FXライフ 70 南米の通貨 ペルー、ベネズエラ、ボリビア
紀元前から多くの文明が栄えたペルーは、16世紀まで当時世界最大級の帝国であったインカ帝国の中心地だった。スペインに征服され、暗黒の時代が続いたが、1821年に独立した。
通貨は、ヌエボ・ソル(PEN)。1980年代から1990年代前半にかけて深刻なインフレに陥り、2度の大きなデノミが実施された。まず1985年に、それまでの通貨「ソル」を1000分の1の価値にして「インティス」という通貨に変更。2度目は1991年、100万分の1のデノミを行ない、1,000,000インティスを1ヌエボ・ソルとした。1985年まで使っていた「ソル」と区別するために「新しい」という意味の「ヌエボ」がつけられた。
2002年以降、経済は順調で内需(建設、運輸、製造業)の拡大と、銅や鉛、亜鉛、金、銀など輸出向け鉱産物の価格が高騰したことで、年平均5%以上の成長率を続けている。2007年のGDPは9%を記録した。あまり知られていないが、石油や天然ガスも産出するため南米の資源大国のひとつ。水産業も盛んだ。
ベネズエラもスペインから独立した国だ。20世紀初頭に石油が発見されるまではコーヒーとカカオを中心としたプランテーション農業国だったが、1930年代から世界屈指の産油国となった。天然ガスも豊富で、ボーキサイト、鉄鉱、ニッケル、金、ダイヤモンドなどの金属鉱物資源にも恵まれている。現在、経済は石油・天然ガスに依存している。1999年に政権を握ったチャベス大統領は、石油企業の国有化や米国石油企業の排除など資源ナショナリズムを明確に打ち出している。2006年のGDPは、資源高の影響を受け10.3%を記録。2007年は8.4%まで下がったものの、2008年11月には原油確認埋蔵量が100億バレル追加され、再び上昇する可能性を感じさせる。
通貨は、2008年1月に登場した新通貨ボリバル・フエルテ(Bs.F)。それ以前のボリバルは世界的に価値の低い通貨だったが、切り下げを実施して1000ボリバルを1ボリバル・フエルテに変更した。対ドル固定為替レートは、1米ドル=2.15ボリバル・フエルテ。
ボリビアは、南米で最も開発の遅れた国のひとつ。北と東をブラジル、南をアルゼンチンと接し、南東にパラグアイ、南西にチリ、北西にペルーと面している。1985年から新経済政策を導入し構造調整を推進した結果、比較的安定した経済成長を保っていたが、1999年以降、深刻な経済難に直面し、格差の拡大と失業問題等が深刻化している。2001年には「拡大HIPC(重債務貧困国)イニシアティブ」の適用を受け、2004年はIMFとの合意により、新税導入及び緊縮財政による財政赤字の削減を実現した。
通貨は、ボリビアーノ(BOB)。1980年代中頃に激しいインフレに見舞われたため、1986年に100万分の1のデノミを実施し、ペソをボリビアーノに変更した。産業は、大豆、砂糖を中心とする農業、天然ガス、鉱業産品(亜鉛、錫)を中心とする一次産品への依存率が高く、総輸出の8割を占める。そのため国際価格の影響を受けやすい経済構造にある。
2006年1月に就任したモラレス大統領は、貧富格差の是正、先住民の権利拡大を掲げ、憲法改正の実現を目指している。また、米国主導の麻薬撲滅政策や急速な経済自由化に強く反対し、天然資源による収益をボリビアに還元すべく、天然ガス関係外資企業に対し、より高率の税を課す新法(新炭化水素法)を採択した。これにより歳入は大幅に増大し、財政赤字も対GDP比1.6%まで削減された。モラレス政権下では、天然資源国際価格の上昇を背景に、安定した経済成長、外貨準備高増大、財政黒字等の成果が上がっている。2006年のGDPは4.6%だった。資源大国にもかかわらず開発の遅れてきたボリビアは、ポテンシャルが高い。的確な政策が求められているようだ。(了)
By Master K/益田 慶