FXライフ 51 中央アジアの通貨 キルギスとタジキスタン
キルギス共和国は、カザフスタン、中国、タジキスタン、ウズベキスタンと国境を接する内陸国。国土の40%が標高3000メールを超える。面積は日本の約半分。唐、ウイグル帝国、モンゴル帝国、 ロシア帝国、ソ連など、大国に支配され続けた歴史をもつ。通貨は、ソム(KGS)。1993年にソビエト・ルーブルの代わりに導入された。
隣国のカザフスタンは地下資源に恵まれた国だが、キルギスは、金、水銀、アンチモン以外の資源はない。独立以降、ソ連崩壊の混乱から経済は伸び悩み、経済改革も進まなかった。GDPがプラスに転じたのは、1996年。それでも貧困対策が必要とされ、ODAによって米国、ドイツ、日本、スイス、イギリスなどが援助国となった。
主要産業は、タバコや綿花の栽培と牧畜、金採掘を中心とする鉱業。石油製品、天然ガスを輸入し、葉タバコや綿、金などを輸出するという構造だ。電力は、高山や渓谷を活用した水力発電でまかなっている。2006年のGDPは2.7%、物価上昇率は5.1%、失業率は9.6%。日本は自動車とゴムタイヤを輸出し、アルミ合金、非鉄金属を輸入している。関係の深いロシア、中国といった大国とバランスを保ちつつ、米国とも良好な関係を続けようとしている。
1997年から本格的な生産が始まったクムトール鉱山は、同国の経済を支える重要な金鉱山だ。この鉱山を保有するセンテラ・ゴールドはカナダの企業で、その大株主が資源最大手の「カメコ」。やはり資源を狙って大手が進出しているということだ。
タジキスタン共和国は、南にアフガニスタン、東に中国、北にキルギス、西にウズベキスタンと国境を接する内陸国。8世紀にイラン系の言語を話すイスラム教信者のタジク人が移住し、やがてロシア帝国の保護国、ソ連の自治区としてタジク国家は存続し、ソ連崩壊とともに独立を果たした。通貨は、ソモニ(TJS)。1995年に独自通貨「タジク・ルーブル」を導入したが、2000年にソモニに変更した。
旧ソ連の共和国、自治区の中では最貧国。独立後の紛争が要因だ。北部を基盤とする政府側と、民主派やイスラム派を主とした反対派連合間の激しい対立から、1992年に両勢力の武力衝突が内戦へと発展。その結果、生活水準が低下した。1997年にはモスクワで和平と国民理解に関する協定を締結し、内戦に一応の区切りがついた。以降、IMFや世界銀行の支援と米国、スイス、ドイツなどから援助を受け、近年経済は安定している。2006年にはGDP7%を達成。
主要産業は、農業、アルミニウム生産、水力発電だ。工業部門では繊維産業が発達。鉱物資源では、世界第4位の生産量を誇るアンチモン鉱がある。鉛蓄電池、ハンダ合金、半導体材料など工業材料として広く用いられている資源だが、人体に毒性があることから代替素材の開発が進められている。また、小規模だが、亜鉛、ウラン、ラジウムなどの希少金属の鉱床が発見されている。水資源が豊富なことから、電力のほとんどを水力発電でまかなっている。この安価で豊富な電力を活かして、アルミニウム工業が発達し、現在では輸出品目のメインになっている。
外交はロシアの投資が大きいこととロシア軍が駐留していることから、経済・軍事面でロシアへの依存度が高い。しかし米国が最も大きな経済支援国となっていることから米国は無視できない。また上海協力機構を通じて中国からも経済・軍事支援を受けており、やはりロシア、米国、中国など大国の顔色を見ながら外交を続けなければいけないようだ。
By Master K/益田 慶