FXライフ 48 西アフリカの通貨 リベリアとモーリタニア

ギニア、シエラレオネ、コートジボワールと接するリベリア共和国は、19世紀初頭に米国で発生した奴隷解放運動が具体的な形となり、祖国再建運動に発展して実現した国。アメリカで解放された奴隷が1847年に建国した。アフリカではエチオピアに次ぐ古い国だ。しかし移住地区を建設して入植した人々が先住民を弾圧したことで、民族闘争の火種が生まれた。20世紀半ばまで、経済不況と先住民族の抵抗が続いた。


1989年には内戦が勃発し、90年代後半まで続いた。その後、いったん落ち着くが、2003年に反政府勢力が首都モンロビアを侵攻し、再び内戦が始まった。暫定政府によって第1回大統領が行われたのが2005年10月。決選投票によって、国連開発計画の元アフリカ局長エレン・ジョンソン・サーリーフがアフリカ初の民主的な選挙で選出された女性大統領に就任。ここから復興計画が始まった。


通貨はリベリア・ドル(LRD)。他のドルと区別するため「Lドル」と表示される。疲弊した経済を再建すべく、政府は1980年代以降に積みあがった8億8800万ドルの長期延滞債務を完済、IMFとの関係は正常化した。そして2008~2010年の経済再建計画を支援するため、総額9億5200万ドルの金融支援を実施した。人口380万人のうち推定64%が貧困レベル以下の生活をしているとされる同国の再建は、世界各国から無償援助を集め、国外に逃れていた難民が帰還し、農業を再開することからスタート。


2006年の実質GDPは約7.8%まで上昇、2007年度の成長率は8.5%と予想されている。IMFは2008~2010年のGDPを年平均11.3%と予想している。高成長率の要因として挙げられるのは、投資の増加、農業部門の復興、主要輸出品であるゴムの国際市場価格の上昇、鉄鉱石採掘の再開、ダイヤモンドの制裁解除、木材の禁輸解除などだ。特に推定10億トンの埋蔵量がある鉄鉱石は、国際価格が高騰しているので大きな財産となるはず。またダイヤモンドや金も発掘されており、地下資源は有望。ただしインフレ率が2007年に11%に上昇したことが懸念材料となっている。


余談だが、リベリアは船会社専門の税金避難地として古くから有名。タックス・ヘイヴンのひとつで、安価な手数料で船舶国籍証書を発行する便宜置籍国だ。船の所在国はリベリアだが、会社の実態のないペーパーカンパニーが多くあるという。もともとはギリシャの船主が節税のため利用したのが始まりだ。


西サハラ、アルジェリア、マリ、セネガルと国境を接するモーリタニアの正式名称は、モーリタニア・イスラム共和国。国名からわかるようにイスラム系ムーア人住民が社会の上層を占める。1960年にフランスから独立したが、通貨はCAFフランでなく、ウギア(MRO)だ。


2005年、無血クーデターによって新政権が誕生し、2007年に初めて大統領選挙が行われ、新大統領による民主化プログラムが進められている。鉱業、農業、漁業など天然資源に恵まれ、2006年のGDPは11.7%という好調な成長率だが、インフレ率が約30%と高い。外貨収入は水産物と鉄鉱石の輸出だ。鉄鉱石は高値が続いているので有望。さらに2006年から原油の生産も始まった。新たな収入源となる経済部門が生まれたことで経済の復興が期待されている。


特に「原油収入国家基金」を設立し、原油から得た収入を全額基金に振込むことを決定したのは評価できる。アフリカの産油国は、政治家と一部の企業家のみが潤い、原油の恩恵が国民に還元されないケースが多い。基金は銀行に設けられ、国際監査を受ける。また国営原油会社「モーリタニア炭化水素会社」を設立し、原油資源管理を行なう。経済協力開発機構(OECD)は、モーリタニアのGDPは20%を超えるだろうと予測している。やはり原油高の恩恵だろう。

By Master K/益田 慶