FXライフ 50 中央アジアの通貨 カザフスタン
ソ連崩壊後、一般にカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国を「中央アジア」と定義している。すべてがかつてソビエト連邦に属した国だ。
カザフスタンは、西はカスピ海に面し、ロシア、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、東は中国に接する世界第9位の面積(日本の約7倍)を持つ大国だ。
1991年の独立後、ソ連邦カザフスタン共和国共産党第一書記・大統領からそのままカザフスタン共和国大統領に就任したナザルバーエフ大統領が、一貫して強力なリーダーシップを発揮して政治・経済改革をすすめ、政情は安定している。政治・経済面で密接な関係を有するロシアとの良好な関係維持を重視する一方、中国、米国、EUとも良好な関係を維持し、抜群のバランス感覚を見せている。
早い時期から市場経済の基盤づくりに取り組み、その後の順調な経済成長の基礎づくりに成功した。ここ数年のGDPの推移を見ると、2005年9.4 %、2006年10.6%、2007年8.5%と順調だ。通貨は、テンゲ(KZT)。1993年からルーブルに替えて使われている。1 KZT = 約0.9円だ。1999年4月5日、変動相場制へ移行した。いまテンゲが通貨として強いのは、原油、石炭、クロム鉱、ウラン鉱など地下資源に恵まれているからである。特にウラン、クロムの埋蔵量は世界3位、亜鉛は世界5位だ。
1998年のロシア金融危機では、経済的に大きな打撃を受けたが、石油・金属など保有資源の国際市場における高値や穀物の豊作に助けられ、2000~2006年のGDPの年平均実質成長率は10.2%と急成長を遂げた。カザフスタンへの外国直接投資の額も、2006年だけで104億ドル、1993年からの累積投資額は500億ドルを超えるなど、外国投資の受け入れに関しては経済移行国の中で上位国だ。
原油の産出量は世界シェア1.1%だが、 カスピ海東岸の油田地帯(テンギズ、ウゼンなど)の大規模石油開発のほか、最近ではカスピ海北部の油田開発が世界的な注目を集めている。2000年に大規模油田が発見されたカシャガン鉱区では、国際コンソーシアムが開発を進めており、2010年頃の商業生産開始を目指している。
なお、同コンソーシアムには、国際石油開発が約8.33%の権益を得て参加している。2001年には送油管が完成し、ロシア黒海沿岸ノボロシスクへの石油輸送が可能となった。また、2006年から稼働した「BTCパイプライン」へのカザフスタン産原油の供給も予定。さらに中国西部とカザフスタンを結ぶ「アタスゥ=アラシャンコウ」送油管によって2006年から送油が開始された。オイルマネーの高騰がカダフスタンの経済を潤してきたのだ。
ウラン採掘分野では、世界の原子力企業が権益を購入しているほか、日本から丸紅、東京電力、中部電力などがカザフスタン国有原子燃料会社であるカザトムプロム社が推進している新規ウラン鉱山開発・生産プロジェクトに参画している。
しかし近年では地下資源に依存しない産業構造づくりに移行しようという動きが目立っている。急成長している分野は、建築業と金融業だ。首都をはじめとする建設ラッシュの流れを受けた国内建設業の成長は著しく、前年比35.6%増(2006年度)。
また、銀行部門をはじめとする金融産業も前年比で43.4%増加(2006年度)するなど、建設業と並ぶ国家経済の二大牽引産業となっている。資源で潤う国は、金融業も盛んなるというが、確かにそのとおりだ。同国は「2010年までに競争力において世界の上位50カ国入りを目指す」という目標を設定している。世界の大国になる可能性を秘めた国のひとつだ。
By Master K/益田 慶