外国為替再入門 16 外国為替市場のプレーヤー
外国為替マーケットには、銀行、顧客、中央銀行、外為ブローカー(短資会社、FX会社などの仲介業者)などが市場参加しています。
銀行は他の銀行との間で為替レートを提示し合い、インターバンク市場を形成しています。ここでいう顧客は銀行にとっての顧客で一般企業や個人のことを指しています。外国為替市場の主役は言うまでもなく銀行ですが、銀行が外国為替マーケットで取引する目的は2つあります。ひとつは銀行自身が差益狙いで行う取引です。もうひとつは顧客との取引で発生したポジションを市場でカバーする取引です。
キャピタルゲイン狙いで取引する銀行の自己ディーリングは多くの場合は短期売買です。1日の中であるタイミングでは売り、あるタイミングでは買いに入り、あるいはカバー取引を行います。その日のニュース、経済指標、マーケットの動きに機敏に反応して短期売買を繰り返します。また、大口顧客の売買の方向に反応して短期売買します。
顧客は、キャピタルゲイン狙いの取引もしますが、輸出入など商業取引に基づく実需売買の為替取引が主体です。特に東京マーケットではその傾向が強いです。海外への送金、貿易取引、資本取引に基づく為替取引です。これらの取引は、取引主体の性質にしたがって、買うか、売るかどちらかで、買い戻しなどの反対売買は発生しない取引が大半です。これらの取引は一方通行の取引であることから中長期的には為替レートのトレンドを形成する要因となります。銀行の自己ディーリングやヘッジファンドの取引は長短の差はあるが、いずれ反対売買がなされます。これらがトレンド形成への影響を及ぼすことは少なく、短期のボラティリティを形成する変動要因にしかなりません。トレンドを形成するのは、需給に影響を与える長期的売買である必要があるのです。
顧客には様々な目的をもった取引主体があります。ヘッジファンド、CTA(先物業者)、投資銀行などのように銀行以上のポジションを積極的に持つスペキュレーターもいれば、自動車、機械の輸出メーカーのように輸出代金を外貨で受け取る企業は定期的に外貨売り・自国通貨買いを行います。また、石油会社、電力会社のように、原油や天然ガスを常に輸入する企業は、その支払いのために定期的に外貨買い・自国通貨売りを行います。さらに生命保険会社のような長期の資金運用需要を持つ企業は外国債、外国株を長期保有したりするため外貨の買い入れを行います。
中央銀行も外国為替市場では主たる取引主体です。しかし中央銀行の取引目的は、急激な為替レートの変動を抑制したり、一定の変動幅を保ったりするのが目的です。国家の為替政策を実行するのが中央銀行の取引目的ですが、このような為替取引を市場介入と呼びます。かつての日本銀行は頻繁に市場介入を行っていました。オーストラリア準備銀行、南アフリカ準備銀行などは現在でも常時市場介入を行っていますし、ニュージーランド準備銀行なども時折市場介入を実施しています。
シンガポール通貨庁のようにアジアのいくつかの中央銀行では、為替の安定のための市場介入ではなく、キャピタルゲインを目的とした投機的売買を行うところもあります。外貨準備の運用が目的です。したがってこのような目的のための中央銀行の売買は市場介入とは呼びません。
ブローカー(仲介業者)は、インターバンクでの取引を仲介する業者です。ブローカーには銀行からの売買注文が集まり、それを結びつけます。大口の実需筋もブローカー経由で為替取引を行うこともあります。ブローカー自身は通常は自己ディーリングを行いません。自己ポジションを持つことなく仲介に徹するのがブローカーです。