FXライフ 63 東アジアの通貨 韓国と北朝鮮

韓国の正式国名は大韓民国。日本とは、特に経済面で関係の深い国である。IT産業、自動車産業が強く、世界で13番目の経済力を持つ。韓国経済のCEOを自認する李明博大統領の経済公約、すなわち減税、企業と不動産の規制緩和が実行されれば、2012年頃には韓国の一人当たりの国民所得は、日本並みになると予想されている。


通貨はウォン(KPW)。通貨単位も呼び方も北朝鮮の通貨と同じだが、実態は別の通貨。区別するために「韓国ウォン」と呼ばれることが多い。もともとは「円」の朝鮮語読みだが、「元」も朝鮮語読みで「ウォン」と読むことから、韓国では「元」をハングル文字で「ウィアン」、日本円を「エン」と表記している。


韓国ウォンは、日本円に連動する場合が多い。通貨保護の観点から国外への持ち出しを制限していたが、2002年の「日韓共催ワールドカップ」を機に規制緩和され、日本の郵便局や一部の銀行でも円との両替ができるようになった。


近年のGDPは、2005年4.2%、2006年5.1%、2007年5%と堅調に推移している。2008年8月の経常収支は47億880万ドルと、原油高に伴う貿易収支の悪化が響き、過去最大の赤字額を記録した。9月以降は原油価格が反落したこともあり、経常収支の改善が期待されているが、先進国経済の動揺で輸出が減速する恐れもある。また、日本同様、国内消費が低迷しており、若年失業者が多く、二極化が指摘されている。


主要な産業は、情報技術、造船、鉄鋼、自動車など。サムスン電子や現代自動車、LG電子、ポスコ、現代工業などの企業が世界的に知られている。ただし、技術や素材、部品を日本に依存しているため、日本との貿易収支は赤字が続いている。技術面で日本企業との提携が多いのも特徴のひとつ。たとえば現代自動車は三菱自動車と提携していたし、製鉄の最大手ポスコは新日製鐵から技術を導入した。


また、かつてサムソンが松下電器に多くの社員を送り込み、多くの技術を学んだことはよく知られている。近年では、液晶パネル製造部門を持たないソニーがサムスンと提携するなど、逆転現象も見られ、また知財やライセンスでのトラブルも数多く発生し、提携の仕方も多岐にわたっている。韓国企業の世界進出はめざましく、家電製品は欧州市場に受け入れられつつあり、海外プラント建設では中東から多くの事業を受注している。


一方、韓国と同じ通貨「ウォン」を使う北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)だが、北朝鮮ウォンはあくまでも朝鮮人民のみに流通する通貨。だから、北朝鮮以外の国では両替はできない。ただし、北朝鮮を訪れた外国人との取引は外貨で行なえる。国内で流通する通貨は公式には「ユーロ」だが、市場には人民元、米ドル、日本円も流通しているらしい。


一応、固定相場が設定されており、公式なレートがある。1990年代まで公式な為替レートは「1ドル=2ウォン」ほどだったが、2004年の為替レートは「1ドル=141ウォン」だったと伝えられており、「ウォン安」が続いている。実際には闇両替取引が実施されており、相場は物価を反映し、公式相場を大きく下回っている。闇市場では「1ドル=2500ウォン」以上ともいわれている。近年の経済状況では当然の結果といえよう。


ともあれ、長引くインフレにより、北朝鮮ウォンがどれほどの価値を持っているのかは不明。実質的な一人当たりGDPは、日本円にして6700円ほどになるというレポートもある。


インフレの原因は、ふくれあがる北朝鮮の国家財政。増税ではなく、国債の大量発行によって調達したと考えられる。これは軍事優先の「先軍政治」が加速していることを物語っている。軍事費の比率を示す「ミリタリーバランス」は、国家予算の63%にあたると見られる。こうして北朝鮮の通貨は紙くず同然となり、国民は脱北して中国や韓国で働かないと収入が得られない状況に追い込まれている、と専門家は分析している。


By Master K/益田 慶