FXライフ 64 東アジアの通貨 香港とマカオ
香港は、1997年にイギリスから返還され、中国の特別行政区のひとつとなった。正式名は中華人民共和国香港特別行政区。南シナ海に浮かぶ235余りの島を含めた地域を指し、その総面積は東京23区の約2倍程度だ。通貨の香港ドル(HKD)は、イギリス系の香港上海銀行とスタンダード・チャータード銀行、中国銀行が発行している。
返還後、為替レートを1米ドル=7.8 HKDとする固定相場制(ペッグ制)が採用されていたが、2005年5月、ペッグ制を強化する目的で、為替レートを1米ドル=7.75~7.85 HKDの間に設定する「目標相場圏制度」を導入した。2005年7月、人民元が対ドル固定相場制から「管理変動相場制(管理フロート制)」に移行した際も、香港金融管理局は香港ドルの対米ドル制は変更されなかった。当時はペッグする対象として米ドルが最適だったからだろう。
しかし、将来、香港ドルを人民元にペッグさせる可能性や、香港ドルを廃止して人民元を流通させることも想像できる。あるいは、香港ドルが変動相場制や通貨バスケット制に移行する可能性もある。
では、経済動向を見てみよう。香港はもともとイギリスの対中国貿易の拠点であったことから歴史的に中継貿易が盛んであった。近年はアジアのハブ港として成長し、アジアの国際金融センターとしての地位を確立してきた。2005年のコンテナ取扱量は、シンガポールにトップの座を明け渡し、6年連続世界一とはならなかったが、香港政府は香港を国際金融センターにするべく力を入れている。
また、マネーロンダリングへの監視を強化すると同時に、2006年2月から相続税が廃止されたため、財政収入減少と引き替えに、金融市場・不動産市場への投資が増加することが見込まれている。
香港経済は近年、広範で強力な成長を続けてきた。2007年10月半ばに発表された新しい統計方法によると、実質GDPは2005年7.1%、2006年6.3%と続き、2007年上半期に前年同期比で6.3%の伸びを示した。香港は「世界で最も自由な経済」と呼ばれ、またサービス部門がGDPの90%を占めることから「世界で最もサービス指向の強い経済」とも称されている。
さらに「世界第2位の住民一人当たり外貨保有高」「世界第9位の外貨準備高」「アジア第2位の海外直接投資」など世界のトップクラスの指標が多くある。規制の少ない低税率な自由経済が、香港の高い成長率を牽引したということだろう。
一方、マカオは、中国南岸の珠江河口に位置する特別行政区。旧ポルトガルの植民地で、現在はカジノで名高い国際都市である。1999年にポルトガルから中国へ返還された。通貨は、マカオ・パタカ(MOP)。
しかし、実際には流通通貨のほとんどが香港ドルだ。香港ドルとパタカのレートは固定されており、香港ドルがパタカより少し強く、カジノのスロットマシーンが香港ドルしか使用できないことなどの理由がある。また、パタカは地域限定の通貨だが、香港ドルはマカオと香港で両方使えるというメリットもあり、マカオでは香港ドルが広く使われているのだ。
さて、マカオの産業といえば、カジノを含めた観光業が突出しており、次いで織物と衣類が大きなシェアを占めている。カジノに関しては、2006年にラスベガスの売り上げを超え、首位に躍り出た。その背景には、経済成長を続ける中国の「チャイナ・マネー」と外資の注入があると見られている。
中国銀行澳門(マカオ)分行が2008年2月に公開した経済研究レボートによると、2008年、マカオは観光業、レジャー産業、および投資面での伸びを基礎に、総体的な経済の持続した成長が見られ、伸び率は13%に達する見込みだという。
また、コンベンション産業の直接収入は年々増加する見込みで、マカオはアジア太平洋地域におけるコンベンション産業の成長が最も著しい都市になっている。カジノだけでなく、コンベンション産業が、ホテル業、飲食業、商業、娯楽業など多くの産業を発展させ、総体的な経済の成長を促す役割を担っているのである。
By Master K/益田 慶