2008年3月2日 今週の為替戦略

最近の米景気先行指標は弱く、3月18日のFOMCでは引き続き利下げ観測が強くなっている。FF先物08年3月限は2.665%で、政策金利2.75%(確率40.5%)、2.5%(確率18.3%)を折り込んでいる。


今週発表される米雇用統計は非常に重要で、1月22日の緊急FOMCでは0.75%の利下げを決定、1月30日のFOMCでは更に0.5%の大幅利下げに踏み切り、2月1日の1月雇用統計の非農業部門雇用者数は予想6.3万人に対して-1.7万人と大幅減少していたことで、この統計を事前に察知し、雇用の悪化による影響を事前に予防したとの思惑も強く流れていた。今週もこの数字しだいでは相場が急変することは間違いない。


ドルは各主要通貨高で大きく値を崩し、円はクロスを含め円高傾向で一週間を終えた。ドルペック制度を採用いる湾岸諸国でも、廃止に至らないにしても、自国通貨の切り上げ観測高待っている。サウジリヤル=1986年以降3.75リヤルの固定を上抜け上昇し、アラブ首長国連邦(UAE)ディルハムは切り上げを折り込んでいる。クウェートは昨年5月に続いて、2度目となる通貨ディナール切り上げを実施し6%以上も上昇。カタール・リヤルのフォワードレートは、今後9ヶ月で3%程度の上昇を折り込んでいる。


一方、アジア通貨高が進み、シンガポールドル、マレーシアリンギ、タイバーツが約10年ぶり高値に上昇。タイ政府は資本規制を廃止する見込みで、シンガポール通貨庁はSGDの上昇を抑えるために介入を継続しているとの観測が流れ、ミッドポイントを変更するとのウワサも流れている。


海外市場では、ドル資金調達が可能な投機筋が、FRBの積極的な利下げと資金供給により、安いドル資金を調達し、ドル売り→他通貨買いのドルキャリートレードが増加し、ドル売りに拍車をかけているとの記事も見られた。


今週は、スイスフランと円の動向が注目され、特にドル円が注目される。ユーロドルが1.5台に上昇したことで、輸出の減少=景気鈍化に拍車がかかるか可能性もあり、既に経済界やフランス政府からは,ECBにユーロ高是正を求める声が聞こえる。仮に主要通貨でドル売りからドル買いに変わったとしても、ドル円の上昇力は、金利差縮小により以前ほど強まることは予想できず、クロスでは円高傾向が進む可能性や、株価下落=円高、株価上昇=円安と、相変わらずの株価連動の為替相場が続く可能性も強い。


今週は主要国の政策金利の発表が多く、カナダは利下げ、オーストラリアは利上げに見通しに、クロスではAUDCADが直前まで投機の対象となりやすい。イングランド銀行は最近までの利下げ観測は弱まり、金利据え置きに変わりポンド買いの流れを作っているが、年内では5.25%→4.75%の引き下げ見通しが強く、欧州中銀は目先の利下げ観測は極めて少ないものの、4.0%→3.25%までの引き下げ予想は相変わらずで、不透明なFRBは別として、これらの通貨は利下げの可能性が極めて低い円やスイスに対しては弱含む可能性が高い。


主要通貨を比較:
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると:
各通貨で非常に激しい変動となり、株価は急落しているわけでないが、将来の金融不安が続くとの思惑なのか、CHFの歴史的最高値を更新しているUSDCHF(-4.09%)を筆頭に、USDJPY(-3.16%)と激しく下落(通貨高)、商品価格やエネルギー価格が最高値を更新して上昇しているのに、コモディテー通貨のAUDUSD(0.71%)と上昇幅は少なく、USDCAD(-2.46%)は景気鈍化と利下げ観測に、他に比べたら上昇幅は鈍く、NZDUSD(-1.30%)は利上げ観測が弱まり値を下げた。NYダウ=12266.39(12381.02)、日経平均=13603.02(13500.46)、CRB=412.73(398.68)、原油=101.72(98.81)、金=973.1(947.8)


USDJPY OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 107.83 108.37 106.71 107.14 -0.66 -0.61% 1.66
29-Feb-08 107.31 108.22 103.70 103.75 -3.39 -3.16% 4.52


EURUSD OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 1.4678 1.4863 1.4611 1.4830 1.480 1.01% 2.52
29-Feb-08 1.4837 1.5240 1.4778 1.5180 3.500 2.36% 4.62


USDCHF OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 1.0933 1.1048 1.0835 1.0853 -0.790 -0.72% 2.13
29-Feb-08 1.0850 1.0930 1.0403 1.0409 -4.440 -4.09% 5.27


GBPUSD OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 1.9571 1.9709 1.9363 1.9672 0.590 0.30% 3.46
29-Feb-08 1.9692 1.9972 1.9615 1.9890 2.180 1.11% 3.57


AUDUSD OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 0.9081 0.9249 0.9068 0.9240 1.510 1.66% 1.81
29-Feb-08 0.9238 0.9496 0.9215 0.9306 0.66 0.71% 2.81


USDCAD OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 1.0092 1.0197 1.0018 1.0125 0.590 0.59% 1.79
29-Feb-08 1.0127 1.0129 0.9710 0.9876 -2.49 -2.46% 4.19


NZDUSD OPN HI LW CLS  前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 0.7898 0.8102 0.7894 0.8090 1.910 2.42% 2.08
29-Feb-08 0.8076 0.8214 0.7970 0.7985 -1.05 -1.30% 2.44


円クロスを比較:
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると:
激しい円高が進んでいる。流石にCHF史上最高値を更新しているUSDCHFの影響に、CHFJPYが唯一上昇しているが、それ以外では本邦資本筋の売りが激しかった、NZDJPY(-4.36%)の下げ幅は大きく、GBPJPYやAUDJPYの下げも目立ち、コモディテー通貨は円に対しても弱含みの推移となった。


AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 97.90 99.54 97.76 98.92 0.940 0.96% 1.78
29-Feb-08 99.13 100.51 96.47 96.54 -2.38 -2.41% 4.04


GBPJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
15-Feb-08 208.83 213.86 206.78 211.37 2.530 1.21% 7.08
29-Feb-08 211.30 213.38 205.95 206.32 -4.42 -2.10% 7.43


CADJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 106.81 107.56 104.99 105.74 -1.290 -1.21% 2.57
29-Feb-08 105.92 109.61 104.80 104.96 -0.78 -0.74% 4.81


EURJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 158.30 159.60 157.70 158.88 0.600 0.38% 1.90
29-Feb-08 159.24 161.43 157.46 157.49 -1.39 -0.87% 3.97


AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 97.90 99.54 97.76 98.92 0.940 0.96% 1.78
29-Feb-08 99.13 100.51 96.47 96.54 -2.38 -2.41% 4.04


CHFJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 98.59 98.87 97.91 98.72 0.150 0.15% 0.96
29-Feb-08 98.86 100.51 98.54 99.60 0.88 0.89% 1.97


NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
22-Feb-08 85.16 86.88 85.08 86.61 1.450 1.70% 1.80
29-Feb-08 86.66 88.09 82.79 82.83 -3.78 -4.36% 5.30


IMM通貨先物:
公表値を比較して見ると:
先週の前半時点での数字だけに、JPYとCHFのロングはまだ少なく、AUDとNZD以外ではロングポジションが増加し、ドルの先安感が強まっていた。特にEUR・CADのロングの増加が目だし、先安センチメントが強かったGBPもネットロングに変化していた。週後半にはEUR・CHF・JPYの上昇に、ロングポジションが拡大したことが予想される。


JPY Long Short Net
19-Feb-08 80,805 30,361 50,444
26-Feb-08    70,188 35,899 34,289


EUR Long Short Net
19-Feb-08 60,926 46,196 14,730
26-Feb-08 75,598 43,820 31,778


GBP Long Short Net
19-Feb-08 25,606 37,763 -12,157
26-Feb-08 30,642 27,005 3,637


CHF Long Short Net
19-Feb-08 23,979 22,992 987
26-Feb-08 32,085 23,313 8,772


CAD Long Short Net
19-Feb-08 33,387 21,440 11,947
26-Feb-08 50,323 24,139 26,184


AUD Long Short Net
19-Feb-08 58,464 18,044 40,420
26-Feb-08 57,201 20,357 36,844


NZD Long Short Net
19-Feb-08 16,735 1,608 15,127
26-Feb-08 16,954 1,421 15,533


今後の金利予想は:
国  予定日 現行政策金利 予想          
USD 3月18日 3.0%  0.25%利下げ~据置きを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR 3月 6日 4.0%  金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 3月 6日 5.25%  金利据え置きを予想(Base Rate)
JPY 3月 7日 0.50%  金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 3月 4日 7.0%  0.25%の利上げを予想(Cash Rate)
NZD 3月 5日 8.25%  金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF 3月13日 2.75%  金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 3月 4日 4.0%  0.25%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 3月13日 5.25%  0.25%の利上げを予想 (Sight deposit)
SEK 4月23日 4.25%  金利据え置きを予想 (Repo rate)


経済指標では、非常に重要な経済指標が多く、雇用・インフレ・住宅・成長関連が注目され、メインイベントは、7日の米雇用統計と各国の政策金利の発表である。
米雇用統計の非農業部門雇用者数は、今回も予想25,000人を大幅に下回ることがあれば、金利引き下げ予想が減少している3月18日のFOMCで、再び利下げ観測が台頭しドル売りの流れが加速しやすくなる。また、5日の米地区連銀経済報告では米経済の全体的な状況を把握でき、注目されている。


金融政策では、4日=オーストラリア中銀(予想0.25%引き上げ=7.25%)、カナダ中銀(予想0.5%引き下げ→3.50%)、6日=NZ中銀(予想8.25%据置き)、イングランド銀行(予想5.25%据置き)、欧州中銀(予想4.0%据置き)、7日=日本銀行(予想0.5%据置き)となっているが、予想外の結果に為替変動が大きくなることが予想される。


GDPでは、3日=カナダ、4日=スイス、ユーロ、5日=オーストラリア。
住宅関連では、4~7日=英HIBOS、6日=オーストラリア住宅建設許可、カナダ住宅建設許可、米中古住宅。
CPI・PPIでは、3日=ユーロCPI、4日=カナダCPI、ユーロPPI。
雇用関連では、5日=米企業人員削減数、ADP全国雇用者数。
その他では、3日=米ISM製造業景況指数、4日=オーストラリア小売売上高、バーナンキFRB議長の講演、5日=ユーロ小売売上高、米ISM非製造業景況指数、6日=米新規失業保険申請件数、7日=カナダ失業率、米雇用統計。


●ドル円
ドル円は、3月の本邦決算期末による特殊要因のリパトリの円買い、円安を見越したオプション勢の巻き戻し、実需筋のドル売り予約の遅れ等、理由を捜せば沢山あるが、日米間の金利差縮小もその要因の一つであることは間違いが無い。最近の世界的な株価低迷も円にとってはプラス材料で、100円を割る大相場を予想する向きが少ないことも、円ロングが溜まりにくいことになり、逆の意味で気になる。


ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドの中間地点の持ち合いから、レンジの下限を割り込み下落が続いている。上値のポイントは、104.96円、105.55円、106.15~28円、107.77円。下値のポイントは、103.70円、102.61円、99.70円、98.91円。RSIは33とトレンドのある下落が続き、トレンドモメンタムは売りを継続している。103.70円近辺はMonthlyの長期下値サポートラインに当り、非常に重要である。全てに渡りドル売りサインが続き、この水準を割り込むと、102.61円、そして、2005年1月17日の101.67円がターゲットになる。逆にこの水準を維持できれば、105.55円までの戻り局面が予想できるが、それでも下値のリスクは続く。Daily=売り、Weekly=売り、Monthly=売り。


●ユーロドル
ユーロドルは、FRBの相次ぐ利下げに何れ米国経済が立ち直り、インフレを恐れ利下げできないでいる欧州や英国の景気が悪化し、ドル高へ動くと予想するコメントも相変わらず多い。しかし、米国の立ち直りを示す材料はと乏しく、バーナンキFRB議長の議会証言でも、弱気な発言もあり、景気先行指標はリセッションを示していることで、流石のユーロドルも1.500を底値に、何処まで上昇できるか試すことが予想できる。しかし、欧州の経済成長率の鈍化が予想され、急騰する可能性も低い。


ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続き、ラインの中間から上限近くで取引が続いている。上値のポイントは、1.5261、1.5302、1.5394。下値のポイントは、1.5012~29、1.4966、1.4949、1.4882。RSIは67と緩やかな上昇が続きトレンドのある買いとなっており、トレンドモメンタムは売りから買いに変化している。トータルの判断は、昨年11月から続いた1.44~1.50の長い揉み合いを上抜けした事で、ユーロ高の傾向は変わらず。1.5302をクリアに上抜ける上昇が加速するが、上昇ラインの上限に位置し、1.500~1.5261のレンジで取引が続く可能性も残る。Daily=買い、Weekly=買い、Monthly=買い


●ポンド円
ポンド円は、3月のECB利下観測も薄れ、ドル円の下落傾向を意識しながらも、ポンドドルが1.9350~2.000のレンジでトリプルボトム、トリプルトップとなり、いずれの方向でも抜けたら値動きが加速することが予想される。ポンド円は売り傾向が続き、目先はこの流れに乗りたいが、ポンドドルが上抜けしたら、売りポジションは手仕舞い、買いも選択肢。


ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドの中間から下限で取引され、目先は204.50~214.50円のレンジで取引されている。上値のポイントは、207.50円、209.46円、212.72円、214.40円。下値のポイントは、円、208.08円、205.56円、205.08~29円、204.60円。RSIは32と下降ラインが続き、トレンドモメンタムは売りを継続している。トータルの判断は、売りだが、204.50~60円を割り込むまでは、積極的に売り込むことも難しい。売りポジションを維持しながらも、204.50~214.50円レンジを抜け出した方向に動きやすくなっている。Daily=売り、Weekly=売り、Monthly=売り。