2008年4月18日 FX検定 きょうの問題 世界の航空機産業 三菱重工MRJ

三菱重工が小型旅客機製造の事業化に踏み出した。世界の旅客機製造はヨーロッパのエアバス社、アメリカのボーイング社によってリードされているが、中型機、小型機はこの2社に続いてカナダのボンバルディア社が続いている。では、世界第4位の旅客航空機製造会社はどこか。


正解 エンブラエル社


解説


2008年3月28日、三菱重工が小型ジェット旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の事業化を決定した。三菱重工は航空機製造の新会社・三菱航空機を設立する。2008年4月1日、資本金30億円で設立、事業展開とともに増資し、資本金1000億円まで増資する予定である。三菱重工は資本金の3分の2を保有する予定である。残りの3分の1は、トヨタ自動車、日本政策銀行、三菱商事、三井物産、住友商事が出資予定である。


全日本空輸(全日空、ANA)は、MJRの事業化を前提に25機を発注した。MRJは、世界最高レベルの運航経済性と客室快適性を兼ね備えた70~90席クラスの最新鋭小型ジェット旅客機。リージョナル機として初めて主翼、尾翼に複合材を本格的に採用、新型エンジンの搭載や最先端の空力設計などとも相俟って、燃費の大幅な低減を実現、エアラインの競争力と収益力の向上に大きく貢献する。


ちなみにリージョナルジェットとは航続距離3000キロ程度乗客数が70~90名程度の小型ジェット旅客機の事である。


MRJプロジェクトには、最新鋭の高効率エンジン「Geared Turbofan」を供給するプラット アンド ホイットニー(Pratt & Whitney)のほか、パーカー・エアロスペース(Parker Aerospace、担当:油圧システム)ハミルトン・サンドストランド(Hamilton Sundstrand Corporation、担当:電源、空調、補助動力などの各システム)、ロックウェル・コリンズ(Rockwell Collins、担当:フライト・コントロール・コンピューター、アビオニクス)、ナブテスコ(担当:フライト・コントロール・アクチュエーター)、住友精密工業(担当:降着システム)の各社が主要なパートナーとして参画する予定である。


世界の大型旅客機市場は、アメリカ・ボーイングヨーロッパ・エアバス社によって2分されているが、中型機、小型機は上記2社に続き、カナダ・ボンバルディア社ブラジル・エンブラエル社が続いている。新規参入の三菱重工MRJが事業化に成功するためには、量産化によるコストダウンが必要であるが、価格、性能で競争力を確保していく必要がある。三菱MRJの強みは燃費効率の良さであるが、機体コストではボンバルディア社、エンブラエル社に及ばない。ボーイング社、エアバス社を含めてどこまで差別化が図れるかが今後の課題である。


エンブラエル社


エンブラエル社は、ブラジル最大の輸出企業である。2000年年代に入って急速に成長してきた世界第4位の航空機製造会社である。2007年の売上は、52億2400万ドル、従業員数2万3600人。


エンブラエル社は、1069年、ブラジルの国営会社として設立された。ブラジル空軍の航空技術研究所の研究員によって開発されたプロペラ機バンデランテス、ブラジリアを開発、小型旅客機として各国で採用されて成功した。さらにターボプロップ式タンデム複座型練習機としてイギリス空軍などで採用されたほか、ブラジル空軍でも練習機兼用のゲリラ掃討用COIN機として利用されている。


1990年には3億ドルをかけて開発した、「CBA123」を発表したが、価格競争力に欠け事業としては失敗した。この失敗でブラジル政府からの援助は打ち切られ、さらに湾岸戦争による世界的航空需要の減退でエンブラエル社は、窮地に陥った。相次ぐ受注キャンセルのなか1万4,000人の大半をリストラ敢行したが受注減による業績悪化から黒字転換は達成できなかった。


ブラジル政府は事業売却、民営化を試みたが相次いで失敗した。その後、1994年12月、金融コングロマリット「ボザノ・シモンセン」、社会福祉年金運用会社「プレビ」、「システル」が共同で出資し、1億4670万米ドルで買収した。


1999年、フランスの航空機製造企業グループ・ダッソーと資本・技術提携し、ダッソー社がエンブラエル社の株式を20%保有するに至った。ダッソー社の技術支援を受けて、70人乗り「ERJ170」、98人乗り「ERJ190」、108人乗り「ERJ195」の開発を相次いで発表した。2007年2月、日本航空グループ(JALグループ)は、ERJ-170を10機導入することを決めた。


エンブラエル社の2000年以降の成長は著しく、売上は世界第3位のカナダ・ボンバルデア社に迫る勢いである。ビジネスジェット分野にも参入し、売上は好調である。また、軍用機分野でも好調を維持し、ブラジル空軍の50%はエンブラエル社の航空機であり、オーストラリア空軍など世界20カ国以上の軍隊で採用されている。


また、特筆すべき点として、エンブラエル社の子会社ネイバ社アルコール燃料で飛ぶ農業用小型飛行機を開発したことである。ブラジルのエネルギー政策との連動でバイオ・エタノールの利用を高める戦略と見られる。環境重視の世界的流れから大きな需要が見込まれる。


2002年、エンブラエル社は、中国ハルビンで中国の国営会社と合弁の航空機製造工場を建設している。エンブラエル社のの株式保有比率は51%である。2004年には第1号機(ERJ-145型、客席数50)が製造されている。年間生産能力は24機である。リージョナルジェットの今後20年間の需要予測は、中国で600機であり、リージョナルジェットの中国国内保有数は2004年現在で70機であることを考えると今後の需要増が見込めると読んでいるようである。また、世界需要は4000機が予測されており、ボンバルデア社、三菱重工MRJとの競合が予想される。