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外国為替再入門 14 ロンドン外国為替市場

ロンドン外国為替市場の取引高は東京市場の4倍ほどになり、世界一の取引高を誇ります。


変動相場制が始まって以来、ロンドン外国為替市場は世界の外国為替取引をリードし続けています。ロンドン外国為替市場の取引高は、全世界の取引高の30%を占めていて、2004年4月のBISの調査では、1営業日当たりの平均取引高は7530億ドルに達しています。


ロンドンには欧米の主要金融機関だけでなくアジア、アフリカ、中近東、東欧、ロシアなどの金融機関も進出していて、それぞれの自国通貨とユーロ、ドルなどの主要通貨との取引を行っています。


ロンドンは歴史的に国際金融業務の中心地として機能し続けた経緯があって、世界の金融機関が進出してきています。イギリス経済が低迷していた1970年代にあっても金融業務は世界の中心としての地位を守ってきました。これはイギリス政府がロンドンを国際金融の場として金融機関の自由な活動を保障してきたことが大きな理由です。イギリス政府が、国内金融機関の保護を中心とする政策ではなく、世界の金融機関が自由に金融業務を行えるように法規制、税制などの面で自由競争の場を提供し続けてきた結果です。


ロンドンは、地理的にアジアとアメリカの中間に位置し、ロンドン時間の午前中はアジア時間の午後と重複し、ロンドン時間の午後はアメリカ時間の午前と重複します。つまりロンドン市場は、ヨーロッパの金融機関のディーラーのみが参加する市場ではなく、アジアやアメリカの金融機関のディーラーも参加する市場となっているのです。このような地理的優位性がロンドンの国際的地位を高めている原因のひとつになっています。


ユーロが誕生したとき、ユーロを管理するヨーロッパ中央銀行があるフランクフルトにヨーロッパの金融の中心が移るのではないかと危惧されたことがありました。また、1990年代に入ってIT技術が発達し、取引システムの電子化が急速に進み、アメリカの金融の中心がニューヨークに集中するのではないかとの予測が出たこともありました。つまりアメリカの金融機関がロンドンやフランクフルトから撤退してニューヨークに集中し、ロンドンの金融都市としての機能が低下するのではないかと危惧されたのです。アメリカ経済の好調を背景にアメリカ一極集中になるとの憶測でした。そかし、これらは杞憂に終わり、アメリカの同時多発テロ以来、ロンドンの隆盛は以前にもまして活発化しています。

ロンドン市場ではヨーロッパ通貨のみならず、アジア通貨も活発に取引されますが、中には当該国の市場以上にロンドンで活発に取引される通貨もあるくらいです。アジア通貨危機の引き金を引いたタイ・バーツの取引は、バンコクやシンガポールでの取引よりもロンドンでの取引のほうが活発でした。アジア各国の中央銀行と投機筋・ヘッジファンドとの攻防戦は、ロンドン市場で行われたのです。

ロンドン市場では、外国為替だけでなく短期資金、債権、金利先物、商品(穀物、原油、金属)などの取引も活発に行われています。特にユーロダラー市場(EUR/USD)の中心でもあります。世界の2大メジャー通貨の取引の中心である以上、世界の金融機関が集まるのも当然です。


イギリスの金融機関がアジア、オセアニア、アフリカ、南米など世界中の金融機関と取引があり、さらに資本関係が結ばれていることも多く、またイギリスの銀行といいながらも、業務の中心が国外にある銀行もあり、ロンドン市場がこれらの地域と切り離される可能性は皆無であると言えるでしょう。


たとえば、香港上海銀行(HSBC)は、世界最大級の銀行ですが、イギリスに本社を置きながら、社名の通り業務の中心はアジアにありました。


現在ではヨーロッパ、アジアだけではなく、北米、南米、オセアニアなど営業エリアを世界中に広げています。スタンダード・チャータード銀行もイギリスの銀行ではありますが、歴史的経緯から業務エリアは香港を中心としたアジアと南アフリカです。さらに、RBS(Royal Bank of Scotland)、バークレイズ銀行、HSBCのイギリス3大銀行は、世界各地の銀行を傘下に収めており、世界各地とロンドンの関係はより強化されているのです。