2008年4月13日 今週の為替戦略
日本の企業物価は、前年同月比+3.9%と1981年来の伸び率で、独卸売物価指数(PPI)は前年比7.1%と1982年来の伸び率、米輸入物価指数は前月比2.8%で統計開始以来の高水準となった。一方、ミシガン大消費者信頼感指数は63.2と1982年3月の調査開始以来の低水準で、1年インフレの4.8は1990年10月のクウェート侵攻時以来の高水準となっている。
ピムコCEOは、「世界の中銀総裁はインフレに備える必要がある。終えんを迎えつつある低い価格圧力の時代から世界的インフレの時代への変化に対し、世界の中央銀行の総裁は準備する必要がある」、「FRBはフェデラルファンド金利が2%に達した段階で、利下げを打ち止めにする可能性がある」とも言っている。
最近の経済指標のインフレ関連の数字は以上なほど高水準で、米景気後退に陥っており、ジョージ・ソロス氏は、「今回の世界的な金融危機はこれまで経験したなかで最悪。現在は富が破壊される時代で、これが実体経済に影響を及ぼすだろう」と言っている。低成長と高インフレの中で為替相場がどのように動くのかを見極める必要があり、一般的には経常黒字国通貨高と赤字国通貨安を予想する人が多く、中短期的な円高相場の予想も多く、ポンド、米ドル、カナダドル、豪ドル、NZドル安の予想も多い。
先週末には、注目のG7がワシントンで開催されたが、
◎為替相場については前回の会合以降、主要通貨において時として急激な変動があり、経済および金融の安定へ与え得る影響について懸念している。引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。人民元の柔軟性を向上させるとの中国の方針を歓迎しているが、経常収支黒字が増加し、国内インフレが上昇し、人民元の実効為替レートのより速いペースでの増価を促す。
ラガルド仏経済相いわく、声明における為替言及の変化は04年以来との事で、「経済および金融の安定へ与え得る影響について懸念している」との部分と思われる。相変わらず声明文からは、直接的な行動を取るような文言とも思えないが、週初の欧州市場ではEUR相場の動きと、G7参加者の発言に動揺されやすくなっている。
また、相変わらずの事ながら、米金融機関の決算では為替変動リスクが高く、7日=メリルリンチ、18日=シティ・グループの決算は特に注目度が高くなっている。
今週の為替相場は、USDJPYは100円を上抜けしてから2週間戻り局面を試しながらも、103円台を天井に、欧米金融不安と米景気後退から上値も重く、100~103円のレンジ相場に入り、この流れは簡単に変わりそうにもない。
市場参加者のドル安センチメントは強く、特別なインフレリスクの高まりが無い以上、ドル安政策が輸出拡大と景気回復に有利であることは間違いなく、直ぐに変更する理由も感上げ難い。一方、ユーロは1.55をベースに1.55~1.59のレンジでの取引が続き、貿易収支が悪化し、インフレ懸念が弱まれば、ユーロ高抑制に動く可能性が高まるが、ユーロ圏の貿易収支は-20億ユーロと前月と変わらずの予想で、ユーロ圏CPI前年比は3.5%と前回3.3%から拡大することが予想されており、こちらもレンジ相場から上値リスクが続いている。
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると:
主要通貨では:
先週は、週末G7を控えて為替に関する声明文の期待は少なかったが、全体的にドル小幅下落となり前週日では小幅な変動で終了した。GBPは住宅関連が弱く利下げを実施、GBPUSDは2.0を達成できず、EURGBPの上昇などクロスで値を下げ前週比1.2%下落、CADは米経済の影響を受け売りが強く1.5%下落、これで3週続けて1.00~1.03のレンジで取引されている。
USDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 99.12 102.95 98.80 101.45 2.19 2.21% 4.15
11-Apr-08 101.51 102.85 100.03 101.03 -0.42 -0.41% 2.82
EURUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 1.5801 1.5897 1.5510 1.5736 -0.570 -0.36% 3.87
11-Apr-08 1.5730 1.5915 1.5628 1.5816 0.800 0.51% 2.87
USDCHF OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 0.9937 1.0210 0.9870 1.0057 1.050 1.06% 3.40
11-Apr-08 1.0056 1.0173 0.9888 1.0001 -0.560 -0.56% 2.85
GBPUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レン
04-Apr-08 1.9957 2.0048 1.9728 1.9931 -0.110 -0.06% 3.20
11-Apr-08 1.9952 1.9954 1.9651 1.9691 -2.400 -1.20% 3.03
AUDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 0.9162 0.9226 0.9031 0.9223 0.49 0.53% 1.95
11-Apr-08 0.9218 0.9345 0.9177 0.9276 0.53 0.57% 1.68
USDCAD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 1.0222 1.0325 1.0017 1.0083 -1.40 -1.37% 3.08
11-Apr-08 1.0087 1.0247 1.0038 1.0234 1.51 1.50% 2.09
NZDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 0.7947 0.7957 0.7781 0.7890 -0.81 -1.02% 1.76
11-Apr-08 0.7893 0.8022 0.7868 0.7930 0.40 0.51% 1.54
円クロスでは:
先週は、NYダウが約2%下落し、全体的に小幅な値動きで推移したが、GBPJPYは住宅関連が弱く利下げを実施したことで、再び200円の大台を下回り前週比1.66%下落、週間レンジも前週8.25円→今週6.39円と値幅は広く動きは他を圧倒している。CADJPYは前週100円の大台を回復しながらも、米経済の影響を大きく受け前週比1.91%と大きく値を下げている。
AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 90.81 94.39 90.43 93.57 2.54 2.79% 3.96
11-Apr-08 93.58 95.77 93.35 93.70 0.13 0.14% 2.42
GBPJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 197.81 205.11 196.86 202.22 4.34 2.19% 8.25
11-Apr-08 202.53 204.43 198.04 198.86 -3.36 -1.66% 6.39
CADJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 96.93 102.24 96.59 100.58 3.38 3.48% 5.65
11-Apr-08 100.59 102.26 98.12 98.66 -1.92 -1.91% 4.14
EURJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 156.66 161.09 156.06 159.67 2.90 1.85% 5.03
11-Apr-08 159.67 161.75 158.80 159.74 0.07 0.04% 2.95
CHFJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 99.72 101.68 99.38 100.85 1.15 1.15% 2.30
11-Apr-08 100.91 101.82 100.68 100.88 0.03 0.03% 1.14
NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
04-Apr-08 78.76 81.34 77.92 80.05 0.97 1.23% 3.42
11-Apr-08 80.12 82.06 79.89 80.10 0.05 0.06% 2.17
IMM通貨先物:
商品先物取引委員会(CFTC)が4月11日に公表した建玉報告では、大口投機家のネットポジションは、先物=43,067枚(前週比9231枚減少)、オプション合計=40,596枚(前週比8327枚減少)となり、2週連続ロングポジションは減少しドル安センチメントは弱まっていた。小口投資家のポジションは、4週連続の減少で、前週比で694枚減少していた。EURはほぼ変わらず、JPYのネットロングは小幅減少、GBPのネットショートは大幅に拡大、CHFのロングポジションは大幅に減少し、これらの通貨のセンチメントが弱かったことがうかがわれる。一方、CADのネットロングポジションは大幅に拡大、期待感にかかわらずCADは弱く、AUDとNZDはインフレの高まりと商品価格の上昇にネットロングが拡大していた。
JPY Long Short Net
01-Apr-08 78,135 25,837 52,298
08-Apr-08 70,424 27,357 43,067
EUR Long Short Net
01-Apr-08 80,290 51,218 29,072
08-Apr-08 86,826 57,391 29,435
GBP Long Short Net
01-Apr-08 34,114 36,874 -2,760
08-Apr-08 30,945 43,505 -12,560
CHF Long Short Net
01-Apr-08 30,785 21,904 8,881
08-Apr-08 24,145 23,228 917
CAD Long Short Net
01-Apr-08 28,382 27,659 723
08-Apr-08 37,519 30,955 6,564
AUD Long Short Net
01-Apr-08 41,035 4,067 36,968
08-Apr-08 59,685 7,996 51,689
NZD Long Short Net
01-Apr-08 11,600 4,146 7,454
08-Apr-08 12,412 4,040 8,372
今後の金利予想は:
国 予定日 現行政策金利 予想:
USD 4月30日 2.25% 0.25%の引下げを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR 5月 8日 4.00% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 5月 8日 5.00% 金利据え置きを予想(Base Rate)
JPY 5月20日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 5月 6日 7.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
NZD 4月24日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF 6月19日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 4月22日 3.50% 0.25%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 4月23日 5.25% 金利据え置きを予想 (Sight deposit)
SEK 4月23日 4.25% 金利据え置きを予想 (Repo rate)
今週の経済指標・その他では、
今週の経済指標は最重要な指標の発表がないものの、インフレ指標のCPIやPPIの発表が続出し、インフレと景気減速が最近のテーマともなっており注目され、株価の変動から為替が動く可能性が高くなっている。
14日=スウェーデンCPI、英PPI、15日=NZCPI、英CPI、米PPI、16日=独CPI、ユーロCPI、米CPI、17日=カナダCPI、18日=独PPIと主要国で発表される。
小売売上高はGDP構成比率で最もウエイトの高い個人消費を占うことができ重要で、14日=NZ、米、15日=英BRC、17日=スイスで発表される。
住宅関連の指標は、サブプライム問題以降は引き続き注目度が高く、15日=米住宅建設業者指数、英RICS、16日=住宅着工件数を注目したい。
その他では、15日=独ZEW、独NY連銀製造業景気指数、対米証券投資、16日=ベージュブック、17日=米フィラデルフィア連銀景況指数、米景気先行指数は、それぞれに注目されている。
主な米決算発表の予定は、15日=資産運用大手ステート・ストリート、米銀6位の米バンコープ、最近話題の大手貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアル、16日=JPモルガン・チェース、17日=メリルリンチ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、金融サービスのCITグループ、18日=シティ・グループ、銀行大手のワコビアが予定されており、特に、メリルリンチとシティ・グループの決算は注目度が高く、金融不安と株価の変動から為替変動に繋がる可能性は非常に高くなっている。
●ドル円
ドル円は、100円を上抜けしてから2週間戻り局面を試しながらも、103円台を天井に、欧米金融不安と米景気後退から上値も重く上抜けすることに失敗、100円の大台では各種タイプのドル買いが入り下値も失敗、100~103円のレンジ相場に入り、暫くはこの流れが続き、一方向にポジションを傾けるのも危険である。日米間の金利差は大幅に縮小、レンジ相場でも一昔前ほどキャリーコストを意識してドル売りを継続する必要もなくなっており、日本の経常収支の黒字額が評価され、中期的なドル先安センチメントは強い。
ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの下限から中間で取引が続いている。上値のポイントは、102.93円、103.21円、103.68円、106.60円、下値のポイントは、99.50円、98.91円、97.41円、95.73円、94.98円。RSIは30と横ばいからやや値を戻し、トレンドモメンタムは売りを継続している。トータルの判断は、やや売りが優勢ながら、売り買いが混在しはっきりしない。100円~103.50、または、98.50円~103.50円のレンジに入りやすい。Daily=買い、Weekly=売り、Monthly=売り。
●ユーロドル
ユーロドルは、G7が終わり、週初はG7後の発言や影響に投機的な動きが入りやすいが、次回の理事会でもECBが利下げをする可能性も低く、ユーロ高を懸念しながらも、インフレ抑制を目的にユーロ高阻止行動に出る可能性も低い。1.59で上値が抑えられているが、下値も徐々に切り上がり、上値を試す動きが続きそうである。1.5920をクリアに上抜けすると1.6の大台が見えてくる。
ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続き、上限を超えてからは買いが続いている。上値のポイントは、1.5918、1.6398、1.6909。下値のポイントは、1.5683、1.5510、1.5302~21、1.5012、1.4937~55。RSIは67と上昇ラインが続き、トレンドモメンタムも買いを継続している。トータルの判断は、買い継続で、1.55~1.5920レンジの上限を抜けると買いが加速しやすい。Daily=売り、Weekly=買い、Monthly=買い
●ポンド円
ポンド円は、BOEは予想通り0.25%の政策金利を引き下げ、今後暫くはこの水準を維持するとの予想が増えている。ドル円がレンジ相場を繰り返す中で、いままでのように株価に敏感に反応する相場がやや弱まり、GBPUSDが1.9651まで下落、終値では6週間ぶりとなる2月22日の週に並び、GBPJPYもその影響を受けやすくなっている。
ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、レンジの下限で下げ止まり、レンジ相場が続いている。上値のポイントは、200.62円、202.07円、205.61円、208.99円、213.70円。下値のポイントは、197.51円、196.50~78円、191.29円、177.25円。RSIは23と緩やかな下降ラインが続き、トレンドモメンタムは長く売りが続いている。トータルの判断は、売りを継続で、197.51円~202.07円レンジの下限を割り込むと売りが加速しやすい。Daily=買い、Weekly=売り、Monthly=売り。