ヨーロッパの財閥と企業グループ 41 欧州財閥の系譜 ロシア財閥 インテルロス・グループ
ロシアの新興財閥のひとつ、「インテルロス・グループ」の総帥ウラジーミル・ポターニンは、石油会社「シダンコ」社の役員になったのち、1996年に遂にロシア連邦第1副首相(経済省、独占禁止政策国家委員会、財務省、連邦自然独占調整局、国有財産管理国家委員会を監督する経済問題担当者)に抜擢されます。これはポターニンが1996年の大統領選挙において、エリツィンを支持し、再選に貢献したからだとされています。第1副首相就任にあたって、オネクシム銀行総裁を辞任。同年、国際復興開発銀行(世界銀行)と多国間投資保証期間(MIGA)のロシア側責任者に任命されます(97年4月解任)。続いて「国際金融経済組織およびG7との協力に関するロシア省庁間委員会」議長に任命されました(97年4月解任)。
さらに武力機関(軍隊や治安機関)への資金供給問題を担当する政府委員会の設置が決定され、同委員会を率いることになります。大統領令によって承認された大統領直属納税・予算規律強化臨時非常委員会副議長に就任。1997年4月までロシア石炭生産地社会経済問題省庁間委員会議長も務めました。連邦第1副首相解任後、オネクシム銀行総裁に復帰。1998年、持株会社「インテルロス」の社長就任。現在、金融と産業の両部門で経済人として活躍しています。
新興財閥のひとり、「アルファ・グループ」総帥のミハイル・フリードマンも注目すべき活躍を見せる人物です。フリードマンはユダヤ人で、ロシア・ユダヤ協会副会長を務めている人物です。1989年にコンピュータ関連会社「アルファ・フォト」を設立して実業家のキャリアをスタートさせました。
1990年に「アルファ・キャピタル」設立、1991年に「アルファ銀行」を創設し頭取就任。その後、食品加工事業、セメントや木材、ガラスなどの建設資材会社の持株会社として「アルファ・グループ・コンソーシアム」を設立。2003年にフリードマンは、同グループの石油子会社チュメニ石油の株式の半分を61億5000万ドルでブリティッシュ・ペトローリアムに売却し、一躍脚光をあびます。ロシアで第2位の規模の携帯電話オペレーター、ヴィンペル(VIP)もアルファ・グループのプライベートバンクによって支配されています。
ロマン・アブラモビッチに匹敵する大富豪にまでのぼりつめた新興財閥に「アルミニウム王」オレグ・デリパスカがいます。「ロシア・アルミニウム」社長のデリパスカは1968年生まれ。モスクワ大学物理学部卒業という理系です。彼はアルミニウム関連の仲介会社を設立し、サヤンスク・アルミニウム(サヤン・アルミニウム)の株式を買収し、同社の社長に就任します。その後、原料から最終加工までアルミニウム関連企業を傘下に収め、ロシアの石油最大手「シブネフチ」とともにロシア・アルミニウムを設立し、社長に就任します。
ロシア・アルミニウムは、ロシアで生産されるアルミニウム生産の約70パーセント、世界生産の約12パーセントを占めるとされています。そこでデリパスカは「アルミニウム王」と呼ばれるようになります。
彼は新興財閥のリーダー的存在のロマン・アブラモビッチと協力関係を結び、2001年ロンドンに設立されたミルハウス・キャピタルにロシア・アルミニウム株50パーセントの信託管理を委ねます。さらにグループ統轄のために、資産管理会社バーザブイ・エレメント社を設立。大手保険会社インゴストラフも傘下に置きます。2004年にはアブラモビッチが所有していたロシア・アルミニウム株を買収し、100パーセント掌握するに至ります。
また、ロシア・アルミニウムは、アルミニウムの生産に巨大な電力消費を必要とすることから、同じく新興財閥のアナトリー・チュバイスが支配する「統一エネルギーシステム」(UES)の事業にも参画し、政治力を発揮しつつあります。
By Master K/益田 慶