2008年3月9日 今週の為替戦略
米議会予算局は2008年の米財政赤字が-3570億ドル(前年-1630億ドル)と1680億ドルの景気刺激策の影響もあり赤字額が大幅に増加することを予想、米通貨監督庁長官は銀行がサブプライム住宅ローンのみならず、クレジットカード、ホームエクイティローン、商業用不動産融資の貸し倒れ増加に備える必要があると言う。シティグループは数年間出3万人超の人員カットを検討、米地区連銀経済報告書では12連銀の2/3が景気減速・鈍化、大半で物価上昇圧力が高まったと発表。
期待された、アムバック・フィナンシャル・グループ救済策も資本増強が15億ドルでは不足で失望感が広まり、期待された、ファニーメイとフレディマックへの政府保証も単なるうわさに止まり、投資会社カーライルの関連会社は追い証に応じられずデフォルト通知を受け、米住宅ローン会社ソーンバーグ・モーゲージは追加担保差し入れができず破たん危機が迫り、週末には2ヶ月連続で米雇用統計の非農業部門雇用者数がマイナスなった。
ECB理事会では4.0%の政策金利据え置きが決定されたが、利下げや利上げを求める声はなく、据置きは全員一致での決定と言う。4月10にもECBは金利を据え置くことが予想され、18日日にFOMCで金利を引き下げる可能性は高く、仮に0.5%の大幅引下げを実施すると、EUR-USDの金利差は1.5%となり、EURUSDを1.5300で買うと、一年後はディスカウント229.5ポイントで、約1.507で買えることになる。
先週末の米3ヶ月Billは1.4%(利回り)FFレート3.0%より約1.6%低い水準で取引され、緊急利下げの思惑や次回のFOMCで大幅利下げの材料に使われている。湾岸協力会議(GCC)加盟国がドルに対して通貨切り上げをするとの観測は強く、早ければ4月から実施とのうわさも囁かれている。
今週は、イベントからは10日の主要国中央銀行総裁会議で各国中銀総裁からどのような発言がさえるのか、12日のトリシェECB総裁(ユーロ圏・湾岸協力会議(GCC)の中銀会合)会見で、可能性は低いがドルペック制度の見直しか、通貨切り上げを読み取ることができる発言が見られるのかが注目され、状況からはドル安をけん制する内容が現れやすく、中銀の口先介入に一時的なドルの買い戻しも考慮に入れておく必要があるが、引き続きドルの戻り売りの流れは変わらず。
クレジットリスクが強まっている間は、新興市場国通貨売りも変わりそうも無く、利上げ観測の強いNOKのロングと、CHFのロングを中心に、クロスポジションを作ることも選択肢。主要通貨では投機的色彩の強い通貨とドルに対しては弱気な流れが続きそうである。
主要通貨を比較:
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると:
JPY・EUR・CHF・GBPと軒並み1%超の上昇(ドル下落)となったが、商品価格の上昇にもかかわらず資源国通貨のAUD・NZDと、ドル経済の影響を強く受けるCADは弱くドル高となっている。新興市場国通貨もの軒並み下落したとこを考えれば、金融不安が強まり投機的な資金を引上げている可能性が高い。$インデックス=73.733→73.019(-0.714)、NYダウ=12,266.39→11,893.69(-372.70)、日経平均=13,603.02→12,782.80(-820.22)、CRB=412.73→411.65(-1.08)、原油=101.72→105.31(+3.59)、金=973.1→972.6(-0.5)
USDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 107.31 108.22 103.70 103.75 -3.39 -3.16% 4.52
07-Mar-08 103.60 104.20 101.40 102.67 -1.08 -1.04% 2.80
EURUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 1.4837 1.5240 1.4778 1.5180 3.500 2.36% 4.62
07-Mar-08 1.5194 1.5465 1.5145 1.5358 1.780 1.17% 3.20
USDCHF OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 1.0850 1.0930 1.0403 1.0409 -4.440 -4.09% 5.27
07-Mar-08 1.0396 1.0457 1.0134 1.0251 -1.580 -1.52% 3.23
GBPUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レン
29-Feb-08 1.9692 1.9972 1.9615 1.9890 2.180 1.11% 3.57
07-Mar-08 1.9887 2.0211 1.9724 2.0134 2.440 1.23% 4.87
AUDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 0.9238 0.9496 0.9215 0.9306 0.66 0.71% 2.81
07-Mar-08 0.9329 0.9420 0.9216 0.9265 -0.41 -0.44% 2.04
USDCAD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 1.0127 1.0129 0.9710 0.9876 -2.49 -2.46% 4.19
07-Mar-08 0.9854 0.9975 0.9740 0.9906 0.30 0.30% 2.35
NZDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 0.8076 0.8214 0.7970 0.7985 -1.05 -1.30% 2.44
07-Mar-08 0.8000 0.8082 0.7906 0.7936 -0.49 -0.61% 1.76
円クロスを比較:
GBP・EUR・CHFに対してはやや円安傾向となったが、 AUD・CAD・NZDに対しては約1.5%の円高となり、USDJPYの売りを強めた可能性が高い。過去のドル安=円安(クロスでの円売りの影響)も弱く、ドル安相場と高金利通貨・投機通貨安相場で、リパトリが強まっている影響なのかも知れない。
AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 99.13 100.51 96.47 96.54 -2.38 -2.41% 4.04
07-Mar-08 96.66 97.55 94.59 95.10 -1.44 -1.49% 2.96
GBPJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 211.30 213.38 205.95 206.32 -4.42 -2.10% 7.43
07-Mar-08 206.02 207.96 203.45 206.70 0.38 0.18% 4.51
CADJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 105.92 109.61 104.80 104.96 -0.78 -0.74% 4.81
07-Mar-08 105.08 105.70 103.03 103.58 -1.38 -1.31% 2.67
EURJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 159.24 161.43 157.46 157.49 -1.39 -0.87% 3.97
07-Mar-08 157.41 159.22 155.95 157.68 0.19 0.12% 3.27
CHFJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 98.86 100.51 98.54 99.60 0.88 0.89% 1.97
07-Mar-08 99.62 100.58 98.75 100.13 0.53 0.53% 1.83
NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
29-Feb-08 86.66 88.09 82.79 82.83 -3.78 -4.36% 5.30
07-Mar-08 82.87 83.62 80.70 81.46 -1.37 -1.65% 2.92
IMM通貨先物:
公表値を比較して見ると:
JPY・GBPロングポジションが拡大し上昇期待が強く、今現在一番上昇しているCHFのロングポジションが減少し、下落しているAUD・CADのロングが増加しているのは皮肉でもあり、先週後半これら通貨の値動きをかんがえれば、ポジション調整が進んだ可能性も高い。1.5の大台を達成したEURのロングポジションは以外と少なく、ユーロとスイス高が続く可能性が高い。
JPY Long Short Net
26-Feb-08 70,188 35,899 34,289
04-Mar-08 94,654 38,369 56,285
EUR Long Short Net
26-Feb-08 75,598 43,820 31,778
04-Mar-08 73,238 41,228 32,010
GBP Long Short Net
26-Feb-08 30,642 27,005 3,637
04-Mar-08 38,013 22,299 15,714
CHF Long Short Net
26-Feb-08 32,085 23,313 8,772
04-Mar-08 24,647 24,480 167
CAD Long Short Net
26-Feb-08 50,323 24,139 26,184
04-Mar-08 60,105 23,699 36,406
AUD Long Short Net
26-Feb-08 57,201 20,357 36,844
04-Mar-08 55,808 18,422 37,386
NZD Long Short Net
26-Feb-08 16,954 1,421 15,533
04-Mar-08 14,988 1,357 13,631
今後の金利予想は:
国 予定日 現行政策金利 予想
USD 3月18日 3.0% 0.25%~0.5%の引き下げを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR 4月10日 4.0% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 4月10日 5.25% 0.25%の利下げを予想(Base Rate)
JPY 4月 9日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 4月 1日 7.25% 0.25%の利上げを予想(Cash Rate)
NZD 4月24日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF 3月13日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 4月24日 3.5% 0.25%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 3月13日 5.25% 金利据え置き~0.25%の利上げを予想 (Sight deposit)
SEK 4月23日 4.25% 金利据え置きを予想 (Repo rate)
今週の経済指標はインフレ関連のCPIやPPIの発表が多く、10日=ノルウェーCPI、英PPI、11日=スウェーデン、独PPI(未定)、14日=ユーロCPI、米CPI、独CPI(未定)となっている。
金融政策では、13日=ノルウェー中銀→金利据え置き~0.25%利上げ、スイス中銀→金利据え置きが予想される。
貿易収支では、10日=独、11日=米国、カナダ、12日=英国。
住宅関連では、10日=カナダ住宅着工、11日=カナダ住宅価格指数。
その他では、13日=NZ・米国の小売売上高、14日=ミシガン大消費者信頼感指数が注目される。
イベントとしては、10日=主要国中央銀行総裁会議、12日=トリシェECB総裁(ユーロ圏・湾岸協力会議(GCC)の中銀会合)会見には注意が必要。
●ドル円
ドル円は、3月の本邦決算月は何があるかわからない時期でも有るが、今年はサブプライム問題の影響を受けた欧米金融機関の損失報道や思惑に、クレジット市場がより混乱し、投機資金の流れも円キャリートレードをやっている暇は無く、本邦個人投資家の円売りを消化しながら円高になりやすい。しかし、2005年1月21日の安値101.67円、1999年の安値101.25円に近く、これを割り込むと円高大相場に陥りやすく、口先介入や一時的なドルの買い戻しも考えなくてはならない。基本はドル売りで、底値では買い戻し→戻り売りを繰り返したい。
ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドの中間から下限のポイントで下げ止まっている。Dailyチャートでも下限で下げ止まっている。上値のポイントは、103.97円、104.16円、104.96円、105.15円。下値のポイントは、110.09円、100.91円、98.91円、98.10円。RSIは33とトレンドのあるドル下落が続き、トレンドモメンタムは売りを継続している。トータルの判断は売り+戻り売り、今週の下降トレンド下限は100.91円にあり、これを下抜けするには相当の抵抗があると思われ、また中間地点は105.15円に位置しこれを超えることは難しく、今週は100.91円~104.16円のレンジ内で取引を予想。Daily=売り・下降トレンドの下限、Weekly=売り、Monthly=売り。
●ユーロドル
ユーロドルは、インフレリスクを犯しながらも景気対策の利下げを実施しなければならないFRBと、インフレ抑制が絶対的な使命と考えているECBとのスタンスの違いと金利差や、米国金融不安を考えれば、まだまだユーロの高値は見えない。ユーロ高による輸出低迷=景気後退の許容度が超えてくれば、口先介入が始まる可能性が否定できず、1.55の大台が強く意識されて、1.52~1.55のレンジに入りやすいが、1.55を超えてくれば1.57が次のターゲット。
ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続き、ラインの上限を超えユーロ買いが続いている。上値のポイントは、1.5394、1.5692、1.5849、1.6204。下値のポイントは、1.5201、1.5039、1.4966。RSIは67と長い上昇ラインが続き、トレンドモメンタムは買いに変わっている。トータルの判断は、1.5200を割り込むまでは買いを継続、1.5200~1.5500のレンジを予想。Daily=買い、Weekly=買い、Monthly=買い
●ポンド円
ポンド円は、目先のBOEの利下げ観測は消え、GBPUSDがレンジ相場の上限を超え、2.0を超え再び上昇トレンドに入り、ドル円が下落、ドル全面安にEURJPYやCHFJPYも狭いレンジ相場に入り、結局はGBPJPYもレンジ相場が続きやすくなっている。
ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの中間点を上限に、204円~214円のレンジ内での取引が続いている。上値のポイントは、208.11円、209.45円、212.54円、214.43円。下値のポイントは、205.59円、205.00円、204.60円、199.44円。RSIは31と下降ラインが続き、トレンドモメンタムは売りを継続している。トータルの判断は、売りが続き、199.44~212.54円のレンジ内を予想。Daily=売り、Weekly=売り、Monthly=売り。