100年企業 39 産業別100年企業 非鉄金属業界
鉄以外の金属、金、銀、銅、アルミニウムなどの精錬や製品化を営むのが非鉄金属業界だ。銅線を中心とした電線ケーブル、光ケーブルのファイバー樹脂などもこの業界の範疇に入る。大きく分けると、総合非鉄、電力用電線、アルミなどに分類できる。ともに住友、三井、三菱、古河などグループ系列企業がリーディングカンパニーとなっている。
業界で最も歴史があるのが住友系だ。住友金属鉱山は1590年、住友電気工業は1897年の創業である。資源の保有量では日本企業トップの「住友金属鉱山」は、戦国時代に京都で生まれた銅製錬・銅細工の「泉屋」をルーツとする。つまり、住友グループの源流だ。別子銅山の採掘権を獲得した住友合資会社から別子鉱業所が分離して生まれた。中国に生産拠点を構える鉱山開発、製練のほか電子・機能性材料などの生産を行なう総合非鉄金属メーカーである。
電線の国内シェア首位の「住友電気工業」は、住友本店が開設した「住友伸銅場」の電線製造部門が独立して誕生した。自動車部品、電子部品、光ファイバーなどの製造で大きなシェアを占めている。同じ住友伸銅場をルーツとする鉄鋼メーカー「住友金属工業」が三井住友銀行、住友化学とともに"住友御三家" と称されるのに対し、こちらは、日本電気(NEC)、住友商事とともに"住友新御三家"の一角を占めている。
その住友金属工業とシリコンウエハー事業(ICチップの製造に使われる半導体でできた薄い基板の製造)で統合した「三菱マテリアル」は、総合非鉄のトップ企業。1871年、三菱商会前身の九十九商会が紀州新宮藩の炭鉱を租借し、鉱業部門に進出したのが起源だ。のちに「三菱鉱業セメント」と「三菱金属」が合併して誕生したのが三菱マテリアルだ。子会社の「三菱電線工業」も100年企業。電線業界大手6社のうちの1社で、2005年に三井グループの「フジクラ」と合弁企業を設立した。三菱-三井-住友といったグループの壁は、ゆるやかになっているようだ。
三井グループには「三井金属鉱業」がある。1874年、三井組が神岡鉱山の経営権を取得して生まれた三井鉱山から分離したのが同社だ。金属製練、電子材料、自動車部品製造に強い。
三井系では、ほかに電線御三家(ほか住友電気工業、古河電気工業)の「フジクラ」がある。携帯電話やデジカメに欠かせないプリント基板は世界第2位、光ファイバー第3位の企業だ。タイに主要工場を置き、タイで一番多くの雇用をしている日本企業である。同社の歴史は、創業者である藤倉善八が1885年、神田淡路町で絹・綿巻線の製造に乗り出した時に始まる。1910年に「藤倉電線」を設立、1992年に現社名に改称した。また2005年に電力システム事業を「古河電気工業」と統合した。中国、ベトナム、インド、マレーシアなどアジア各国に事業所を構えている。
電線御三家を担う古河電気工業は1884年、古河鉱業の一部門として設立された本所溶銅所をルーツとする100年企業だ。1920年に現社名となり、古河鉱業から独立した。主要取引先にJRやNTTがあり、30社ほどのグループ企業がある。
By Master K/益田 慶
余談だが、銅地金などの価格は、ロンドン金属取引所の相場に連動して決まる。ドル建なので為替相場に大きく左右されるのは当然のことながら、近年の資源高の影響で生産原価が高騰し、収益を圧迫している。海外から安い資源を輸入し、工業製品の材料や素材に加工して提供する日本企業にとっては逆風となっている。