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世界資源戦争18 新興産油国・石油企業の躍進 中国石油企業の油田・ガス田開発

中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区にある中国石油天然気集団公司(CNPC) 傘下の独山子石油化工分公司(独山子製油所)とカザフスタンの北カスピ堆積盆地を結ぶ総延長約3000キロに及ぶ「中国-カザフスタン石油パイプライン」が2005年、両国が30億ドルを共同出資して完成した。


ここに至るまで中国は約10年前から布石を打ってきた。CNPCは1996年にカザフスタン国営石油企業の株式60%を取得し、油田の権益を手に入れた。株式取得は国際入札で行われたが、欧米石油メジャーを抑えてCNPCが落札できた理由は、カザフスタン政府に対し、「中国-カザフスタン石油パイプライン」の建設を約束し、カザフスタンがそこに大きな利益を見出したからだ。カザフスタンからすれば、ロシア経由以外の輸出ルートを持つことができ、販路が広がったことになる。


CNPCはその後も2005年に、カナダに本社を置くペトロカザフスタン社を41.8億ドルで買収するなど、カザフスタンのガス田や油田権益を取得していった。この買収をロシアの石油大手ルクオイルが阻止しようとしたが、カナダの裁判所は訴えを却下した。ここでもCNPCは勝利をおさめたといえよう。


中国にとっての最大のメリットは、本パイプラインの最終の供給地である蘭州市や重慶市、鄭州市など内陸部に低コストで石油を輸送できることだ。これらの内陸部はインフラ整備が進んでいなかったため、国内周辺油田からの原油はこれまで鉄道やトラックで運ばれていた。それによって他の地域に比べ輸送コストが割高となっていた。人口320万人の蘭州市は、石油・鉄鋼が盛んな工業都市。大気汚染で知られる重慶市は自動車産業と軍事設備生産の拠点。人口は3144万人。人口698万人の鄭州市は新都市建設が進む古都。内陸部のこれらの都市だけで約4162万人もの人口があること自体驚きである。それは同時に石油を大量に消費していることを物語っている。


中国は大量に石油を使いながら、足元で油田・ガス田の開発投資を行っている。その結果、生産量とともに埋蔵量も増加している。1996年から2005年までのアジア太平洋における主要産油ガス国の発見埋蔵量は、中国が圧倒的に多い。2位オーストラリア、3位インドネシアと続くが、豪州の倍以上の発見埋蔵量だ。中国で発見埋蔵量が増えている理由は、試掘井削数が多いからである。本来、消費すれば埋蔵量は減るものだが、大型油田・ガス田を発見していけば、一気に埋蔵量は増える。


中国では2005年から2007年にかけて、渤海の極浅海域で「ナンプー油田」、内陸の四川盆地で「ロンガンガス田」など大型の油田・ガス田が発見されている。CNPCは渤海「ナンプー油田」の原油の予想埋蔵量を14億7600万バレル、天然ガスの埋蔵量を1401億立方メートルと発表した。中国では1990年代後半以降、既存の油田(重慶、勝利、遼河)の生産量の減退が顕著になっていた。増加しているのは、西部地域のジュンガル盆地、タリム盆地、オルドス盆地などだ。天然ガスは四川盆地が最大の生産地である。


中国政府は陸上における外国企業と石油契約を締結する権利をCNPCの民間子会社である中国石油天然気(ペトロチャイナ)と、中国石油化工集団公司(Sinopec Group)の民間子会社である中国石油化工(Sinopec Core)だけに与えている。中国海洋では主に「中国海洋石油」(CNOOC Ltd)が、原油・ガス田の探鉱・開発事業を行っている。その海洋における原油生産量は渤海を中心に伸びており、2006年には中国生産量全体の約15%に達したという。中国は陸上だけでなく、海洋の開発にも力を入れてきた。


まだ記憶に新しい事件だが、2004年3月、日本の固有領土である尖閣諸島に、中国人7人が上陸するという事件が発生した。明らかに不法滞在である。尖閣諸島周辺を含む東シナ海一帯には、豊富なガス・石油資源が存在していると見られている。中国が調査船を日本海まで派遣してくる目的はいろいろあるのだろうが、ひとつには原油・ガス田の探鉱・開発事業の視察であろう。中国は大型油ガス田の発見に血眼になっているようだ。


By Master K/益田 慶