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世界資源戦争 24 新興産油国・石油企業の躍進  インド・リライアンス財閥

高い経済成長を背景に2006年のインドの石油需要は、日量240万バレル(前年対比3%増)と堅調に伸びている。特にガソリンは1998年以降毎年6%も需要が伸びている。かつてインドは石油製品の純輸入国だったが、インドの財閥系企業リライアンス・インダストリー社が1999年に世界最大級の製油所を建設して以降、2002年に東海岸沖合の深海で大規模ガス田を、2006年には同区内の深海鉱区で大規模な原油・ガス田を発見。2004年には西部ランジャスタン州で複数の油田が発見されるなど、インド全体の需要を上回る石油製品の生産能力を保有するようになり、今日では石油製品の純輸出国となっている。


リライアンス・インダストリー社を中核とするリライアンス・グループは、合成繊維、石油精製、石油化学など石油関連事業を包括的に行うインド最大の民間企業グループ。歴史はまだ新しく、1958年にディルバイ・ヒラチャンド・アムバニが設立した商社リライアンス・コマーシャル・コーポレーションが起源だ。以降30年ほどでインドの新興財閥に成長。現在では石油・エネルギー事業分野で一大帝国を築き、政府の全歳入の8%近くを税金として支払っているという。


リライアンス財閥創設者ディルバイのサクセスストーリーを紹介しておこう。1949年にイエメンに出稼ぎに行き、ガソリンスタンドに勤めた後、1958年にインドに戻り、香辛料や繊維を扱う貿易会社を資本金15000ルピーで創業。次いで1966年に資本金150万ルピーで繊維会社リライアンス・インダストリーズ社を設立。1977年に株式公開。ディルバイはそれまで機関投資家によって牛耳られていた証券市場に一般大衆投資家を呼び入れ、一大旋風を巻き起こした。インドで最も多くの株式を350万人もの一般投資家に開放したのである。


その後、リライアンス・インダストリーズ社はポリエステル繊維の生産で世界第2位、ポリマーの生産で世界第6位にランクイン。1992年には国際資本市場から約1.5億ドルの資金を調達。高い配当と無償増資を繰り返し、1993年にはインド企業で初めてユーロ転換社債を発行。2002年にディルバイが70歳で他界した際には、その死去を悼んでボンベイ証券取引所では2分間の黙祷が捧げられたという。


一代で新興財閥を立ち上げたディルバイの長年の夢が、世界最大級の製油所建設だったのである。欧米の先進技術を取り入れ、安価な重質原油を分解する能力を持ち、かつ大型の製品輸出タンクや桟橋を備えた国際競争力の高い設備が特徴で、この製油所から供給される石油製品の一部は、日本にも輸出されている。この精油所だけで全インドの石油精製能力の25%を賄っているというから驚くべき処理能力だ。


石油化学事業に乗り出したリライアンス財閥は、ディルバイの長男ムケッシュがグループの会長に就任し、次男のアニルがアニル・ディルバイ・アンバニーグループを運営している。2002年にはリライアンス・インダストリーズ社とリライアンス・ペトリウム社を合併させ、インド民間企業として初めて「フォーチュン500」に選ばれた。さらに近年、インド石油化学会社を買収し、傘下に収めた。


グループ企業は、石油・ガス田の発見によって相乗効果をあげている。従業員5500人を擁し、ムンバイやデリーなどの都市を中心に500万世帯に電力を供給する「リライアンス・エネルギー社」は巨大ガス田の発見によって、インドのガス生産の60%を賄えるようにまで成長した。さらに近年ではスーパーマーケット、コンビニエンスストア、専門店等を管理する子会社「リライアンス・リテール」を通して小売事業へ参入。


同じく子会社の「リライアンス・インフラストラクチャー」が経済特区の道路や建物など基盤施設を担うようになった。 インドは低コストで質の高い人材を入手でき、化学プロセス開発能力での実績に加え、早くからIT産業が発展したことや主な原料が国内で調達できることなど好条件が重なり、世界の投資家が注目する国。今後はエネルギー分野でも世界を席巻する日が来るかもしれない。


By Master K/益田 慶