ヨーロッパの財閥と企業グループ 48 欧州財閥の系譜 ロシア財閥 天然ガス
エネルギー企業が増収増益を続けていることから新富裕層が誕生しているロシア。そのロシアが誇る2大巨大企業といえば、石油企業「ルクオイル」と天然ガスの生産・供給量において世界最大の企業「ガスプロム」です。国営企業ですが、関連グループを含めた新興財閥を築いています。
同社のCEOを務めるのは、1962年生まれのアレクセイ・ミレル。大学で経済学の博士号を取得した秀才で、1991年にサンクトペテル市対外関係委員会に勤務した時の上司に現在のプーチン大統領がいました。その後、サンクトペテルブルク市港湾開発投資局長に任命され、1999年にバルト・パイプライン・システム社の総取締役に就任します。2000年、プーチン大統領によって、中央政府に呼ばれロシア連邦エネルギー省次官に任命、さらに2001年にガスプロム社長に就任しました。これはエネルギー国家統制政策を推進するプーチンの意向であったようです。
一方、同社の取締役会議長(会長)は、大統領府長官を務め、2005年にロシア連邦政府第一副首相に任命されたドミトリー・メドヴェージェフです。1965年9月生まれですから、42歳という若さです。彼はレンニグラード大学法学部から大学院に進学し、私法分野で博士号を取得しています。ソビエト人民代議員機関勤務、大学の非常勤講師を経て、プーチンの顧問を務めるようになります。有能な行政手腕が高く評価され、2008年実施予定のロシア大統領選挙でプーチンの後継者として指名されるのではないかといわれています。
ガスプロムの天然ガスの生産高(採掘量)は、ロシアの88%、全世界の約23%に相当。埋蔵量は、世界の38%を占めると言われています。 ロシアの国家税収の約25%を占め、同社は約60社の子会社と、約30万人の従業員を抱えています。採掘、生産、から供給、販売までを独占しています。
この優良企業ガスプロムの時価総額は、昨年末から今年1月にかけて、BPやロイヤル・ダッチ・シェルを追い抜く勢いで膨張しました。昨年8月、ガスプロムの時価総額は1000億ドル(約11兆円)を超えたばかりであったのに、5ヵ月後の1月には、なんと2倍以上の2168億ドル(約25兆円)に達しました。その時点での時価総額は、以下の順位でした。
1位 エクソンモービル
2位 GE
3位 マイクロソフト
4位 シティグループ
5位 BP
6位 ガスプロム
ガスプロムの時価総額が急激に膨張した理由は、昨年12月23日、ガスプロム株式の外国人保有制限を撤廃する法律にプーチン大統領が署名し、「規制緩和」が進んだことにあります。ガスプロムがロスネフチと共に今後もロシアのエネルギー戦略の中核であり続けることになることは明白です。
ガスプロム株の「規制緩和」に署名したプーチン大統領は、ガスプロムを世界最大のメジャー(国際石油資本)であるエクソンモービルに匹敵するエネルギー企業にしたいと意向しているのでしょう。
そして先月4月28日には遂に世界3位のマイクロソフトの時価総額を追い抜き、時価総額で世界第3位となりました。同日、ガスプロムの時価総額は2700億ドルになり、同日株価を下げたマイクロソフトの時価総額2460億ドルをガスプロムが抜き、ガスプロムは世界3位の企業となったのです。
同日時点での株式時価総額世界トップ4は以下です。
1位 エクソンモービル(3810億ドル)
2位 GE(3580億ドル)
3位 ガスプロム(2700億ドル)
4位 マイクロソフト(2460億ドル)
プーチンが目指しているのは、エクソンモービルに匹敵するロシアンメジャーの誕生です。ロスネフチは今年の夏から秋頃に史上最大規模の株式公開を実施する予定です。仮にですが、ロスネフチの株式公開後に、ガスプロムとロスネフチが合併したら、エクソンモービルを超える時価総額世界最大のエネルギー企業が生まれることになります。
By Master K/益田 慶