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世界資源戦争 21 新興産油国・石油企業の躍進 ペトロナスの躍進とインドネシア国営企業プルタミナの攻防

エジプトは、英国「BGグループ」やマレーシア国営企業「ペトロナス」など中堅会社と組んでガス田の開発を進め、LNG輸出国の仲間入りを果たしたガス新興国だ。ペトロナスはこのエジプトでの開発に成功し、海外進出に弾みをつけた。ペトロナスが英国のBGグループとともに英国に建設を計画しているLNG液化事業基地は、もともとオランダの「ペトロプラス」が計画していたものだが、後にBGグループとペトロナスが参加を決め、この二社が半分ずつ使用することになったといういきさつがある。


BGグループは、英国最大手「ブリティッシュガス」から分割された会社で、ブリティッシュガスが展開していた海外業務を引き継ぎ、ガス田の開発や生産、LNG事業、パイプライン事業、発電事業などを行っている。すでにエジプトをはじめ、インド、カザフスタン、トリニダートトバゴ、ボリビアなどに進出している。英国内の都市ガス事業については、同じくブリティッシュガスから分割された「セントリカ」が「ブリティッシュガス」ブランドを使用して営業を行っている。ペトロナスはそのセントリカと契約を締結し、天然ガスの15年間供給を決定した。


ペトロナスは、イランでもLNGプロジェクトに参加を予定しており、トタール(仏)、イラン国営石油会社(NIOC)と共同で、合弁会社「パルスLNG」を設立した。イランでは、ペトロナスの参加する事業を含め、複数のLNG事業が計画されており、販売先として大規模なLNG需要が見込まれる中国とインドがターゲットにされている。ペトロナスとNIOCの狙いは、中国とインドに天然ガスを輸出するという点で合致したということだ。さらにペトロナスは、インドでの受入基地の計画にも参加しており、当初東岸のカキナダでの受入基地建設を予定していたが、この沖合で大規模ガス田が発見されたことから、より南の海岸に受入基地を建設することが検討されている。


意外なことだが、ペトロナスは世界最大のLNG輸出国インドネシアにも進出している。ジャワ島西部でガスが不足しており、受入基地の建設が検討されてきたが、同社がインドネシア国営電力(PLN)と受入基地の建設について覚書を締結し、現在調査を行っているというのだ。インドネシアには国営石油ガス会社Pertamina(プルタミナ)が君臨している。しかし、インドネシアには複雑な事情があった。プルタミナは2001年まで油ガス田の開発実権を握り、国内石油天然ガス産業を独占してきた。


しかし、同年制定された新石油ガス法によって独占的権限と油ガス田開発実施許可などを失い、民間企業と同列の国有企業となった。国内に自社オペレーション油ガス田を持たなかったため、石油天然ガス生産における位置づけが大きく後退したのである。


その間隙を縫って米国シェブロンがスマトラ島の有力油田をコントロールし、トタール(仏)、中国海洋石油総公司(CNOOC)などの海外企業の後塵を拝することになった。このような背景があり、プルタミナは、しばらく低迷を続けてきたが、2008年1月には原油価格高騰によって24億ドルの純利益をあげた。同社の中心となっているのは、「エクソン・モービル」との共同事業によるジャワ島中部のチェプ鉱区開発だ。


東南アジア最大の産油国インドネシアの国営企業でありながら、隣国マレーシアの後発企業であるペトロナスに遅れを取っていたプルタミナは巻き返しに必死だ。石油生産量が減少傾向にあることから、同社は厳しい経営環境に置かれているようだ。同社の投資にはインドネシア政府の承認が必要であるため迅速な対応ができないのが弱点。隣国のプルタミナがインドネシアに進出できたのもこのような状況にあったからであろう。


By Master K/益田 慶