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世界資源戦争 23 新興産油国・石油企業の躍進 ベトナムの国営石油ガス会社ペトロベトナム

2000年以降の石油発見量を見ると、アジア太平洋地域で伸びているのはマレーシアとベトナムであることがわかる。ベトナムの石油生産は1986年に生産開始した大油田バクホー(Bach Ho)、新日本石油の石油開発部門である新日本石油開発が生産に携わっている1998年生産開始のランドン(Rang Dong)油田などが中心で、2000年までは目ぼしい発見はなかった。


2000年以降、ベトナムの石油発見量が増えたのは、米国コノコフィリップスや英国の石油探査会社SOCO Internationalがベトナムの国営石油ガス会社「ペトロベトナム」との共同で既存石油生産地域において次々と新規油田を発見したからだ。ベトナムは未探鉱地域の面積が広く、政府は近年探鉱鉱区入札の公開に力を入れてきた。こういう経緯があり、世界の石油関連会社がベトナムでの試掘に加わり、新たな海底油田を発見したのである。


2006年のベトナムの品目別輸出額を見ると、第1位は原油だ。金額にして82.64億ドル、輸出総額の20.8%を占めている。新興産油国ベトナムは東南アジアの原油輸出国で第4位にあり、石油・ガスセクターからの税収は毎年平均で国家歳入の25%にも上る。2008年第1四半期、ペトロベトナムグループの売上高は69兆3,900億ドン(約43億3,700万ドル)に達し、前年同期に比べ71%上昇した。納税額は30兆5,060億ドン(約19億700万ドル)となっている。第1四半期の生産量は石油換算で564万トン(原油377万トン、天然ガス18億7,000万m3)、備蓄量も石油換算で510万トンに引き上げている。


ベトナムの油田の特徴は、海洋油田が中心であることだ。海洋油田は陸上までパイプラインを整備する必要があるなど、陸上の油田よりも開発費や操業にかかるコストが高いことがネックだが、近年の原油価格の高騰により十分な利益が得られる環境が整ってきたといえよう。


近年毎年7~8%の経済成長が続き、電力需要が急速に拡大(前年比14%程度)しているベトナムだが、原子力発電所は建設されておらず、発電にはガスと石炭が利用されている。需要に比例して電力、石炭、石油・ガスは毎年10~14%の成長を続けている。原油は輸出し、天然ガスは主に国内の発電に使うという図式だ。


政府のエネルギー分野での課題は、もっぱら製油所の建設だ。自国内に石油精製設備を持たないため原油を全量輸出し、石油製品を輸入する状態が続いているのである。最初の大型製油所は2009年2月に完成予定だ。ペトロベトナム社から同国初となる大型製油所プロジェクトを受注したのが、プラントメーカーの日揮である。フランス、スペインの会社とジョイントベンチャーを形成し、丸紅や日本商社連合もバックアップしている。


そして2008年4月、ベトナム政府がベトナム初の原子力発電所の建設計画を明らかにした。計画によると、発電所は2か所でそれぞれ2基の原子炉(合計出力4000メガワット)を備える予定。総投資額は約60億米ドル(約6100億円)で、2015年の着工、2020年の操業開始を目指している。稼動後は全国の電力生産量の20%をまかなうことになる。


このようにエネルギー分野を見渡してみるだけでベトナムが経済成長を続けている様子が伝わってくる。高い成長率を牽引している要因には、工業生産高の伸びと投資の増加、安い労働力(賃金は中国の半分程度)などが挙げられる。ベトナム人の賃金は中国の半分程度という現状から「ポスト中国」を担う生産拠点化への期待が大きい。また、国土に占める生産・輸出拠点に適した沿岸部の割合の大きさと2007年1月にWTO加盟を実現したことも海外からの直接投資を拡大させる要因のひとつだ。今後は「ベトナム株」にも注目が集まるだろう。


By Master K/益田 慶