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世界資源戦争 13 新興産油国・石油企業の躍進 ノルウェーと北海油田

石油業界で「世界の3大メジャー」といえば、エクソンモービル(米)、BP(イギリス)、ロイヤル・ダッチ・シェル(オランダ)である。イギリス、アメリカ、オランダとも西側先進国で非OPEC加盟国だ。この3社の次にシェブロン(米)、トタル(フランス)、ENI(イタリア)が続く。欧州では、BPとロイヤル・ダッチ・シェルにトタル(フランス)を加え、「欧州3大メジャー」と呼んでいる。トタルは1924年にフランス石油会社(CFP)として設立し、改名、統合を繰り返して現代に至る。TOTAL、ELFブランドで展開する国際石油資本だ。現在この「欧州3大メジャー」に迫ろうとしているのが、EU非加盟国ノルウェーの国営石油・ガス企業Statoil Hydro (スタトイル・ハイドロ)だ。


ノルウェーはEUのみならずOPECにも加盟していないが、北海油田を有する世界の産油国のひとつだ。北海油田は北海にある油田で、イギリス、ノルウェー、デンマーク、ドイツ、オランダの各経済水域にまたがり、大半の油田はイギリスとノルウェーの経済水域の境界線付近に存在する。1960年にイギリスが開発を開始し、次いでノルウェーが開発に着手した。1970年代のオイルショックを機に飛躍し、1980年中ごろには非OPEC原油の代表的存在となった。北海油田が発展したことでOPECの原油価格決定権が揺らいだと分析するアナリストも多い。イギリス経済水域の油田の採掘権益を持っている大手がBPやロイヤル・ダッチ・シェル。日本企業では三菱商事が英領北海北部の油田群権益を取得している。


一方のノルウェーは2004年、平均日量2,900万バレルの原油を輸出し、世界の原油輸出国の中では、サウジアラビア、ロシアに次いで3番目の大国となった。ノルウェー産原油の上位輸入国はイギリス、オランダ、フランス、ドイツ、アメリカ合衆国なので、日本人にはなじみが薄いが、液化天然ガスを含む原油の総産出量は平均で日量3,000万バレル。ノルウェー政府は少なくともあと50年は石油の産出を続けることを目標にしている。日本企業では出光の関連会社が新規油田の開発権益を取得している。


同国はロシア、カナダについで世界第3位の天然ガス輸出国でもあり、欧州地域への輸出ではロシアについで第2 位である。ノルウェー沖の大陸棚で産出される天然ガスは、ヨーロッパ全体のガス消費量の15%を占めており、その割合は今後さらに増えると予想されている。2005年には、原油と天然ガスの総輸出額が4,330億ノルウェークローネとなり、これはノルウェーの輸出全体のおよそ52%、石油産業のGDPに占める割合は約25%だった。


そんなノルウェーを代表するのが、石油・ガス関連企業だ。ノルウェー最大の企業には近年までスタトイルとアルミの最大手Norsk Hydro(ノルスクハイドロ)社など、政府が最大株主になっている会社が存在した。いわば国営企業だ。スタトイル社はノルウェーの海底石油産業のほか、石油化学、石油精製および石油取引産業で支配的な地位を占めていた。そのスタトイルとノルスクハイドロの石油・ガス事業が統合されて誕生したのが、海洋油田からの原油生産では世界最大の企業「スタトイル・ハイドロ」で、ノルウェー政府が約62%出資する国営企業である。石油・ガス事業を切り離した「ノルスクハイドロ」は組織を「ノルスク」に改称し、アルミ事業に集中している。


いまノルウェーがエネルギー業界で注目を集めている背景には、スタトイル・ハイドロが進めているバレンツ海の石油・天然ガス開発がある。バレンツ海とは北極海の一部で、各国の主張は別にして法律上の領有権は存在しない。バレンツ海にはロシアのガスプロムが開発を進めるガス田があり、350メートルの海底からさらに2キロの深さに世界最大規模の海底ガス田が眠っていると推測されている。開発に拍車をかけたのが地球温暖化である。北極海の氷山が溶けだしたことで船の航路が生まれ、新たな輸送ルートが見えはじめたのだ。こうしてロシア、ノルウェー、イギリス、カナダなどの国が北極圏で資源争奪戦を始めたのである。


By Master K/益田 慶