2008年2月1日 FX検定 きょうの問題 バイオエタノール
日本の二酸化炭素排出削減がうまくいっていません。京都議定書では、1990年を基準年として、2012年までに6%の削減目標があります。日本は、産業面での削減はそれなりの成果を出し始めていますが、輸送、民間部門での削減が進まず、むしろ増大傾向です。輸送部門の二酸化炭素削減策として国土交通省が提案しているバイオエタノール混合燃料を何というか。
正解 E3
解説 国土交通省は、2012年までにニ酸化炭素の排出量を削減する方策の一つとしてバイオディーゼル燃料の規格を提唱し推進している。植物由来のバイオエタノールを主原料としたバイオディーゼル燃料は、元々植物が光合成によって大気中の二酸化炭素を取り込んでいるので、そこから得られるエネルギーは、トータルの二酸化炭素排出がゼロである。つまり再生可能エネルギーであるといえる。
日本政府は、2003年12月、石油代替で環境にやさしいバイオ燃料を推進する「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定、自動車用燃料としての利用を進めるためのバイオマス化研究を進めている。その結果、2007年からガソリンに3%のバイオエタノールを混合させたE3を供給するシステムを構築し始めた。
E3のアルコール混合率は3%であるが、今後、順次この比率を高めていく予定である。現在はE20などの実証実験も同時に行われている。政府が進めるこの計画にはいくつもの問題がある。政府が進めるこの計画とは別に、石油元売り会社の団体が進める別のプロジェクトが進行しているからである。石油連盟が推進しているバイオ燃料は、ETBEという規格である。
ガソリンにETBEを配合したバイオガソリンの販売を系列ガソリンスタンドを通して行っているのである。ETBEは従来のガソリン燃料と全く同じように供給が可能で、不況、ガソリン価格の高騰に苦しむガソリンスタンドにとっては追加的投資が少なくて済むという利点がある。
ETBEは初めから混合燃料として供給されるため、店頭での作業や機材を必要としないのである。それに対しE3は順次配合比率を高めていく過程にあるもので、混合するための機材、専用タンクなど新規投資を必要とする。経営が苦しいガソリンスタンドにとっては死活問題であり普及のための足かせとなる。
これらの規格が並立しているため、国全体をトータルで考えたとき、二酸化炭素の削減が、どこまで効率的に行えるか疑問が出ている。また、日本の場合は、このバイオ燃料の原料になる植物自体が輸入に頼らざるを得ず、輸送によるコスト、輸送に費やす燃料の二酸化炭素排出を考慮すると効果を上げられないだろうというのが識者の意見である。
これらの燃料シフトはアラブからの原油輸入をアメリカ、オーストラリアなどからの穀物輸入に代替するだけであり、世界の食糧事情を考えると意味がないという意見もある。過去の実績から考えると、バイオ燃料の推進に資金を投入するよりも、クリーンディーゼルの推進、効率的ガソリンエンジンの開発に資金を注ぎ込んだほうが二酸化炭素削減効果、資金効率どちらの観点からも良策であるといえる。
政府、国土交通省の利害関係、利権がどこにあり、なぜ非効率的な規格を推進するのかは不明であるが、単なる税金の無駄使いにすぎないと思われる。民間が推進する規格に税制、法整備などのインセンティブを与えながら誘導するのが国益に適うものと思うが、国土交通省、農水省の予算削減は、国家官僚の利害に反するものようである。