100年企業 28 産業別100年企業 損害保険会社編
木造住宅が多いことから火災、そして地震が大きなリスク要因となる日本。もともと海運業の発展とともに明治時代に興ったのが日本の損害保険会社だ。「○○海上」と名のつく損保は、海上保険をメインにしていた名残である。日本の損保会社は、生保の関連会社や子会社として設立されることが多い。銀行、生保業界同様、合併を繰り返して今日に至る。また、財閥系を起源とする企業が多いことも共通点だ。
日本最初の損保会社は1879年に誕生した三菱系の「東京海上保険」だ。三菱グループの源流となる「日本郵船」創業の4年後だ。同社が東京海上火災保険となり、旧安田財閥系の「日動火災海上保険」と合併して2004年に「東京海上日動火災保険」が誕生した。現在、同社が収入保険料業界第1位である。東京海上火災が存続会社となって合併したので、1879年創業の「100年企業」になる。現在の親会社である持株会社の「ミレアホールディングス」も三菱グループ。ホールディングス社長の隅修三氏は、東京海上日動火災の社長を兼務している。
1887年に創業した「東京火災保険」が数度の合併を重ねて誕生した「安田火災海上」と日産グループの「日産火災海上」が2002年に合併して誕生したのが「損保ジャパン」だ。これに破綻した「大成火災海上」が吸収され、また「第一生命」の損保会社「第一ライフ損保」が加わり、同社は一気に業界第2位に浮上した。といっても、もともと旧安田火災は業界第2位をキープしていたので順当なところだが、現在「三井住友海上」が業界第2位につけている。損保ジャパンは1888年を創業年としているが、これは、安田火災海上の前身である東京火災保険の創業の翌年にあたる。1888年に正式に会社としてスタートしたということだろうか。どちらにしても東京海上火災と肩を並べる「100年企業」だ。
「日本興亜損保」の歴史も古い。1892年、大阪に「日本火災保険」が誕生。1896年、東京川崎財閥系の「日本海上保険」が誕生。よく似た名前で紛らわしいが、この二社が合併して「日本火災海上」が設立。2002年に「興和損保」と合併して誕生したのが「日本興和損保」だ。同社は日本火災保険の設立をもって創業としているので1892年創業の「100年企業」となる。
日本生命グループ「ニッセイ同和損保」は1897年の創業。ただし、当時は日生グループではなかった。のちに関西の岡崎財閥が設立した「神戸海上運送火災」に吸収され、さらに同社を含む4社が合併し、「同和火災海上」が誕生。同社の筆頭株主が日生だった。そして損保業界に進出した日生のグループ会社「ニッセイ損保」と合併して、2001年ニッセイ同和損保が誕生した。
東京海上火災と同じ持株会社の傘下にあるのが「日新火災海上」だ。起源は1908年創業の「帝国帆船海上」。1943年に現社名に改称。2006年、ミレアホールディングスの子会社となったことで、東京海上日動火災と同じグループとなった。
損保ジャパンと熾烈な2位争いを続けている業界最大手の「三井住友海上」は意外に歴史が浅く、存続会社である「三井海上」の前身にあたる「大正海上」が設立したのは1918年。一方、「住友海上」の起源は1893年創業の「大阪保険」。住友海上が存続会社になっていれば、問題なく「100年企業」だった。
ほかに大きな合併を挙げれば、「大東京火災」と「千代田火災」が合併し、トヨタ自動社が34%出資して2001年に生まれた「あいおい損保」がある。前者は野村証券が大株主となってスタートした損保。後者のルーツは「千代田生命」だが、2000年に破綻し、米国大手金融グループAIGに買収され、生保部門は「AIGスター生命」として営業している。
By Master K/益田 慶