先週は、世界的な金融不安が続き、ヘッジファンド、金融機関破綻の記事やウワサが流れ、11日には米・カナダ・欧州・英国・スイスの欧米5中銀が、12月12日に続く新たな資金供給策を発表し、欧米の株価は大幅に値を戻し、一時ドル高期待感が強まった。
しかし、翌日には米国株は下落、為替市場では18日のFOMCで1.0%の大幅利下げ観測が広まりドルは反落、複数のヘッジファンドのクローズや破綻、住宅関連会社の危機が表明化し、米ベア・スターンズがFRBから緊急融資を受けるとの発表に、ドルの下落幅は拡大した。
今週末はイースターで休場となる市場が多い。20日(木曜日)には日本、21日(金曜日)には日本を除く海外主要市場は金曜日休場となり、来週24日(月曜)も多くの海外市場が休場となり、為替相場や他の取引もその影響は避けられない。例年であればポジション調整による逆の流れが見られることが多い。
これを当てはめれば、ドルの買い戻しや、円の売り戻しが考えられるが、今年の相場は過去にも稀な、米国発の激しい金融不安が他の主要国にも広まり、インフレと景気鈍化が見られ、ドル(米国)の信任が激しく低下、ドルの底値と円の高値が全く見えない状態で、調整によるドル買いも弱く、米国株価次第では、更なるドル売りも覚悟しなければならない。
新聞紙上ではUSDJPYは90円とか80円が目標との意見もあるが、1995年4月の歴史的な79.75円の当時は日本国内の要因と米国のドル安政策により激しい円高となったが、今回は日本国内の要因による円高は古典的な経常収支の黒字以外に全く無く、もっぱら、米国経済の信任の低下とドル安で非常に値が深い。
結果としてはドルの底値は見えない。EURは長期的なポジションのロングは最適なのであろうが、短期では上昇のスピードは鈍く、テクニカルにもユーロの調整売りの支持者が多い。投機的な資金が激しく縮小し、円は経常収支の黒字額が重要視され、クレジットリスクに強い言う意味では、JPYとCHFの上昇が続き、特に、クロスでは円高が続く可能性が高くなっていr。
注目点は、
◎世界的な株価の下落が続き、商品市況は上昇を続けていること→ 米国の激しい利下げとのギャップが強まりドルの信認は低下。
◎18日のFOMCで0.75~1.0%の政策金利(FFレート)の引き下げの可能性が高い→ 金融不安解消できればドルプラス材料だが、結果がでるまでは、他国との金利差縮小(または拡大)によりドル売りの材料にされやすい。
◎ベア・スターンがJPモルガンを通じてFRBから緊急融資の救済を受け、米政府がなんらの方法で住宅関連の不良債権を買い取る可能性があること→ 金融不安解消ともなればドル買いの好材料となるが、市場の評価はまだその可能性が薄いと判断している。
◎欧州連合(EU)が首脳会議後に、異例のユーロ高懸念を表明、米当局と協議をすること→ 最高値を更新中のEURUSDだが、1.57台に入るとテクニカル的にも重要で、ユーロ高懸発言の口先介入に調整局面も考えたい、結果クロスでは円高に動きやすい。
◎世界経済の不均衡を是正するには、多額の経常赤字を抱える国の通貨の下落が必要(ギーブBOE副総裁発言)なこと→ドル下落の必然性。
◎一部中銀でドルの外貨準備の削減を示唆していること→ ドル売り材料、ユーロ買い材料。
◎湾岸協力会議で、通貨切り上げの動きがあり、中東のドル売りが増え、サウジアラビアのドル売りのウワサが続いていること→ ドル売りが続く可能性。
◎それに、心理的に気味が悪い、USDJPY=100、USDCHF=1.0、USDCAD=1.0、金=1000、原油=100→ 不思議!
今週のメインイベントはなんと言っても、18日のFOMC金融政策の発表で、市場のコンセンサスでは0.75%~1.0%の利下げを織り込み、FFレートは現行の3.0%→2.0~2.25%に引下げられる可能性が高くなっている。そうでなくても、現在の日米3ヶ月国債利回りは、米1.17%、日本0.56%と、限りなく0.5の金利差に近づき、円のキャリートレードなど、とんでもない状態となっている。
主要通貨を比較:
Weeklyベースの比較で、終値を比較してみると:
ドル全面安、大幅なドル安となっている。USDJPY=3.54%、USDCHF=-2.58%、NZDUSD=2.47%の下落幅が大きく、サブプライム住宅関連ローンから始まり、クレジット市場の混乱により安全資産と思われるJPYとCHFや、高金利通貨NZDの上昇が強く、ドル下げ相場が強い中で、GBPとCADは小幅なドル安に止まり、この傾向が続きそうである。CRBインデックス=416.40(前週411.65)と上昇傾向が続き、原油=108.60(前週105.31)、金=1002.50(972.60)、%インデックス=71.656(前週71.656)と全てが歴史的な水準を超えている。
USDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 103.60 104.20 101.40 102.67 -1.08 -1.04% 2.80
14-Mar-08 102.51 103.60 98.89 99.04 -3.63 -3.54% 4.71
EURUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 1.5194 1.5465 1.5145 1.5358 1.780 1.17% 3.20
14-Mar-08 1.5361 1.5690 1.5282 1.5674 3.160 2.06% 4.08
USDCHF OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
014-Mar-08
7-Mar-08 1.0396 1.0457 1.0134 1.0251 -1.580 -1.52% 3.23
14-Mar-08 1.0231 1.0355 0.9971 0.9987 -2.640 -2.58% 3.84
GBPUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レン
07-Mar-08 1.9887 2.0211 1.9724 2.0134 2.440 1.23% 4.87
14-Mar-08 2.0146 2.0393 1.9995 2.0204 0.700 0.35% 3.98
AUDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 0.9329 0.9420 0.9216 0.9265 -0.41 -0.44% 2.04
14-Mar-08 0.9265 0.9471 0.9149 0.9371 1.06 1.14% 3.22
USDCAD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 0.9854 0.9975 0.9740 0.9906 0.30 0.30% 2.35
14-Mar-08 0.9899 0.9981 0.9796 0.9892 -0.14 -0.14% 1.85
NZDUSD OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 0.8000 0.8082 0.7906 0.7936 -0.49 -0.61% 1.76
14-Mar-08 0.7932 0.8213 0.7874 0.8132 1.96 2.47% 3.39
円クロスを比較:
円全面高、それも大幅な円高となっている。ドルに対し下落率の低い通貨で円高が進み、CADJPY=-3.33%、GBPJPY=-3.17%の円高となり、CHFJPY、NZDJPYは比較的小幅な下落に止まっている。日経平均株価=12241.60(前週比-541.20)、NYダウ=11951.09(前週比+57.40)、独DAX=6451.90(前週比=-62.09)、英FTSE=5631.770(-68.20)と、日本株の下落が激しく、NYダウは以外にも前週と同じような水準に止まっていた。ドル安=株安の方程式は、日本・アジア市場に比例しているようにも思われる。
AUDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 96.66 97.55 94.59 95.10 -1.44 -1.49% 2.96
14-Mar-08 94.99 96.14 92.71 92.85 -2.25 -2.37% 3.43
GBPJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 206.02 207.96 203.45 206.70 0.38 0.18% 4.51
14-Mar-08 206.51 207.97 199.88 200.14 -6.56 -3.17% 8.09
CADJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 105.08 105.70 103.03 103.58 -1.38 -1.31% 2.67
14-Mar-08 103.50 104.71 99.93 100.13 -3.45 -3.33% 4.78
EURJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 157.41 159.22 155.95 157.68 0.19 0.12% 3.27
14-Mar-08 157.48 159.14 154.86 155.31 -2.37 -1.50% 4.28
CHFJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 99.62 100.58 98.75 100.13 0.53 0.53% 1.83
14-Mar-08 100.18 100.73 98.90 99.27 -0.86 -0.86% 1.83
NZDJPY OPN HI LW CLS 前週比 前週比% 週間レンジ
07-Mar-08 82.87 83.62 80.70 81.46 -1.37 -1.65% 2.92
14-Mar-08 81.30 83.23 79.90 80.59 -0.87 -1.07% 3.33
IMM通貨先物:
公表値を比較して見ると:
ドルと円の変動が激しい週となっていたが、JPYロングは減少し、CHFはロングからショートに変わっており、総じてロングポジションは減少気味で、その後の激しいドル安を予想できなかったことが想像できる。11日には欧米中銀5行が12月12日に続き、資金供給の第2弾を実施し、欧米株価が大幅に上昇した日でもあったが、翌12日には米国株が下落、ドル安となった。
JPY Long Short Net
04-Mar-08 94,654 38,369 56,285
11-Mar-08 86,383 36,230 50,153
EUR Long Short Net
04-Mar-08 73,238 41,228 32,010
11-Mar-08 81,646 52,547 29,099
GBP Long Short Net
04-Mar-08 38,013 22,299 15,714
11-Mar-08 45,149 23,920 21,229
CHF Long Short Net
04-Mar-08 24,647 24,480 167
11-Mar-08 25,646 29,894 -4,248
CAD Long Short Net
04-Mar-08 60,105 23,699 36,406
11-Mar-08 50,353 21,422 28,931
AUD Long Short Net
04-Mar-08 55,808 18,422 37,386
11-Mar-08 47,880 16,188 31,692
NZD Long Short Net
04-Mar-08 14,988 1,357 13,631
11-Mar-08 13,379 983 12,396
今後の金利予想は:
国 予定日 現行政策金利 予想
USD 3月18日 3.0% 0.75%~1.0%の引き下げを予想(Fed Funds Target Rate)
EUR 4月10日 4.0% 金利据え置きを予想(Refi Rate)
GBP 4月10日 5.25% 0.25%の利下げを予想(Base Rate)
JPY 4月 9日 0.50% 金利据え置きを予想(OverNight Call Rate)
AUD 4月 1日 7.25% 金利据え置き~0.25%の利上げを予想(Cash Rate)
NZD 4月24日 8.25% 金利据え置きを予想(Cash Rate)
CHF 6月19日 2.75% 金利据え置きを予想(3 month Libor target)
CAD 4月24日 3.5% 0.5%の利下げを予想(OverNight Rate)
NOK 4月23日 5.25% 金利据え置き~0.25%の利上げを予想 (Sight deposit)
SEK 4月23日 4.25% 金利据え置きを予想 (Repo rate)
今週のメインイベントはなんと言っても、18日のFOMC金融政策の発表で、市場のコンセンサスでは0.75%~1.0%の利下げを織り込み、FFレートは現行の3.0%→2.0~2.25%に引下げられる可能性が高くなっている。そうでなくても、現在の日米3ヶ月国債利回りは、米1.17%、日本0.56%と、限りなく0.5の金利差に近づき、円のキャリートレードなど、とんでもない状態となっている。
今週は、イースター祭日を控えながらも多くの経済指標が発表される。
インフレ指標のCPIやPPIの発表も多く、18日=英CPI、カナダCPI、米PPI、20日=独PPI、スイスPPIなどが発表される。
小売売り上げでは、17日=スイス、20日=英国が予定され、特に英国は過去に相場変動が大きくなっている。
住宅関連では少なく、18日=米住宅着工件数のみとなっているが、非常に重要。
景気先行指標では、17日=NY連銀製造業景気指数、20日=独・ユーロの製造業・サイビス業のPMI、米フィラデルフィア連銀景況指数は注目したい。
その他では、17日=米第4四半期経常収支、米対米証券投資、19日=イングランド銀行MPC議事録(8対1で据置きと予想)。また、17日=ノワイエ仏中銀総裁、ウェーバー独連銀総裁、ユンケル・ユーログループ議長、EU商工会議所で発言、20日=OECDが米国・欧州・日本経済の最新見通しも興味深い。
●ドル円
ドル円は、ヘッジファンドの閉鎖や金融機関の損失の報道が続き、日経平均株価の下落と円高が続いている。金融機関の破綻とリスク資産の圧縮に、ヘッジファンドへの投資資金は劇的に減少し、本邦個人投資家の狂気的な円売りも、ここまでくれば長期投資にスタンスを変え、ポジションも軽減し、アベレージアウトする必要があり、過去の熱狂的な円売りも考え難い。最近は経常収支と円高相場の関連性を指摘するコメントが良く目につく。今週はイースター休暇の週、週初の円高と半ば以降の円売り戻しが定石であるが、戻りが弱いと、急激なドル売り相場へと移りやすい。
ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドが続き、ラインの下限を割り込みドル売りが続いている。上値のポイントは、100.35円、100.90円、102.12円、102.61円、104.16円。下値のポイントは、98.91円、97.38円、94.92円、92.92円。RSIは25と下落傾向が続き、トレンドモメンタムは長い売りを継続している。トータルの判断は、主流なドル売り継続で、97.38円、94.92円が次ターゲットとなるが、目先のターゲット98.91円を達成したこともあり売りポジションは控えめに。Daily=売り、Weekly=売り、Monthly=売り。
●ユーロドル
ユーロドルは、ECBはインフレリスク懸念し続け政策金利の据え置きが続き、為政者からはインフレ抑制となるユーロ高懸念も、意見が分かれるところ発言が多い。独州立銀行の損失拡大、EU首脳会議では異例のユーロ高懸念が示され、欧州中銀の政策を支持しながらも、為替の問題について米当局と協議をするとの事である。状況的にはユーロ高の材料は多く、方向転換するような大きなユーロ安になる可能性は低いが、政治的な思惑に調整局面も意識したい。
ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇トレンドが続き、ラインの上限を超え上昇が続いている。上値のポイントは、1.5734、1.5916、1.6324、1.6909。下値のポイントは、1.5479、1.5351、1.5226、1.5143、1.5003。RSIは72と緩やかな長い上昇が続き、トレンドモメンタムは買いになっている。トータルの判断は、買い継続だが、お先のレンジ相場1.43~1.500の上限を抜け、1.57台が次のターゲットとなっている。これを上抜けすると1.59台まで上昇が加速することになるが、超えられないと、1.5143~1.5226の水準まで調整売りが入りやすい。Daily=買い、Weekly=買い、Monthly=買い
●ポンド円
ポンド円は、GBPUSDが2.04で上値が重くなり、逆にUSDJPYが100円を割り込みドル安になったことで、売りが強く、クレジットリスクが強く意識され、日経平均株価の下落に円高が加速している。今週も株価連動の円相場に変わりは無いが、19日のイングランド銀行MPC議事録で8対1の据置きと予想が崩れと動きやすく、今週はイースター休暇の週で、ポジションの調整による買い戻しがどの程度はいるのかが問題で、逆に弱ければ198.18円、195.62円がターゲットとなる。
ポンド円のWeeklyチャートは、下降とトレンドの下限近くまで下落している。上値のポイントは、204.60円、205.08円、208.28円 211.69円。下値のポイントは、200円、198.18円、197.42円、196.48円、195.62円、191.29円。RSIは25と緩やかな下落が続き、トレンドモメンタムは長く売りが続いている。トータルの判断は、売りで、およそ205円~215円の5円幅レンジの下限を大きく割り込んだことで、下降トレンドの下限198.18円、そして、195円台半ばが次のターゲットとなる。Daily=売り、Weekly=売り、Monthly=売り。