2008年5月11日 今週の為替戦略
先週は、長かった日本のゴールデン・ウイークも終わった。米国の大型減税の早期実施や金融機関の資金調達もスムーズに行われ、米金融市場の正常化期待が高まり、米経済の悲観的な見方も弱まり、長期金が上昇し、先々週にはドル買いの流れが強まっていた。
しかし、円高・ポンド安など主要通貨でばらつきがあるものの、このドル買いの流れも弱まり、原油価格は125.96←116.32ドルと、連日に渡り高値更新を続け8.29%も上昇、商品価格(CRB)は427.48←399.70と5%も上昇した。しかし、長期金は弱く米10年債利回りは、3.769%←3.797%と2週連続の下落となり、NYダウは、12745.88←13058.20と2.39%下落している。
今週は、米経済の楽観論に疑問を抱きながら、ドル売り・買い、どちらの流れが正しいのか見極める動きへと変わっている。先週はホーニング・カンザスシティー連銀総裁から将来の利上げを示唆する発言に相場が急変する動きもあったが、今週も多くの通貨当局者の発言が控えており、それが材料にされ相場が動くことは間違いない。
いずれにしても、経済指標と発言に振り回される相場を考えながらも、ドル高の流れがどこまで続くのかを試しきれているようには思えず、円高の流れも長続きするようにも思えない。先々週のドル高値圏を試す動きを期待したい。
5月9日から7月中旬にかけては、米景気対策の一環ともなる減税措置が継続され、単身者で最大600ドル、共働きで1200ドル、子供一人に300ドルと、総額1520億ドル(約1兆円)小切手や送金が行われ、個人消費が拡大しドルの下支えになることは間違いない。問題はいつからかだけである。
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると、
主要通貨では:GBPUSDとNZDUSDの下落が特筆されるが、全体としては前週のドル買いの流れが修正され、米AIGの決算やシティグループの資産売却などドル売り材料もあり、長期金利は低下し、株価も弱く、円高の流れが目立った。EURUSDはFT紙で「米欧当局者がドルの対ユーロでの上昇が望ましいとの認識で一致、相場が急反転しかねないと懸念」との報道に1.5285まで急落したが、ECB理事会後のトルシェECB総裁からインフレ高止まりを示唆する発言で買い戻しも見られた。GBPUSDは、ネーションワイド4月の英消費者信頼感指数が統計開始以来の低水準、英3月の鉱工業生産指数が、2007年90月来の低水準、製造業生産が2007年2月来の低水準となり、利下げ期待に1.9460まで下落したが、BOEのMPCでは全会一致で金利据え置きを決定、終盤では買い戻しも見られたが、大きく値を下げる週となった。
USDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 104.45 105.70 103.22 105.41 0.98 0.94% 2.48 2.37%
09-May-08 105.20 105.63 102.61 102.82 -2.59 -2.46% 3.02 2.87%
EURUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 1.5610 1.5847 1.5360 1.5425 -2.04 -1.31% 4.87 3.11%
09-May-08 1.5435 1.5595 1.5285 1.5482 0.57 0.37% 3.10 2.01%
USDCHF OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 1.0354 1.0610 1.0299 1.0573 2.28 2.20% 3.11 3.01%
09-May-08 1.0554 1.0625 1.0396 1.0411 -1.62 -1.53% 2.29 2.17%
GBPUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レン
02-May-08 1.9844 1.9965 1.9624 1.9717 -1.39 -0.70% 3.41 1.72%
09-May-08 1.9727 1.9782 1.9460 1.9539 -1.78 -0.90% 3.22 1.63%
AUDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 0.9333 0.9471 0.9274 0.9345 0.13 0.14% 1.97 2.11%
09-May-08 0.9357 0.9506 0.9341 0.9434 0.89 0.95% 1.65 1.77%
USDCAD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 1.0139 1.0241 1.0036 1.0193 0.58 0.57% 2.05 2.02%
09-May-08 1.0193 1.0198 0.9998 1.0052 -1.41 -1.38% 2.00 1.96%
NZDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 0.7824 0.7879 0.7725 0.7797 -0.20 -0.26% 1.54 1.97%
09-May-08 0.7816 0.7935 0.7649 0.7692 -1.05 -1.35% 2.86 3.67%
円クロスでは:
全通貨で円の買い戻しが強まり円高の週となった。特にNZの失業率は悪化、NZDJPYは4月1日の水準となる78.51円まで下落、GBPJPYは利下げ期待に一時200円を割り込み、共に円は3%台と大幅に上昇、円と同じ金融不安のヘッジ通貨でもあるCHFに対しても円は1%近く上昇、前週の流れと異なる動きとなった。EURJPYも160円台の大台を割り込み一時158.60円まで急落するなど、楽観的な米金融市場の期待感も弱まり、株安=金利上昇=円高の流れとなった。
EURJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 163.03 163.90 160.61 162.54 -0.64 -0.39% 3.29 2.02%
09-May-08 162.39 163.10 158.60 159.17 -3.37 -2.07% 4.50 2.77%
GBPJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 207.26 209.01 203.44 207.75 0.43 0.21% 5.57 2.69%
09-May-08 207.53 208.30 199.77 200.97 -6.78 -3.26% 8.53 4.11%
CHFJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 100.85 101.35 99.04 99.69 -1.26 -1.25% 2.31 2.29%
09-May-08 99.64 100.06 98.26 98.82 -0.87 -0.87% 1.80 1.81%
AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 97.49 98.78 96.14 98.48 1.05 1.08% 2.64 2.71%
09-May-08 98.44 99.83 96.29 97.05 -1.43 -1.45% 3.54 3.59%
NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 81.71 82.54 79.93 82.15 0.54 0.66% 2.61 3.20%
09-May-08 82.21 83.02 78.51 79.11 -3.04 -3.70% 4.51 5.49%
CADJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
02-May-08 102.98 104.09 101.58 103.36 0.38 0.37% 2.51 2.44%
09-May-08 103.17 105.36 101.59 102.30 -1.06 -1.03% 3.77 3.65%
IMM通貨先物:
先週は6日以降にドル売りが加速したため、公表されたデータも大きく変わっていると思われるが、先週序盤の市場センチメントは、JPY・GBP・CHFショートに傾き、CAD・AUDロングに傾き、通貨間で相違がみられた。AUDは65,421コントラクトと最も選好され、その後もAUD高の流れが続き、JPYのロングポジションは前週より減少したが、48,735コントラクトと比較的大きく、7日の105.59円をピークに急落したことで、JPYロングが積み上がっていると思われる。また、CADのロングポジションも大幅に拡大し、一週間を通じても上昇していた。
JPY Long Short Net
29-Apr-08 73,485 18,035 55,450
06-May-08 69,355 20,620 48,735
EUR Long Short Net
29-Apr-08 48,319 69,634 -21,315
06-May-08 54,383 66,895 -12,512
GBP Long Short Net
29-Apr-08 21,296 46,144 -24,848
06-May-08 13,874 44,311 -30,437
CHF Long Short Net
29-Apr-08 26,625 19,624 7,001
06-May-08 19,125 23,262 -4,137
CAD Long Short Net
29-Apr-08 31,816 24,388 7,428
06-May-08 48,104 16,392 31,712
AUD Long Short Net
29-Apr-08 60,245 9,780 50,465
06-May-08 75,627 10,206 65,421
NZD Long Short Net
29-Apr-08 10,798 5,309 5,489
06-May-08 11,449 5,112 6,337
今後の金利予想は:
国 予定日 現行政策金利 予想:
USD 6月25日 2.00% 金利据え置きを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR 6月5日 4.00% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 6月5日 5.00% 0.25%の利下げ を予想(Base Rate)
JPY 5月20日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 6月3日 7.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
NZD 6月4日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF 6月19日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 6月10日 3.00% 0.25%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 5月28日 5.50% 金利据え置きを予想 (Sight deposit)
SEK 7月3日 4.25% 金利据え置きを予想 (Repo rate)
今週は非常に高いイベントリスクの経済指標もなく、中程度の経済指標が数多く発表され、通貨当局者の発言も非常に多く、ほぼ毎日発言が予定されており、その発言内容で一喜一憂することになりそうである。
インフレ関連の指標が多く、12日=英PPI、13日=スウェーデン・英CPI、英輸入物価指数、14日=日本企業物価指数、英四半期インフレレポート、米CPI、15日=独・ユーロCPI、16日=NZCPIと目が離せない。
住宅関連の市場も多く、12日=豪住宅ローン、カナダ新築住宅価格指数、13日=英RICS住宅価格、英DLCG住宅価格、14日=豪第1四半期住宅価格指数、15日=米住宅建設業指数、16日=米住宅着工件数が予定され、引き続き住宅関連の指数で株式=為替相場が動くことは多い。
景気判断の関連では、12日=米スペンディングパルス小売売上高、13日=米小売売上高、15日=NZ小売売上高指数、NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀景況指数、16日=スイス小売売上高、米ミシガン大消費者信頼感指と多く、米金融不安も解消に向かい景気が回復するとの期待感も強い中で、注目される。
GDP経済成長では、15日=独・ユーロGDP、16日=日本GDP、雇用関連では、14日=英失業率、15日=豪週間平均賃金、貿易収支では、12日=英貿易収支、16日=ユーロ貿易収支が予定されている。
●ドル円
ドル円は、ドル高の流れでも比較的健闘している通貨の一つでもあるが、この流れも米国の金融安定の度合いに大きく左右される状況には変わりない。最近では円と株価の連動は変わりないものの、金利との連動も指摘され、10年国債の利回りを比較しても、3月21日の週が3.341%と最低で、4月25日の週は3.863%まで、4月25日の週には3.863%まで上昇し、先週は3.769%まで低下。為替相場も、3月21日の週が最安値となる95.77円まで下落、4月25日の週には104.82円まで上昇、5月2日の週の105.70円を高値に、先週は102.61円まで下落した。米所得減税の効果次第ではあるが、ドルの下支えになることは間違いなく、金利も下げ止まること期待し、ドルの買い材料が優勢である。
ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの中間から上限近くで取引されている。上値のポイントは、103.68円、104.22円、105.8円、106.58円、106.86円、108.60円。下値のポイントは、102.61円、101.78円、100.65円、97.73~90円、95.73円。RSIは上昇ラインを何とか維持し、トレンドモメンタムも買いを継続している。Dailyは前週までの買いから売りに変化し、Monthlyは緩やかな売りが続くも、目先はニュートラルで様子見となっている。トータルの判断は、下値のリスクは101.78~102.61円と残るが、その後の上昇の可能性が高まり、106.66~05円が上値のターゲット。Daily=売り、Weekly=買いに変化しつつある、Monthly=ニュートラル。
●ユーロドル
ユーロドルは、ユーロ圏の消費者物価指数も落ち着き、今までの上昇傾向が弱まり、米経済のボトムアウト期待に、投機筋から激しいユーロ売りが続いた。1.53~1.57のダブルノータッチオプションの下限をトリガーしたことで、投機的なユーロ買いポジションも大半は整理がついたことと思われる。大相場の後の反動に引き続き、戻り売り局面も予想されるが、押し目買いの流れに変わりつつあり、今後の上昇を期待したい。
ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続き、ラインの上限で上値が重くなっている。上値のポイントは、1.5599、1.5756、1.5863、1.6040、1.6415。下値のポイントは、1.5395、1.5340、1.5044、1.5002~21。RSIは61とやや上向き、とエンドモメンタムは、売りに変化しつつあるが、まだ買いの流れが続いている。Dailyチャートはいままでの売りの流れが弱まり、Monthlyチャートは今までの強い買いは弱まりつつあるが、依然と買いの流れを維持している。トータルの判断は、1.5044~1.6040のレンジで、再び上限を試す可能性が出ている。Daily=売りが弱まる、Weekly=ニュートラルから弱い買いを継続、Monthly=上昇力は弱まりつつあるが、買いの流れを継続。
●ポンド円
ポンド円は、クロスの円高の流れに大きく値を下げているが、GBPUSが1.94~2.01のレンジに入り、方向性が乏しくなっているが、ポンド売りポジションが積み上がりやすく、レンジの下限を失敗した後は、上限を試すことが予想される。208~209円台の上値を4週間試し、失敗した反動にポンド売りに傾きやすいが、ドル円では極端な円高期待も目先は薄れつつあり、暫くはレンジ相場。
ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドからラインの中間での取引が続き、目先の大枠では200円~210円のレンジで取引が続いている。上値のポイントは、202.70円、203.36円、204.76円、205.61円、213.70円、214.01円。下値のポイントは、200.53~62円、198.82円、198.18~38円、195.62円。RSIは30と下降ラインが崩れ、トレンドモメンタムも売り継続ながら、買いい変化する可能性が高まっている。Dailyは売りに変化しているが、Monthlyは198.38円~214.90円の大きなレンジに入っている。全体の流れは大きな売りに傾いているものの、Weeklyでは上昇のリスクが強く、200円以上を維持できれば、上値のリスクが強くなる、トータルの判断は、買い。先週の安値199.77円を割り込んだら撤退。長期的なポジションでは戻り売りが続くので、GBPUSDが2.01台に乗ったら売りに徹したい。Daily=売り、Weekly=200.62~210.87円、Monthly=ニュートラル。