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世界資源戦争 27 新興産油国・石油企業の躍進  カナダのオイルサンドをめぐるメジャーの攻防

油田に代わる原油の供給場所として注目を集めていているオイルサンド。中でもカナダのアルバータ州に広がる鉱床から抽出できる原油の生産量は、2010年までにカナダ全体の50%、北米の10%を占めると予測されている。こういった事情があり、石油消費国中国の国有石油企業が真っ先に、カナダ企業の買収や業務提携に動いた。そして2006年、KNOC(韓国石油公社)がアルバータ州のオイルサンド鉱区の権益を取得。2010年から生産開始の予定だ。インドも動き始めた。インド石油天然ガス公社(ONGC)の参入が確実視されている。


アジアの国営企業ばかりではない。世界のメジャーもカナダのオイルサンドに大きな投資をしている。この背景には、2004年から始まった原油価格の高騰によって世界の産油国が強気の姿勢に移り、メジャーにとって投資環境が悪化していたことが挙げられる。たとえばベネズエラではロイヤリテイ比率が16.67%から30%に引上げられ、各プロジェクトには国営石油会社PDVSAが51%以上の資本率で参加。おまけに外国企業の所得税が34%から50%に引上げられた。


ロシアでは地下資源にかかわる外資進出規制が働き、カザフスタン、ナイジェリア、アルジェリアとも国営石油企業の参加比率がアップした。ボリビアでは石油産業は完全に国有化され、ベネズエラがそれを巧みにコントロールしている。これらはすべて2004年以降の起こった顕著な変化で、しかもごく一部だ。こういった「資源ナショナリズム」の盛り上がりによって、メジャーは各国から権益を失い、新たな投資先を探さざるを得なくなっていた。


そこで北米の動向に目を向けたい。米国の原油輸入国の推移を見ると、数年前から輸入先の首位はサウジアラビアではなくカナダとなっている。2005年には217万バレルとなり、2位メキシコの164万バレル、3位サウジアラビアの152万バレルを大きく引き離している。このデータは、欧米のメジャーがカナダの開発に力を注ぐようになったことの証明ではないだろうか。そしてカナダ・ドルの動向に詳しい投資家ならご存知だろう。2007年9月20日、カナダ・ドルと米ドルが等価になった事実を。カナダの経済力が、グンとアップしたのである。


カナダ・アルバータ州のオイルサンド開発の歴史は意外に古く、地元カナダの「サンコールエナジー」が1967年に開発開始、同じく地元企業の「シンクルート」が1978年に開発に着手した。1960サン年創業のサンコールエナジーは「会社創設以来の大ギャンブル」と呼ばれる巨額投資を行なった。シンクルートにはエクソンモービル(米国)、コノコフィリップス(米国)の関連会社や新日本石油などが出資している。


そして1999年、ロイヤル・ダッチ・シェル(英・オランダ)、シェブロン(米国)、トタル(仏)がオイルサンド開発事業に参入した。技術開発が遅れていたアルバータ州が、メジャー各社に事業開発への支援を依頼したのだ。たとえばシェルは2003年、オイルサンドの発掘や原油抽出に関して、膨大な量の特許を出願している。それが将来、この分野での事業で先行利益を得るための準備であったことがよくわかる。


2005年にはトタルが地元のオペレーター企業を買収。コノコフィリップスもトタルと共同で保有していた鉱区を2005年に追加取得し、2006年から原油生産を開始している。同年には、ロイヤル・ダッチ・シェルの子会社シェル・カナダがカナダの石油企業を買収。シェブロンも同年、オイルサンド鉱区75000エーカーを7000万カナダ・ドルで取得している。


カナダでは、1996年~2004年の9年間にオイルサンド事業に340億ドルの投資が成されたが、2005年~2010年の6年間には450億ドルの投資が予想されている。プロジェクトはまだ拡大するということだ。そして2020年には、オイルサンドの石油生産に占める割合が82%まで高まるとも予想されている。労働力不足やパイプラインの輸送能力不足、環境問題などの課題は多いが、一方で膨大な埋蔵量は大きな魅力だ。


By Master K/益田 慶