FXライフ 36 南部アフリカの通貨 南アフリカとモザンビーク

鉱山資源に恵まれ、金やダイヤモンドの世界的産地として知られる南アフリカ共和国。近年では2010年のサッカーワールドカップの開催国としても知られている。その歴史はアフリカ諸国同様、侵略と抵抗、独立の歴史である。


17世紀にオランダ東インド会社が喜望峰を中継基地として以降、オランダ移民が増え、18世紀の終わりには金やダイヤモンドの鉱脈を狙ってイギリス人が上陸。やがてロンドン・ロスチャイルド家の融資を受けたセシル・ローズがこの地に創業した「デ・ビアス」がのちに世界のダイヤモンド供給の80%を支配することになる。ローズは、ケープ植民地の首相も務めた。その後、ボーア戦争を経て、1910年にイギリスより独立した。


通貨はランド(ZAR)。日本でも数社の証券会社から「南アフリカランド建て債券」が販売されたり、数行の銀行が「ランド建て外貨預金」を商品化したりしているので、ランドに詳しい人もいるだろう。同国はアフリカ最大の証券所である「ヨハネスブルク証券取引所」(2006年度世界第16位)を有し、2005年2月、ロンドンで開催されたG7会議では、BRICs諸国と並んで会議に参加するなど、国際社会における存在感が増している。2005年度GDPは5%。ダイヤモンド、金を資本とした製造業、金融業が主要産業だが、近年では鉱業の比率が下がり、金融保険の割合が増している。


南アフリカの最大の輸出先は日本である。つまり、日本は、金、ダイヤモンドの輸入大国なのである。近年ではダイムラー・クライスラーが自動車工場を建設し、日本やイギリスに輸出しているほか、日産自動車も輸出拠点として同国に工場を置いている。同国は南部アフリカでは最も豊かな国といえる。


しかし課題は多い、アパルトヘイト撤廃後も改善されない人種による格差だ。失業率25%という高さは、主に黒人のそれによる。政府は国民のスキルアップに努めているが、部族間格差が大きく、犯罪率やエイズ感染率の高さも同国の大きな問題となっている。


南アフリカ共和国と接するモザンビークは、1975年にポルトガルから独立した。独立から15年間は一党支配によるマルクス主義路線を推進し、ソ連、東ドイツとの関係が深かったが、反政府組織と政府軍による内戦が長期化し、1990年に複数政党と自由市場経済を推進する新憲法が発効され、民主化が進められた。公用語はポルトガル語だが、植民地時代にイギリスとフランスが開発の権利と司法権を除く自治権を取得していたため、イギリスとの経済的な結びつきが強く、1995年にイギリス連邦に加盟した。


通貨はメティカル(MZM)。通貨を発行する中央銀行は1975年設立のモザンビーク銀行。国内ではUSドルとランドも流通している。2000年、2001年と連続して起こった洪水災害により経済は打撃を受けたが、南アフリカ共和国によるインフラ修復事業など外国直接投資を背景に復興を遂げ、2006年にはGDP8.5%を達成した。


同国の産業は農業が主体だが、鉄鉱石やマンガンなどの鉱産資源が豊富で、アルミニウムはメインの輸出品である。経済発展に貢献しているのが、アルミニウム精錬所「モザール」だ。国際金融公社IFC、南アフリカ産業開発公社IDCに加え、三菱商事が25%出資し、2000年に生産を開始した。同国の豊富な水力・電力を利用し、世界第一級のアルミ精錬事業を行おうとするもので、同プロジェクトはインフラ整備や雇用促進にも貢献している。実は日本はアルミ新地金のほぼ100%を輸入に頼っており、日本からすれば安定調達先を確保するという意味合いも大きいプロジェクトといえよう。


また、モザンビークは漁業が盛んで、水深200~600mに生息する小エビ類が水揚げされ、その多くは 日本に輸出されている。モザンビーク産のロブスターは日本の市場でも多く出回っている。


By Master K/益田 慶