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100年企業 21 旧財閥系の100年企業 地方財閥 岡山・大原財閥、静岡・旧鈴与財閥

岡山県倉敷市で「倉敷紡績」(クラボウ)を経営する大地主の大原家に生まれた大原孫三郎は2代目社長として家業を発展させ、多くの関連企業を築いた。大原家は500ヘクタール(東京ドーム約107個分)の田畑を持ち、2500人もの小作人が働いていたというから、規格外の大地主であったようだ。


クラボウの創業は1888年。倉敷に住む三人の青年が紡績所の設立を企画し、地元の大地主大原家に支援を請い、孫三郎の父・大原孝四郎が社長となって一工場からスタートした「100年企業」である。現在は大阪市に本社を構え、繊維だけでなく、化成品、不動産、バイオ関連製品の製造まで手がける企業に発展しているが、そのスタートは倉敷市だ。倉敷紡績創業工場は現在、クラボウが経営するホテルを中心にした複合観光施設「倉敷アイビースクエア」となり、経済産業省の近代化産業遺産にも認定されている。


大原孫三郎は繊維事業以外にもいろんな事業に挑んだ。倉敷紡績創業メンバーの一人である小松原慶太郎が設立した倉敷銀行を改称して誕生した合同銀行(のちの中国銀行)頭取や中国水力電気会社(のちの中国電力)の社長も務めている。名高いのはレーヨンの国産化を目的に1926年に倉敷で創業された「倉敷絹織」。これが現在の化学メーカー「クラレ」である。


本社は東京と大阪に分かれてあるものの、登記上の本社は現在も同社の発祥の地である倉敷市に所在する。大原孫三郎は他に病院や研究所、学校を設立。また西洋美術、近代美術を展示する美術館としては日本で最初に誕生した「大原美術館」は孫三郎が資金を提供し、自らのコレクションを集めた美術館である。孫三郎のコレクションには目を見張るものがあり、モネ「睡蓮」、エル・グレコ「受胎告知」、ゴーギャン「かぐわしき大地」などの世界的絵画が倉敷にあること自体が奇跡だといわれている。


一方、静岡県清水市で多くの関連企業を展開する「鈴与」は、物流・運輸・倉庫業を営む企業だ。同社を核とする物流事業の関連会社、「鈴与商事」に代表される商品流通関連会社、「鈴与建設」がリードする建設・ビルメンテナンス関連会社、「清水食品」ほかの食品事業に加え、不動産事業、人材派遣業、保険業、スポーツ事業、ケーブルテレビ運営など多岐にわたる巨大ネットワークを築いている。「100年企業」鈴与の創業は1801年。初代鈴木与平が現在の清水港で船舶を使った物流業を始めたのが、国内外に広がる鈴与グループ130余社の関連会社のすべての起源である。鈴与は鈴木与平の名前を略した社名なのだ。


幕末には製茶を横浜に送る流通を引き受け、明治初期には郵便汽船三菱社(日本郵船の前身)の積荷取扱店となる。明治半ばには清水港開港場を仕切り、日本船舶や東京海上保険の代理店となって業務を拡大。6代目・鈴木与平は1929年に缶詰メーカー「清水食品」を創業、1933年にはガソリンスタンドを開店。1936年に鈴与商店(現鈴与)を設立し、「清水製薬」や「鈴与建設」など次々と設立し、静岡県を代表する総合複合企業へと発展していく。


近年では、Jリーグ「清水エスパルス」の運営会社エスパルスのオーナーとしても知られ、1998年に日本で初めてセルフ式ガソリンスタンドを開店させたパイオニアとしても名をあげた。また、2007年には静岡空港を拠点とするエアライン事業への参入を発表。2009年7月の就航を予定している。


鈴与は今もなお創業オーナー鈴木与平の子孫が経営する稀有な企業で、現在の社長である8代目・鈴木与平氏は、鈴与商事や清水食品の会長も務め、多くのグループ企業の取締役でもある。また、多くの関連企業が清水市に本社を構えていることも同グループの特徴でもある。鈴与が清水にこだわるのは創業の地であるばかりでなく、清水港という港によって発展した物流グループが核になっているからである。
なお鈴与は社員1000余人を抱え、売上高913億円を達成しているが、上場しておらず、2004年に持株会社鈴与ホールディングスを設立し、すべての企業はその傘下となっている。


By Master K/益田 慶