2008年3月12日 11日の海外為替市場

中銀5行が協調して新流動性供給の実施、FRBは最大2000億ドルの財務省証券の貸出を決定、今後はこの規模を拡大する可能性もあるという。NYダウは+416.66ドルで終了、ドル全面高+円安となった。


アジア市場は、WSJ紙が「Will Fed Try Something New to Aid Markets? 」との記事で、特別な金融対策が発表されるとの期待に日経平均株価は上昇し、狭いレンジで取引が続いた。


欧州市場では、独ZEW景況感調査が予想より強く、ウェーバー独連銀総裁の「インフレ圧力が強く、利下げ余地はない」との発言にユーロ高が進み、最高値更新、EURUSD=1.5400→一時1.5496まで上昇。


そして、米貿易収支の赤字額は予想より少なく、カウンターで、FRB、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中銀、スイス銀行の5中銀による協調して、流動性供給を実施し、ドル買い戻しが強まる。欧州・米国市場を通じて、クレジットリスクが弱まるとの期待感に米国株高が進み、GBPUSD=2.0211→一時1.9995、EURUSD=1.5495→一時1.5282、USDJPY=102.09円→103.60円。


●ドル円
アジア市場のドル円は101.74円で取引が始まり、朝方一時101.42円まで値を下げたが、7日の安値101.40円近辺ではドル買いが厚く、WSJ紙が「Will Fed Try Something New to Aid Markets? 」と、何かがあるのではとの思惑が強く、日経平均株価も上昇し、101.60~85円のレンジから102.17円まで上昇した。欧州市場は102.03円で取引が始まり、102円台の実需筋の売りに上値は重く、101.91円まで一時値を下げたが、ユーロ円の買いに底堅く102.33円まで上昇した。米貿易収支が予想より良く、中銀5行が協調して新流動性供給の実施が発表されると、102.08円→102.80円超えのストップロスを巻き込み→103.24円まで急騰、103円台での実需筋の売りに一時102.73円まで値を下げたが、米国株の大幅上昇に、円ロングの巻き戻しが強く、ロンドンフィキシングでは103.53円まで続伸となった。103.50円近辺ではオプション勢の売りに上値は重く、102.72円まで再び値を下げたが、クレジットリスクが弱まるとの思惑が強く、NYダウが400ドル超の上昇に円売りが続き、103.60円まで上昇、06:00時では103.43円で取引されている。


●ユーロドル
アジア市場のユーロドルは1.5342で取引が始まり、朝方1.5370まで上昇したが、アジア勢の売りに1.5335まで下落、ほぼ1日中このレンジで揉み合いが続いた。欧州市場は1.5343で取引が始まり、ストップロスを狙った東欧勢の買いに前日の高値1.5410を試し1.5413まで上昇、予想を上回る独・ユーロ圏のZEW景況感調査に、ストップロスの買いを誘発し1.5496まで続伸となった。ウェーバー独連銀総裁の「インフレ圧力が強く、利下げ余地はない」との発言に底堅く、1.5465~85のレンジで売り買いが交錯したが、米貿易収支が予想より良く、中銀5行が協調して新流動性供給の実施が発表されると、1.5465→1.5333まで急落した。一時1.5395まで値を戻したが、米国株の急上昇に米金融不安が薄らぐとの期待感にドル全面高となり、ロシア勢など投機的な売りも加わり、ロンドンフィキシングでは前日安値1.5312を割り込み1.5282まで続落、ポジション調整の買いに1.5353まで値を戻し、06:00時では1.5335で取引されている。


●ユーロ円
アジア市場のユーロ円は156.10円で取引が始まり、NYダウの下落=円高期待と、ストップロスの売りに朝方に155.59円まで下落したが、WSJ紙の観測記事に米国の追加金融対策期待が強く、日経平均株価の上昇に156.73円まで上昇、欧州勢の買いに156.90円まで続伸となった。欧州市場は156.55円で取引が始まり、156.95円まで上昇、一時156.58円まで値を下げたが、堅調な欧州株と投機筋の買いが続き、予想を上回る独・ユーロ圏のZEW景況感調査に、前日の高値157.58円を超え158.27円まで上昇した。ECBフィキシングで157.82円まで値を下げたが、中銀5行が協調した新流動性供給の実施に、直後に158.95円まで上昇、ユーロドルの下落に上値も重く157.63円まで下落、NYダウが400ドル超の上昇に円売りも強く、終盤にかけては158.70円まで上昇、06:00時では158.61円で取引されている。


●主な経済指標の結果
09:30 豪 1月の住宅融資=2.3%(予想0.5% 前回0.4←0.1%)、 投資住宅金融=8.3%(前回-3.0%)
09:01 英 2月のBRC小売売上=前年同月比1.5%(前回2.6%)、全店ベース前年比3.9%(前回4.9%)
16:00 独 2月の生産者物価指数(PPI)=前月比-0.2%(予想0.6% 前回1.4%)、 前年比6.0%(予想6.8% 前回6.6%)
18:30 スウェーデン 消費者物価指数(CPI)=前月比0.4%(予想0.4% 前回-0.8%) 前年比3.1%(予想3.2% 前回3.2%)、CPIX=前月比0.4%(予想0.4% 前回-0.8%)、前年比2.0%(予想2.2% 前回2.1%)
19:00 ユーロ 3月ZEW景況感調査=-35.0(予想-42.0 前回-41.4)
19:00 独 3月のZEW景況感調査=-32(予想-40.0 前回-39.5)、現況指数=32.1(予想30.4 前回33.7)
21:30 米 1月の貿易収支=-582億ドル(予想-597億ドル 前回-578.6←-587.6億ドル)
21:30 カナダ 1月の貿易収支=32.6億ドル(予想26カナダドル 前回22.92←23.5億カナダドル)、輸出=379.78億ドル(前回366.68←367億カナダドル)、輸入=347.18億ドル(前回343.76←343.5億カナダドル)
21:30 カナダ 1月の新築住宅価格指数=前月比0.6%(予想0.3% 前回0.1%)
英 1月の英政府発表住宅価格=前年比8.0%(12月8.4%)、ロンドン住宅価格=前年比13.8%(前回12.2%)
英 12-2月の住宅価格指数=-64.1(予想-55 前回-54.8)→ 90年来の低水準


●昨日の主な発言その他
◎クロズナー理事=流動性圧力が資本に与える影響を精査すべき。金融機関幹部はサブプライムローン市場のリスクを十分に認識していなかった。現在の金融の混乱は、健全なリスク管理の基盤を適切なものにすることの重要性を浮き彫りにした。
◎ポールソン米財務長官=金融保証会社(モノライン)の資本増強で進展が見られる。米経済の長期的ファンダメンタルズは健全。住宅市場が低迷から脱却するには時間がかかる。
◎イングランド銀行=が3カ月物長期オペを3・4月に実施、18日に100億ポンド入札
◎カナダ銀行(中央銀行)=3・4月に総額40億カナダドルの流動性供給。
"◎FRBの新たな流動性対策に関する声明
①2007年12月に協調策を講じてから、主要国中央銀行(G10)は、資金調達市場における流動性圧力に対して、引き続き協力し定期的に協議してきた。一部市場における圧力は最近再び高まった。流動性圧力に対処するため引き続き協力し適切な策を講じる。
②この目的に向け、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)およびスイス国立銀行は特別策を発表した。
③FRBは、証券貸出制度の拡充を発表した。新たなターム・セキュリティーズ・レンディング・ファシリティ(TSLF=ターム証券貸出制度)でプライマリーディーラーに対し、最大2000億ドルの財務省証券を(既存制度のオーバーナイトではなく)期間28日で貸し出す。受け入れ担保は、政府機関債、政府系期間発行の住宅ローン担保証券(RMBS)、民間発行のトリプルA格RMBSを含む。
④連邦公開市場委員会(FOMC)は、ECBとスイス国立銀行との既存の一時的相互為替協定(スワップライン)を拡大することを承認した。これにより、ECBに最大300億ドル、スイス国立銀行に対して最大60億ドルのドル資金を供給は、従来に比べ20億ドル引き上げ100億ドルとした。FOMCは、スワップ協定を2008年9月30日まで延長する。
⑤11日発表された措置は、FRBが7日に発表したターム物入札額を1000億ドルに拡大し、累計1000億ドル規模のターム物レポを実施する方策を補完する。"
◎FRB、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中銀、スイス銀行の5中銀による協調して、流動性供給を実施。
◎米FRB=追加流動性対策を発表。証券貸し出しは、週間入札で3月27日から実施。FOMC、ECBおよびスイス中銀とのスワップ協定の拡大を認可。
◎キミット米財務副長官=米国は人民元の柔軟化を目指した中国の動きを認識しているが、世界の貿易や投資の不均衡を是正するためには人民元をさらに著しく上昇させる必要がある。
◎シティグループ・レバレッジの高い6つの地方債ファンドに10億ドルを注入(NYタイムズ)。


欧州・英国
◎アルムニア欧州委員=為替相場は非常にボラタイル。
◎スイス国立銀行(中央銀行)=ドル資金供給を再開すると発表し供給額は最大60億ドル。声明では、必要と判断される限りドル流動性供給を継続する方針
◎コンスタンシオ・ポルトガル中銀総裁=ユーロ圏金利はインフレリスクを十分に抑制している。
◎バユク・スロベニア財務相=為替レートは経済の実体を反映すべき。為替レートが経済の主要な特性を反映するように努力する。
◎ウェーバー独連銀総裁=インフレ圧力が強く、利下げ余地はない。石油価格の上昇はかなり大きく、食品価格とともにインフレを押し上げている。 国内インフレの推移は、ユーロ圏全体の高水準のインフレ動向と非常に類似している。
◎ECB=期間28日・最大150億ドルのドル資金入札を実施。
◎グロス独経済技術相=ユーロ高は明らかにドイツ経済の一部セクターに悪影響を及ぼしているが、短期的には懸念すべき理由はない。2008年のドイツ経済成長率見通しである1.8%を修正する理由はない


日本・その他
◎大田経済財政担当相=先行きの下振れリスク高まっているので早めに対応。成長力強化策では新たな財政出動・需要積み増しは伴わない。米経済は減速感が強まっている、景気後退につながるかは指標見つつ判断。米経済減速が日本に及ぼす影響の大きさは予見できず、注意して見ていく。経済全体は難しい位置に差し掛かっている、空白を作らないでほしい。首相が4月早々の成長力強化実施策取りまとめを指示。