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FXライフ27 中東・アラブ諸国の通貨 シリアとオマーン

北はトルコ、東はイラク、南はヨルダン、西はレバノン、イスラエルに接するシリア。正式国名はシリア・アラブ共和国だ。通貨はシリア・ポンド(SPY)。この通貨に大きな動きがあったのは2007年のこと。同国の中央銀行総裁は2007年7月に翌月からシリア・ポンド相場の米ドル連動(ペッグ)制度を停止すると表明したのだ。


ドル安の進行でシリア・ポンド相場が下落、輸入価格の上昇がインフレの一因になっていたことが理由であった。中東で米ドル固定制を放棄した国はクウェートに次ぎ二例目となった。シリアはイラン同様、「反米・反イスラエル」の急先鋒として有名な国なので、さもありなんという展開であったが、これを契機に中東諸国のドル離れが加速する可能性はさらに広がったといえよう。


シリアはドル連動を取りやめた後、シリア・ポンドをIMFの特別引き出し権(SDR)の価値を決める通貨バスケットに連動させた。SDR とはIMFが加盟国の既存の準備資産(公的金保有、外貨、IMFのリサーブポジション)を補完するために外貨準備資産として創設したシステムで、1974年に通貨バスケットとして定義された。加盟国の通貨を自由に使用できるという権利を持ち、保有国はSDRを外貨と交換できるようになっている。


今日、バスケットはユーロ、日本円、英ポンド、米ドルで構成されている。シリア・ポンドのバスケットの通貨別構成比率は、2007年7月の時点で米ドル44%、ユーロ34%、英ポンドと日本円がそれぞれ11%。同国の中央銀行総裁はさらにシリアの外貨準備通貨のうち、米ドルの比率を引き下げる可能性を示唆している。おそらく米ドルとユーロの割合を均等にする意向なのだろう。


シリアは政権を握るバアス党の計画経済によって社会主義国体制が取られてきた。主要産業はサービス業、鉱工業、農業。主な外貨獲得源は石油だ。80年代半ばよりデリゾール地区に新たな油田が発見され、1989年に初めて石油純輸出国に転じた。石油の確認埋蔵量は2006年時点で30億バレルだった。経済成長率は2005年度に5.1%だったが、それ以降は下がっているようだ。失業率は10%台を推移し、国内では大きな問題となっている。


課題は社会主義的な不効率な経済だ。原油生産量の減少や第一次産業に依存する体質からの脱皮が求められ、外資導入が必要とされているのだ。そこで2010年まで「社会市場経済」と題した改革を進めることになった。基本は社会主義的な計画経済を維持しながら、民間資本の導入と規制緩和を中心とした現実的な経済政策である。グローバル化が進む世界経済に対処するには、公共部門の再構築、民間企業の活性化、規制緩和の推進が必要だと判断したのだろう。


アラビア半島の東南端に位置するオマーンも中東の産油国のひとつだ。通貨はオマーン・リアル(OMR)。為替レートは、現在ドルペッグ制によりほぼ固定レートに近い状態が続いている。


1964年に石油が発見され、経済を一気に発展させた。石油確認埋蔵量は56億バーレル。天然ガスも産出しており、輸出先は韓国が60%を占めている。輸出品は原油や天然ガスが主で、相手国は中国、韓国、日本、タイなどアジア諸国が多い。輸入相手国はUAE、日本、ドイツ、アメリカなどで、製品は自動車や家電製品が主だ。


オマーンもまた国内経済のグローバル化、民営化を促進し、石油・ガスの収入を足かがりとして製造業の拡大を進めている。その大きな理由は主要油田の産油量が減退していることが挙げられる。2004年には世界的に原油価格が高騰したため、石油・天然ガスが主要輸出品である同国のGDPは大幅に増大し、3.1%を記録したが、石油に代わる収入源の多様化と自国民の雇用対策が求められているのだ。オマーンは隣のUAE同様、外国人労働者の多い国だが、外国人労働者への依存度を減らし、オマーン人の雇用比率を高めるべく、政府はオマーン人化政策を推進しているという。近年はドバイのように観光産業にも力を入れている。


By Master K/益田 慶