2008年6月15日 今週の為替戦略
先週の動きは:
ポールソン米財務長官は「ドル相場を安定させるために為替介入を実施する可能性を排除しない」と発言、ガイトナーNY連銀総裁は「米FRBはドルを非常に緊密に注視」と発言、ブッシュ米大統領は「強いドルは米国と世界経済の利益だ」と発言、トリシェECB総裁は「米当局のドル発言、非常に強い関心をもって注目」と発言、ホワイトハウス・FRB共にドルサポート発言が飛び出し、ドル買いが始まった。
また、バーナンキFRB議長は「エネルギー価格急騰を警戒する」と発言、米国の金利引締め観測が強まり、カナダ中銀は、当然と思われていた政策金利の引下げを見送り、金利緩和は終了との思惑からカナダドルも上昇した。6月13日・14日のG8財務相会合を控え、週末の海外市場では米ミシガン大消費者信頼感指数が28年来の低水準にもかかわらず、ドル安是正の可能性にドルの買い戻しが続いた。
豪雇用統計の悪化にAUD売りが始まり、スティーブンス豪中銀総裁の引締め型の金融政策は不可欠との発言に逆にAUD買いに変化した。ユーロは、アイルランドのリスボン条約批准を巡る国民投票への懸念が広まり、ユーロ売りが始まり、国民投票の結果は、反対が53.4%、賛成が46.6%でEU新条約「リスボン条約」の批准が否決された。
また円は、米金融機関が資本増強に、日本国内で資金調達してドルに転換、リパトリのドル買いが続き、円安の流れが加速し、白川日銀総裁「景気は下振れリスク、物価は上振触れリスクを意識」と発言、日本の景気鈍化リスクが表面化し円売りの流れが続いた。
その注目のG8では、インフレへの懸念で一致したものの具体的な協調政策の提示できず、為替に関する言及は盛り込まれなかったが、ポールソン米財務長官の否定発言にもかかわらず、商品価格の上昇がドル安の要因と思われており、インフレを抑えたい米通貨当局・ホワイトハウスの方針に、これが潜在的なドル高のサポート材料となっている。
今週の相場展開
G8で「ドル安懸念表明=ドル高への期待感」はやや裏切られた形となり、その反動からドル売りも予想される。しかし、市場のセンチメントはドル高期待が続き、ドル安値圏では買いが強まることも考えられる。それと、いつものことではあるが、G8参加者が自国に帰り、色々は発言をするとおもわれ、この内容に相場が動くことも多い。
先週グリーンスパン前FRB議長が「インフレを低水準で維持しようとするなら、その結果に金利は上昇、金融市場の混乱は恐らく3月にピークに達した」と発言、米シガン大消費者信頼感指数が28年ぶりの低水準ながら、米小売売上高が減税措置の実施に予想を大幅に上回るなど、FRBは金利緩和の終了から利上げ期待が広まり、米金融市場の混乱もボトムアウトし、米減税措置に一時的になるか恒常的になれるかは別として、ドル買いの材料が増えている。
ボーナスシーズンを向かえ、個人投資家の海外資産への投資や、NZや豪州、米国金融機関では、サムライ債など低金利の日本国内で資金調達を増やしている。また、英国、ユーロ、スイス、米国が利上げへ変化しつつあり、再び金利差拡大の思惑も円売りの材料とされている。
不思議なのは、米国のドル高政策への転換の思惑で、何故ドル円が買われるのであろうか? 他の主要通貨でドル高になっており、それがドル円にも影響していると思われる。現実は円の弱さが目立ち、テクニカルでは円が更に弱くなることが示されていが、ドル高への影響は円より他の主要通貨での影響が多いと思われ、材料からはクロスでは円高になりやすいと思われる。
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると、
主要通貨では:
米利上げ期待+ドル高へ方向展開との思惑にドル全面高。アイルランドの国民投票の影響なのか、EURUSDは-3.94%とEURの下落幅が最も大きく、USDJPYは3.1%、USDCCHFも2.77%も上昇、低金利通貨と金融危機のヘッジ通貨の両翼も弱くい。それ以外での、GBPUSDは-2.33%、AUDUSDは-2.38%、NZDUSDは-1.81%とドル高が進み、最も低かったUSDCADでさえも0.98%とドル高が進んだ。
USDJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 105.11 106.44 103.87 104.94 -0.58 -0.55% 2.57 2.44%
13-Jun-08 104.66 108.43 104.40 108.19 3.25 3.10% 4.03 3.84%
EURUSD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 1.5569 1.5779 1.5365 1.5776 2.22 1.43% 4.14 2.66%
13-Jun-08 1.5784 1.5844 1.5303 1.5382 -3.94 -2.50% 5.41 3.43%
USDCHF OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 1.0412 1.0524 1.0184 1.0185 -2.38 -2.28% 3.40 3.26%
13-Jun-08 1.0182 1.0541 1.0163 1.0467 2.82 2.77% 3.78 3.71%
GBPUSD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 1.9731 1.9774 1.9462 1.9709 -1.13 -0.57% 3.12 1.57%
13-Jun-08 1.9689 1.9802 1.9411 1.9476 -2.33 -1.18% 3.91 1.98%
AUDUSD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 0.9543 0.9640 0.9486 0.9625 0.68 0.71% 1.54 1.61%
13-Jun-08 0.9613 0.9646 0.9327 0.9387 -2.38 -2.47% 3.19 3.31%
USDCAD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 0.9949 1.0219 0.9927 1.0193 2.60 2.62% 2.92 2.94%
13-Jun-08 1.0183 1.0321 1.0151 1.0291 0.98 0.96% 1.70 1.67%
NZDUSD OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 0.7828 0.7891 0.7614 0.7676 -1.52 -1.94% 2.77 3.54%
13-Jun-08 0.7682 0.7702 0.7446 0.7495 -1.81 -2.36% 2.56 3.34%
クロスでは:
円は全面安。ユーロも下落。ドル高の流れにCADJPYは2.14%と最も上昇幅が大きく、次にGBPJPYは1.90%と上昇。EURJPYも0.51%、CHFJPYは0.36%、NZDJPYは0.72%と円の一人負けの展開となり、EURGBPは-0.82%、EURCHFも0.27%と下落となっている。
EURJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 163.64 166.17 161.74 165.56 1.45 0.88% 4.43 2.70%
13-Jun-08 165.21 167.15 164.97 166.40 0.84 0.51% 2.18 1.32%
GBPJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 207.40 208.35 203.96 206.75 -2.37 -1.13% 4.39 2.10%
13-Jun-08 206.07 210.88 205.64 210.68 3.93 1.90% 5.24 2.53%
CHFJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 100.94 103.12 100.27 102.97 1.76 1.74% 2.85 2.82%
13-Jun-08 102.76 103.82 102.54 103.34 0.37 0.36% 1.28 1.24%
AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 100.32 102.01 99.26 100.98 0.14 0.14% 2.75 2.73%
13-Jun-08 100.62 102.01 100.38 101.55 0.57 0.56% 1.63 1.61%
NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 82.28 82.66 80.41 80.49 -2.07 -2.51% 2.25 2.73%
13-Jun-08 80.39 81.47 80.20 81.07 0.58 0.72% 1.27 1.58%
CADJPY OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 105.62 106.09 102.86 102.88 -3.30 -3.11% 3.23 3.04%
13-Jun-08 102.73 105.78 102.48 105.08 2.20 2.14% 3.30 3.21%
EURGBP OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 0.7968 0.8034 0.7926 0.7961 1.16 1.48% 1.08 1.38%
13-Jun-08 0.8016 0.8032 0.7870 0.7896 -0.65 -0.82% 1.62 2.03%
EURCHF OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 1.6312 1.6377 1.6142 1.6142 -0.67 -0.41% 2.35 1.45%
13-Jun-08 1.6074 1.6156 1.6024 1.6099 -0.43 -0.27% 1.32 0.82%
株価
日経平均株価 OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 14,342.96 14,601.27 14,127.75 14,489.44 150.90 1.05% 473.52 3.30%
13-Jun-08 14,275.34 14,308.89 13,810.38 13,973.79 -515.65 -3.56% 498.51 3.44%
ダウ工業株30種平均 OPN HI LW CLS 前週比 % 週レンジ %
06-Jun-08 12,637.67 12,638.08 12,192.06 12,209.81 -428.51 -3.39% 446.02 3.53%
13-Jun-08 12,210.13 12,369.23 12,076.93 12,307.35 97.54 0.80% 292.30 2.39%
IMM通貨先物:
長く続いた円高予想も終了との思惑に、JPYロングポジションは大幅に減少、CADロングポジションの減少幅は最も大きく、AUD、NZDのロングポジションは減少、EUR、GBP、CHFのショートポジションも減少、複雑な動きとなっている。
JPY Long Short Net
03-Jun-08 55,009 31,644 23,365
10-Jun-08 43,391 35,675 7,716
EUR Long Short Net
03-Jun-08 55,845 70,299 -14,454
10-Jun-08 57,544 65,084 -7,540
GBP Long Short Net
03-Jun-08 18,580 47,608 -29,028
10-Jun-08 28,040 49,091 -21,051
CHF Long Short Net
03-Jun-08 14,128 21,399 -7,271
10-Jun-08 15,820 19,552 -3,732
CAD Long Short Net
03-Jun-08 63,825 18,087 45,738
10-Jun-08 43,276 25,697 17,579
AUD Long Short Net
03-Jun-08 63,673 10,366 53,307
10-Jun-08 57,536 10,039 47,497
NZD Long Short Net
03-Jun-08 13,965 7,637 6,328
10-Jun-08 11,677 8,477 3,200
今週の経済指標・その他からは、注意が必要なのは、6月16日(月曜)のユーロ圏消費者物価指数(CPI)で前月から上昇が予想されているが、6月17日(火曜)の英消費者物価指数(CPI)は、前月から低下が予想され、相反する予想内容となっている。
6月18日(水曜)のイングランド銀行の議事録では金利据え置き決定予想が8対1と予想され、異なる票には変動が大きく、6月19日(木曜)にはスイス中銀の政策金利が発表され、市場予想は2.75%の金利据え置きが大勢ではあるが、一部では0.25%の引上げ観測も残り注意したい。6月17日(火曜)、18日(水曜)には米中戦略経済対話が予定され、サプライズは考え難いがいつもながら注目度は高い。
◎住宅関連では、16日=米住宅建設業者指数(NAHB)、17日=米住宅着工・許可件数が予定されている。
◎景気関連では、16日=米NY連銀製造業景気指数、17日=独ZEW景況感調査、19日=米フィラデルフィア連銀景況指数が予定されている。
◎個人消費関連では、16日=スイス小売売上高、19日=英小売売上高、20日=カナダ小売売上高が予定されている。
◎インフレ関連では、16日=ユーロCPI、17日=英CPI、米PPI、19日=カナダCPI、20日=独PPI、スイス生産者輸入物価が予定されている。
◎政策金利では、19日=スイス中銀が予定されている。
◎貿易関連では、17日=ユーロ貿易収支、19日=スイス貿易収支が予定されている。
◎その他では、16日=米対米証券投資、17日=豪中銀議事録、18日=イングランド銀行(BOE)議事録が予定されている。
●ドル円
ドル円は、ドル高=円安の流れに変わり、金融不安が弱まり、リパトリや資金移動など金利差のテーマが復活、弱い日本経済に焦点が当てられている。103~106円の3円幅のレンジを上抜け、次は106~109台円のレンジになるのか、暫くは上値を試しながら、1月18日のドル円急落が開始した108.62~96円を超えられるかが焦点となっている。相場感からはそう簡単に上抜けできるとも思えず、ドル買いポジションでは108円台後半では利食いを入れながら、押し目でドルを買い戻し、コストアップを図るのも一つの方法。
ドル円のWeeklyチャートは、上昇トレンドへ変わり上値を試している。上値のポイントは、108.60円、112.44円、113.28円、118.55円。下値のポイントは、106.58円、106.18円、105.61円、103.68円、102.56円。RSIは49と上昇ラインが続き、トレンドモメンタムは買いを継続。Monthlyチャートは、下降トレンドから上昇トレンドへ変わり、RSIは35と50を下回っているものの、下降ラインから弱いながらも上昇に変化しつつあり、トレンドモメンタムは売りを継続。Dailyチャートは、106円を底値に上昇トレンドが続き、RSIは65と上昇ラインが続き、トレンドモメンタムは買いを継続。トータルの判断は、買いで、108.60円を終値で超えてくればドル買いが更に加速しそうである。
●ユーロドル
ユーロドルは、14週間続けて大枠で1.53~1.60の高値圏に止まりレンジ相場が続いている。最近の傾向としてはユーロ買いの材料への反応も鈍く、ユーロ売りを試し、過去の安値をブレークできるか試す期待感が広まっている。昨年11月から今年2月に続いたユーロドルのレンジ相場も14週間程度で終了したこともあり、そろそろ新たなトレンドが出ることを期待したい。安全策をとればオプションでユーロドルの底割れを狙うのであろうが、スポットでの売りは抜けない場合のリスクをどうしても先に計算してしまう。売り=ストップロスの買いオーダー、チャートポイントブレークで売り=ストップロスの買いオーダーとセットオーダーになりやすく、大手投機筋にこれを狙われることを十分承知の上で、下値を試す以外なさそうである。
ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドから1.5285~1.6008のレンジが続き下限を試している。上値のポイントは、1.5563、1.5737、1.5843、1.6017。下値のポイントは、1.5283、1.5109、1.5002、1.4961。RSIは57と引き続き50を上回るが弱く、トレンドモメンタムは売りに変化している。Monthlyチャートは、上昇ラインの中間から上限での取引から、1.6を試しきれず反落が続き、RSIは77と上昇ラインが崩れ下降へ変化、トレンドモメンタムは買いを継続。Dailyチャートは、1.5340~1.5863のレンジ下限を試し、RSIは47と50を割込み横ばいで、トレンドモメンタムは売りを継続。トータルの判断は、売りで、1.5283を割り込むと1.5109がターゲットとなる。逆に下値を失敗すると、引き続き1.5285~1.6008のレンジに戻る可能性も残っている。
●ポンド円
ポンド円は、210円の大台をクリア、終値でも210円台を達成した。200日移動平均線の213.62円、または、急落スタート時の214円が上値のターゲットとなっている。住宅市場は低迷しているがインフレ懸念が強く金利引き下げの思惑は払拭され、金融市場が混乱から落ち着きを取り戻すと、5%の政策金利と、マネーセンターとしてのポンドに買いが入りやすくなっている。ただ、ポンドドルを見ると、年頭から長期間続いたレンジの下限1.94に近く、下値を試すことが予想され、これを割り込むと1.8949まで続落する可能性があり、ポンド主導のポンド円の下落に変わりやすい。
ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドから横ばい、横ばいから弱いながらも上昇している。上値のポイントは、213.70円、214.04円、216.23円、226.40円。下値のポイントは、209.09円、205.61円、204.76円、200.62円。RSIは47と上昇ラインが続き、トレンドモメンタムは買いを継続している。Monthlyチャートは、200円割れを失敗し上昇が続き、RSIは51と50を超え下降ラインが崩れて、トレンドモメンタムは売りを継続。Dailyチャートは、209~211円のレンジで取引が続き、RSIは58と横ばいが続き、トレンドモメンタムは買いを継続。トータルの判断は、買いで、213.70円が上値のターゲット。