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FXライフ 60 南アジアの通貨 ネパールとパキスタン

ネパールは南にインド、北に中国チベット自治区を接する東西に細長い内陸国。面積は北海道の約1.8倍。世界最高峰エベレストを含むヒマラヤ山脈と、南部のタライ平原から成る。多民族・多言語国家で、ブータンやチベットから難民が移り住み、民族問題がより複雑になっている。かつて王制を敷いていたが、2008年5月、国王が退位し、240年間続いた王制が終わった。


通貨は、ネパール中央銀行が発行するネパール・ルピー(NPR)。同じルピーの名を持つインド・ルピーとは、1インド・ルピー=1.6ネパール・ルピーに固定されている。


ネパールは後発開発途上国のひとつに数えられ、主要産業は農業。農業以外では観光業と繊維加工業が主力。観光業は重要な外貨獲得手段だが、2006年まで続いたネパール共産党と政府との抗争による観光客減少により、2002年度以降は10%以下に減少した。経済成長率は、推定1.8%(2006年)。物価上昇率が8%と高く、国民の生活は決して楽ではない。そのため、海外への出稼ぎが増え、出稼ぎ送金の増大が貿易赤字を相殺している。その点は、フィリピンと似ている。


主要輸出品は、カーペット、既製服。主要輸出先は、インド、アメリカ、ドイツ。インドは主な輸入国でもあり、結びつきが強い。地下資源には恵まれていないが、ヒマラヤ山脈を利用した水力発電により国内の発電量のほぼすべてを水力発電が占めている。ちなみに、同国に対する日本の経済援助額は、イギリスに次いで第2位。よって日本の国連常任理事国入りを支持している。


パキスタンは、政治的に非常に難しい立場にある国だ。正式名称は、パキスタン・イスラム共和国。1947年にイギリスから独立したイスラム国家で、インドとは3度にわたる「インド・パキスタン戦争」を行なった。1971年には、インド軍の侵攻を受けた東パキスタンを失い、バングラデシュとして分離独立。現在もインドとは対立関係にある。そのインドと対立する中国とは利害が一致することから、パキスタンは中国から軍事援助を受けてきた。また、アメリカはイランを封じ込めるため、パキスタンを支援し、同国も親米路線をとってきた。


一方、パキスタンはアフガニスタンの武装勢力タリバーン支持してきた。しかし、9.11以降、米国がアフガニスタン侵攻を開始。パキスタンがこれを支持したことで大きなねじれが生まれた。パキスタンは、それまで支援してきたアルカイーダを、弾圧する側にまわったのである。その後、タリバーンはパキスタンに潜伏して、反米抗争を展開。イスラム教徒に対するキリスト教国の攻撃に反感を抱く国民の声が高まり、パキスタンは親米・反米の間で混沌としている。


通貨は、パキスタン・ルピー(PKR)。主要産業は、農業と繊維産業。特にパジャーブ地方で小麦の生産が盛んで世界生産量第4位である。米国、アラブ首長国連邦、中国、イギリスなどに、繊維関連製品、農産品を輸出し、サウジアラビアとアラブ首長国連邦から原油、石油製品を、日本からは自動車や機械類を輸入している。


ムシャラフ前大統領が、経済改革プログラムに着手し、一定の成果をあげた。2006年までの6年間で、政府の財政赤字をGDPの8%から4%に減らし、パキスタンの公的債務の返済を繰り述べ、国の事業部門のほとんどを民営化することに成功した。2006年度のGDPは7%と堅調に推移しているが、インフレ率も8%とアップし、国民生活は決して楽にはなっていない。優先順位は、治安の正常化であろう。


余談だが、パキスタンはインドの脅威に対抗するために核開発を行なってきた。パキスタンの「核開発の父」と呼ばれるA・Q・カーン博士はひそかに北朝鮮、リビア、イランへのミサイルや核兵器技術の提供にかかわっていたことが判明している。


By Master K/益田 慶