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100年企業 54 産業別100年企業 ホテル編

1900年までに誕生し、現在まで開業している老舗ホテルは、どれも名門ばかりだ。時代を経てオーナーは変わってきたものの、経営権を得た企業は伝統を受け継ぐ「100年企業」といえよう。


「日光金谷ホテル」(栃木県)は、1873年創業の日本最古のクラシックリゾートホテル。雅楽の笙演奏者であった金谷善一郎が自宅の一部を外国人向けの宿泊施設として「金谷カッテージ・イン」を開業。1893年に、日光山内をのぞむ現在地に2階建て洋室30室の「日光金谷ホテル」として営業を開始した。同ホテルを経営する金谷ホテルは、「中善寺金谷ホテル」も経営している。ただし今世紀に入って経営悪化が進み、2005年には投資銀行が金谷ホテルの約半分の株を取得。取引銀行である足利銀行や日本政策投資銀行などによる事業再生支援が続けられている。


1878年、創業者の山口仙之助が箱根に開業したのが「富士屋ホテル」だ。1891年には現在も利用されている本館が竣工。1917年にはゴルフ場の運営も始めた。以降、湯本富士屋ホテルや富士ビューホテルなどを開業し、富士屋ホテルチェーンを展開してきたが、現在は、タクシー、バス、自動車整備、不動産管理、ホテルチェーン、病院・介護などを手がける国際興業グループの傘下となっている。ちなみに1932年に来日したチャールズ・チャップリンや1937年に来日したヘレン・ケラーは同ホテルに宿泊した。


日本初の本格的な都市型ホテルとして「帝国ホテル」が開業したのは1890年。その3年前に、渋沢栄一と大倉財閥総帥・大倉喜八郎が設立した有限会社帝国ホテルが経営母体となった。同社は1887年を創立年としている。経営権は渋沢から大倉喜八郎、その息子の喜七郎へと渡り、大倉財閥解体後、塩と煙草で財を成した金井寛人へと渡って金井が会長となったが、その死後、国際興業の小佐野賢治に譲渡された。2007年には国際興業保有の帝国ホテル株式の大半が三井不動産に売却。現在の大株主は株式の33.2%を所有する三井不動産である。

帝国ホテルに次ぐ都市型老舗ホテルが、京都の「都ホテル」だ。京都の豪商・西村仁平衛が1890年、「吉水館」を開館。これが起源である。1900年「都ホテル」に改名。これを買収したのが近鉄グループだ。2002年「ウェステイン都ホテル京都」として、21世紀型ホテルとして生まれ変わった。経営する「都ホテルズ&リゾーツ」は、近畿圏を中心に東京から沖縄まで、近鉄グループの「都ホテル」を展開している。


リゾートホテルの老舗として忘れてはならないのが軽井沢の「万平ホテル」。江戸時代後期に佐藤万右衛門が旅籠「亀屋」を開業。その後、休業状態にあった同旅籠を初代佐藤万平が改築し、1894年に「亀屋ホテル」として創業したのが起源。1902年に移転した際に「万平ホテル」と改名した。


その後、現在の本館アルプス館が完成。1989年には、敷地内に会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ軽井沢万平」が開業した。余談だが、1976年から4年間、避暑のために万平ホテルに滞在したジョン・レノンが同カフェテラスで作り方を直伝したロイヤルミルクティーはその後、カフェテラスの名物となった。


2009年に創業100年を迎えるのが「奈良ホテル」だ。明治時代は政府鉄道省の直営であった。1983年には国鉄と都ホテルの共同出資となり、現在はJR西日本と近鉄ホテルズシステムが50%ずつ出資して経営にあたっている。


By Master K/益田 慶