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世界資源戦争 42 「都市鉱山」と資源リサイクル

鉱物資源や金属資源に乏しい日本は、安く輸入した資材や原材料を付加価値の高い製品に加工して海外に輸出している。いいかえれば、世界屈指の資源輸入大国だ。2007年から2008年にかけて多くの資源が高騰し、製造業は打撃を受けた。小麦粉や食用油ように原価アップ分を売値に転嫁して値上げのできる商品ばかりではない。業種によっては、値上げにより客離れが起こり、自らの首を絞めることにつながるケースもある。


昨今の資源高で脚光を集めたのが資源リサイクルだ。「資源に乏しい日本は、じつは世界有数の資源大国」とする逆転の発想がある。都市で大量に廃棄されるパソコンや携帯電話など電子機器のなかに希少価値の高い資源が鉱山のように眠っている。それらの電子機器は「都市鉱山」と呼ばれている。


独立行政法人「物資・材料研究機構」の公表データによれば、日本の「都市鉱山」には全世界の埋蔵量の1割を超える希少金属、いわゆるレアメタルが存在するという。その総額を試算すると、約41兆円。そこから「日本は世界有数の資源大国」という見方が、あながち間違いでないことがわかる。


たとえば携帯電話の部品には、金、ニッケル、カリウム、リチウム、ネオジムなど多くのレアメタルが使われている。最もわかりやすいのが金だ。1台から0.03グラムの金が抽出できる。日本国内には、約1億5000万台の携帯電話が存在する。1万台回収できれば、約300グラムの金が抽出できることになる。自然の金鉱山の鉱石から採れる金は、1トンあたり5グラム程度しかないことを比較すれば、「都市鉱山」は、自然の鉱山より良質の「宝の山」ということがいえる。


廃棄された製品の部品から効率よくレアメタルを回収できれば、他の製品の部品に再利用することもできる。また、安いコストでリサイクルできれば、経済効率性が高まる。課題は、廃電子機器の回収の方法と、部品に少量しか使われないレアメタルを効率よく抽出する技術だ。NTTドコモは、販売店やコンビニに携帯電話の回収ボックスを設置しているが、効果はあがっていない。一部の消費者からは「資源高の折、レアメタルを含む携帯電話をタダであげるのはおかしい」という声もあがっている。提供する側にもメリットのある回収システムが求められている。


一方、廃棄処分される家電や通信機器を日本から買い取っている国がある。中国だ。レアメタル以外にプラスチックやペットボトル、古紙も、中国企業や日本の商社が日本から中国へタンカーで資源ゴミとして運んでいる。まだ記憶に新しい、製紙メーカー各社の再生紙偽装。


その背景には、日本の古紙を中国企業が高値で買い集め、日本の製紙会社が「買い負ける」という資源争奪戦の実態があった。値段の上がった古紙を購入すれば、製紙メーカーは利益が出ない。モラルより経済原理が優先したひとつの例だ。さらにペットボトルなどの資源ゴミも中国への流出が加速し、日本の再商品化業者が相次いで倒産している。


資源に乏しい日本だが、皮肉なことに資源ゴミの排出量は世界屈指だ。これらがリサイクルできるなら、日本は「資源国」といえなくもない。中国は低賃金による人海戦術と最新の技術導入によって、リサイクルビジネスの先進国になっている。中国では経済成長にともない、とにかく資源が不足している。

たとえばプラスチック製品の原料として、日本で廃プラスチックを回収して中国に輸出する中国系企業があるが、同社の2006年の年商は53億円、2007年には63億円に達している。1年間で10億円も売上を伸ばしている。中国国内では、廃棄された家電や通信機器を専門に扱う町やプラスチックを専門に扱う町が存在している。日本から届いた資源ゴミを選別したり粉砕したりすることが彼らの仕事だという。


このように「世界資源戦争」は、資源ゴミをも争奪する局面を迎えている。それは中国のみならず、東南アジアの国々にも広がっている。日本はアジアにおける「資源ゴミの輸出大国」になりつつある。


By Master K/益田 慶