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世界資源戦争 54 欧州のエネルギー政策 バイオマス発電

EUでは太陽光や風力などエネルギー利用を積極的に進めているが、バイオマスのエネルギー利用が主要な位置を占めるようになってきている。バイオマスを中心とした自然エネルギーで約1億トンのCO2削減を目指しており、CO2削減のための研究開発費でもバイオマスがトップに立っている。全エネルギーに占めるバイオマスの割合を2010年までに4%から8%まで引き上げる計画だ。


日本ではバイオマス発電は話題にならないが、スウェーデンやフランスでは政策に組み込まれている。バイオマス先進国のスウェーデンは、全エネルギーにおけるバイオマスの割合が20%を占めている。その要因は、高率の炭素税や硫黄税の導入が行なわれた一方で、バイオマスエネルギー開発の税を免除する制度が採用されたからだ。バイオマスエネルギーが価格競争の面で有利になり、工場残材や森林伐採の残材の利用が急速に伸びた。利用が進んだことでコストが下がり、価格面で有利になる。こうして好循環が生まれる。


原発大国フランスでもバイオマス発電の導入が促進されている。間伐材や木材の廃材・端材などを燃やした熱で蒸気をつくり、その蒸気の圧力でタービンを回して電気をつくるのがバイオマス発電だ。促進するために、バイオマスを利用した発電所には電力の買取にあたり優遇価格が適応される。


EUには、2020年までに再生可能エネルギーの割合を20%以上にするという目標がある。フランスでは2010年までに稼動するバイオマス発電所における発電量が原子炉1基の発電量の3分の1に相当する。また、熱量は石油45万トンに相当する。バイオマス発電が歓迎される背景には、カーボンニュートラルという考え方がある。


発電所では発電時に燃焼によるCO2が排出されるが、森林のCO2吸収量とほぼ同程度となるため、トータルのCO2排出量は従来の発電方式と比べ微量か、あるいは収支ゼロとなる。また伐採された森林に新たに植林を行なうことで再生可能エネルギーが実現できる。つまり、森林を資源とみなし、「林業」と「発電」を一体化させたのがバイオマス発電なのだ。森林資源に恵まれた国は、バイオマス発電大国になれる可能性がある。

日本の森林資源は、じつは面積から見ればスウェーデンとそれほど変わりない。大きく異なるのは、木材生産量がスウェーデンの約3分の1に過ぎないことだ。日本は森林大国でありながら、世界一の木材輸入国である。矛盾を感じる人は多いだろう。日本の森林の利用率がすこぶる悪く、輸入材に押されているということだ。スウェーデンやフランスでは廃材は発電用のチップにして運び出されるが、日本では廃棄される。廃棄にはコストがかかるため、国産材は高価になり、価格競争に負け、結果として森林が荒れていく。バイオマス発電は、間伐材や廃材の有効利用という側面を持っている。

バイオマス発電が太陽光発電や風力発電と大きく異なるのは、年間稼働率だ。太陽光も風力も天候に左右され、稼動時間が制限される。しかしバイオマス発電は常時発電が可能だ。よって太陽光や風力と比べ稼働率が格段に高くなる。稼働率が高ければ投資額に対する発電量が大きくなる。つまり、少ない投資額で大きな効果が得られるのだ。EUの首脳陣は、そういう構造を把握しているのだろう。

日本は戦後、エネルギー政策として原子力発電の普及を選択した。石油が採れないフランスやドイツも同様の政策を進めた。しかしドイツのように脱原子力に向かう国もフランスのような原発推進国も、バイオマス発電の促進に大きな期待を寄せている。バイオマス発電は、カナダやスウェーデンといった森林大国が有利であることは明白だ。じつは日本も森林という資源を有している。視点を変えれば、森林に囲まれた日本は資源大国なのである。

By Master K/益田 慶