2008年4月14日 FX検定 きょうの問題  世界の造船業

造船業界の再編が進む。JFE子会社で国内2位のユニバーサル造船とIHIが全額出資するアイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッドが統合し、今治造船を抜いて国内最大手になる。世界の造船受注が最も多い国はどこか。


正解 韓国

解説


JFEホールディングスは2008年3月6日、日立造船と折半出資しているユニバーサル造船を子会社化し、日立造船が保有するユニバーサル株のうち34.9%を3349億円で取得し、出資比率を84.9%に高めた。これに続いての造船再編である。JFEは、造船を鉄鋼に次ぐ中核事業として強化するのが狙いで、統合後のユニバーサル造船は全株をJFEホールディングス本体が所有する。


日本の大手造船業は、JFE、三井造船、住友重機械、三菱重工に集約されてきた。他に中堅造船所として、今治造船、常石造船、新来島ドック、大島造船所、名村造船所、佐世保重工、サノヤス・ヒシノ・明昌、尾道造船、豊橋造船、内海造船、函館ドック、福岡造船、南日本造船、臼杵造船所、旭洋造船、向島ドック、桧垣造船、浅川造船、山中造船、三和ドックなどがあるが、造船技術者不足などもあり、再編が予想される。


世界の造船企業のトップ10社は、韓国、日本、中国で占められている。
2008年1~2月世界の造船受注量は2110万DTW(載貨重量トン)で、このうち韓国企業が3分の2に相当する1400万DTWを占めた。


2007年は、世界の船舶受注量は2億4470万DWTで、韓国はこのうち39.4%となる9640万DWTを占めたが、中国の1億530万DWTを下回っており、2008年に入ってから韓国の造船業界は好調を見せていることになる。中国の2月までの受注量は、韓国の40%水準の550万DWTにとどまっているほか、日本が110万DWT、台湾が40万DWT、欧州が10万DWTなどとなっている。


造船は、タンカー、コンテナ船、バラ積船などの商船建造においてはすでに最先端技術を必要とする分野は少なく、基礎技術を持ちコスト競争力のある企業が生き残る産業分野となっている。かつての造船国であったイギリス、アメリカ、ノルウェー、ドイツ、デンマークなどはこれらの分野から撤退している。かろうじて軍用船の建造企業が一部残されているのみである。


しかし、旧造船国各国は、タンカーなどの大型商船分野からは撤退しているものの、ノルウェーにおけるレジャーボート、海洋特殊建造物、調査船、特殊船、掘削船、大型ディーゼル・エンジンなど付加価値が高い分野で高いシェアを維持している。したがって、新造船受注が多いことがそのまま利益には直結していないのが造船業の特徴である。


それでも近年はBRICsなど新興国の資源需要の高まりから海運需要が高まり、新規造船コストも上昇気味である。今後は新規造船の運航に伴い新規造船が一巡すれば海運コストも下がり、新規造船受注量も安定、低下してくると思われる。


大型船のディーゼル・エンジンを例にとれば、中国、韓国は大型船舶エンジンの生産ができない。
現在大型船舶用エンジンの世界市場シェアは、ドイツの輸送機械大手MANグループ(MAN B&W Diesel)が7割を、フィンランドの重電、ディーゼルエンジン大手バルチラ(Wartsila)が2割を、三菱重工が1割を占めている。


海洋調査船ではノルウェーのAker Yards Groupなどが強く、排水量、積載量換算の造船受注量ではベスト10に入らないが、売上ではAker Yards Groupは世界第4位である。ノルウェーには他にもUlstein Group、Umoe Groupなどの造船会社がある。また大型客船も旧造船国が得意とする分野である。Aker Yards Groupは2009年運航開始予定の豪華大型客船Royal Caribbeanの建造中であるが、この船の受注額は9億ユーロである。これらの造船企業は大型商船、タンカーの受注よりも、オフショア船、ケーブル敷設船、ダイビング支援船、RORO船、地質調査船、ケミカル・タンカー、フェリー、トロール船など付加価値の高い船舶建造に注力している。Aker Yards Groupの2006年の売上は258億6100万クローネ(5172億円)、営業利益14億4300万クローネ(288億円)、純利益10億3700万クローネ(207億円)だった。


韓国の造船業界は2007年、全世界の船舶受注量の40.4%に当たる3200万CGT(標準貨物船換算トン数)の受注を記録し、中国(2920万 CGT)、日本(650万CGT)を上回った。2008年に入っても、1-2月に世界の62.5%に当たる400万CGTを受注した。現代重工業は2007年、過去最高の250億ドル(約2兆5550億円)の受注に成功したが、2008年はそれを上回る294億ドル(約3兆50億円)の受注を目標に掲げている。


現代重工業は、2007年の業績は設立以来の好業績であったが、売上高を15兆5330億ウォン(約1兆7512億円)、営業利益1兆7507億ウォン、当期純利益1兆7361億ウォンであると発表している。営業利益は対前年比で99.2%の増加、純利益は143.6%の増加であるから、2006年までの業績がいかに悪かったか判る。船舶価格の上昇に助けられた形であるが、今後船舶価格の落ち着き、低下を見せてくると業績の悪化が予想され、高付加価値化が生き残りのポイントとなる。


世界の新造船受注量の推移 (単位: 千総トン)


年 日 本 韓 国 中 国 その他 世界合計
90 11,143 5,737 602 6,583 24,065
91 8,073 5,106 608 6,123 19,910
92 5,208 2,213 994 4,384 12,799
93 7,534 8,317 592 6,202 22,645
94 11,719 5,659 781 7,192 25,351
95 8,906 7,762 1,108 7,754 25,530
96 9,158 6,737 1,665 5,847 23,407
97 15,362 13,733 1,461 5,924 36,480
98 10,979 8,819 662 6,278 26,738
99 8,695 11,843 3,011 5,390 28,939
00 13,475 20,791 2,620 9,208 46,092
01 14,551 11,840 4,122 5,986 36,499
02 12,363 9,719 3,070 3,648 28,800
03 23,626 32,399 10,650 7,325 74,000
04 28,860 24,976 10,974 12,390 77,200
05 16,502 21,609 10,621 11,268 60,000
06 22,557 38,109 27,352 11,582 99,600


Lloyd's Register資料より作成


世界造船所ランキング 
1位:現代重工業  1082万CGT
2位:大宇造船  782万CGT
3位:サムスン重工業744万CGT
4位:現代尾浦造船 393万CGT 
5位:現代三湖重工業327万CGT
6位:STX造船  213万CGT 
7位:韓進重工業  210万CGT
8位:三菱重工業  209万CGT
9位:IHI  173万CGT
10位:常石船舶  172万CGT


受注残量基準の世界造船所ランキング
調査:Clerkson社 2006年(標準貨物船換算トン数)

新造船船価の推移 (単位:百万ドル)
年 VLCC Suez Afra Handy Cape Panamax HandymaxHandy
1992 100.0 62.5 48.0 32.0 44.0 28.0 24.0 20.0
1993 95.0 62.0 44.0 32.0 46.0 28.5 25.0 21.0
1994 82.0 51.0 41.0 32.0 42.0 28.0 24.0 19.0
1995 85.0 54.0 43.5 33.5 42.5 28.5 24.0 19.5
1996 82.0 51.0 40.5 31.5 39.0 26.5 23.0 19.0
1997 83.0 52.0 41.0 31.5 40.5 27.0 22.5 18.0
1998 72.5 44.0 34.5 26.0 33.0 20.0 18.0 14.3
1999 69.0 42.5 33.0 26.0 34.0 21.5 20.0 15.5
2000 76.5 52.5 41.5 29.5 40.5 22.5 20.5 15.0
2001 70.0 46.5 36.0 26.3 36.0 20.5 18.5 14.5
2002 63.5 43.8 34.8 27.0 36.3 21.5 19.0 15.0
2003 77.0 51.5 41.5 31.5 48.0 27.0 24.0 18.0
2004 110.0 71.0 59.0 40.0 64.0 36.0 30.0 23.5
2005 120.0 71.0 58.5 43.0 59.0 36.0 30.5 25.5
2006 129.0 80.5 65.5 47.0 68.0 40.0 36.5 28.0
2007 146.0 90.0 72.5 52.5 97.0 55.0 48.0 34.5


バルク船


ケープサイズバルカー
南アフリカ共和国東岸のリチャーズベイ(リチャードベイ)港に入港可能な満喫水18.1m以下の最大船型をいう。一般的には、150,000~170,000DWT程度のバルカーの名称。


パナマックス
パナマ運河を通航できる最大船型という意味で、長さ900フィート(約274m)以内、幅106フィート(約32m)以内の船で、ばら積み船の場合は載貨重量トン(D/W)が6万~6万8,000トンクラスの船.


ハンディ
載貨重量6万t未満の撒積船一般の呼称。


ハンディマックス
ハンディサイズのうち最大船型。載貨重量トン(D/W)が4万トン~5万トンクラスの船を指す。


タンカー船


LVCC
超大型原油タンカーの略称で,ULCCはUltra Large Crude oil Carrier,VLCCはVery Large Crude oil Carrierの頭文字である。一般的に載貨重量20万トンから30万トンまでのタンカーをVLCC、それ以上のものをULCCと呼ぶ。


スエズマックスタンカー
パナマ運河を通過できる最大サイズの商船。パナマ運河を通過するには、最大長900フィート、最大幅106フィートという制約がある。重量トンで言うと6~7万トンぐらいのサイズ。


アフラマックスタンカー
「AFRA」とはAverage Freight Rate Assessmentの頭文字。ロンドン・タンカー・ブローカー委員会が作成している原油タンカーのサイズ別運賃指数。AFRAは、載貨重量が8万トンを超えると運賃レートがかなり下がるので,そのレートを最大限に享受できるように載貨重量を上限ぎりぎりの79,999トンとしたタンカーを呼称したことに由来するが、現在では,載貨重量8万トンから12万トン程度のタンカーをひろくアフラマックスタンカーと呼んでいる。


パナマックスタンカー
パナマ運河を通航出来る最大船型のタンカーをいう。載貨重量は6万トンから7万トンでタンク容積は概ね50万バレルとなる。