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世界資源戦争 55 欧州のエネルギー政策 次世代バイオ燃料

EUはバイオ燃料が大規模に拡大する時期を2020~2030年と予想している。2010年までを従来型バイオ燃料の技術の向上期間、次世代バイオ燃料の研究開発期間と定め、2010年~2020年を次世代燃料生産技術の展開時期と位置づけている。


次世代バイオ燃料には、次のような種類がある。バイオエタノール分野ではセルロース系バイオエタノール、合成バイオ燃料分野では、ガス化合成液体燃(BTL)、FT軽油、合成軽油、バイオエタノール、混合アルコール、バイオDME、バイオディーゼル分野では水素化処理バイオディーゼル、バイオガス分野ではSNG(合成天然ガス)、そしてバイオ水素だ。ひとつずつ説明していこう。


セルロース系バイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシといった食用バイオマスでなく、食用に供さない植物の茎や葉といったバイオマスに含まれるセルロース類(植物の繊維質の主成分)から製造するアルコール燃料。既存の技術では、植物からセルロース類を分離する工程で副次的に生成される醗酵阻害物質が糖をアルコールに変換する微生物の働きを妨げ、エタノールの収率が極めて低かった。しかし糖をアルコールに変換する微生物を用いることで、エタノールの製造が容易になってきた。


ガス化合成液体燃(BTL)は、バイオマスをガス化し、液体燃料に転換したもの。軽油に比べて二酸化炭素排出量を約 90%削減し、食糧供給と競合しない合成バイオ燃料として、ドイツではBTL に大きな期待をかけている。シェル、ダイムラーベンツやフォルクスワーゲンがプロジェクトを支援している。実証プラントで生産されたBTLは、ダイムラーやフォルクスワーゲンの車両でもテストされ、排出低減や燃焼特性の点でも良好であることが証明されている。


FT軽油と合成軽油は、ガスを液体燃料に転換する技術をGTL(Gas To Liquid)から生まれた燃料で、天然ガスを灯軽油やメタノール、DMEと呼ばれる燃料が製造されている。EU全域に普及するには至っていないが、石油に代わる燃料になると期待されている。


一方、ディーゼル車向けのバイオマス燃料は、植物油にメタノールを添加してエステル化したバイオディーゼル燃料(FAME)の実証実験が計画されている。しかし中長期的に見ると、バイオマス液化燃料(BTL)や植物性の油脂を水素化処理して得られるバイオディーゼル燃料のほうが有望といわれている。水素化処理バイオディーゼル燃料は、軽油よりセタン価が高く、硫黄分やアロマ分をほとんど含まないといった長所があり、植物油からのディーゼル燃料製造法としては最も優れているとされている。

SNG(合成天然ガス)は「代替天然ガス」とも呼ばれ、人工的に製造するカロリーの高いガスのこと。炭化水素や石炭ニッケルを原料とし、触媒下で水、酸素、水素と反応させ、水蒸気改質、部分燃焼、水素添加分解によりガス化し、メタン合成、脱炭酸などの処理を施す。

これらのバイオ燃料は、生物学や化学、エネルギー工学など専門的な知識と技術を複合して研究開発しなければ効果があがらない。そこでEUでは、域内で協同して技術開発と需要の拡大に努めようとしているのだ。中でもEUとして統一して進めているガソリン車の排ガス規制は、欧州におけるガソリン車を排除し、バイオ燃料カーを普及させるための政治的な手段となっている。ガソリン車の税金が高く、またガソリンが高騰すればするほどガソリン車離れは進む。


そう考えると、日本の基幹産業である自動車産業の輸出台数と売上げが2008年にピタリと止まり、各社が大きな下方修正をした要因は、サブプライムローンに端を発した世界同時株安だけではないだろう。EではUガソリン車の製造自体がすでに時代遅れになっているのである。


By Master K/益田 慶