてきている。
世界の原子力発電所建設における競争は、3つのグループによって形成されている。第1グループは、フランスのアレバ社と三菱重工によるグループである。このグループは前述のとおり加圧水型の原子炉を得意とするグループである。また、フランスのアレバ社は天然ウランの生産高も高く、世界シェア13%を持っている。
三菱重工は、業務提携先であった米ウェスチングハウス社がM&A合戦の結果、ライバルである東芝の傘下に入ってしまったため、対抗措置としてアレバ社と業務提携した。2007年9月、三菱重工とアレバ社は共同会社『アトメア(ATMEA)』を設立した。アトメア社では、第3世代原子炉の開発、営業、ライセンス許諾、販売を行う予定である。アレバ社は、使用済み核燃料処理施設の開発、および使用済み核燃料のリサイクルを行う次世代原子炉建設などを得意としている。
2007年10月2日、アレバ社、三菱重工の共同子会社『アトメア社』は、米政府が公募していた560万ドル(約6億5000万円)規模の核燃料リサイクル計画の調査・開発事業を獲得した。
日本原燃は、アレバ社、ワシントン・グループ・インターナショナル社、BWXテクノロジーズ社とともに米国における原子燃料リサイクルに関する検討チームを形成している。
第2グループは、東芝+ウェスチングハウスである。東芝はウェスチングハウス社の持株会社の株式を77%保有していたが、2007年8月カザフスタンの国営ウラン生産会社カザトムプロム社に対し、持株の10%を5億4000万ドルで売却した。カザトムプロム社は世界有数の天然ウラン生産会社で世界シェア9%である。東芝は日本の電力会社4社、丸紅とともにカザトムプロム社傘下の会社に投資し、カナダのウラン鉱山開発会社とともにカザフスタンのウラン鉱山(ハラサン鉱山)の新規開発に参加している。
この戦略的提携によりウラン燃料の供給から原子力発電所の建設、維持管理まで一貫した体制を整える戦略である。東芝-ウェスチングハウスは、加圧水型、沸騰水型の両システムを提供する。
2008年4月3日、東芝-ウェスチングハウスは、米電力大手、スキャナ社がサウスカロライナ州に建設する原発2基と、米サザン社がジョージア州に建設予定の2基を受注したと報道されている。2016~2019年の稼動を予定。
第3グループは、沸騰水型原子炉グループを形成するGE、日立製作所連合である。2006年11月、日立製作所とGEは、原子力事業の提携を強化することで合意している。日立製作所とGEは、両社の原子力事業の提携強化を図ると発表している。2007年7月、日立製作所、GEは原子力発電所の建設や保守・サービス事業を行うグローバル事業として新会社『GE-日立ニュークリア・エナジー』を設立した。株式保有比率は日立製作所60%、GE40%である。
地球温暖化対策、世界的エネルギー資源獲得競争により原子力エネルギーの需要が急速に高まっている。世界的には需要が高い発電用原子炉ではあるが、日本国内では、政府機関、電力会社による秘密隠ぺい体質に対する国民の不信感は拭い切れておらず、安全性と経済性をバランスするには難しい状況にある。
現在日本には60基ほどの原子炉が稼働しており、アメリカ、フランスと並んで稼働原子炉が多く、原子力発電大国である。アメリカはスリーマイル島の事故以来新規の原子力発電所の建設はなかったが、既存の原子炉の老朽化も進み、地球温暖化防止、原油価格の高騰から原子力発電所の建設に前向きになっている。
2008年4月4日 FX検定 きょうの問題 インド財閥 タタ自動車、フォードからジャガー、ランドローバーを買収
インド経済は財閥企業によって支えられている。インドにおける純資産の40%は20財閥によって所有されている。老舗2大財閥としてタタ財閥は、2007年、イギリス製鉄大手コーラスグループを買収したが、2008年3月、不振のフォード・モーターズからジャガー、ランドローバーを20億ドルで買収すると発表した。タタ財閥と並ぶインドにおける最大の財閥はどこか。
正解 アンバニー財閥
解説
アンバニー財閥(Ambani 財閥)は、インド最大の私企業である。
2008年現在、アンバニー財閥最大の企業リライアンス・インダストリー(Reliance Industries)は、GEプラスチック買収を画策していると報道されている。リライアンスはすでに、2004年、欧州のポリエステル繊維メーカーのTrevira を買収し、ポリエステル繊維トップメーカーとなっている。リライアンス・グループ(Reliance Group)の事業は多岐にわたり、ガスパイプライン、石油精製、化学繊維、アパレル等の上流から下底までの石油化学事業、通信、電力等インフラ事業を行っている。
リライアンス・グループの中心は石化事業のリライアンス・インダストリー(Reliance Industries)で、パラキシレンでは世界3位、高純度テレフタル酸では、世界4位となっている。インドの拠点は4箇所。
ジャムナガル(Jamnagar)に新設する製油所の隣には年産27百万トンの製油所があり、石化原料のナフサ、芳香族とPPを生産している。ポリプロピレン(PP)は当初の3系列77万トンに、2006年第4系列28万トンが加わった。同じく27百万トンの新製油所では上述の通り、100万トンのPPを新設する。
ハジラ(Hazira)ではジャムナガル(Jamnagar)から送られるナフサを原料に石油化学コンプレックスがある。エチレン能力75万トン(100万トンに増設中)と、ポリエチレン(PE)(16万+20万トン)、ポリプロピレン(PP)(36万)、VCM(塩化ビニールモノマー)PVC(ポリ塩化ビニール)(16万)、テレフタル酸(PTA)(35万x2)、その他を生産している。
パタルガンガ(Patalganga)ではPTA、ポリエステル繊維、LAB等を生産し、ナロダ(Naroda) はインドで最も近代的な繊維のコンプレックスである。
2002年5月、リライアンス・インダストリー(Reliance Industries)はインド政府から国営石油化学会社・インド石油化学(Indian Petrochemicals Corp. Ltd. )(IPCL)の株の26%を買収し、同社の経営権を取得した。現在インド石油化学(IPCL)の取締役10人のうち、5人はリライアンス社の指名で、リライアンス社のムケシュ・アンバニー(Mukesh Ambani) 会長がIPCLの会長を兼務している。IPCLは3箇所にコンプレックスを持っている。エチレン能力はヴァドダラ(Vadodara )が13万トン、ナゴザネ(Nagothane)が40万トン、ガンダール(Gandhar)(Dahej)が30万トンである。TPA能力は100万トンを超えている。
タタ財閥
タタ財閥はインドの老舗財閥であるが、元を辿ればイランの出身である。ヒンズー教を国教とするインドにあって、タタ一族はゾロアスター教の信者である。主なグループ企業には、自動車メーカーのタタ・モーターズ、製鉄のタタ・スチール、電力会社のタタ・パワー、ソフトウェア会社のタタ・コンサルタンシー・サービシーズなどがある。タタ・グループのグループ企業は、IT、製鉄、電力、科学、食品、ホテルなど91社、22万人を有する。
タタ・スチールは、2000年までは世界50位にも入らない地域製鉄会社であったが、同じインド出身のミタルによる製鉄会社再編に対抗し、2007年、イギリス・オランダに展開する世界第8位の製鉄会社コーラスグループを買収した。その結果、世界第5位の鉄鋼会社に躍進した。タタ・グループ内には高品位鋼板を必要とするタタ・モーターズなどがあり、高品位鋼板供給源を確保する狙いもあったようだ。2002年新日本製鐵と自動車用鋼板製造の技術提携契約を結んでいる。
タタ・モーターズは、1945年に設立された。本社はグループ本社のあるムンバイにある。2007年の単体売上は8000億円に及び、時価総額は9000億円、従業員は22000人を擁する。商用車(バス・トラック)部門は世界第5位の生産量を誇る。商用車の国内シェアは60%で第1位であるが、乗用車部門は第2位につけている。2004年、韓国のデウ(大宇)のトラック部門を買収して、タタ大宇商用車を設立。2003年からMGローバーに対する乗用車のOEM供給を開始したが(シティローバー)、MGローバーの破たんで計画はとん挫した。2005年、イギリスに技術センターを設立、2006年にはフィアットと業務提携してジョイントベンチャーを設立している。2008年3月、タイでピックアップ・トラックの生産が開始された。
タタ・モーターズは、2008年1月、5人乗り乗用車「ナノNano」を公開したが、販売価格は10万ルピー(約28万円)で、発売されれば量産車としては世界最安値である。2008年8月からインド国内で発売予定。
タタ・モーターズは、2008年3月、経営不振のフォード・モーターズからジャガー、ランドローバーを20億ドルで買収すると発表した。現状では、タタ・モーターズの主力は商用車であり、ナノなどの低価格車の投入で乗用車部門の販売も拡大すると思われるが、ジャガー、ランドローバーは高級車であり販売における相乗効果はあまり高いとは言えないが、長期的に高級車から中級車、普及車、低価格車とすべてのラインナップを充実させていくものと思われる。
ルイア財閥(エッサール財閥)
鉄鋼、電力、海運、建設、石油、ガス、通信など重工業分野を中心に展開している。
20億USドルの売上、44億USドルの資産を保有。
エッサール・スティール 1976年設立。売上高6116千万ルピー(2005年3月期)財閥の旗艦企業。
自動車用、石油・ガス関連、造船用など幅広く鋼板製造を行っている。
主要顧客にはキャタピラー、ヒュンダイ、スワラージマツダ、マルチウドヨグなど。
エッサール海運 1969年設立 749千万ルピー:2006年3月期
外国人の株式保有比率は36%。
エッサール石油 1989年設立
石油小売に進出し、売上は急拡大しているが赤字転落。
外国人の株式保有割合は、70%以上に達しています。
エッサール・パワー 非上場
天然ガスや石炭による火力発電を行っている。
エッサール建設 非上場
パイプライン、港湾、ビル、運河、ハイウェー、防波堤、橋梁、など多種多様な建設事業を行っている。
ハチソン・エッサール
香港ハチソン・ワンポアとの合弁企業移動体通信事業を行っている。
8つの州をカバーしている。
2008年3月31日 FX検定 きょうの問題 ロシアの石油天然ガス・パイプライン
資源価格が高騰しているが、ロシアが主導する地下資源は多いが、ロシア国内の資源会社の多くは民営化されている。しかし、すべてのロシア企業がロシアの国家戦略に基づいて活動しているわけではない。ロシアが国家として主導している地下資源は、天然ガスとウランである。ロシア政府が主導する天然ガス・パイプラインが2ルートあり、ひとつは黒海海底を通り、ブルガリアに至るサウス・ストリームであれうがもうひとつは何と呼ぶか。
正解 ノルド・ストリーム
解説
ノルド・ストリームは、ヨーロッパ寄りのベラルーシ、ポーランドを迂回してバルト海底を通ってドイツに繋がる天然ガスパイプラインである。
サウス・ストリームは、ガスプロムとイタリアの石油大手ENIがスイスに設立する合弁会社が、2008年中に事業性検証を行う。合弁会社が海洋部分の建設を行い、陸上部分はパイプライン通過各国のガス会社と共同で建設するものである。ブルガリア、セルビア、ハンガリーは建設に合意している。ブルガリアからギリシャ、イタリアへの延長も検討されている。これに対し、ロシアからのエネルギー依存度を下げたいEUは、アゼルバイジャン、トルクメニスタンからの天然ガス・パイプライン・ルートであるナブコ(Nabucco)パイプラインの建設を進めている。
ロシアからの石油・天然ガス・パイプラインはすでにいくつか敷設されている。バルト3国への石油パイプライン「バルトパイプライン」、ベラルーシ経由でウクライナ、ヨーロッパへと供給する「友好」石油パイプライン、ベラルーシ、ポーランド経由で供給される「ヤマル・ヨーロッパ」ガスパイプライン、ウクライナ経由でヨーロッパに供給される「兄弟」ガスパイプライン、ロシアから別ルートでウクライナに供給される「ソユーズ」ガスパイプライン、黒海からトルコに繋がる「ブルー・ストリーム」ガスパイプラインなどがある。
ロシアに対抗してEUが計画中のナブコパイプラインは、トルクメニスタン、カザフスタンからカスピ海底を通ってアゼルバイジャン、グルジア、トルコを経由してヨーロッパに供給するルートであるが、十分な供給量を確保できるかが課題となっている。アゼルバイジャン、グルジアからトルコへ供給される石油パイプラインとして「バクー・ジェイハン」がある。ロシアはサハリン1・2から日本、中国へのLNG供給ルートを開発中である。さらに東シベリア・太平洋・石油パイプラインの敷設も計画している。カザフスタンからはロシアルートのパイプラインが敷設され、中国への石油パイプラインの計画もある。
2008年3月28日 FX検定 きょうの問題 寡占化が進む金属メジャー
世界最大の資源メジャーBHPビリトンによる世界第2企業リオ・ティントの買収が注目されている。この2社に続く世界第3位の資源メジャーはどこか?
正解 アングロ・アメリカン
解説
金属メジャー売上ランキング
第1位 BHPビリトン(豪英) 475億ドル
第2位 アングロ・アメリカン(南ア) 331億ドル
第3位 エクストラータ(スイス) 269億ドル
第4位 リオ・ティント(豪英) 225億ドル
第5位 ヴァーレ(旧リオ・ドセ、ブラジル)215億ドル
2007年、リオ・ティントはアルミニウム大手アルキャンを買収している。統合売り上げは460億ドルとなり、BHPビリトンがリオ・ティントを買収した場合、売上高900億ドルの超巨大メジャーが誕生することになる。両社はロスチャイルド系の企業であり、統合は充分に可能性がある。また、買収の噂が絶えない世界第2位のアングロ・アメリカンもまたロスチャイルド系の企業である。巨大化したBHPビリトンがアングロ・アメリカンを飲み込まない保証はどこにもない。
BHPビリトン+リオ・ティントが実現した場合の売り上げ構成と世界シェア
売上構成
鉄鉱石 第1位 13%
石炭 第1位 13%
銅・亜鉛・鉛 第1位 20%
ニッケル 7%
アルミニウム 第1位 21%
ダイヤモンド 2%
合金鉄 1%
その他(ウラン)第1位 23%
世界シェア
鉄鉱石 37%
原料炭 21%
銅 13%
ウラン 25%
アルミニウム 16%
ニッケル 10%
1990年以降の資源各社の買収、合併は急速に進んでおり、寡占化が進んでいる。BHPビリトンは2001年、BHPとビリトンが合併してできた会社であるが、2005年にはオーストラリア第2位の鉱山会社WMC(ニッケルに強み)を買収している。アングロ・アメリカンは南アフリカで唯一絶対の大企業であるが、1997年にAACとミノルコが合併してできた会社である。2003年には鉄鉱石を得意とするクンバを買収している。スイスのエクストラータは、2003年、銅・亜鉛のMIMを買収、2005年にはニッケル・銅のファルコン・ブリッジを買収。リオ・ティントは、1996年、RTZとCRAが合併してできた会社であるが、2000年には鉄鉱石のノース、2007年にはカナダ・アルミニウム大手アルキャンを買収。リオ・ドセ(現ヴァーレ)は、2006年、ニッケルのインコを買収している。
2008年3月24日 FX検定 きょうの問題 世界のウラン生産
2006年の世界のウラン消費量は6.6万トンであった。需要量が供給量を上回り、需給がひっ迫している。2015年まで年間生産量は6万トンから6.5万トンで推移する予測であるが、年間消費量は9万トンに及ぶと推定されている。現在、世界の天然ウラン生産量は4万トン余りである。天然ウラン生産の世界1位はカナダ。第2位はオーストラリアであるが、第3位国はどこか。
正解 カザフスタン
解説
世界の天然ウラン生産の70%は10のウラン鉱山で採掘されている。最近は消費量が生産量を上回っているが、天然ウランの不足分は劣化ウランの再濃縮による疑似天然ウラン(EUP)、回収ウラン、軍事用高濃縮ウランの希釈による原子炉用燃料によって補ってきた。ウラン価格は6年で10倍に高騰している。2006年12月現在のウラン価格は、1ポンド(約0.45キロ)あたり72ドルで、ウラン国際価格史上最高値を更新した。これは2000年末の7.1ドルの約10倍の価格である。
ロシアの天然ウラン埋蔵量は17.5万トンで世界の4%である。量的にはたいした量ではないが、天然ウランの需給逼迫と高水準の濃縮ウラン技術で世界をリードする可能性が高い。ロシアは1993年、アメリカとの間で、核兵器解体による高濃縮ウラン利用協定を結んでいる。
2013年までの間、ロシアの解体核兵器から出てきた高濃縮ウランを低濃縮ウランに希釈して原発燃料としてアメリカ濃縮公社(USEC)に限定供給することになっている。この契約が切れると、ウラン価格が高騰している中で、ロシアはこの濃縮ウランを戦略物資として管理し、高価格で輸出することが可能になる。ロシアの遠心分離技術による濃縮ウランは低コストであるため国際競争力がある。
2007年9月、この技術を背景にロシアは、オーストラリアと核エネルギー利用協力で合意している。ロシアは年間4000トンのオーストラリア産ウランを輸入して、ロシア国内で濃縮し海外に販売する予定である。買い付け価格は10億ドル。各関連分野では、ロシアでは、「国家コーポレーション」という会社が管理している。ロシアはウラン燃料を外交カードの切り札として確保しつつある。
ドイツ、デンマーク、オランダなどでは再生可能エネルギーとして風力発電、太陽光発電、バイオマス利用などの促進を図っているが、これらのエネルギーは供給が不安定であることが欠点である。そこで電力供給の安定化を図るために電力の輸入を行っている。
主な供給国はフランスである。フランスは電力の80%以上を原子力発電で賄っている原発先進国である。フランスは周辺国の不安定な電力需給を原子力発電でカバーしているのである。日本のように電力の輸入が不可能な国は、水力などの自然エネルギーと再生可能エネルギーの開発、原子力エネルギーの安全で安定的かつ経済的な供給が必要であるが、政府・電力会社の安全性確保は国民の信任を得ているとは思えない。
さらに原子力発電のコスト低減の必要性は高く、安いエネルギー源確保が国際競争力の強化につながると考えられるが、原発は利権争いの具に成り下がっている。中東原油依存からの脱却が急務のはずであるが、国益を追求する政治家はいない。
ウラン生産国ランキング 2006年
第1位 カナダ 26%
第2位 オーストラリア 20%
第3位 カザフスタン 14%
第5位 ニジェール 9%
第5位 ロシア
代表的ウラン鉱山
コンゴ民主共和国 シンコロブエ鉱山
ニジェール アクータ鉱山
オーストラリア オリンピック・ダム鉱山 ナバレク鉱山 レンジャー鉱山 ビバリー鉱山
カナダ アサバスカ堆積盆地
カザフスタン ハラサン鉱山
オーストラリア
レンジャー鉱山、Jabiluka鉱山は、Energy Resources of Australia Ltd.(ERA)社により運営され、収益の約68%をRio Tinto社が、約10%を日豪ウラン資源開発(株)が保有している。
オリンピック・ダム鉱山は豪州の代表的な鉱山会社であるWestern Mining Corp.(WMC)が所有し、1988年より生産している。
ビバリー鉱山は1990年に米国のGeneral Atomics社の子会社であるHeathgate Resources社が保有している。
オーストラリアは、3鉱山政策により上記3鉱山以外の鉱山開発を留保していたが、近年のウラン価格高騰、供給不足から、第4の鉱山としてカナダのSouthern Cross Resources社が保有するHoneymoon鉱山の開発を認可した。2008年操業開始。
カザフスタンの国営企業カザトムプロムが新規開発するウラン鉱山に対し、日本の電力会社(東京、中部、東北、九州)と東芝、丸紅の六法人は、カザトムプロム社やカナダのウラン鉱山開発会社と協力してカザフスタンのウラン鉱山(ハラサン鉱山)の新規開発・生産・ウラン販売をするプロジェクトに参画、カザトムプロム社の関係会社の株式を取得している。
3社が出資するプロジェクトは、カザトムプロム社が出資するキズルクム社(Kyzylkum LLP)とバイケン‐U社(Baiken-U LLP)が南カザフスタンのハラサン鉱山(キズルクム社が鉱区1およびバイケン‐U社が鉱区2)を新規に開発するものである。日本側3社が取得したカザトムプロム社の関係会社は、キズルクム社およびバイケン‐U社を間接的に保有している。2007年からウラン試験生産を開始し、2014年以降年間5000トンのウランを生産する予定で、そのうち2000トン分について日本側株主が引取り権を有している。40年間は産出が可能という。
2007年7月、東芝は原子力発電プラント大手米ウェスチングハウス(Westinghouse)株77%のうち10%を、カザフスタンの国営企業カザトムプロム(Kazatomprom)に約4億8630ドル(約600億円)で譲渡している。
ウラン埋蔵国ランキング
第1位 オーストラリア
第2位 カザフスタン
第3位 カナダ
第3位 南アフリカ
第4位 アメリカ
ウラン生産企業ランキング
第1位 Camecoカメコ(カナダ)21%
第2位 リオ・ティント(豪英)18%
第3位 Areva NC アレバ(フランス)13%
第4位 カザトムプロム(カザフスタン)9% カザフスタン国営会社
第5位 TVEL(ロシア)8%
上位5社で70%を占める。
2008年3月21日 FX検定 きょうの問題 デンマークの失業対策
2005年、デンマークは雇用対策として労働対策と失業給付とを合わせてGDPの4.6%を支出した。1993年の失業率は10%以上あったが現在では3%未満になり、1年以上の長期失業者は0.8%にまで落ち着いている。デンマークの柔軟性と保障・安定性を兼ね備えた雇用政策を何と呼ぶか。
正解 フレキシキュリティ(Flexicurity)
解説
柔軟性Flexibility 保障・安定性Securityからの造語
デンマークの労働政策が注目を集めている。労働政策上、柔軟な雇用と安定した雇用は二律背反になると考えられてきたが、デンマークはこの両立を目指している。OECDのなかでデンマークは解雇が容易な国に分類される。しかし、就業支援など積極的労働市場支援は手厚く、失業給付の水準も高い。
有体に言うと、企業は容易に解雇ができるが、労働者は失業しても高水準の失業手当が受けられ、再就職のための就業支援が完備しているということである。デンマークでは、労働者の11%が毎年失業し、20%が自発的に離職している。つまり毎年労働者の30%が離職しているのである。それでも失業率は3%、長期失業率は0.8%に留まっているのである。
スウェーデンでは労働組合の組織率が高く、労働交渉力も強いのに対し、デンマークでは解雇が容易である。デンマークでは失業補償額が失業前の80%であるため求職活動に熱心でないとの批判もある。この批判に応えて失業給付を短縮した。それでも給付期間は4年である。スウェーデンでは、低所得者層を対象に失業給付水準を当初は80%、40週以降は70%、60週以降は65%と低減させるように変更した。
デンマーク、スウェーデンなど北欧諸国では、解雇された労働者に対する失業保険は、失業前の賃金の60%程度を受け取れる。イギリスは26%、アメリカは33%、日本は45%~80%であるが上限は日額7,000円である。北欧各国は税引き前で、スウェーデン70%、ノルウェー72%、フィンランド73%、デンマーク78%である。いずれの国の政策も高水準の手当てがあり、日本とは雲泥の差である。国民負担率40%の日本、国民負担率70%の北欧各国との差は国民の幸せ度にも出ている。高福祉国家スウェーデンの社会保障支出はGDP比で32%にも及ぶ。
また、就業者の割合は福祉・地域サービス・個人サービスの部門で40%弱にも及ぶ。日本では22%程度である。スウェーデンの社会保障支出GDP比32%は、日本に当てはめると163兆円になる。現状の113兆円との乖離が不足している幸福分である。スウェーデン最大の産業部門は福祉産業なのである。福祉産業は内需と国民の幸福感を維持する内需産業なのである。輸入品の支払いができるるだけの外貨獲得ができるならば、それ以上の外貨獲得よりも国民の幸福感を高める内需に向けるべきであるが、「道路建設」か「福祉」か、どちらが国民の幸せ、国益に准ずるのかは明らかである。
OECDによれば、積極的労働市場政策支出の対GDP比が最も高いのはデンマークの4.5%、オランダ、ドイツ、フィンランドが3%台でフランス、スウェーデンが2%台後半である。これに対し、イギリス、日本、アメリカは0.7%程度と低水準である。新自由主義を採る国の政策が数値的対比を成しているが、日本はこれでいいのだろうか?
2008年3月17日 FX検定 きょうの問題 石油天然ガス企業
2008年3月14日 原油価格が110ドルを超えた。2006年のデータによると原油・天然ガスを合わせた生産で世界第1位の企業はアラムコ(サウジアラビア)であったが、世界第2位の企業はどこか?
正解 ガスプロム(ロシア)
解説
原油・天然ガス生産量・企業ランキング(シェア)
第1位 アラムコ(サウジアラビア) 8.3%
第2位 ガスプロム(ロシア) 7.4%
第3位 NIOC(イラン) 4.2%
第4位 Pemex(メキシコ) 3.3%
第5位 エクソンモービル(アメリカ)3.3%
第6位 BP(イギリス) 3.1%
第7位 シェル(オランダ・イギリス)3.0%
第8位 PDV(ベネズエラ) 2.5%
第9位 Sonatrach(アルジェリア) 2.4%
第10位 ペトロチャイナ(中国) 2.0%
Energy Intelligence社 PIW Ranks The World's Top Oil Companies 2006
原油・天然ガス埋蔵量・企業ランキング(シェア)
第1位 NIOC(イラン) 13.1%
第2位 アラムコ(サウジアラビア) 13.0%
第3位 ガスプロム(ロシア) 9.3%
第4位 INOC(イラク) 5.8%
第5位 QP(カタール) 5.5%
第6位 KPC(クウェート) 4.4%
第7位 ADNOC(UAE) 4.2%
第8位 NNPC(ナイジェリア) 1.7%
第9位 Sonatrach(アルジェリア) 1.6%
第14位 エクソンモービル(アメリカ) 1.0%
Energy Intelligence社 PIW Ranks The World's Top Oil Companies 2006
現在の生産量と埋蔵量を比較すると、今後の利権争いの中心がどこにあるか理解できる。
中国の中東、アフリカ、中米への進出はこのような背景がある。
アラムコの原油生産量は日量で980万バレル、天然ガスを原油換算して合計すると1100万バレルになる。
1バレル当たりの原油価格が100ドルとすると1日当たりの売り上げは11億ドルになる。2008年に入って原油価格は20ドル以上の上昇を見ているが、この価格上昇だけでアラムコの売り上げは2億ドル、200億円の増収になる。これは年換算で4000億ドル、40兆円の売り上げ、20ドルの価格上昇は730億ドル、7兆3000億円の増収に当たる。アラムコは国営企業であるから収入の多くが政府系ファンドを通して国内投資、海外投資に振り向けられることになる可能性が非常に高い。
2006年の日本の原油・天然ガス輸入量は、657.5万バレル/日である。
2008年3月10日 FX検定 きょうの問題 ウォーレンバーグ財団
スウェーデン最大の財閥であるウォーレンバーグ家の財団が最大株主となる事業持株会社はどこか。
正解 インベスター
解説
スウェーデンのウォーレンバーグ家はヨーロッパ有数の同一家系を維持する財閥である。ウォーレンバーグ家は一族の財産を財団管理することで富の集積を図り、遺産相続などによる富の散逸・分散を防いでいる。その財団こそウォーレンバーグ財団である。ウォーレンバーグ財団は事業持株会社であるインベスター社の22%の株式保有、47%の議決権割合を保有している。
ストックホルムに本社を置くインベスター社の社員数は120人でしかない。しかし保有する純資産は、2007年9月末現在で1746億クローナ(17円換算で約3兆円)に及び、投資資金はすべて自己資金で、支配権の及ぶ傘下企業の売上高は14兆円を超える。
ウォーレンバーグ財団はインベスター社を通して多くの企業を傘下に持つ。以下は傘下企業に対する株式保有率、議決権割合、売上高(億円)、営業利益(億円)である。
SEB銀行 17.9% 18.2% 6,979億円 2,652億円
エリクソン 5.0% 19.4% 3兆226億円 6,086億円
アトラスコプコ 15.0% 21.1% 8,587億円 1,564億円
ABB 7.6% 7.6% 2兆7,585億円 9,284億円
アストラゼネカ 3.4% 3.4% 2兆9,916億円 9,284億円
スカニア 11.0% 20.0% 1兆2,025億円 1,488億円
エレクトラックス 11.1% 27.6% 1兆7,654億円 777億円
サーブ 19.8% 38.0% 3,580億円 296億円
ハスクバーナ 11.1% 29.2% 4,998億円 530億円
OMX証券取引所 10.7% 10.7% 613億円 205億円
OMX傘下の取引所
ストックホルム証券取引所:スウェーデン
ヘルシンキ証券取引所:フィンランド
コペンハーゲン証券取引所:デンマーク
ビリニュス証券取引所:リトアニア
リガ証券取引所:ラトビア
タリン証券取引所:エストニア
ロンドン証券取引所
インベスターの歴史は150年を超える。1856年ストックホルムに設立されたSEB銀行が国内企業に投資したことに始まる。A.O.ウォーレンバーグ氏によって設立されたこの銀行は1916年に銀行と持株会社とを分離しているが、設立以来ウォーレンバーグ家が支配している。現在は、同家が設立したウォーレンバーグ財団がインベスター社議決権の47%を保有している。現会長はジェイコブ・ウォーレンバーグ氏で、5代目の当主である。ウォーレンバーグ家もまたロスチャイルド家と関係の深いユダヤ人家系である。
インベスター社の投資先としては、上記上場企業以外にも、携帯電話会社の「3スカンジナビア」、ストックホルム市内の高級ホテル「グランドホテル」など6社に投資し、さらにベンチャー企業10社に投資している。インベスター社は単なる長期保有会社ではなく、各社に対しボードメンバーを派遣し、各社を担当するアナリストは経営戦略の策定にも関与する。資本増強、不採算部門の売却なども積極的に行う。かつてはボルボ、スカンジナビア航空の筆頭株主でもあった。東京にも事務所を持ち、ITベンチャーなどに投資している。
スウェーデンの人口は908万人、大阪府881万人に匹敵する。GDPは43.7兆円、九州全域の47.6兆円に匹敵する経済規模である。
ウォーレンバーグ財団の傘下企業の売上総額は14兆円超であることはすでに述べたが、スウェーデンのGDPが43.7兆円であることを考えるとスウェーデンにおけるウォーレンバーグ財団の位置付けが自ずとわかるだろう。
スウェーデンにはウォーレンバーグ以外にも世界最大の家具製造販売会社「IKEA」があり、創業者のイングヴァル・カンプラードは世界屈指の資産家である。イケアには製造部門の子会社であるスウェドウッド(Swedwood)、サービス部門を統括するイケアサービス、デザインや商品企画などを担当するイケア・オブ・スウェーデン他、各国の販売チャンネルなど多くの子会社を抱え、「イケアグループ」と呼称されている。売上高154億ドル(2005)。雇用者数9万人。イケア・グループもまたグループを統括する事業持株会社「インカ・ホールディング」をスティヒティング・インカ財団が保有する支配形態をとっている。
この他、世界展開するファッションブランドであるWESC (WE are the Superlative Conspiracy)がスウェーデンの企業である。ファッション業界ではH&M(H&M Hennes & Mauritz AB)がある。世界22カ国で展開する衣料品チェーンで1900店舗を展開している。雇用者数5万人。売上高613億SEK、86億ドル。2007年にはアジアの旗艦店として香港店を開業している。
2008年3月7日 FX検定 きょうの問題 SWF 政府系ファンド
2008年のダボス会議で最も話題になったことに政府系ファンドがある。国家ファンドと呼ばれることもあるこのファンドは通称SWFと呼ばれることがある。SWFとは何の略か。
正解 Sovereign wealth funds 政府系ファンド、国富ファンドなどと訳される 国家ファンドともいう
解説
政府系ファンドの規制が先進各国で話題になっている。2008年のダボス会議において、リーマン・ブラザース会長兼CEOのリチャード・ファルド氏は、「政府系ファンド(SWF)の運用資産総額は現在3兆ドル規模で、それが今後5年内に20兆ドルに膨らむ可能性がある」と発言している。年金基金は60兆ドルの規模があるが政府系ファンド(SWF)の存在は侮れない規模になってきている。2007年末現在の政府系ファンドの運用規模は2.5兆ドルと推定され、3分の2がオイルマネーを背景とした中東マネーといわれている。モルガンスタンレーの推計では、世界のSWFは今後10年間に17.5兆ドルに達するとしている。また米証券取引委員会(SEC)では、世界のSWFは毎年5000億ドルずつ増え続け、2015年には総額約12兆ドルに達すると推計している。現在のヘッジファンドの運用規模が1.5兆ドルから2兆ドルと推計されているから政府系ファンドのインパクトの大きさが推し量れる。
日本でも政府系ファンド設立の検討に入っているが、原資は100兆円に及ぶ外為国債発行で調達した資金で購入した外貨準備金である。また外貨準備金8000億ドルの運用も検討されている。
日本の場合、リスクに対する考え方が情緒的であるため、与党の一部、野党、国民の理解が得られる可能性は低い。年金にせよ、道路財源にせよ、政府に大きな資金を任せるのは不安を感じるが、不作為もリスク管理なしと同じ行為であることに注意したい。
●クウェート
○クウェート投資庁(KIA) 運用資産700億ドル
旧ダイムラー・クライスラーに6.9%出資 中国工商銀行の株式7.2億ドル出資 トルコ・ハルク銀行の株式取得 シティ・グループに対し30億ドル出資 メリルリンチに対し、みずほコーポレート銀行、韓国投資公社と共同で優先株に総額66億ドルの出資(年9%優先配当)KIA出資分は20億ドル さらに40億ドルの追加投資検討
●アブダビ
○アブダビ投資庁(ADIA)運用規模8750億ドル、シティ・グループに75億ドル出資(5%) 日本へは400億ドル投資予定 スイスの金融機関UBSの資産運用部門と折半で合弁会社を設立2008年6月までに5億ドルのファンド設立
○ムバダラ開発会社(Mubadala Development Company)フェラーリの株式5%、オランダ自動車リース大手LeasePlanの株式25%、カーライル・グループの株式7.5%とカーライルが運用する投資ファンドに5億ドル投資、その他、発電、アルミ精錬、通信、医療、不動産などに幅広く投資。100-170億ドル 2002年10月設立
○アブダビ国際石油投資公社 2007年9月コスモ石油の株式20%取得
○アブダビ投資評議会 アブダビ投資庁と合わせて5000-10000億ドル 2006年6月設立
●ドバイ
○イスティスマール 2007年6月英国の華客客船「クイーン・エリザベス2世号」買収 2007年8月バーニーズ・ニューヨーク買収、ファースト・リレーリングと買収合戦の末獲得 不動産開発会社ナヒールと経営統合、海外不動産投資を目論む。
○ドバイ・インターナショナル・キャピタル(DIC)投資総額70億ドル⇒100-250億ドル
ソニー、トヨタの株式取得、今後3年間で日本、インド、中国での運用資産残高を計50億ドル(約5400億円)とする方針。欧州航空防衛最大手EADSの株式3.1%保有
○ドバイ国際金融センター 2007年5月ドイツ銀行に2.2%出資
○ドバイ・ワールド 米カジノ・MGMミラージュの株式9.5%取得 港湾管理会社ドバイ・ポート・ワールド
○ドバイ取引所 ドバイ金融取引所(DFM)、ドバイ国際金融取引所(DIFX)の持ち株会社 2007年9月ロンドン証券取引所の株式28%保有 2007年9月米ナスダック・ストック・マーケットの株式19.99%保有 ナスダックはDIFXの33%を保有
ドバイの石油資源埋蔵量は40億バーレルである。可採年数は8年余りしかない。ドバイの政府系ファンドの原資はすでに石油収入から脱却している。GDPにしめる石油収入もすでに5%に低下している。資金調達の大半は国際金融市場からの借入、株式発行となっている。
●カタール
○カタール投資庁(QIA) 2008年内に150億ドル(約1兆6000億円)を投じて欧米金融機関の株式を取得することを計画、すでにクレディ・スイス株取得 2007年9月ロンドン証券取引所の株式20%取得
○カタール・ディアル 2007年4月イギリス国防省からロンドン市内の兵舎を買収、再開発へ
○デルタ・ツー イギリス小売大手セインズベリー買収表明、セインズベリーは英スーパー・マーケット第3位
●韓国
○韓国投資公社(KIC) シンガポール政府投資公社(GIC)をモデルに2005年設立 運用額200億ドル、2015年までに2000億ドルに拡大予定 2008年メリルリンチに20億ドル出資 2008年2月ドバイ投資公社と共同で20億ドルのファンド設立表明
●シンガポール
○シンガポール政府投資公社(GIC)運用規模33兆円
シンガポールの政府系ファンドの「シンガポール政府投資公社」(GIC)の不動産部門であるGICリアル・エステートは、米大手証券のモルガン・スタンレーとスターウッド・キャピタルが共同保有していた東京・目黒の「ウェスティンホテル東京」を770億円で買収したと、2008年2月26日に発表した。GICは07年春にも、米不動産投資会社のコロニーキャピタルから福岡市の複合施設「ホークスタウン」を約1000億円で買収している。2007年12月UBSに対して110億フランの転換社債引き受け。
○テマセク・ホールディング 運用規模11兆円 シンガポール航空、DBS銀行、シンガポール・パワー、ワイルド・ライフ・シンガポール(動物園、ナイトサファリ運営)国内メディアのMedia Corp、地元有力紙 Straits Timesを発行するSingapore Press Corporationなどの筆頭株主 投資先としては、韓国ハナ銀行、中国銀行、スタンダード・チャータード銀行、インドネシア・ダナモン銀行、UBS、シン・コーポレーション(タイ)、キャピタランド不動産、日本への投資としては、三井生命、イーモバイル、オープン・ワイアレス・ネットワークなど
プロジェクト投資としては、マネジメントを含めた途上国投資として中国の蘇州、無錫、ベトナム、インドでの工業団地開発などの実績がある。
●サウジアラビア
○サウジアラビア通貨庁(SAMA)2007年60億ドルのSWF設立 現在1兆ドル規模のSWFを設立準備
○サウジアラビア基礎産業公社 2007年5月GEのプラスチック部門買収
○キングダム・ホテル・インベストメント アルワリード・ビン・タリード王子経営
●中国
○中国投資有限責任公司(CIC)運用額約2000億ドルのうち約3分の1を海外に振り向ける方針、モルガン・スタンレーに優先証券50億ドル出資、転換後の持ち株比率9.9%。日本へは100億ドルの投資を計画 国際石油開発帝国ホールディングスの株式保有の噂⇒尖閣諸島の問題と絡んで国際問題化の恐れもある。 アメリカ投資会社ブラックストーンに対し30億ドル(10%)投資したがサブプライム問題にかかわる損失でブラックストーン株は30%下落し多額の損失を出した。また、サブプライムローン問題に揺れる住宅ローン大手カントリーワイドを買収する計画も進めている。
中国の国家ファンドSWFの原資は貿易黒字で稼ぎ出した外貨準備金である。中国の外貨準備は2007年12月現在で1兆3500億ドルに及ぶ。
●ノルウェー
○ノルウェー政府年金基金 年金ファンドでは日本に次ぎ世界第2位の規模 2005年石油基金、年金基金が改組されて設立 年金基金の規模は総額1兆2千750億クローネ(1千6百億ユーロ) ノルウェーは国民一人当たりの年金基金は500万円ほどの規模であるが、日本は国民一人当たり500万円以上の借金がある。ノルウェー最大にして世界有数の石油会社スタトイルの最大株主がこのファンドである。
●ロシア
○ロシア安定化基金(国家福祉基金)320億ドル
○準備基金1250億ドル
●リビア
○リビア投資庁
●ブルネイ
○ブルネイ投資庁
国家ファンド規模ランキング
第1位 アブダビ通貨庁 8750億ドル
第2位 シンガポール(GIC+テマセク) 4300億ドル
第3位 サウジアラビア 3000億ドル
第4位 ノルウェー政府年金基金 3000億ドル
第5位 中国(CIC) 3000億ドル
第6位 クウェート投資庁 700億ドル
第7位 オーストリア(スーパーアニエーションファンド) 400億ドル
第8位 アラスカ州永久ファンド公社 350億ドル
第9位 ロシア(安定化基金) 320億ドル
現在、全世界で40ほどの国家ファンドSWFが存在すると言われている。
2008年3月3日 FX検定 きょうの問題 日本の国際競争力
日本の国際競争力の低下が目立っている。スイスの国際経営開発研究所(IMD)によれば、1996年の日本の国際競争力はアメリカ、シンガポール、香港についで世界第4位であったが、2007年の順位は何位になっているか。
正解 24位
解説
国際経営開発研究所(IMD)の国際競争力ランキング分析方法は、各国の経済状況、ビジネスでの条件整備、企業アンケートを基本にしているが、なかでも国家の財務状況を重視する傾向がある。同様の調査に、世界経済フォーラム(WEF)による調査もあるが、こちらの調査では、2007年の国際競争力ランキングは第8位となっている。
日本の国債・地方債を合わせた長期債務残高は2008年度末には778兆円に達すると見込まれている。この他にも短期債、政府保証債などを加えると1000兆円を超えるといわれている。
長期債務残高比率は対GDP比率で177%に達し、主要国では圧倒的に高い比率である。最悪といわれるイタリアですら100%超である。EU加盟のための長期債務比率は60%以内、年間GDPの3%以内との基準がある。日本の国債発行は2008年度予算案を見ると2007年度の国債発行額である25兆4320億円を下回る25兆3480億円となる公算が強まっており、国債発行額26兆円、日本のGDP510兆円として計算した場合、発行比率は5.1%となる。国債費が21兆円の見込みなので純発行比率は1%弱となる。
仮に日本がEUに加盟したいと言っても基準に達していないためユーロの発行はできない。
日本の新規国債発行は4年ぶりに増額となり、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化目標である2011年達成は困難視されている。財政再建、構造改革の後退は海外投資家の失望を買い、最近の東証株価の下落は、アメリカのサブプライムローン問題が引き金となって入るが他国以上に売られているのはこのような背景があるからと思われる。
2008年は、景気後退懸念だけではなく、原油価格、穀物価格、資源価格の高騰が消費財にも及び、物価の上昇が見込まれている。これまでの安定した物価が国債費の負担増を食い止めてきたが、今後は景気後退期での金利上昇もありうる状況となる。物価上昇を無視した低金利維持は実質所得の減少につながり、景気後退の原因ともなりうる。恐れていた「悪い金利上昇」が目前に見えてきている。
国際経営開発研究所(IMD)国際競争力ランキング
順位 1996年 2007年
第1位 アメリカ アメリカ
第2位 シンガポール シンガポール
第3位 香港 香港
第4位 日本 ルクセンブルク
第5位 デンマーク デンマーク
第6位 ノルウェー スイス
第7位 オランダ アイスランド
第8位 ルクセンブルク オランダ
第9位 スイス スウェーデン
第10位 ドイツ カナダ
第11位 ニュージーランドオーストリア
第12位 カナダ オーストラリア
第13位 チリ ノルウェー
第14位 スウェーデン アイルランド
第15位 フィンランド 中国
第16位 オーストリア ドイツ
第17位 ベルギー フィンランド
第18位 台湾 台湾
第19位 イギリス ニュージーランド
第20位 フランス イギリス
第21位 オーストラリア イスラエル
第22位 アイルランド エストニア
第23位 マレーシア マレーシア
第24位 イスラエル 日本
第25位 アイスランド ベルギー
第26位 中国 チリ
第27位 韓国 インド
第28位 イタリア フランス
第29位 スペイン 韓国
第30位 タイ スペイン
世界経済フォーラム(WEF)国際競争力ランキング
順位 2006年 2007年
第1位 アメリカ アメリカ
第2位 イギリス スイス
第3位 デンマーク デンマーク
第4位 スイス スウェーデン
第5位 日本 ドイツ
第6位 フィンランド フィンランド
第7位 ドイツ シンガポール
第8位 シンガポール 日本
第9位 スウェーデン イギリス
第10位 香港 オランダ
第11位 オランダ 韓国
第12位 カナダ 香港
第13位 台湾 カナダ
第14位 イスラエル 台湾
第15位 フランス オーストリア
第16位 オーストラリア ノルウェー
第17位 ノルウェー イスラエル
第18位 オーストリア フランス
第19位 マレーシア オーストラリア
第20位 アイスランド ベルギー
2008年2月28日 FX検定 きょうの問題 デカップリング論
サブプライムローン問題を起点にアメリカ経済の景気後退が鮮明化しているが。アメリカ経済が後退しても新興国などの成長によって世界経済は上昇を続けるという理論を何と呼ぶか?
正解 デカップリング論
解説
2008年1月29日、IMF(国際通貨基金)は、2007年10月公表した「世界経済見通し」を下方修正した。2008年のアメリカの実質成長率を1.9%から1.5%へ、ユーロ圏を2.1%から1.6%へ、日本を1.7%から1.5%へと引き下げた。
アメリカ経済と他の国々の景気デカップリングは、アメリカ景気の減速のレベル、タイミングに起因する一時的な現象で、アメリカ景気の減速・後退が明確化し、大きくなれば、世界経済はリカップリング(再連動)していくというのが大方の見方である。
IMF(国際通貨基金)のデータによれば、世界の名目GDPに占める割合は、アメリカは過去10年間で30%から25%に低下している。同様に日本は14%から8%へ低下、ユーロ圏は22%から変化なしである。他の先進国は15%から16%へと微増している。上記の先進国全体は80%強から70%強へと低下している。反面、BRICsなど新興国は20%弱から30%弱へとシェアを拡大している。
中国の輸出は中国経済全体の成長に大きく貢献してきたが、中国からアメリカ、日本への輸出の割合は安定化し、寄与度は低くなりつつある。しかし、ユーロ圏にはユーロ高の影響もあって中国からの輸出は増大している。今後、ヨーロッパ経済の成長が鈍化してくると中国の輸出も伸びが止まる可能性も出てくる。
アメリカ、日本の景気後退がヨーロッパにまで波及した場合、BRICs経済にも影響が出てくるのは時間の問題である。したがってデカップリング論が通用するのも今のうちで、いずれ新興国も含めて景気後退が見られるだろう。
世界的景気後退は原材料価格にも敏感に反応すると思われます。現在、アメリカ株価の低迷と弱いドルの影響から世界的資金の多くが商品市場に向かっています。原油価格、鉱産資源価格、穀物価格の上昇は、現実的な需要以上に価格が上昇しています。景気後退とともにこれらの価格上昇も一旦は終息に向かうものと思われます。
世界株安、資源価格の下落が始まると、資金の流れは大きく変化します。これまで売られ続けたドル、円は再び買われることも考えられます。ニューヨーク株価、資源ともにドル建てですから、株価や資源価格が下がれば相対的にドルは買われます。円が買われる理由は、新興国に向かっていたリスクマネーが逆循環するためです。これらの資金の多くが円調達によって賄われていたため、調達した資金の返済が行われるためです。積極的に円を買おうとか、日本経済が安全だからではありません。
2008年2月現在のところ、急速なドル金利の低下に対し、追随しているのは英ポンドだけです。当面はドル売りが続くでしょうが、今後ECBがユーロの利下げをしてくるとドル買い、円買いが進んでくる可能性があります。
2008年2月25日 FX検定 きょうの問題 日本経済の低下傾向
世界経済に占める日本のシェアが低下している。かつて15%経済といわれ、世界全体のGDPの15%を占めた日本であるが、現在は相対的地位を下げている。2006年の日本のGDPは9.1%と24年ぶりに10%を割り込んだ。1993年当時、国民一人当たりのGDPは35,008ドルでOECD加盟国中世界第2位であったが、2006年は何位になっているか。
正解 18位
解説
日本の名目GDPは4兆3,755億ドル(2006年)で、アメリカに次ぐ世界第2位の地位は変わっていない。しかし、2年連続のマイナス成長、新興国、ヨーロッパ諸国の高成長で日本のシェアは後退するばかりである。
2006年日本国民一人当たりのGDPは3万4,252ドルで、1993年当時にも及ばない。OECD(経済協力開発機構)加盟国30か国中18位の順位は、国際比較データのある1980年以降で最低順位である。2005年は15位であるから凋落傾向は止まっていない。
1993年当時の為替レートと比較すると、2006年は円安であったことから単純な比較はできないが、購買力平価で換算したデータを見ても1997年以降は順位を落としており、2005年は16位になっている。
1993年のGDP国際比較
第1位 ルクセンブルク 39,674ドル
第2位 日本 35,008ドル
第3位 スイス 34,925ドル
第4位 ノルウェー 27,404ドル
第5位 デンマーク 27,101ドル
第6位 アメリカ 25,374ドル
第7位 ドイツ 24,691ドル
第8位 オーストリア 23,983ドル
第9位 アイスランド 23,225ドル
第10位 スウェーデン 22,944ドル
第11位 ベルギー 21,993ドル
第12位 フランス 21,885ドル
第13位 オランダ 21,419ドル
第14位 カナダ 19,653ドル
第15位 イタリア 17,964ドル
第16位 オーストラリア 17,621ドル
第17位 フィンランド 17,243ドル
第18位 イギリス 16,774ドル
第19位 アイルランド 14,234ドル
第20位 スペイン 12,986ドル
2006年のGDP国際比較
第1位 ルクセンブルク 89,840ドル
第2位 ノルウェー 71,857ドル
第3位 アイスランド 53,446ドル
第4位 アイルランド 51,421ドル
第5位 スイス 51,306ドル
第6位 デンマーク 50,791ドル
第7位 アメリカ 43,801ドル
第8位 スウェーデン 42,264ドル
第9位 オランダ 41,020ドル
第10位 フィンランド 39,796ドル
第11位 イギリス 39,573ドル
第12位 オーストリア 39,064ドル
第13位 カナダ 38,978ドル
第14位 オーストラリア 37,710ドル
第15位 ベルギー 37,674ドル
第16位 フランス 35,572ドル
第17位 ドイツ 35,368ドル
第18位 日本 34,525ドル
第19位 イタリア 31,444ドル
第20位 スペイン 27,925ドル
出典:内閣府
2008年2月15日 FX検定 きょうの問題 資源探査船「資源」
2008年2月11日 日本の資源探査船「資源」の納入式典が行われた。経済産業省は日本近海の石油、天然ガスなどの海底資源探索のための資源探査船の導入を進めていた。「資源」と命名されたこの探査船は、3次元探査船で、海底の地層を立体的に解析できる能力を持つ。
この先端技術を搭載した探査船は、実は造船大国である日本製ではない。この3次元資源探査船「資源」は、どこの国で建造されたものか?
正解 ノルウェー
解説
3次元探査船「資源」は、最初の仕事として中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所の沖合の海底地層を調査する。資源探査と同じ要領で、地震断層を調べられるという。その後は三陸海岸沖で調査にあたり、将来は海外での資源探査にも活用する。この船は全長86メートル、幅40メートル、総排水量約1万トンと資源探査船としては世界で最も大型の物理探査船である。
最新鋭探査船とはいえ買った船は中古船である。資源探査船は最新技術を常に更新しながら維持していくのが普通で、「資源」の場合も年間90億円の維持費がかかるようであるが、設備更新費用が含まれているのかどうかは不明である。このように最新設備を更新しながらの維持はコスト負担が大きいため、石油・資源開発会社は自ら探査船を保有することはなく、通常は探査会社に外部委託するのが常識らしい。「資源」は、資源エネルギー庁の保有となるが税金の無駄使いにならなければとの声も聞こえる。
日本近海には石油、天然ガスが多く埋蔵されているといわれている。またメタンハイドレートの埋蔵も確認されており、これらの開発が進めば、エネルギーの安定供給、中東に偏った原油供給源の分散などに役立ち、エネルギー安保の観点から期待されている。また、日本沖の太平洋大陸棚には、希少金属であるマンガン塊が多く存在しているとも言われている。
3次元探査船の就航はエネルギー開発の観点からも期待が大きい。英経済の復活は、サッチャー政権時の規制緩和から始まったが、同時に北海油田の開発によるエネルギー輸入国から輸出国への転換が大きかったといえる。冷戦の終焉、ソ連崩壊とともに瓦解した北欧経済であったが、いち早く立ち直ったノルウェーの資金的裏付けも原油、天然ガスの生産に端を発している。長期的凋落が見込まれる日本に、エネルギー資源の発見、開発が実現すれば、日本の新たな成長が見込めるかもしれない。
さて、今回の「FX検定 きょうの問題」の観点は、探査船である。世界有数の造船国であり、先端技術を有するはずの日本がこの船を造っていないところの着目したい。ノルウェーが世界有数の造船国であることは知る人も多いと思う。この3次元探査船「資源」を建造したのは、ノルウェーの企業である。購入金額は232億円とたいへん高価な船である。世界の造船量は、進水量によるシェアでは、韓国と日本が40%弱で圧倒的強さを誇っている。近年は中国が伸びており、第3位に浮上している。ドイツ、デンマーク、イギリス、スウェーデンが続いているが小さなシェアを分け合っているにすぎない。これらの国に次いでいるのがノルウェーなのである。ノルウェーは人口500万人足らずの小国ですから、人口比に占める造船業の割合は高いものがあります。
ノルウェー商船隊は世界第3位の規模で、世界の商船の10%に相当する。多くの商船がノルウェー船主の所有であるが、第三国経由の国際貿易も行っている。海運業の運賃収入は、同国輸出収入(石油、ガスを除く)の20%のシェアを占める。
ノルウェーの造船業の特徴は、特殊船の建造にあります。ノルウェーは漁業大国でもあります。最先端の技術を駆使した近代漁業に適合した漁船の開発、畜養漁業などと合わせて特筆すべき技術を持っています。ノルウェー・サーモンは日本でも有名ですが、世界中のサーモンのなかで生食・刺身で食べられるのはノルウェーの養殖によって育てられたものだけです。サーモンは寄生虫がつきやすく、本来は刺身で食べませんでした。日本でも「るいべ」など一旦凍らせてから食べるのが一般的でしたが、ノルウェー産サーモンが輸入されるようになってから廉価なサーモンの刺身が提供されるようになりました。チリ産サーモンの刺身を見ることがないのはこのような理由からです。
ノルウェーの水産養殖技術は、技術、生産性、品質に優れており、世界中で評価されています。ノルウェーの水産養殖物の輸出は全世界の魚類輸出の30%にも及んでいる。
ノルウェーは日本と並んで古くからクジラ漁が盛んな国である。またノルウェー沖は、北アメリカからの北大西洋海流(ノルウェー海流)と東グリーンランド海流がぶつかる世界有数の漁場でもある。サーモンの養殖などに適したフィヨルド、多くのバンク(浅堆)を擁する豊かな北海漁場を領海に持つ海洋国家である。このような背景から漁業関連の技術、特に養殖技術、魚群探知機などの機器、冷凍技術などが発達し、近年では漁業から離れてマリンスポーツ、マリンファッションなどへと展開している。
ノルウェーの造船は漁業関連ばかりではない。北海で石油、天然ガスが採掘されるようになり、海上油井、試掘船、探査船などの海洋調査、資源開発関連の特殊船建造が得意分野となっている。特殊分野、先端技術によって高付加価値を生む産業構造となっているのである。ノルウェー造船業は、小型漁船や艦艇の建造を中心に発達した。現在では、オフショア・サービス船、半没型建造物、採掘船、及びオフショア関連ユニットや機器の建造・製造が主なビジネスである。
1960年代に北海油田は発見されたが、開発が進んだのは最近20年ほどである。この間にソ連崩壊による経済的打撃を受けているが、資源開発とともに産業構造も大きく変化した。かつては第1次産業(漁業、林業)、製造業、建設業が中心であったが、近年は、公共部門、サービス業が産業の中心となっている。公共部門の多くは実質国営石油企業であるSTATOILを頂点とした石油・天然ガス産業に関連している。ヨーロッパ諸国の多くは天然ガス供給をノルウェーに依存している。また、ノルウェーの輸出の30%以上が石油関連である。
ノルウェーの主要造船所は、Aker Yards Group、Ulstein Group、Umoe Groupの3大造船グループがある。
Aker Yards Groupは、全世界に13の造船所を所有し、売上高では世界第4位の大造船企業である。同社のノルウェー国内の造船所は、Aker BraattvagとAker Brevikである。Aker Braattvag造船所の顧客の大部分は石油会社と関連サービス企業で、同造船所はオフショア船建造のグローバル・リーダーである。その他、ケーブル敷設船、ダイビング支援船、RORO船、地質調査船、ケミカル・タンカー、フェリー、トロール船等の建造も行っている。従業員数は4,000人である。Aker Brevik造船所は、プラットフォーム補給船(PSV)、アンカー・ハンドリング・タグ・サプライ船(AHTS)等のオフショア船建造を専門としているが、ROROフェリー、漁船、オフショア及び陸上プロセス・モジュールの建造も行っている。従業員数は約2,800人である。
Aker Yardsは8500人乗船可能な巨大客船を受注した。受注元はRoyal Caribbeanで受注額は9億ユーロ、世界で最も高額な客船となる。完成は2009年で、幅47m、長さ360m、水面からの高さ65m、8500人の乗船が可能な世界一巨大な客船でもある。
ノルウェー南部Mandalに位置するUmoe Mandal造船所は、Umoe Gmupの100%子会社で、ノルウェー海軍向け艦艇に使用されることの多いファイバー強化プラスチック(FRP)製品を製造している。Umoe Mandalは、艦艇及び商船建造工程オートメーション化への研究開発に多額の投資を行っている。
Ulstein Groupは、オフショア産業向け特殊船、ケーブル敷設船、メンテナンス及び建設作業船の開発、建造、販売に高い専門性を持ち、船舶の設計、建造以外にも舶用電気・電子システムの製造を行っている。同社は約400人を雇用し、その4分の3は、ノルウェーUlsteinvikに位置する造船子会社Ulstein Vertの従業員である。
ノルウェー海事クラスター内の総雇用者数は約75,000人で、その多くはサポート・セクターに従事している。ノルウェー海事保険会社の世界シェアは30%に上る。
ノルウェーの舶用機械製造業は製品の60%を欧州その他の国外市場に輸出している。ノルウェー舶用企業は、ウィンチや照明設備から最新鋭の貨物電子制御システムや安定装置等、幅広い製品を製造している。また、漁船用機器もノルウェー舶用メーカーが得意とするニッチ製品である。
2006年末、ノルウェーのエネルギー・金属大手ノルスク・ヒドロとノルウェー石油大手のスタトイルは石油・ガス事業の統合に合意した。この統合により海洋油田からの原油生産では世界最大の企業となった。
統合会社の出資比率はノルスクが32.7%、スタトイルが67.3%。2007年の生産量は日量190万バレルになる。確認埋蔵量は原油とガスを合わせ、同630万バレルまで拡大する。両社の大株主であるノルウェー政府の出資比率は62.5%になる。ノルスク・ヒドロは石油・ガス事業を切り離し、世界でも有数のアルミニウム事業に集中する。
2008年2月8日 FX検定 きょの問題 鉄鉱石メジャー、BHPビリトンがリオ・ティント買収
鉄鉱石産出の世界3大メジャーの第2位企業BHPビリトンが第3位のリオ・ティントに対し買収提案を出している。では、世界最大の鉄鉱石メジャーはどこか?
正解 リオ・ドセ 2007年末、社名をヴァーレに変更
解説
オーストラリアに本店を置く英豪系資源メジャーのBHPビリトンが同じくオーストラリアに本社を置くリオ・ティントの買収提案をおこなっている。
買収額はまだ確定していないが、2008年2月6日現在の報道によれば、買収提案額は1474億ドル、株式交換(リオ株1株に対しBHP株3.4株)による買収案を出している。
リオ・ティント株の50%取得が最低条件としており、リオの株主は買収後の新会社株44%を保有することになる。
買収が成立すると鉄鉱石市場で70%のシェアを持つスーパーメジャーが誕生することになる。1474億ドル(約15兆7000億円)に及ぶ買収額は、鉱山株市場最大の買収劇となる。
世界の鉄鉱石市場では、輸出シェアの80%をリオ・ドセ、BHPビリトン、リオ・ティントの3社で占めている。世界の鉄鉱石生産は、ブラジル (21.1%)、オーストラリア、中国、インド、ロシアの上位5カ国が70%を占める(2002年)。
1937年の統計では、アメリカ、スウェーデンの2国で世界シェアの85%を占めていたが、その後、世界の生産・需要はともに増大し、現在はこの2国のシェアは7.7%まで落ちている。
2003年度の国別輸入量は、中国が28.5%、日本が26.1%、韓国が8.6%、台湾が3.1%と、東アジアだけで2/3を占めている。世界の鉄鉱石の50%は中国の需要によるものである。
中国も鉄鉱石生産では上位にあるが、中国の鉄鉱石は品質が悪くFeの含有量は30%程度であるのに対し、オーストラリア、ブラジルなどで生産される鉄鉱石は65%の含有量がある。鉄鉱石は通常40%から50%の含有量が採算ラインと言われている。
コスト・品質の面から商業的な鉱山が操業できるのは、オーストラリア、ブラジル、中国、カナダ、インド、ロシア、アメリカ合衆国、ウクライナだけである。
世界の鉄鉱需要の50%を占める中国は、資源確保に躍起になっている。2005年11月、中国中鋼集団(シノスティール)は、オーストラリア中西部で鉄鉱石鉱山の開発を手がけるMidWest社と、2カ所の鉱山で、合弁による開発を進めることで合意した。
さらに、2008年2月、中国の国営アルミ企業である中国アルミ業公司(チャイナルコ)は、米アルミメーカー大手のアルコアと共同でリオ・ティント株の12%を約140億ドル(約1兆5000億円)で取得している。
また、これに先立って、中国国家開発銀行が1%以下のリオ株を取得している。世界第1位のブラジル企業リオ・ドセには三井物産が15%の株式保有をしている。
また、リオ・ドセは、新日鉄と資本技術提携しているブラジル・ウジミナス製鉄所の最大株主でもある。ブラジル最大・世界有数の鉄鋼会社ウジミナス製鉄所には、投資窓口会社としての日本ウジミナスが21.6%を保有しており、新日鉄は日本ウジミナスの50.9%を保有している。またウジミナス本体の1.7%も保有している。
日本ウジミナスには三菱商事も出資している。これら一連の連携は、世界最大の鉄鋼メーカー、アルセロール・ミタルに対する対抗措置でもあり、資源確保、ブラジル国内、アメリカで生産する日系自動車メーカーに対する鋼板供給体制の一環でもある。
ブラジルから輸出される鉄鉱石は三井物産、三菱商事を通して新日鉄や新日鉄の資本・技術提携先である韓国ポスコ、中国上海宝鋼集団などへも供給されている。海運は日本郵船が担当している。韓国ポスコはブラジルに高炉建設も進めている。独クルップも建設予定があり、近い将来、ブラジルは世界最大級の鉄鋼生産国となるだろう。
- ブラジルでの鉄鉱石採掘
追記ちなみにBHPビリトン、リオ・ティントともにロスチャイルド系資源会社ですから実質的オーナーシップは変わりません。中国政府によるリオ・ティント株取得などとの兼ね合いで考えると、ロスチャイルドvs中国政府の構図も見え隠れしてきます。
ロスチャイルド⇒ゴールドマン・サックッス⇒三井住友銀行
三井物産⇒リオ・ドセ⇒ウジミナス
新日鉄⇒ウジミナス
新日鉄⇒ポスコ
この流れも何を意味しているのかじっくり考える必要がありそうです。
2008年2月1日 FX検定 きょうの問題 バイオエタノール
日本の二酸化炭素排出削減がうまくいっていません。京都議定書では、1990年を基準年として、2012年までに6%の削減目標があります。日本は、産業面での削減はそれなりの成果を出し始めていますが、輸送、民間部門での削減が進まず、むしろ増大傾向です。輸送部門の二酸化炭素削減策として国土交通省が提案しているバイオエタノール混合燃料を何というか。
正解 E3
解説 国土交通省は、2012年までにニ酸化炭素の排出量を削減する方策の一つとしてバイオディーゼル燃料の規格を提唱し推進している。植物由来のバイオエタノールを主原料としたバイオディーゼル燃料は、元々植物が光合成によって大気中の二酸化炭素を取り込んでいるので、そこから得られるエネルギーは、トータルの二酸化炭素排出がゼロである。つまり再生可能エネルギーであるといえる。
日本政府は、2003年12月、石油代替で環境にやさしいバイオ燃料を推進する「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定、自動車用燃料としての利用を進めるためのバイオマス化研究を進めている。その結果、2007年からガソリンに3%のバイオエタノールを混合させたE3を供給するシステムを構築し始めた。
E3のアルコール混合率は3%であるが、今後、順次この比率を高めていく予定である。現在はE20などの実証実験も同時に行われている。政府が進めるこの計画にはいくつもの問題がある。政府が進めるこの計画とは別に、石油元売り会社の団体が進める別のプロジェクトが進行しているからである。石油連盟が推進しているバイオ燃料は、ETBEという規格である。
ガソリンにETBEを配合したバイオガソリンの販売を系列ガソリンスタンドを通して行っているのである。ETBEは従来のガソリン燃料と全く同じように供給が可能で、不況、ガソリン価格の高騰に苦しむガソリンスタンドにとっては追加的投資が少なくて済むという利点がある。
ETBEは初めから混合燃料として供給されるため、店頭での作業や機材を必要としないのである。それに対しE3は順次配合比率を高めていく過程にあるもので、混合するための機材、専用タンクなど新規投資を必要とする。経営が苦しいガソリンスタンドにとっては死活問題であり普及のための足かせとなる。
これらの規格が並立しているため、国全体をトータルで考えたとき、二酸化炭素の削減が、どこまで効率的に行えるか疑問が出ている。また、日本の場合は、このバイオ燃料の原料になる植物自体が輸入に頼らざるを得ず、輸送によるコスト、輸送に費やす燃料の二酸化炭素排出を考慮すると効果を上げられないだろうというのが識者の意見である。
これらの燃料シフトはアラブからの原油輸入をアメリカ、オーストラリアなどからの穀物輸入に代替するだけであり、世界の食糧事情を考えると意味がないという意見もある。過去の実績から考えると、バイオ燃料の推進に資金を投入するよりも、クリーンディーゼルの推進、効率的ガソリンエンジンの開発に資金を注ぎ込んだほうが二酸化炭素削減効果、資金効率どちらの観点からも良策であるといえる。
政府、国土交通省の利害関係、利権がどこにあり、なぜ非効率的な規格を推進するのかは不明であるが、単なる税金の無駄使いにすぎないと思われる。民間が推進する規格に税制、法整備などのインセンティブを与えながら誘導するのが国益に適うものと思うが、国土交通省、農水省の予算削減は、国家官僚の利害に反するものようである。
2008年1月28日 FX検定 きょうの問題 モノライン
アメリカで「モノライン」ショックが走っている。モノラインとは、金融保証業務だけを行うを専門会社のことであるが、これに対し、一般の保険会社は複数の保険を扱う。これを何と呼ぶか。
正解 マルチライン
モノとは単一のという意味である。一般の保険会社は複数の保険を扱いマルチラインといわれる。モノラインは、金融債務のみを対象にした保証事業だけを行うのでモノライン(単一の事業)という。証券の発行主体から保証料を受け、債務不履行時には予定通りに元利払いをする。アメリカの大手企業はアムバック、MBIAなどがある。日本では信用保証協会がそれに相当するが、保証形態が異なる。モノライン保険が保証することでのメリットは、発行体にとり、信用補完されるということや金利削減効果などがあるといわれる。
サブプライムローンは信用力の低い顧客向けのローンで、高い金利が設定されている。当然事故率も高まるので、与信能力を補完するために債務保証保険を付加することになるが、この保険を引き受けるのがモノラインである。今回の問題は、サブプライムローン証券に対する保証というよりも、サブプライムローン債務者が同時に使用しているカード、クレジット債権に対する事故率が高まり、それがモノラインの経営を圧迫すると言われていることである。
米金融保証(モノライン)会社が加盟する金融保証保険協会は経営不安を否定しており、資本の問題ではなく流動性の問題であると言っているが、サブプライムローンの不良債権化が進めば必然的にモノラインの保証負担も増大し、業績が悪化すると見られている。税金を投入した救済が噂されているが協会会長はそれを望んでいたいと発言している。各社がトリプルAの格付けを維持する、あるいは、たとえ格下げされることがあっても格上げを目指す強い意向を持っているとした。
2008年1月25日 FX検定 きょうの問題 世界経済フォーラム開催1月23日-27日
毎年1月、スイスで開催される国際会議は何と呼ばれるか。2008年は、1月23日から27日まで開催されるが福田首相も急遽参加すすることが決まった。
正解 ダボス会議
正式名称は世界経済フォーラム(World Economic Forum)、開催地がスイスのリゾート地ダボスであることからダボス会議と呼ばれる。
世界経済フォーラムは、元ジュネーブ大学の教授であったクラウス・シュワブが主催する非営利団体である。1971年にシュワブ氏が「ヨーロッパ経営者フォーラム」として設立し、年次総会がこの時期に開催される。地域会議は年中開催されている。シュワブ氏は現在も理事長に就いている。
世界経済フォーラムは、地球上に起こる、主要な社会的・経済的問題に関して対話、議論を行う理想的な場所とされている。しかし勝ち組グループの会議であるとの批判もある。同じ批判は主要国首脳会議(サミット)にもあり、的を射ている。
加盟者は年間3万ドルの会費を払う必要がある。加盟する企業のトップ、政治家、学者、ジャーナリストなど招待客は3000人にも及ぶ。批判勢力からは、エリート主義者たちのフォーラムで、民主政治を通さずに、秘密主義的な意思決定を行っていると批判されている。
2007年の年次総会では、日本からは経済同友会、日銀、NTT、日本経済新聞社、日産、トヨタなど34社の経営者が参加した。出席者の大半はヨーロッパ、アメリカ、中東であり、他のエリアからの参加は少ない。
この会議では、世界の政治リーダー、世界的企業の経営者、有力投資家が一堂に集まることになり、さまざまな世界潮流を生む決定がこの場でなされると言われている。竹中平蔵氏は、この会議の重要性を常々強調しているが、理解しているのは一部の大企業、エリート官僚、日銀など限られた人たちだけのようである。サミットのように、世界の注目を集める中での議論以上に、実務的決定がなされる場として注目されている。
ダボス会議は秘密会議ではないが、民主的決定を経ることなく、世界の権力者が集まってさまざまな決定がなされることから批判が多い。同様に、ビルダーバーグ会議、3極会議、フリーメーソンリー、外交問題評議会(CFR)など秘密性をもった会議から比べたらオープンな姿勢とも取れるが世界の権力者会議のひとつであることに違いはない。ここに積極的に参加しない日本の政治家の国際感覚の欠如に落胆を表明する人間も少ないのは残念である。
2008年1月18日 FX検定 きょうの問題 アメリカ大統領選予備選挙
アメリカ大統領選予備選が始まっている。アイオワ州の結果は、民主党は、オバマ候補がヒラリーに勝利した。共和党は、ジュリアーニ候補、マケイン候補が回避したためハッカビー候補が勝利した。その後、ニューハンプシャー州では、民主党はかろうじてヒラリー候補が勝ち、共和党はマケイン候補が勝利した。
2008年2月5日22州で大統領選予備選が集中する。この日を何と呼ぶか。
1 スーパーチューズデー
2 メガチューズデー
3 ブラックマンデー
4 ホワイトフライデー
正解 2 メガチューズデー ⇒ スーパーチューズデー
追記:予備選の本番が近付くにつれ、日米ともにメガチューズデーという言葉は使われなくなり、従来から使われていたスーパーチューズデーに使用統一されてきたようです。
解説
2004年のアメリカ大統領選予備選では、3月に多くの州で予備選が集中したためスーパーチューズデーと呼ばれたが、2008年の選挙では、予備選日程が2月に前倒しされ、メガチューズデーと呼ばれている。
アメリカ大統領選予備選が始まっているが、この選挙は単なる選挙とは事情が異なる。アメリカ経済は世界経済に大きな影響を与えるが、その政策を決定するのはアメリカ大統領であり、すのスタッフである。過去の事例を見れば歴然であるが、大統領選のスタッフがそのまま、閣僚やホワイトハウスのスタッフになるのである。各候補者は人種、学歴、所得レベル、宗教、経済政策、倫理観、福祉政策、税制などで政策・思想を国民に提示し、支持票を集めながら選挙戦を闘っていく。予備選の動向を見ることはアメリカ国民の民意を見ることになり、今後のアメリカの政策を占うことができるのである。
総じてアメリカ大統領選挙の年は株価が上がるのが通例であるが、2008年は原油高、サブプライムローン問題を背景に経済は後退を強いられている。しかし、選挙戦はまだ序盤である。民主党、共和党の各候補が絞られるまでに何らかの景気刺激策が採れるだろう。
ブッシュ大統領は任期までに何らかの成果を上げようと、中東和平、イラク、イラン、北朝鮮などで前進を見せる可能性が高い。内政では所得減税、企業に対する償却期間圧縮などの実質減税策、共和党候補者支援と歴史に名を残したい名誉欲で何らかの人気取り政策を実施すると予想されます。
サブプライムローン問題は、ますます金融機関の損失額が膨らんで問題が多くくなってきているように見えます。しかし、日本のバブル崩壊時を思い起こすと、日本の銀行・金融機関は損失を隠蔽し、裏帳簿で隠し、簿外化し、飛ばしなど不法行為がまかり通っていました。それに比べればはるかに迅速な対応に見えます。
つい最近まで栄華を誇っていたシティバンクも巨額の損失を出し、アブダビ金融庁、サウジアラビアのアルワリド・ビンタラール王子がシティバンクの金融支援を受ける結果となったが、日本の銀行の日本政府からの資金注入までの期間を考えれば、素晴らしく迅速な対応である。ロスチャイルド傘下の各銀行がアラブ諸国の資金を導入している姿にシナリオが見え隠れしますが解説は場を改めます。
以下は各候補者の政治基盤と支持層についてのブリーフィングです。
民主党
オバマ候補
アフリカ系アメリカ人 46才 ハワイ出身 プロテスタント 弁護士
支持層は、若年層、高学歴インテリ層、黒人、ヒスパニックなどのマイノリティ
政治思想はリベラル、改革派、無党派層も支持、ハーバード大学ロースクール卒
貧困層救済の草の根社会活動から上院議員 人権派弁護士
取り組むべき課題として年金、医療保険、大学授業料、石油依存からの脱却をあげている。
新自由主義経済政策に反対、全候補者の中でもっともリベラル 対イラク戦争反対
アフガニスタン、パキスタンへの増派支持 核兵器反対
ヒラリー候補
プロテスタント・メソジスト 弁護士
1965年大学時に校内青年共和党党首、反戦意識から辞任
低所得層、高年齢層、女性、白人、
医療問題に強いがクリントン政権時に失敗
共和党
ハッカビー候補
前アーカンソー州知事 プロテスタント福音派バプティスト教会牧師
アイオワ州で勝利
イランとは融和、イラク駐留継続、妊娠中絶反対、同性愛反対、親イスラエル
ダーウィンの進化論否定、共和党保守派
ロムニー候補
前マサチューセッツ州知事 モルモン教徒 MBA 法学博士
スタンフォード大学⇒モルモン教宣教師として渡仏⇒帰国後ブリガムヤング大学(モルモン教の大学)
ソルトレークシティ・オリンピック組織委員会会長として手腕を発揮
マサチューセッツ州知事として州財政再建に成功 同性愛反対 妊娠中絶容認 死刑復活論者 共和党穏健派
イラク戦争支持 対イラン強硬
マケイン候補
パナマ生まれ 海軍兵学校卒業 プロテスタント福音派バプティスト教会
共和党保守派 外交・安全保障政策は政界でも最も強硬派で介入主義者 ミシガン州予備選で勝利
海軍士官としてベトナム戦争従事 ベトナムで抑留体験あり 祖父、父ともに有名な海軍提督 息子は海兵隊員
北朝鮮強硬派、拉致問題に関心が高い 日本の核武装支持 ボクシング・フリーク
共和党最有力候補のひとり 不法移民合法化賛成(保守派は反対) ラムズフェルド前国防長官とは対立
ジュリアーニ候補
元ニューヨーク市長 イタリア系移民で傍系ユダヤ人 カトリック教徒 弁護士
市長在任中に犯罪が激減 同時多発テロ時に対テロ戦争宣言 全国的に支持率が高い
レーガン政権時の司法副長官 1983年連邦検事としてマフィア掃討作戦を指揮
ニューヨークのファイブ・ファミリーと呼ばれるマフィア・ガンビーノ一家のボス・カステラーノの摘発、起訴し有罪に持ち込んだ実績がある。マイケル・ミルケンの摘発など経済事件にも強い
共和党穏健派 予備選では序盤戦を放棄している。妊娠中絶容認 同性愛反対(権利は容認) 銃規制を主張する唯一の候補
全米ライフル協会とは対立 外交では強硬派 経済政策は「小さな政府」支持 親イスラエル派 対イラン強硬派
保守系国民にとっての最大の関心事は、中絶問題、同性愛問題です。この問題抜きにアメリカ大統領選は語れません。
予備選挙・党員集会
2008年2月5日が予備選挙の集中日「メガ・チューズデー」
2008年1月 - 3日アイオワ(40)、5日ワイオミング(28のうち12)、8日ニューハンプシャー(24)、15日ミシガン(60)、19日ネバダ(34)・サウスカロライナ(47)、29日フロリダ(114)
2008年2月 - 2日メーン(21)
2008年2月5日 - アラバマ(48)・アラスカ(29)・アリゾナ(53)・アーカンソー(34)・カリフォルニア(173)・コロラド(46)・コネチカット(30)・デラウェア(18)・ジョージア(72)・イリノイ(70)・ミネソタ(41)・ミズーリ(58)・ニュージャージー(52)・ニューヨーク(101)・ノースダコタ(26)・オクラホマ(42)・テネシー(55)・ユタ(36)・ウエストバージニア(30のうち18)
2008年2月 - 9日ルイジアナ(46)・ワシントン(40のうち18)、12日ワシントンDC(19)・メリーランド(37)・バージニア(63)、19日ウィスコンシン(40)・ワシントン(40のうち19)
2008年3月 - 2日ハワイ(20)、4日マサチューセッツ(43)・オハイオ(88)・ロードアイランド(20)・テキサス(140)・バーモント(17)、11日ミシシッピ(38)
2008年4月 - 1日カンザス(39)、22日ペンシルバニア(74)
2008年5月 - 6日インディアナ(57)・ノースカロライナ(69)、10日ワイオミング(28のうち16)、13日ネブラスカ(33)・ウエストバージニア(30のうち12)、20日ケンタッキー(45)・オレゴン(30)、27日アイダホ(32)
2008年6月 - 3日モンタナ(25)・サウスダコタ(27)・ニューメキシコ(32)
2008年1月14日 FX検定 きょうの問題 2008年2月18日 パキスタン総選挙
亡命中であったブット元首相が帰国し、暗殺された。
ブット元首相が属していた政党はどこか?
正解 パキスタン人民党(PPP)
解説
パキスタン情勢はアフガニスタン問題を抜きに語れない。
タリバンは、もともとイスラム原理主義に基づいた学生運動に端を発する。アフガニスタン内乱の時代には、モラルなき武闘派の暴力行為に対し嫌気していた民衆からの支持を受けていた。当初は、アフガニスタン統一を願う純粋な学生運動として非暴力が主流であったからだ。
1996年に首都カブールを制圧後はアフガニスタン全域を支配下に置く頃には、ナジブラ大統領を公開処刑するなど過激な行動が目立つようななる。タリバンはパシュトゥーン人と連合しつつアルカイーダとも連携を強めることになる。その結果、過激原理主義、偏狭なイスラム解釈のもとに強圧的になり、国民の支持を失っていった。
タリバンの学生運動はソ連のアフガニスタン侵攻に対するレジスタンスでもあり、当時は、アメリカ政府、パキスタン政府もタリバンを支援していたのである。当時のパキスタン首相が暗殺されたべナジル・ブットである。ブットは父親の政党であるパキスタン人民党(PPP)を率いて、1988年に首相に就任した。ブットは、当時は穏健であったタリバンをアメリカとともに支援していた。アフガニスタンが安定すれば、中央アジアとの貿易回廊が開け、パキスタンは地政学的に優位な場所にあったからだ。
ブット首相は、1990年8月、汚職を告発されて当時の大統領から首相を解任された。同年10月に行われた総選挙でもパキスタン人民党は破れ、野党に転じた。その後、1993年10月、総選挙で勝利したパキスタン人民党は、再びブットを首相として送り込んだのである。しかし、1996年11月、再び汚職が原因で首相を解任されている。
告発された汚職はスイス企業に対する便宜供与であるが、スイス国内ではマネーロンダリング罪で訴追されていた。常に金にまつわる噂がつきまとい、亡命中も人物的評判は良くなかった。しかし、パキスタン国内では民主勢力の代表として国民の人気は高かった。反面、汚職にまみれる腐敗政治に嫌気をさして国民の支持も離れていた。
アメリカ政府、イギリス政府は、両国の意向を汲み取る存在として亡命中のブットを帰国させたとの観測があるが、ムシャラフ大統領もブット人気を利用してたという向きもある。いずれにせよハーバード大学、オックスフォード大学大学院卒の国民的人気者を放置しておく手はないと考えたのであろう。
現在のパキスタンの政治勢力は、ムシャラフ大統領を支持するパキスタン・ムスリム連盟カーイデ・アーザム派が議会第一党であるが基盤は盤石ではない。
2007年11月、ムシャラフ大統領は、最高裁と対立して軍を出動させ非常事態宣言、戒厳令を発令した。対立点は大統領職と軍参謀長の兼任についてである。この発令は、独裁政権への移行と捉えられ、事実上のクーデターと解釈される。そのため国際世論に配慮して11月28日、軍参謀長を辞任し、12月16日には非常事態宣言を解除した。さらに2008年1月8日、現憲法下で「自由で透明性のある方法」で総選挙を実施すると公約している。
- JETRO パキスタン
2008年1月11日 FX検定 きょうの問題 原油価格高騰 WTI 100ドル超
原油価格が高騰を続けている。
2008年初頭、WTI原油価格は100ドルを突破した。
原油輸出国のうち非OPEC国で最大輸出国はどこか。
正解 ロシア
解説
原油価格が高騰しているが、その原因として複数の要因が考えられる。
基礎的要因としては需要の拡大である。BRICsを始めとした新興国の需要が増大している。
これらの国は人口も多く経済成長率も著しく伸びている。
また、自動車需要も急速に高まっているため石油需要が旺盛である。
ロシア、ブラジルは産油国であり、輸出国でもあるが、国内需要も高まっている。
中国はかつては輸出国であったが、現在では大幅な輸入国となっている。
インド、中国は人口も多く、これらの国での発電燃料、自動車燃料としての原油需要が高い。
供給サイドから見ると増産余地は小さい。
ブラジル、オーストリアなどで増産しているが世界需要に追いついていない。
ロシアの産油設備は老朽化が激しく、新規投資は進んでいない。
原油価格高騰のためロシア国内の増産は行われているが油田の枯渇も問題化している。
このような需給状況を背景に、イラク、イラン、アフガニスタンなどの紛争が相変わらず続いている。
アフガニスタンの安定化を目指すアメリカが、亡命中のブット元パキスタン首相を支援して帰国させたがテロに屈した。
そしてナイジェリアの紛争激化である。
大統領選に絡む内紛が直接的原因であるが、この国の内紛の遠因は常にニジェール川デルタで産出する原油利権がらみである。
また、ナイジェリアは南アフリカに次ぐアフリカ有数の軍事大国でもある。隣国リベリアの内紛に介入するなど大国としての振る舞いが目立つ。
しかしこれまでの紛争介入は民主勢力に対する支援であり、国際的には評価されるものであった。
反面、国内の民主化に対しては利権問題が絡んでいるためか及び腰である。
ナイジェリアはOPEC加盟国であり、国家歳入の70%を石油に頼っている。
かつてのカカオ生産は衰退し、政治腐敗と放漫財政による慢性的な累積赤字により国家の財政基盤は破綻寸前である。
ナイジェリアの紛争の争点は石油利権争いであり、国内問題でありながら国際問題である点で影響が大きい。人権問題などを問題としない中国が石油利権獲得を狙って進出している。日本から中国への円借款は終了したが、継続中であった時代から非借款国の中国がナイジェリアに対し借款を実施していた。また、韓国企業も資金供与するなどして石油権益を獲得している。
OPECは2006年12月ナイジェリアで第143回総会を開いた。総会では2007年1月1日からアンゴラ共和国を12番目の加盟国として迎えることを決定した。OPECへの新規加盟は、1975年のガボン(1996年に脱退を表明)以来、32年ぶりの新規加盟である。
アンゴラの加盟で、OPECの埋蔵量のシェアは69.1%(2006年末)、生産高では42.1%となった。非加盟国であるスーダン、オマーンもオブザーバーで参加しており今後拡大の可能性もある。石油価格の高止まりの中、OPECの影響力は強まるかもしれない。
OPECに加盟すると生産枠が決められ、OPEC全体としての生産量を調整している。
石油輸出
第1位 サウジアラビア
第2位 ロシア 非OPEC
第3位 ノルウェー 非OPEC
第4位 イラン
第5位 ナイジェリア
第6位 メキシコ 非OPEC
第7位 アラブ首長国連邦
第8位 ベネズエラ
第9位 カナダ 非OPEC
第10位 イラク
2008年1月7日 FX検定 きょうの問題 ユーロ圏拡大
2008年1月1日 ユーロを自国通貨として採用する国が2ヶ国加わった。
ユーロ参加国は何ヶ国になったか。
正解 15ヶ国
解説 地中海の島国、キプロス、マルタの2カ国がユーロ導入となった。キプロスは、キプロス・ポンド、マルタは、マルタ・リラがこれまでの通貨であった。
この2ヶ国の追加でユーロ圏は15ヶ国、総人口3億2,000万人に拡大した。ユーロを導入するには、単年度の財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑えなければならない。両国は2004年にヨーロッパ連合(EU)加盟国となりユーロ圏参加の準備を進めていた。
ユーロ導入国は以下のとおり
ドイツ
フランス
イタリア
オランダ
ベルギー
ルクセンブルク
スペイン
ポルトガル
フィンランド
ギリシャ
アイルランド
オーストリア
スロベニア
キプロス
マルタ
ユーロを採用することのメリットは通貨交換の必要がなくなることである。これにより欧州連合全体のGDPに対し0.4%のコスト削減となる。金額にして131億-192億ユーロのコスト削減ができている。
2007年12月28日 FX検定 きょうの問題 日本の対米輸出比率
サブプライムローン問題を起点としたアメリカの景気後退が2008年から本格化すると思われる。アメリカの景気が悪くなると日本の輸出産業に大きな影響が出ると思われるが、日本の輸出を国別に見たとき、アメリカの割合は何%くらいか。(日本貿易月報2005年のデータ)
A 53%
B 43%
C 33%
D 23%
正解 D 23%
日本の輸出に占める対米比率は年々低下しつつある。
2005年 22.5% 14兆8,055億円
2000年 29.7% 15兆3,559億円
1980年 24.2% 7兆1,181億円
1960年 26.7% 3,898億円
対米比率が下落している理由は、対米輸出が伸び悩んでいるのに対してアジアへの輸出が急増しているからである。
2008年は、サブプライムローン問題が本格的に処理の段階に入り、アメリカ経済は停滞することが予想される。バブル崩壊以来、日本は輸出主導で経済成長を牽引してきた。特にアメリカ経済が好調だったため自動車などの輸出が好調であった。この輸出が悪化することになる。
しかし、日本のアメリカ経済依存度は徐々に小さくなりつつある。好調だったヨーロッパ経済とユーロ高円安に支えられてヨーロッパへの輸出も伸びた。それ以上に中国を中心としたアジアへの輸出は大幅に増大している。
内需拡大の芽がない日本経済は輸出に頼らざるを得ない。ドル安に伴う円高で輸出企業にとっては不利に見える状況だが、対人民元、対アジア通貨では決して円高ではない。対米輸出の不振は、非アメリカ諸国への輸出で賄うことになるだろう。
輸出企業の心配よりもむしろ輸入価格のほうが心配である。対ドルを除く円安は日本の購買力の低下につながっている。原油価格は100ドルを超えようとしている。大豆、トウモロコシの価格は史上最高値を更新している。世界的な日本食ブールの中、魚の調達ができていない。欧米、新興国に買い負けているのである。
マグロなど漁業資源の保護、漁獲量制限で供給も先細りである。栽培漁業の規模拡大にも時間がかかりそうである。成長なきインフレの足音がだんだん大きくなってきている。
2007年12月24日 FX検定 きょうの問題 サブプライムローン問題とアメリカ景気後退
2007年8月以降、アメリカのテレビ、新聞、雑誌、インターネット・メディアなどで、The R Wordという言葉が多く出るようになっている。
このThe R Wordとは何を意味しているのか。
正解 Reccession
景気後退2007年7月以降、アメリカのサブプライム問題を起点とした世界的信用不安が広がっている。アメリカ経済のダウンサイド・リスク増大、株価の急落、為替の大幅な円高などこれまでとは大きく環境が変化してきた。
アメリカではITバブルの崩壊と同時期に不動産投資が活発化してきた。日本経済は景気後退を強いられたが、アメリカは不動産景気に助けられ、長期にわたる好景気を享受してきた。ヨーロッパ、カナダ、オセアニアも同様に不動産景気による景気浮揚の要素は大きかった。
そのアメリカで住宅バブルが崩壊した。大都市で価格が下落しはじめ、不動産市況は大幅に悪化しつつある。住宅価格の値上がりを前提にした住宅ローンの借り手が、含み損を抱えて身動きが取れなくなるケースが頻発しているのである。
さらに住宅ローン債権を組み入れた証券化商品がアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、アジアなど世界中の投資家によって保有され、さらに証券化商品を組み入れたファンドが多く存在するなどリスクは世界中に広く、浅く分散化された。その結果、リスクの所在が不明確であると、市場の不安心理を高めている。
欧米の短期金融市場では資金の貸し渋りが出て金利が急上昇する場面が頻発している。欧米4中央銀行は、連携して市場に資金を供給する仕組みを作り緊急の資金供給を何度も実施している。まるで1998年秋以降の日本の金融危機を思わせるような局面である。
そして夏以降、マスコミに登場することとなったのがThe R Wordである。リセッションの頭文字をとったものである。アメリカ住宅市場の中核を占める中古住宅市場では、販売在庫が積みあがっている。2006年後半から新築住宅の許可件数や着工件数は減少気味であったが、それを上回る勢いで在庫が増えている。もっともここ数年の新築住宅着工件数は異常に多く、それ以前の数値を30%以上上回る状態が数年間続いていたのだから、マーケットが崩壊するのは時間の問題だったのかもしれない。
このような中古住宅の在庫増加で、住宅の新築着工件数が頭打ちとなっている。住宅建設業者のマインド指数は史上最低に落ち込んでいる。
住宅価格が落ち込むと問題になるのは企業だけではない。個人消費に及ぼす逆資産効果がある。2000年春、アメリカでITバブルが崩壊し、2001年には景気後退に陥っていたアメリカ経済だが、グリーンスパン前FRB議長の大胆な金融緩和策により短期間で回復基調に向かった。
当時は、その手腕に絶賛の嵐が巻き起こっていたが、現在ではITバブルの付けを不動産バブルに付け直しただけとの酷評も出ている。アメリカ人は宵越しの金は持たない主義なのか、世界で最も貯蓄率の低い国民である。アメリカの真似をするのが好きな日本も負けじと、かつては世界有数の貯蓄率を誇っていた日本が急速にその率を落としている。団塊の世代が引退するにつれて貯蓄率は低下し、いずれアメリカ並みに貯蓄率ゼロの時代を迎えることになるかもしれない。
アメリカ人の過剰消費は政府が何を言おうと直るものではない。貿易収支、経済収支の大きいな赤字はこうして生まれるのだ。アメリカ人が労働による所得以上に消費するのは、保有資産の資産効果によるものが大きい。所有する住宅が値上がりすると、ホーム・エクイティ・ファイナンスという住宅担保ローンで銀行から融資を受け、消費に回してしまうのである。
不動産が値下がりし、株も下がると、アメリカ人の消費は止まってしまう。来年には、2007年のクリスマス商戦の結果が出るだろうが、どうみても思わしくない。市場関係者がFRBによる利下げを期待するのは株価上昇による消費への期待が大きいからである。2007年12月、FRBが利下げを発表した。8月から3回、合計1%の利下げである。マーケットのセンチメントは更なる利下げを求めている。これ以上の利下げがあると、イングランド銀行、オーストラリア準備銀行、カナダ中央銀行のように追随できない日本銀行は、利上げどころか利下げさえ考慮に入れなければならなくなるが、現実はそうはいかないだろう。
福井総裁の任期も2008年3月までである。後任人事でも波乱があるだろうが、海外の相次ぐ利下げで円高懸念はますます強まり、日本の景気にも悪影響を与えるのは間違いない。
2007年12月17日 FX検定 きょうの問題 天然ガス・カルテル
原油、石炭、鉄鉱石など基本資源だけでなくマンガン、ニッケル、モリブデン、タングステンといったレアメタルが高騰している。原油価格高騰に伴って天然ガス価格も高騰している。
世界最大の天然ガス資源国はどこか?
正解 ロシア
天然ガスはロシアが市場をリードできる資源のひとつだ。
メドベージェフ副首相が次期大統領候補に決定した。
メドベージェフ氏はロシアの巨大エネルギー企業ガスプロムの会長であり、ロシアの資源戦略を握っている。
世界最大の天然ガス企業の会長を務めるメドベージェフ氏がロシア大統領になったら対米戦略の戦略物資として天然ガスの位置づけは一層高まるだろう。
ロシアは、現在、サンクトペテルブルグでエネルギー市場の開設準備をしている。
サンクトペテルブルグ市場で扱う原油、天然ガスの決済通貨はドルでもユーロでもなくルーブルである。
ロシアが他の天然ガス生産国と国際天然ガス・カルテルを組んでアメリカに対抗した場合、世界中に衝撃が走ることになる。
天然ガスの埋蔵量は原油に匹敵し、中東からの脱却に必死のアメリカに対し大きな打撃を与えることになる。
天然ガス輸出国2004年(単位:千兆ジュール)
第1位 ロシア 7530
第2位 カナダ 4015
第3位 ノルウェー 3069
第4位 アルジェリア 2656
第5位 オランダ 1785
第6位 トルクメニスタン 1701
天然ガス輸入国2004年(単位:千兆ジュール)
第1位 アメリカ 4610
第2位 ドイツ 3390
第3位 日本 3156
第4位 イタリア 2587
第5位 ウクライナ 2424
第6位 フランス 1857
第7位 韓国 1206
天然ガス生産国2004年(単位:千兆ジュール)
第1位 ロシア 23,693
第2位 アメリカ 20,399
第3位 イギリス 4,020
第4位アルジェリア 3,641
第5位 ノルウェー 3,276
第6位 イラン 3,198
第7位 インドネシア 3,114
第8位 オランダ 2,865
第9位 サウジアラビア 2,496
第10位 ウズベキスタン 2,235
ガスプロムは天然ガスの生産・供給において世界最大の企業である。
ロシアの新興財閥オリガルヒ系企業。
創設は1993年2月17日。半国営の天然ガス独占企業である。
06年4月にはガスプロムの時価総額はマイクロソフトを超えて世界3位になり、エネルギー企業としてはエクソンモービルに次ぐ企業になった。
天然ガスの生産高は、5237,9億立方メートルでこれは、ロシアの88%、全世界の約23%に相当する。
埋蔵量は、17,800 キロ立方メートルで、これは、世界の38%を占めると言われる。
国内総生産並びに鉱工業総生産の約8%(2000年)、ロシアの国家税収の約25%(1993年から2003年の間、毎年平均40億ドル以上)を占める。
ガスプロムは58の子会社(2002年9月現在)と、約30万人の従業員を抱える。
パイプライン15万2000㎞、地下貯蔵施設22ヶ所(総容量790億立方メートル)を保有し、採掘、生産、から供給、販売までを独占している。
2007年12月14日 FX検定 きょうの問題 世界アルミ業界再編 リオ・ティントのアルキャン買収
2007年7月 リオ・ティントのアルキャン買収
2007年7月カナダ・アルミ大手のアルキャンが買収された。
買収したのはオーストラリアのリオ・ティントである。
買収額は381億ドル(買収時4兆6500億円)
その結果、世界最大のアルミ精錬会社ロシア・UCルサールを抜いて世界最大となった。
統合後の新社名はリオ・ティント・アルキャン、本社はモントリオールに置く。
さて、業界再編が進むアルミ業界であるが世界最大のアルミニウム生産国はどこか?
正解 中国
リオ・ティントはオーストラリアとイギリスに本部を置く世界3大鉱山会社のひとつである。他の2社は、BHPビリトン(豪)、アングロ・アメリカ(南ア)である。今後リオ・ティントがアルキャンの株式を2/3以上取得した時点で、リオ・ティントのアルミ部門(世界第7位)とアルキャンが合併してリオ・ティント・アルキャンとし、本社をアルキャン本社のあるモントリオールとする予定である。
アルミ業界第2位となったロシアのUCルサールは、2006年、ルサール(露)、サアル(露)、グレンコア(スイス商社)のアルミ部門が合併してできたロシア主導のアルミ地金会社である。2005年のアルミ生産量は、ルサールが約270万トン、サアルは約105万トン。合計すると約375万トンで合併当時は世界最大のアルミ地金会社となった。
UCルサールは、10月9日ロシア中部サラトフ州に年間生産能力105万トンのアルミ精錬工場を建設すると発表した。これが完成すると再び世界第1位となる。この精錬工場の特徴は、これまでのような水力発電による電力供給ではなく、原子力発電所とセットで精錬工場を建設する点である。発電所、精錬所の建設にかかる投資額は合計60億―70億ドル(7000億―8200億円)となる見通し。
米アルコア社(355万トン)は、リオ・ティントのアルキャンの買収により第3位になった。
アルコアはアルキャンに対しTOBをかけて買収策に出ていたがリオ・ティントに敗れた。
2005年の世界のアルミニウム生産は3200万トン余りである。
トップ10は以下のとおり
第1位 中国 780万トン
第2位 ロシア 365万トン
第3位 カナダ 289万トン
第4位 アメリカ 248万トン
第5位 オーストラリア 190万トン
第6位 ブラジル 150万トン
第7位 ノルウェー 138万トン
第8位 インド 94万トン
第9位 南アフリカ 85万トン
第10位 UAE 85万トン
アルミニウムの生産には多くの電力を必要とします。
したがってアルミニウム生産国は電力コストが安い水力発電国が有利となります。ボーキサイトの生産地立地、電力コストによって精錬地が選ばれます。
かつて黒部ダムによる電力によってアルミ精錬をおこなっていた日本は、現在では国内精錬をやめアルミ地金を100%輸入している。
各国のアルミ生産高に対し、アルミ生産会社の生産量は多大です。
リオ・ティント・アルキャン 500万トン
UCルサール 380万トン
アルコア 350万トン
アルミニウム消費国
第1位 中国 712万トン
第2位 アメリカ 611万トン
第3位 日本 228万トン
第4位 ドイツ 176万トン
第5位 韓国 176万トン
中国は生産高、消費量ともに世界第1位であるが、近々輸入国に転落する見込みである。
今回の買収により、ロシア主導で進んでいた世界のアルミ産業再編が米露の対立構図として浮き彫りにされつつある。次期ロシア大統領と目されるメドベージェフ副首相は、巨大エネルギー企業ガスプロムの会長でもある。ロシアの資源戦略を担ってきた人物がロシア大統領となると、世界の資源外交、資源戦略がより先鋭化される可能性が高い。
リオ・ティントはロスチャイルド系企業である。世界ユダヤ資本の世界戦略から目が離せない。
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2007年12月10日 FX検定 きょうの問題 ロシア大統領選挙 2008年3月2日
2007年3月2日 ロシア大統領選挙
ロシア大統領選日程が決定した。
大統領選出馬の受付は12月開始、立候補の期限は12月25日まで。
2008年2月2日から10日までに立候補者が選挙綱領を発表する。
2期目を終了するプーチン大統領は退任するが、プーチン大統領の支持率は高く与党勝利が大方の予測である。さて、与党は何党か?
正解 統一ロシア
ロシア大統領の任期は2008年5月まで。ロシアでは憲法に規定により3選を禁じているためプーチン大統領は出馬はしないと明言してる。
しかし、退任後も影響力を残すため候補者の選任など影響力を行使する気配である。退任後も国民の支持を背景に影響力を行使し、事実上の”院政”を敷くものとの予測が専らである。
プーチン大統領は、統一ロシアだけでなく、左派系第2与党「公正ロシア」の役割も支持する考えを示している。
プーチン大統領は、大統領候補者は5人いると言っているが。、専門家によれば、現在、予想される候補者は、ズプコフ首相のほか、イワノフ副首相、メドベージェフ副首相、ナルィシュキン副首相、ヤクニンロシア鉄道公社社長の4人と見ている。
2007年9月12日、プーチン大統領は連邦金融監督局のズプコフ局長を首相に指名した。 このことからズプコフ氏が最有力と目されている。
野党側はロシア共産党のジュガーノフ党首、ロシア自由民主党のジリノフスキー党首、カシヤノフ元首相、ロシア中央銀行のゲラシチェンコ元総裁が来年の大統領選への出馬を表明した。
FX投資の観点から、ロシアを見る場合、注意すべき点は、第1に外交面である。ソ連崩壊後、ロシアは大国主義を放棄したかに見えたが、プーチン政権になって大国主義、覇権主義的志向が高まっている。外交面では対ドイツで近く、特に独メルケル首相は旧東ドイツ出身でロシア語に堪能であるためドイツ-ロシアの親密度は高まるだろう。チェチェン問題などロシア国内のイスラム勢力への対応は注目すべき点である。トルコ-イラクのクルド人問題など民族的問題に影響を与える可能性がある。
対中国では2005年、上海協力機構に参加し中国との軍事面での関係強化に走っている。日本との関係では、北方領土の問題がある。ロシア側は2島返還でブレはないが、日本側が2島返還、4島返還で分裂し、推進は見込めない。
サハリンの石油・天然ガス開発で利害関係が交錯しているが、資源外交を武器に中国、韓国を含めて日本を揺さぶっている。また、パイプラインにおいても中国と日本を競わせながら有利な条件を引き出そうとしている。
外交全般的にアメリカに対抗的な姿勢が強く、政権交代がなされてもこの傾向が弱まるとは思えない。
2007年12月10日 追記
プーチン大統領はメドベージェフ副首相を後継候補に指名しました。
支持率を考えると選任は確実で、事実上の院政も確実視されています。
2007年12月12日 追記
メドベージェフ大統領候補は、政権を担当した場合、プーチンを首相に指名すると語った。
メドベージェフ氏は治安監督の経験がなく現政権の中でも最もリベラルであるといわれている。
与党内の治安派閥に対する押さえをプーチンが担当する形となるが実質的な院政と見られる。
メドベージェフ氏はサンクトペテルブルク出身で、大学もサンクトペテルブルク大学出身。共にプーチン大統領と同じである。現ガスプロム会長。
2007年12月7日 FX検定 きょうの問題 ベネズエラ国民投票 大統領選再選制限撤廃案否決
2007年12月2日 ベネズエラで憲法改正を問う国民投票が実施された。
投票の結果、大統領の再選制限撤廃などを盛り込んだ憲法改正法案は否決さ
れた。現ベネズエラ大統領は誰か。
正解 チャベス大統領
投票の結果は、賛成49%、反対51%で否決された。
選管によると、総投票数は、900万2439票で棄権率は44.11%であった。
有効投票数は888万3746票で、無効投票が11万8693票だった。
改正法案は69条あり、大統領の再選制限の撤廃のほか、労働時間の短縮、中央銀行を大統領管轄下に置くといったものだった。事前の世論調査や出口調査などでは、賛成が優勢だった。
結果は僅差で否決されたが、チャベス大統領は当初この結果を受け入れなかったが、軍部の説得により受諾した。
「21世紀の社会主義」建設を掲げて「終身大統領」をもくろんだチャベス氏だったが、独裁体制を危惧した反対派がかろうじて勝利した。
チャベス政権は、反米左派民族主義を掲げた政権である。ベネズエラは原油生産量世界第5位の産油国である。かつて石油メジャーが支配していた産油設備を国権で国有化し、貧困層への再分配を図ることで国民の支持を受けてきたチャベス大統領であるが、再選制限撤廃など長期独裁体制を築こうとするチャベス氏に対し、富裕層を中心とした民主勢力に待ったをかけられた。
ベネズエラは反米政権でありながら、外貨獲得の最大資源である原油の65%はアメリカ向け輸出である。チャベス政権は中南米の左翼政権、キューバ、ボリビアなどと連携して反米グループを形成してきた。
1999年に大統領に就任したチャベスは独裁色を強めながら、現在では立法、司法、行政すべてを自派で占めている。この事実上の独裁政権は反米主義、反新自由主義、反グローバリズムを訴えて次第に国内の他の政治勢力やマスメディアへの締め付けを行い始めている。
チャベスが政権を取ってから徐々に独裁色を強めているが今回の憲法改正に関する国民投票はその一環である。これまでにも大統領の任期が5年から6年に延長されたり、大統領自身が行政府の長として内閣を統率するようになった。 議会は、新憲法になって両院制から一院制に変わった。今回の選挙は3選を禁ずる憲法を改正しようとするものであった。
親米国からは非難が多いチャベス政権も内政という観点からは見え方が違う。
内政では保健と教育を最重要視する政策をとっている。低所得層が住む地区での無料診療所の開設、学校の建設、非識字者や学校中退者のための補習プログラムなどがその例である。貧困層重視の政策は、強引な政治手法とあいまって、富裕層、中産階級、以前の有力政党と結ぶ労働組合から強い反発を受けた。不足する医師はキューバから支援を受け、見返りに石油を提供している。
2002年4月にはチャベスのやり方に反発する富裕層や軍部が、CIAの協力の下にクーデターを起こしてチャベス大統領を逮捕し、代わりの政権を樹立したが、大衆の大規模デモと軍内部の反乱によって失敗した。
2002年12月から2003年2月にかけては石油産業でチャベス辞任を求めるストライキが起こり、ベネズエラ経済は大打撃を受けた。このときベネズエラ石油公社のゼネストにより原油供給が止まり、アメリカの原油価格が高騰した。
ベネズエラの政情不安は原油供給元として常に波乱要因である。
2007年12月3日 FX検定 きょうの問題 台湾総統選 台中問題
2007年12月3日 台湾総統選 台中問題
2008年3月は、台湾の総統選が控えている。北京オリンピックを前に東アジアの大きな問題、地政学的リスクが「台中問題」である。台湾の最大野党は国民党であるが、陳水扁総統率いる台湾の現政権与党は何党か。
正解 民進党 民主進歩党
台湾では、1996年から総統の選出方法として国民選挙を採用している。
台湾は民主国家の原則である民選選挙による国家元首の選択が為されている。
1990年代前半の李登輝総統時代に中華民国の民主化が本格化した。
外省人に対する本省人の政治的地位が向上したこともあり、台湾では自らを「中国人」ではなく「台湾人」と認識する「台湾人意識」が高まった。台湾人意識の高まりと「本土化」により、2000年の台湾総統選挙では「台湾人意識」を強調した陳水扁元台北市長(後に民主進歩党党首も兼務)が当選し台湾政治の本土化が進んだ。「本土化」とは、中華民国を台湾の政権と位置づける考え方である。
台湾独立を叫ぶ与党民進党に対し、中華人民共和国とのこれまでの関係を維持することを主張しているのが国民党、親民党(第3政党右派)である。中国統一か台湾独立かで国論の二分化がより深化しながらも台中の経済関係は親密度を高めており台湾国民がどのような選択をするかで台湾海峡の緊張が高まる可能性がある。
2008年は北京オリンピックの年でもあり、台湾民衆の中には中華人民共和国からの圧力は、国際世論を配慮すると限定的との見方もある。中華人民共和国では北京オリンピック後も上海万博、辛亥革命100周年などの行事が控えているため、中国共産党がどこまで強気の姿勢を見せてくるか注目である。
中国共産党は民進党の下野を望み、国民党との経済重視の対話路線を展開し台湾世論を反独立へと誘導しているといわれている。台湾総統選を前に中国政府は台湾に対しさまざまな圧力をかけてくる可能性がある。アメリカ共和党政権は一貫して台湾擁護の姿勢であるが、アメリカも2008年は大統領選を控えている。ブッシュ政権が終わり次期政権が民主党になるか、共和党になるかは、現在のところ不透明であるが、民主党が政権を獲った場合、特にヒラリー・クリントンが大統領になった場合、アメリカの対外政策は中国寄りにシフトするかもしれない。
台湾総統選の行方、韓国大統領選の行方、アメリカ大統領選の行方、この組み合わせがどのようになるかによって東アジア情勢の様相は変わってくる。中長期的視点から見たときこのような政治動向の理解はFX投資を行うに当たっては確認しておくべき点である。
2007年11月30日 FX検定 きょうの問題 北朝鮮問題に進展があるか 12月19日韓国大統領選
キム・デジュン、ノ・ムヒョンと2期10年に及ぶ左翼政権が続いてきた韓国だが、政権政党であるウリ党の苦戦が伝えられている。政権交代が行われた場合、最有力視されているのはイ・ミョンパク前ソウル市長であるが、この候補を擁立している最大野党はどこか?
正解 ハンナラ党
保守野党ハンナラ党は前ソウル市長のイ・ミョンパク(李明博)氏を大統領候補として擁立した。
イ・ミョンパク氏は経済界出身で、36歳で大手建設会社の社長に就任し若手経営者として注目を浴びていた人物である。一介のサラリーマンから若くして出世したためサラリーマンの鑑として神話化されている。
イ・ミョンパク氏はハンナラ党の予備選挙で、前党代表のパク・クネ氏を破って大統領候補となった。韓国民の不満は、ノ・ムヒョン大統領の経済政策に大きな不満を持っており、イ・ミョンパク氏の経済手腕を評価されての大統領候補選出となった。
イ・ミョンパク氏はすべての世論調査で他候補をリードしており、次期大統領に最も有力とされている。北朝鮮問題では、イ・ミョンバク氏は、ノ・ムヒョン政権の対北朝鮮政策を「国家が危機に陥っても一方的な融和政策を続けた。」と批判し、融和政策の見直しを訴えている。同時に、「核放棄を条件に、経済協力を通じて、北朝鮮の一人当たりの国民所得を10年以内に今の3倍の3000ドルにする。」構想を示している。
強硬姿勢だけではなく、硬軟織り交ぜで南北経済協力に柔軟な姿勢を見せている。宥和政策に変更はないものの、これまでのような北化した韓国ではなく、一定の距離を置いた政策となるだろう。
過去、韓国の保守政権は一貫して対北強硬姿勢で臨んできたが、左翼政権下の10年間に国民の対北意識は変化し、一方的な敵視策をとるのは選挙戦に不利とするのが大方の見方である。保守政党であってもある程度の宥和策は取らざるを得ないのが現状である。
選挙におけるハンナラ党の課題は、予備選で激しく戦ったイ・ミョンバク氏とパク・クネ氏との間にしこりが残っており、挙党体制が築けるかどうかだ。過去に予備選で敗れた候補者を応援したことがないというのが歴史的事実だ。民主統治というよりも人治統治といった色合いが強い韓国で、民主的手続きを経ながら政党政治が進められるのかどうかが見ものである。
一方の与党であるが、現実的にはすでに与党は存在していない。ノ・ムヒョン大統領のあまりの不人気に与党は事実上崩壊状態で、今回の選挙は11月5日発足した新党「大統合民主新党」が事実上の与党で、この新党は民主新党によるウリ党の吸収合併である。
民主新党は2007年に入ってウリ党から独立した政党である。ノ・ムヒョン大統領の不人気を嫌ってできた党である。分離して分離した政党が元の政党を吸収しただけであるから実態は変わらない。所属議員143人のうち138人は元ウリ党議員である。
ノ・ムヒョン大統領の不支持率は80%を超え、レームダックどころか両足がない状態である。
与党からは多くの大統領候補が手を挙げたが、民主新党の大統領候補となったチョン・ドンヨン氏が有力である。テレビのニュースキャスターから政界入りし、ノ・ムヒョン政権で統一相を努めたほか、ウリ党の議長にも着いたことがある。早い段階からノ・ムヒョン大統領の有力な後継者と見られていたが、今年に入り、大統領と袂を分かってウリ党を離党し、民主新党の設立に参画した。
政治的なスタンスは、革新陣営の中では、中道派と見られている。さらに革新陣営からは、ムン・グクヒョン氏と言う政治の世界では無名の会社経営者が、大統領選挙への立候補を表明している。
2007年12月13日 追記
イ・ミョンパク(李明博)氏は、大阪出身で知日派である。親日かどうかは不明だが、リベラルな福田首相との間に日韓関係の距離を縮める外交政策を取ると予想される。
大統領選における韓国民の最大関心事は経済政策である。60%以上が関心事として第1位に上げている。(KBS)
2007年12月15日 追記
選挙まであと3日と迫ってきたが、情勢が大きく変化している。野党側からイ・へシャン(李会昌)氏が立候補し分裂選挙となったためだ。イ・へシャン氏は、イ・ミョンパク氏と大統領予備選で激しく争ったパク・クネ氏と路線が同じで急速に保守層の支持を集め、野党側の票を割っていた。また、与党サイドが仕掛けていたBBK(投資ファンド)による株価操作疑惑の背後にイ・ミョンパク氏が実質オーナーとして存在しているとの政府・検察・マスコミを挙げてのキャンペーンにより、イ・ミョンパク氏の支持率は低迷していた。
さらに政府与党による金大中氏拉致事件の機密文書公開、日本非難にによって反日発言、報道を煽り、日本の反論を待って保守陣営への打撃を画策していた。しかし、政府与党の目論見に反し、日本政府は冷静な対応に終始し、韓国内の反日論議を巻き起こすに至らなかった。さらに検察はBBK事件とイ・ミョンパク氏とは無関係との結論を出し不起訴処分とした。これにより2030世代(若者層)の支持はイ・ミョンパク氏に傾いた。追い打ちをかけるようにかつての政敵パク・クネ氏がイ・ミョンパク氏支持を表明し、実質的に保守は一本化された。これまでの動きからするとイ・ミョンパク氏の勝利はほぼ確定的である。
これまでの動きで注目すべき点は2つある。
第1に、パク・クネ氏の行動発言である。韓国では歴史的に予備選での対立候補が最終候補者を支持することはなく、民主主義というよりも人治主義的傾向が強かったが、今回はパク・クネ氏の民主的判断が選挙民に与える影響は大きい。
第2点は、検察は常に政権政党につくという点である。政府与党によってBBK事件は政争の具として取り上げられたが、検察は次期政権は保守イ・ミョンパク氏と読んだようだ。選挙選後、例によって前政権は不正を暴かれることになるだろう。すでに多くのスキャンダルを抱える金大中一族もさることながらノ・ムヒョン大統領の不正行為の掘り起こしが行われるだろう。政権が変わっても経済状況が急に好転することはなく、5%の経済成長が不動産バブル、北朝鮮のために使われて帳消しとなっている現状からそう簡単に脱却できるとは思われない。国民の目を逸らすために不正追及は必至である。
2007年12月19日 韓国大統領選 イ・ミョンバク氏勝利 10年ぶりに政権交代 保守ハンナラ党
2007年11月26日 FX検定 きょうの問題 オーストラリア総選挙 政権交代
2007年11月26日 オーストラリアで総選挙が行われた。
11年半に及ぶ長期政権を保守・国民連合のハワード政権が終焉することになった。
選挙に勝った労働党党首はだれか。
正解 ケビン・ラッド党首
オーストラリア労働党のケビン・ラッド党首は、イラクからの戦闘部隊撤収を公約として戦った。ラッド次期首相の下で、オーストラリアは来年半ばまでに、イラクとその周辺に駐留する部隊約1600人のうち戦闘部隊約600人を段階的に撤退させる見通しである。米国のイラク戦略に影響を及ぼす可能性もある。
イラク戦争を支持しブッシュ米大統領の「最後の盟友」として知られるハワード政権は11年半ぶりに政権を手渡すことになった。長期的景気拡大による経済運営は評価されるが、イラク派兵、地球温暖化防止政策や長期政権による国民の飽きが敗因と見られる。
ブッシュ大統領と同様に国内産業への影響などを理由に批准を拒否したハワード首相は国民に「No」を突きつけられた。
選挙では、下院(定数150)の全議席と上院(同76)の40議席を改選。
労働党は下院で過半数の78議席を獲得、保守連合は56議席にとどまった。
ラッド党首率いる労働党の公約は、
1 環境問題
2 情報技術教育
3 イラク撤退
などである。
2007年11月23日 FX検定 きょうの問題 エネルギー問題と穀物の高騰
トウモロコシ、大豆、小麦が高騰しています。
原油価格高騰とブッシュ大統領による政策変化、中東からの原油輸入を減らし、
燃料エタノールの推進する政策によりトウモトコシの生産が拡大しています。
現在、米国産トウモロコシの生産量のうち、燃料エタノール生産に充てられ
ている量は全米生産量のどれくらいの割合か。
A 約0.5%
B 約5%
C 約10%
D 約25%
正解 D 約25%
ブッシュ政権の環境に対する政策の変更が穀物高騰の原因になっている。地球温暖化防止の対策としてトウモロコシなどから製造されるバイオエタノールが注目されている。
バイオエタノールとは、トウモロコシ、サトウキビ、大豆油、バイオマスなど植物由来の原料を使って製造する燃料用アルコールのことである。
ブラジルではサトウキビの国際商品価格の低迷から、国策として燃料用アルコールの生産に注力してきた。
現在では、ブラジルで走る車の15%がエタノール車である。エタノール燃料はガソリン燃料に比べて安価であり、税制的優遇も加えられている。
ブラジルから始まった自動車燃料エタノール生産は、サトウキビ価格維持、サトウキビ農家の保護、原油輸入削減による貿易収支改善策が原因であった。
しかし、アメリカの場合は理由が異なるようである。京都議定書の発議当時は、アメリカのスタンスは地球環境保護よりも経済成長に主眼が置かれていた。イラク戦争の失敗で孤立化を深めたブッシュ政権は政策を転換した。
中東原油の輸入削減、地球温暖化防止策を名目に燃料エタノールを増産することにしたのだ。
しかし、アメリカでのバイオエタノール生産コストは安くない。
アメリカ政府がバイオエタノール生産業者に補助金を出し、さらに税制優遇策を取っているのである。
この措置がなければバイオエタノール価格はガソリンよりも高くなってしまい、これを使う消費者はいなくなってしまう。
このブッシュ政権の政策を背景に、ファンドがバイオエタノール製造会社に投資し、バイオエタノール製造工場が次々と建てられたのである。ファンドは、トウモロコシなど商品先物にも投資している。サブプライム問題にゆれる株式市場を避け、ファンド資金は国際商品市況に流れ込んだ。
また、近年のBRICsをはじめとした新興国の原油需要、さらに穀物需要に煽られて国際商品市況は高騰しているのである。
話をバイオエタノールに戻そう。
現在、アメリカではE85というブレンド燃料が販売されてる。エタノール85%、ガソリン15%の混合燃料である。価格は15%ほど安いので代替が進んでいる。
この価格も先に述べたようにバイオエタノール製造会社への補助金が前提になっている。
バイオエタノール製造会社はトウモロコシを高価で買い上げている。
今年のアメリカのトウモロコシ生産は豊作でした。にも拘らず高騰です。
原油価格、ガソリン価格高騰とともにバイオエタノール燃料の需要は拡大し、食料や飼料に回るものまでバイオエタノール原料に回ってしまう。
その結果、トウモロコシ価格はさらに高騰する。トウモロコシの生産地と小麦、大豆の生産地は重複しています。
生産農家は、穀物の先物価格を見ながら作付けを考えます。主要な生産地域は、中西部である。グレート・プレーンズ、プレーリーといわれるエリアである。
春から夏にかけて南部から作付けが始まる。トウモロコシの作付けは、大豆よりも1ヶ月から2ヶ月ほど早く、北部と南部でも作付け時期は異なってくる。
つまり、トウモロコシと大豆の生産量は一定の比率で保たれるように市況が調節機能を持っていたのである。
ところがこの需給バランスを崩してしまったのがバイオエタノール製造なのである。
アメリカ農家の2007年の収益は871億ドル(約10兆1000億円)と昨年の1.5倍になる見通しだ。
飼料となるトウモロコシの高騰で苦戦が予想された畜産農家も、世界的食料需要の増大で需給が逼迫し、牛乳や鶏肉の価格も上がっている。
大豆、小麦からトウモロコシへの転作により供給が減った小麦、大豆の価格も高騰した。これに拍車をかけるようにオーストラリアの干ばつである。
アメリカではバイオエタノール製造に大量の石油を消費している。そして移送のために石油を使って運搬している。
南米では、サトウキビ畑やトウモロコシ畑を作るために森林を伐採している。
このような観点から考えると、
バイオエタノールが地球温暖化防止に役立っているかどうかは疑問である。
さらには別の角度からの批判もある。
アメリカには、モンサント社という大手農薬会社がある。
この会社はラウンドアップという農薬を生産している。
この除草剤は、非選択性の薬剤ですべての植物を殺草する機能を持っている。
日本でも収穫後の処置に大量に使われている。
このラウンドアップの特許が2000年を前に切れたのである。
モンサント社は世界各地で特許紛争を繰り広げたが、失敗に終わった。
アメリカの穀物商社、種苗会社、農薬会社はユダヤ資本を背景に、ブッシュ
政権と強く結びついている。20世紀末、作物の遺伝子組み換え技術(GMO)は急速に発展した。
そこで害虫に強い遺伝子作物の開発とともにラウンドアップに耐性を持つ作物を開発しているというのだ。
ラウンドアップの特許切れにより同様の機能を持った農薬が大量に出回っている。園芸センターなどで売られているグリホセートという農薬は中国版のラウンドアップ、つまり模造品である。医薬品でいえばジェネリック医薬品である。
世界で大量生産される商品作物の大半はアメリカの穀物商社、種苗会社が供給している。彼らが供給する種苗にラウンドアップ耐性を持った作物が主流を占めるようになればどういうことになるか。生産地は各国でも種苗供給はアメリカ独占。これがアメリカの戦略である。
原油、穀物はこのように国際経済の中で複雑に絡まっている。
2007年11月19日 FX検定 きょうの問題 地政学的リスク トルコ★イラク問題
現在、トルコとイラクの間で起こっている問題の原因となっている民族は( )人である。
正解 クルド
クルド人は国土を持たない世界最大の民族といわれている。
人口は推定2000万~3000万人で、アラブ、ペルシャ、トルコに次ぐ中東で4番目の大規模な民族である。分布はトルコ、イラク、イランにまたがる地域である。イラク国内のクルド人自治区の人口だけでも400万人といわれている。またトルコ国内には、推定約1500万人のクルド人が居住しており、これはトルコ人口の約25%に相当する。クルド人自治区は新イラク成立後、イラク国内でも最も安定した地域であったが、トルコの非合法武装組織クルド人労働者党(PKK)の拠点となるイラク・クルド人自治区内のゲリラに対するトルコへの越境攻撃の準備が進められていることから俄かに不安定化してきている。
国内にクルド人を抱える各国は、自国の安定のため、相互にクルド人の自決権を認めないことで利害を一致させているため、クルド人は常に孤立してきた経緯がある。その反面、政権からは常に利用され続けた悲劇の民族である。1984年にアブデュラー・オジャラン率いるクルド労働党は、トルコ政府から弾圧を受け、クルド人居住地区の4000もの街村は破壊され、300万人以上のクルド人が難民化したといわれる。トルコにおける人権問題の中心はクルド人問題である。(北キプロス問題もあり)
トルコのユーロ参加の最大の障害になっているのがこの人権問題である。
イスラム圏で唯一のNATO参加国であり、黒海と地中海を結ぶボスポラス海峡を国内に持つトルコ政情不安になった場合、ヨーロッパ、中東における大きな火種になる。クルド人はその居住エリアをイラン国内にも持っており、その複雑さゆえに問題解決の糸口が見えづらい。
民族闘争、宗教問題、石油利権などいくつもの問題が交錯する「クルド人問題」は、地政学的リスクとして常に注目しておくべき地域紛争である。