FXライフ 57 東南アジアの通貨 ミャンマーとラオス
軍事政権が支配するミャンマー。1962年から1988年まで続いた「ビルマ式社会主義」時代の鎖国的な経済体制によって、当時のビルマの経済は大きく停滞した。1988年に起こった大規模な民主化要求デモにより社会主義政権は崩壊したが、国軍がデモを鎮圧し、軍事政権を樹立した。
通貨は、チャット(MMK)。キャットと表記するケースもある。海外では流通しておらず、チャットの輸出入も禁じられている。まず、ミャンマー独自の複雑な為替制度を紹介しておこう。ドルは国内の商取引で広く用いられているが、その他の外国通貨の使用は一般的ではなく、外貨からチャットへの交換は、政府が公認した限られた公設交換所でしかできない。しかも実勢よりは不利なレートが適用される。
ミャンマーの正規の外国為替レートには、中央銀行の定める「公定レート」と「公認市場レート」の2種類がある。二重為替相場制だ。輸入品価格の査定や輸入関税の算定には公認市場レートが使われる。このほかに「実勢レート」があり、実際の経済活動のほとんどが実勢レートで行われている。
ミャンマーに外貨を持ち込む外国人投資家には、国営銀行2行にのみ外貨口座の保持が認められる。また、外国投資法で認可された外国企業と雇用者は、ミャンマー外国貿易銀行(MFTB)などの外貨口座の開設義務があり、しかも外貨送金規制は極めて厳しい。持ち込まれた外貨を国内で使用する際、まずFECと呼ばれる外貨兌換券に交換しなければならない。
1FECは、ミャンマー国内に限り1ドルと同等の価値を持つ。国内通貨を得る場合には、いったん外貨をFECに交換したうえで、公認交換所で政府公認市場レートにより交換できる。外為銀行では外貨からチャット、FECからチャットへの交換は行わない。
ミャンマーの経済状況は、政府の公式発表がなく不透明だ。2007年8月、ガソリン、ディーゼルなど燃料の公定価格が突然大幅に引き上げられ、一時期大きな混乱があった。また、米などの基本食材も一時高騰した。さらに欧米諸国がミャンマー製品の輸入禁止や新規海外直接投資の禁止などの経済政策を行なっていることから、近年、急速に発展してきた民間の縫製業が大きな打撃を受け、工場は操業停止を余儀なくされているという。
それでも、経済紙「エコノミスト」が2008年の成長率を3.4%と見込んでいるのは、天然ガス輸出が堅調だからだ。また、外国投資については近年、中国、インド、タイなどからのエネルギー分野への投資認可が相次いでいるという。
そのミャンマーをはじめ、中国、ベトナム、カンボジアと国境を接するラオスは、マルクス主義を掲げる一党独裁体制。1986年に市場原理が導入され、新しい経済メカニズムがスタートしたが、アジア通貨危機によって通貨キープ(LAK)が大幅に下落し、激しいインフレに見舞われた。ラオス政府のこの時期に西側先進国との関係を改善し、国際機関や西側先進国からの援助によって経済を復興した。
ラオスの主要産業は、農業、林業、水力発電、鉱業だ。豊富な水力発電によってタイに売電していることは有名で、「東南アジアの電源」と称されている。地下資源は未開発ながら、カリ岩塩の鉱床、スズ鉱床のほか、マンガンや鉄、マグネシウムなどの鉱床も発見されている。これら莫大な資源を活用するための課題は、交通網の整備だ。ラオスは国土の約半分を森林が占めており、さらに険しい山脈が縦横に広がっている。
2007年のGDPは8%。タイ、ベトナム、中国など隣国に電力や衣料、木材を輸出し、原油や工業製品は輸入に依存している。2008年1月、日本との間で二国間投資協定に署名。日本企業にとっては、同国の豊富な地下資源は魅力的。日本企業の技術によって鉱業が活性化すれば、両国の経済的なメリット大きいだろう。
By Master K/益田 慶