世界資源戦争 19 新興産油国・石油企業の躍進 中国海洋の原油・天然ガス生産地域と外資の導入

中国海洋石油(CNOOC Ltd)は、次の4地域で原油・ガス田の探鉱・開発事業を行っている。 (1)渤海 (2)香港南東沖合(南シナ海東部) (3)香港南西の海南島沖合(南シナ海西部) (4)上海沖合(東シナ海)。このうち生産量が増えているのが渤海で、中国海洋の原油生産量の57.6%(2006年度)を占めている。渤海では1999年、コノコフィリップス中国石油公司によって大型の蓬莱油田が発見され、2002年から生産が始まっている。


コノコフィリップスは、米石油大手のフィリップス・ペトロリアムとコノコが2002年に合併して誕生した大手。米国ではエクソンモービル、シェブロンに続く規模だ。その現地法人がコノコフィリップス中国石油公司である。コノコフィリップス社は中国との海底油田共同開発に最も早く参加した外国企業だ。


中国政府は海域における石油開発で外資系企業約30社と契約を締結している。大手ではBP、シェブロン、ENI(イタリア)、デボン・エナジー(米国)などがある。デボン・エナジーは米国最大の独立系石油会社で、黄海南部と東シナ海西部で開発を手がけている。同油田で採掘した原油、ガスの所有権51%を保有し、探査・掘削にかかる費用は同社が負担するという条件だ。


ベネズエラやメキシコは強烈な資源ナショナリズムをふりかざし、欧米メジャーを排除してきたが、中国はある程度外資系企業を受けて入れている。それは国内に探鉱開発技術が蓄積されていなかったことを物語っている。


内陸部にも外資系企業はどんどん進出している。2004年に中国石油化工(Sinopec Corpo)とエクソンモービル、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが調印した福建省の製油化学コンビナート工事は、投資額30億ドルを超える。3社は世界規模の製油科学工業一体化生産施設を共同で開発し、石油製品の販売会社を合弁で設立し、福建省でガソリンスタンド600店を展開する予定だ。また2007年にはシェブロンが四川盆地のサワーガス田の開発権を取得している。


外資系企業が中国に進出する背景にはカントリーリスクが少ないことに加え、中国が石油の生産地にして同時に巨大な消費地であることが挙げられよう。近年の世界経済、特に先進国にとってひとつの課題は、巨額の外資を貯め込む中国にいかに金を使わせるかということであった。


つまり、経済成長を続けている中国という巨大な市場を相手に大きなビジネスをするということだ。世界の自動車産業などその典型的な例で、これから新たに自動車を大量に購入してくれるのは12億人が住む中国と定め、世界の自動車メーカーはこぞって中国市場に乗り込んだ。現在ほとんどの車はガソリンで走っている。中国で自動車販売数が急増したということは、それだけガソリンの消費量も増えたということだ。北京オリンピックを控え中国の環境問題がとやかく言われているが、皮肉なことに中国に石油を消費してもらわないと困る国や企業は少なくない。


では、ここ3年間に中国で実施された石油関連の主な税制改革を記しておこう。2005年、資源税引き上げ。2006年、石油製品輸出にかかわる増値税の還付再開。国産原油販売にかかわる「石油特別収入税」導入。石油製品の輸出にかかわる増値税の還付制度廃止。製品輸入関税引き下げ。原油輸出関税引き上げ。2007年、沖合で生産する外国企業に原油輸出関税導入。


ここ数年、国際原油価格の高騰に対応するため、中国政府は石油特別収入税など一連の税制改革を実行し、投資環境は以前と比べると厳しくなった。中国政府は2006年、国内石油企業に対して5%の原油輸出税を徴収すると決定していたが、中国沖合で操作する外国石油企業は、外資導入の促進という観点からこれまで輸出税は免除されていた。


しかし2007年8月1日以降、外国の石油企業についても国内石油開発企業同様の輸出税が適用されることとなった。ただし2007年8月1日以前に探鉱開発契約を締結している外国の石油開発企業の現行契約分については、2012年まで5年間の猶予期間が設けられている。中国は国内にない技術力を国外から導入するために、外資のハードルを低くしてきたが、今後はやや様子が変わっていきそうだ。

By Master K/益田 慶