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世界資源戦争 31 銅やアルミなど非鉄金属資源高騰の背景

高騰を続けているのは、原油と鉄鉱石だけではない。非鉄金属の高騰も著しい。たとえば銅地金。銅は耐食性が高く、古来貨幣の材料としても使われてきた。5円玉は黄銅製、10円玉は青銅製だ。銅は鉄に次ぐ最も重要な金属材料で、電気伝導性が高く、他の電気伝導性物質と比べコストが安いことから、現在、電線やケーブル、電気器具の配線、部品、回路などインフラ整備に欠かせない素材となっている。銅は銅鉱山で採掘された銅鉱石をコークスや石灰石などを加えて溶練炉で容融し、鉄分を除いて銅マットと呼ばれる中間製品に濃縮される。次に銅マットを精錬し、純銅に精製される。これを製造業が使いやすいように地金の形に加工したものが銅地金で、日本は銅地金生産の世界第3位だ。


銅鉱石の主要生産国は、チリ(38%)、米国(8%)、ペルー(7%)、インドネシア(7%)、オーストラリア(6%)、ロシア(5%)など。銅地金は2002年まで1トンあたり1500ドル台で推移していたが、2004年から上昇。2006年5月、8800ドルの史上最高値をつけた。その後、いったん5000ドルまで値を下げたたが、2007年7月に8300ドルを突破した。日本では2006年、銅地金の高騰により、住友軽金属工業が従来の定価制から銅建値連動制による価格設定に変更するなど緊急避難措置が取られた。


銅鉱石の世界の生産量は2004年1453万トン、銅地金の生産量は1575万トン。これが2006年には世界の銅の需要が1732万トンに拡大、2007年の合計はまだ出ていないが、1800万トンと推定されている。2004年から、銅の消費量が急増したのは中国の消費が拡大したからだ。GDPの成長に比例して原油、鉄鉱石、銅地金の消費が急増。ちょうど北京オリンピックに向けたインフラ整備、都市部での建設ラッシュ、住宅の増設にともない電線やケーブル、電気器具の需要が高まり、急激な需要増による国際的な価格高騰が発生したのだ。中国は現在も国内で鉄鉱石の生産をしているが、とうてい追いつかず、輸入に頼るしか方法はなくなった。


アルミ価格も高騰している。アルミは航空機や建材、自動車のパーツ、家電製品などに大量に使用される。かつて1トンあたり1300ドル台で推移していたアルミ地金は、2006年5月に3300ドルとなった。ロンドン金属取引所(LME)における2008年2月アルミ地金の始値は2660ドルなので、いったん落ち着いたようだ。それにしてもかつての倍の価格である。アルミ価格の高騰の要因も中国の消費量が伸びたからだ。2000年に332万トンだった年間消費量は、2007年には1072万トン、2008年には1231万トンまで増えると推定される。


アルミは、鉱石のボーキサイトを原料として生産される。世界の原産国は、オーストラリア、ブラジル、中国。ボーキサイトからアルミを精錬し、地金に加工したのがアルミ地金だ。こちらの生産国のベスト5は、中国、ロシア、カナダ、米国、オーストラリアの順。中国が世界の4分の1を占めている。アルミ地金は生産量同様、消費量も中国が第1位で、2位米国、3位日本、4位ドイツ、5位韓国と続く。生産・消費ともダントツで世界のトップを走る中国だが、アルミ地金の生産高は減少しているという。


中国政府の金融引締め強化や、原材料及び電力価格上昇のため、中国でのアルミ地金生産高が大きく減少、2008年1月の中国の生産高は前月比8%減となった。輸出アルミ地金に対する税率は10%ながらも、元高が続いているため、中国のアルミ製造社も輸出にはあまり積極的ではないようだ。さらにロシアの最大アルミ生産工場も輸出高を縮小している。これまで輸出を続けてきた中国での消費がさらに増え、輸入するようになれば、さらにアルミ価格は上昇していくだろう。「世界資源戦争」は、原料を消費し続け、経済成長を続けるための経済戦争という側面も見えてくる。しかし同時に、価格高騰により、特定の産業が低迷するという副作用もきちんと見極めなければ、うかつに投資できないのである。


By Master K/益田 慶