2008年4月25日 FX検定 きょうの問題 レアメタル
資源価格が高騰している。産業のビタミンといわれるレアメタルも同様に高騰している。日本が国家として備蓄しているレアメタル7元素は、ニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、バナジウムであるが、これらに追加して備蓄を検討している金属を挙げよ。
正解 インジウム、リチウム
解説
日本が国家備蓄をしているレアメタルはニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、バナジウムの7元素がある。1983年改正の「金属鉱業事業団法」によって経済安全保障の理由から供給停止等の障害に備えて平常時の消費量を基準にして、国家備蓄の42日分と民間備蓄の18日分の合計60日分の国内備蓄が石油天然ガス・金属鉱物資源機構によって行われている。
レアメタルの産出は、世界的に産出地域が非常に偏っている。そのためレアメタル産出国の治安情勢、レアメタル産出国の国家戦略によって資源の安定的供給の確保が難しい情勢が生まれる可能性がある。また、価格の変動が激しく安定的な供給システムが必要不可欠である。
2007年、経済産業省はこれらのレアメタルのうち、インジウム、ジスプロシウム、タングステンの3元素について、代替材料を産官共同で開発する計画「希少金属代替材料開発プロジェクト」を発足させた。同様に文部科学省も2007年から「元素戦略プロジェクト」を行なっている。こんなところにも国家戦略を一元化できない日本の弱みが露呈している。
レアメタルの生産は、銅、亜鉛、鉛、アルミニウム、リチウム、モリブデンなどのベースメタルを生産する過程で副次的に生産されるものが多い。ところが日本では、採算性の悪化から国内でベースメタルの産出を行うことは少なくなってきた。例えば、インジウムの生産は日本の豊羽鉱山が世界第1位であった。北海道の豊羽鉱山(とよはこうざん)では、銀、亜鉛、鉛を採掘していたが、副産物としてインジウムが生産されていたためである。ところが、2006年3月、豊羽鉱山の閉山により世界最大のインジウム産出鉱山が突然無くなってしまった。
副産物として産出されるレアメタルとベースメタルの関係は以下のようになる。
ベースメタル⇒レアメタル
銅⇒コバルト、セレン、テルル、タリウム
亜鉛⇒ゲルマニウム、インジウム、タリウム、ビスマス
鉛⇒アンチモン
アルミニウム⇒ガリウム
モリブデン⇒レニウム
日本には黒鉱ベルト(グリーン・タフ)と呼ばれる鉱床ベルトが存在する。伊豆半島から静岡-糸魚川構造線に沿って、さらに新潟から東北地方の日本海側、北海道西部に抜ける地域である。この地帯には、かつて様々な鉱山が存在していたが、その多くは採算性の悪化によりほとんどが閉山している。金鉱山だけとっても下記のようにたくさんの金鉱山がこの黒鉱ベルトに存在していたことがわかる。
黒鉱ベルト内には、金鉱山として、伊豆半島には土肥金山、清越金山、蓮台寺金山、縄地金山、伊豆天城鉱山、天正金鉱、大仁金山、伊豆猪戸金山、静岡富士川沿いには、梅ヶ島の安部金山、日陰沢金山、富士宮の富士金山、静岡市井川の笹山金山、奥三河の津具金山、山梨には大月の金山金山、北杜の金山金山、身延の川尻金山、下部町の湯之奥金山、塩山の黒川金山、午王院平金山、竜喰金山、黄金沢金山、早川の黒桂金山、保金山、雨畑金山、黒桂山金山、韮崎の御座石金山、金沢金山、長野県には茅野の金沢金山、新潟県には青海町の橋立金山、北海道には鴻之舞鉱山などが存在していた。
黒鉱ベルトには金山以外にも多くの鉱山が存在していた。秋田県には主だった鉱山だけで、小坂鉱山(鉛、亜鉛、銅、銀、金)尾去沢鉱山(銅、金、銀、亜鉛、鉛、硫化鉄)荒川鉱山(銅、鉛、亜鉛、硫化鉄)、花岡鉱山(銅、鉛、亜鉛、重昌石、金、銀)、院内銀山(銀、金、亜鉛、鉛)、餌釣鉱山(銅、鉛、亜鉛)、吉之鉱山(銅、亜鉛、鉛)、釈迦内鉱山(銅、亜鉛、鉛)、深沢鉱山(銅、亜鉛、鉛)、松峰鉱山(銅、亜鉛、鉛)などがあるが、この他にも数十に及ぶ鉱山が存在していた。
上述したように、銅、亜鉛、鉛が産出する場合は、副産物として多くのレアメタルが抽出される。レアメタルの価格は直近の数年で5倍から10倍くらい上昇している。金銀価格についても同様である。このまま金属価格が上昇し、高止まりした場合、これらの閉山鉱山の多くが採算レベルに乗ってくる可能性もある。すでに伊豆の金山では再採掘の試掘も始まっているようである。
かつて日本は世界有数の金属輸出国であった。江戸時代、明治時代には、金、銀、銅などが日本の輸出を支えていた時代もあったのだ。メタンハイドレートのようなエネルギー資源を含めて、資源価格が高騰すると日本は資源国家として復活する可能性を秘めているのかもしれない。これを推進する人材資源は枯渇しそうであるが・・・・。
レアメタルの産出国とシェア
ニオブ ブラジル97.7%
タンタル オーストラリア93.0%
プラチナ 南アフリカ88.7%
リチウム チリ73.2%
タングステン 中国62.1%
マンガン ウクライナ46.7%
アンチモン 中国43.9%
バナジウム ロシア38.5%
モリブデン 中国38.4%
クロム カザフスタン35.8%
ニッケル オーストラリア35.5%
ボロン トルコ35.3%
レアメタルの用途
ニオブ
鉄鋼添加剤:自動車や石油パイプライン用の高張力鋼、
高耐蝕性ステンレス鋼、タービン用耐熱超合金
タンタル
コンデンサー(パソコン、携帯電話)、歯科インプラント接合剤
プラチナ
自動車用排ガス浄化触媒、点火プラグ、排気センサー、
燃料電池触媒、磁性体材料、抗がん剤原料
リチウム
軽量合金、還元剤、結晶化耐熱ガラス、潤滑剤、
抗鬱剤原料、リチウム電池負極
タングステン
反物質生成実験用ターゲット素材、ドリルなどの高速度鋼、
超硬合金、X線遮蔽用の金属、装弾筒付翼安定徹甲弾の弾芯、
真空蒸着による薄膜形成用素材、TIG溶接の非消耗電極素材
プラズマアーク溶接・プラズマ切断の電極材料
マンガン
乾電池陽極、耐磨耗性・耐食性・靭性鋼鉄添加素材
アンチモン
鉛蓄電池電極材料、ハンダ合金材料
バビットメタルなどの軸受合金、半導体材料への添加物
ポリエステルを製造する際の触媒、ゴム、プラスチックの顔料
繊維、プラスチック、紙を難燃性にするための添加物の原料
バナジウム
製鋼添加剤:バナジウム鋼(高張力鋼、非調質鋼、工具鋼、耐熱鋼)
アルミニウム合金素材、チタン合金素材、超伝導体
触媒;硫酸製造用触媒、酸化触媒
排ガス処理:脱硝用複合材・触媒
顔料、塗料、セラミックス釉薬、
電子素子:酸化物半導体
レドックスフロ-電池:電力貯蔵用大型電池
蛍光体:小型表示素子
化学気相蒸着法(CVD)用材料
モリブデン
ステンレス鋼の添加元素、工業用の潤滑油、エンジンオイルの添加剤
モリブデン銅合金(ハイブリッドカー、ロケットの電子基板)
金属モリブデン:電子管の陽極、液晶パネル製造ライン
クロム
ステンレス鋼、メッキ素材
ニッケル
ステンレス鋼、硬貨
軟磁性材料:変圧器の鉄心、磁気ヘッド
ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池の正極
不飽和炭素結合に対する水素付加の不均一系触媒
ボロン
ガラスの原料、防腐剤、金属の還元剤、溶接溶剤や研磨剤、火の抑制剤
ホウ酸:目の洗浄剤、うがい薬や鼻スプレーなど口腔衛生のための医薬品
ゴキブリ駆除剤、スピーカーの高・中音域ユニット振動板
半導体素材、原子炉内において中性子の吸収のため制御棒
加圧水型原子炉の余剰反応度制御、放射性物質運搬容器
複雑な化合物の前駆体として利用
インジウム
液晶・プラズマなどフラットパネルディスプレイの電極(透明導電膜)
半導体添加素材、ハンダ材料
酸化インジウム錫は、導電性があるのに透明であることから液晶やプラズマといったフラットパネルディスプレイの電極(透明導電膜)に使われている。また、シリコン、ゲルマニウムに添加してP型半導体を形成する。
インジウムを産出している世界最大の鉱山は札幌市の豊羽鉱山であったが、採算の悪化や資源枯渇を理由に2006年3月31日をもって採掘を停止した。豊羽鉱山の産出品目は銀、亜鉛、鉛などであるが、インジウムは副産物として産出されていた。豊羽鉱山は新日鉄グループが開発していたが、鉱床深部の地熱温度の上昇による採掘可能な鉱石の鉱量枯渇のため2006年3月31日をもって閉山した。鉱脈は深部まで存在する事が確認されているが、発破に使用するダイナマイトが岩盤の高温に耐えられず、現在の採掘技術では事業継続が不可能である。豊羽鉱山はインジウムの産出が世界一の鉱山であっただけに非常に残念である。
インジウムは現在、液晶ディスプレーや発光ダイオードなどのハイテク製品の原材料として広く用いられているが、一方で産出量は限られており、需要の逼迫・資源枯渇の危険性が問題となっている。2003年から3年間で価格は5倍に上昇した。
レアアース
希土類元素原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までのランタノイド
21番のスカンジウムと39番のイットリウム(Y)を加えた計17種類の元素
水素吸蔵合金、二次電池原料、光学ガラス、強力な永久磁石、蛍光体、研磨材などの材料
チベットは世界のレアアース生産の90%を占めている。