FX検定公認テキスト「外国為替FX投資の黄金律」 → 詳しくはこちら

FXライフ 69 南米の通貨 パラグアイとブラジル

南米の中央南部に位置する内陸国のパラグアイ。1811年にスペインから独立したが、長い間政治的な安定性に欠けていた。20世紀前半はイギリスの支援を受けたアルゼンチンに、20世紀後半には米国の支援を受けたブラジルに大きく影響を受け、両国の属国のような存在であった。民主的な選挙が導入されたのも1993年と現代になってからであった。


通貨は、グアラニー(PYG)。先住民のグアラニー族にちなんだ名称で、公用語もスペイン語のほかに先住民の使っていたグアラニー語が使われている。数年ごとに通貨を変更することが多い南米の通貨の中で珍しく、同じ通貨名を半世紀近く使用し続けている。


主要産業は農牧畜業で、輸出総額の8割以上を占めている。大豆の生産は世界第4位だ。ほかに食肉と穀物が主要品目。主要貿易国は輸入・輸出ともアルゼンチンとブラジルだ。1995年にブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ国で発足した関税同盟「メルコスール」に加盟しており、4カ国の貿易の結びつきがすこぶる強い。


南米におけるEUのような自由貿易市場をつくることが目的であり、米国主導の自由貿易地域(FTAA)に対抗するものと見られている。2006年にベネズエラが正式加盟し、ボリビアも正式加盟を宣言している。このメルコスールによって、パラグアイの経済はブラジル、アルゼンチンの景気に左右されることになった。


事実、2000年以降、両国経済の低迷によりパラグアイの経済も低迷期が続いた。その後、汚染対策や経済改革が進められ、経済は安定化に向かい、2007年のGDPは6.8%まで復興した。しかし失業率13.5%という数字が示すように、経済的不平等が著しく、3分の1から半分の国民が貧困にあえいでいると見られている。近年はブラジルやアルゼンチンへの出稼ぎが増えているという。


BRICsと呼ばれる新興国の一角に挙げられるブラジルは、南米最大の領土と人口を擁する国。安価な労働力と豊富な天然資源により、2004年度には国民総生産が世界第9位まで浮上した。


通貨は、ブラジル・レアル(BRL)。90年代前半に経済改革プログラム「レアル・プラン」が実施された。1994年に新通貨レアル(導入時1ドル=1レアル)の導入を中心に財政安定化、マネーサプライの抑制が行なわれ、ドルにペッグした為替レートの導入によってインフレを抑制することを目的とした。


通貨防衛のために採用された米ドルペッグ制だったが、貿易収支や財政の悪化などの国内要因と、アジア、ロシア通貨危機による海外資本流出という外部要因が重なってレアル売り圧力が強まり、1999年に完全変動相場制に移行した。


2007年の実質GDPは5.4%。5%台の伸び率は04年の5.7%以来。政府は2008年3月より最低賃金を415レアルに引き上げ。名目で9.2%の上昇を目指している。2008年には世界同時株安に連動したレアルの下落が起こったが、EU諸国や中国ほど傷口は大きくない。


ブラジルは、農業大国であり、豊富な資源を背景にした工業国である。コーヒーの輸出量が世界一であることはよく知られているが、過剰生産による国際価格の暴落を防ぐために大豆やサトウキビの栽培が奨励され、そのサトウキビが今度はバイオエタノールに精製され、ガソリンの代替燃料に使われている。


バイオエタノールに代表されるエネルギー分野での急成長は、世界中が注目している。またオイルメジャーと肩を並べるまで成長した石油会社「ペトロブラス」が深海での石油開発を進め、大きな成果をあげている。工業分野では、乗用車、航空機、自動車部品の製造が盛んだ。広大な土地と資源、人口1億8000万人を擁する労働力。ブラジルの成長はまだ続きそうだ。


By Master K/益田 慶