FXライフ 66 南米の通貨 アルゼンチンとウルグアイ

アルゼンチンは、20世紀半ばまで各国への農産・畜産品の輸出により利益を得て世界有数の富める国であった。しかし、第二次世界大戦後、経済政策の失敗や政変、クーデター、フォークランド紛争とその敗北などが相次ぎ、1988年にハイパーインフレに陥った。


通貨は、アルゼンチン・ペソ(ARS)だ。ペソはかつてスペインの植民地であった国々で使われている。アルゼンチンがペソを導入したのは1992年。2001年12月までは、兌換制(1ドル=1ペソの固定相場)の下で、自由開放経済政策を促進した。この結果、ハイパーインフレの収束、投資の増加により、高い成長率を達成したが、1999年1月のブラジル金融危機の影響もあり、次第に景気が低迷していった。ブラジルの通貨レアル切り下げでペソが相対的に高くなり、アルゼンチンは輸出競争力を失ったのだ。その結果、2001年後半には金融不安が金融危機や全般的な経済危機に発展。政府は対外債務の支払いを停止し、対ドルペッグ制が崩壊した。


こうして経済が破綻してしまったが、2002年に変動相場制を導入。ペソ安や輸出の増加と賃金・年金の引き上げによる内需の拡大により、経済回復に成功し、高成長を維持。2003年から2007年まで平均8%の高成長を続けた。この間に100億ドル近い債務を完済。2000年末に24%あった失業率は、2006年には11%まで改善した。


主要輸出品目は小麦、トウモロコシ、牛肉、ワインなどの農産物。地下資源には、パタゴニアの石油があり、近年は天然ガスも採掘されている。近年は、南米諸国との経済交流を活発に行なっている。特にブラジルとベネズエラとは政治面でも結束を強め、各国と協同でベネズエラからの南米大陸横断天然ガス輸送管の設立を計画している。2007年のGDP成長率は8.7%を記録。国内経済は好調を持続しているが、穀物輸出への輸出税課税への国内生産者の反発やインフレ上昇傾向、回復しない内需、貧困層の拡大、エネルギー問題など課題は山積している。


ウルグアイは、北と東にブラジル、西にアルゼンチンと国境を接している。通貨は、ウルグアイ・ペソ(UYU)だ。アルゼンチン同様、かつてスペインの植民地であった。


ウルグアイは輸出の4割をブラジルとアルゼンチンに依存している。1999年に起こったブラジルとアルゼンチンの経済危機は、ウルグアイ経済を直撃した。政府は財政引締めに努力したが、農作物の不作、アルゼンチン経済混迷継続などの影響を受け、2002年まで4年連続のマイナス経済成長を記録し、GDPはおよそ20%低下した。2000年から2006年までの失業率の平均は、14%となっている。


主要産業は、GDPの10%を占める農牧業で、林業と漁業も盛んだ。輸出品は肉類、米、皮革製品、羊毛など。政府は農産物以外の輸出向け工業の発展を奨励している。主要な工業には、農業と関連の深い紡毛、コットン、レーヨンなどの織物業と、肉を中心とした食品加工がある。石油精製、セメント、衣類、鉄、アルミニウム、電化製品の生産、化学工業も重要な産業。


ウルグアイからすれば輸入先にあたる産油国ベネズエラの動きも気になる。ベネズエラはウルグアイのエネルギー関連プロジェクトに対する資金供給を目的とする石油基金を設立し、ウルグアイのエタノール製造プロジェクトを支援するために、700万ドルを提供している。このベネズエラの支援で多くの雇用が生まれると予想される。新規に1万ヘクタールのサトウキビ栽培が行われるという。懸念されるのは、牛肉の輸出増が鈍り、またペソ高で国産品の国際競争力が低下していること。外資導入による産業の多角化・活性化が課題となっている。


By Master K/益田 慶