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世界資源戦争 41 国によって異なる化石燃料代替エネルギー

現在、おもなエネルギー資源として全世界で利用されている石油や石炭、天然ガスは、燃やすと二酸化炭素やメタンを排出し、温暖化を促進するといわれている。しかもそれらの化石燃料は、いずれ枯渇することから、温室効果ガスを排出しない再生可能なエネルギーへの転化が始まっている。化石燃料代替エネルギーの本命は、いちはやく実用化された太陽電池か、それとも開発中の水素エネルギーか、あるいはバイオエタノールやバイオガスなどバイオ燃料か? 


その答えはまだ明確になっておらず、また国によってまったく異なる。なぜ異なるのかといえば、その国にどんな資源とどんな技術があるのかによって、政府の進めるエネルギー対策が異なるからだ。たとえば資源大国のロシアは、アメリカに原油と天然ガスを輸出しているが、反対にアメリカから穀物を輸入している。


ロシアは寒冷地にあるため、穀物の栽培に適していないから、輸入せざるを得ないのだ。じつは穀物も多くの産業の「資源」となっている。家畜の飼料である。だから穀物価格が高騰すれば、牛肉や豚肉、牛乳、チーズ、バターの価格、あらゆる乳製品の価格が上がる。世界一の穀物生産高を誇るアメリカは、再生可能な「資源」を保有しているというわけだ。


一方、アメリカは電力の確保は原子力発電を、ガソリンはバイオエタノールを推進している。じつはアメリカの発電所は石炭を燃やす火力発電所が主流で、米国の発電量の半分をまかなっている。原子力発電はまだ少数派に過ぎない。その火力発電所だが、2007年には建設中止に追い込まれた石炭火力発電所の数が59カ所に上っている。

地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量が特に多いとして、州政府が建設許可を出さなかったことなどが理由で、金融機関も融資に消極的になっている。2006年度の米国の総発電量に占める石炭の比率も1980年以来最低の49%となり、この年に米国の石炭依存は転機を迎えたと判断できる。

一方、石油資源に乏しいドイツとスウェーデンでは、家畜の糞尿や生ごみ、木材などの動植物を発酵させて得られる「バイオガス」が、産業廃棄物の有効利用法として、また石油の代替エネルギー源として注目を集めている。ドイツには2000近くのバイオガス工場があり、汚水処理場や埋立てゴミ、家畜糞尿などから発生するガスを使って、電力や熱エネルギーを生産している。


スウェーデンでは、バイオガス自動車に優遇措置がとられ、燃料費はガソリンの15%ほど安く設定されている。また、自治体によってはバイオガス自動車の駐車料金が無料になるケースもある。反対にガソリン車には、炭素税が課せられ、維持するのに負担がかかるようになっている。

スウェーデンは、国土の約半分を森林が占める森の国。自動車や工場の燃料に用いられるバイオマス燃料は、森林を伐採した後に残される樹木の枝や製材に使われない樹木の先端部分、樹皮、端材など、いわば「森のゴミ」を使って熱と電気を作り出しているというわけだ。スウェーデンは生活水準が高いと同時にエネルギー消費量も多い。この点は、日本、ドイツ、韓国にも共通する要素だ。


スウェーデンは寒冷な気候のため、エネルギーの4分の1は暖房に用いられている。1970年頃には、国内消費エネルギーの約4分の3を輸入原油が担っていた。しかし、1970年代の2度の石油ショックをきっかけに、エネルギー需要の抑制と輸入原油への依存を減らしエネルギー源の多様化を図る方向にエネルギー政策を大きく転換した。


この結果、1970年から現在までエネルギーの総需要量はほとんど変わらない一方で、原子力発電の開発を見直し1990年から税制改革の一環として、化石燃料に対する炭素税や硫黄税、窒素酸化物税等の環境税が導入された。その反対に、バイオマス燃料に関しては、これらのすべての課税が免除されたのだ。このため、バイオマス燃料を用いることは経済的にも有利になるようなしくみになっているのである。


By Master K/益田 慶