2008年 1月12日 今週の為替戦略
米メドレーは、FRBは緊急ミーティングを開き、1月30日よりも早めに、金利引き下げを実施する可能性があるとのレポートを流した。金融市場の混乱は今年に入っても止むことを知らず、主要国では経済成長の鈍化に株安が続き、原油価格や商品価格の上昇にインフレ懸念続き、底が見えない欧米金融不安が続いている。為替相場はこれらの影響の強弱により、通貨間で非常に異なる値動きが続いている。
1月4日と1月11日を比較してみると:
金融不安+インフレリスクにドル安基調が続き、経済減速の影響を受けながらも、米国等と比較するとまだまし出るとの判断にUSDJPY・EURUSDが横ばいで、住宅市場の低迷の影響にGBPUSDは弱く、米国経済の悪影響をまともに受けUSDCADが弱く、インフレ懸念や商品市場の高騰にAUDUSD・NZDUSDが強く、インフレリスク=金融不安にUSDCHFがやや強い状況となっている。
USDJPY=108.59円→108.84↑(0.25円ドル高円安=0.23%)
EURUSD=1.4743→1.4776↑(33ポイント ユーロ高ドル安=0.22%)
USDCHF=1.1084→1.1014↓(70ポイント ドル安スイス高=0.63%)
GBPUSD=1.9739→1.9566↓(173ポイント ポンド安ドル高=0.88%)
AUDUSD=0.8720→0.8906↑(186ポイント 豪ドル高ドル安=2.13%)
USDCAD=1.0027→1.0188↑(161ポイント カナダドル安ドル高=1.61%)
NZDUSD=0.7660→0.7823↑(163ポイント NZドル高ドル安=2.13%)
Weeklyベースの比較で、円クロスを比較してみると:
円は、GBPJPY・CADJPYで円高が進み、他は円安となる、強弱がはっきりとしてきているのが特徴となった。
GBPJPY=214.35→212.91↓(1.44円 円高ポンド安=0.67%)
CADJPY=108.25→106.73↓(1.52円 円高カナダドル安=1.4%)
EURJPY=160.08→160.80↑(0.72円 円安ユーロ高=0.45%)
AUDJPY=94.67→96.92↑(2.25円 円安豪ドル高=2.38%)
CHFJPY=97.95→98.79↑(0.84円 円安スイスフラン高=0.86%)
NZDJPY=83.18→85.09↑(1.91円 円安NZドル高=2.3%)
直近のポイントを見てみると:
USDJPY=117.22円(11月26日週安値)、GBPUSD=1.9185(2007年3月9日週安値)、EURJPY=159.75円(1月4日週安値)、CADJPY=103.35円(8月17日週安値)で、EURUSD=1.4968(11月23日週高値)を超えることができるのか? GBPJPY=212.87(200週移動平均線)を一時割り込んだものの、終値ベースではほぼ同じ水準に戻して終了、今週はこの水準を割り込み越週することができるのか注目したい。
IMM通貨先物の取引からは、
JPY 12月31→1月8日=+920→+37,473と、円高期待感が強くJPYロングが増加し円高期待が高い。
EUR 12月31→1月8日=+36,655→+51,902と、ロングが増加しユーロ高期待が高い。
GBP 12月31→1月8日=-2,809→-3,262と、ショートが増加しポンド安期待が高い。
CHF 12月31→1月8日=-4,619→-2,171と、ショートが減少しスイス安期待が弱まっている。
CAD 12月31→1月8日=+22,998→+16,424と、ロングが減少しカナダ高期待が弱まっている。
AUD 12月31→1月8日=+18,024→+23,396と、ロングが増加し豪ドル高期待が高まっている。
NZD 12月31→1月8日=+13,965→13,503と、横ばい。
トルシェECB総裁は、インフレリスクの高まりに政策金利の引き上げ・横ばいを示唆し、バーナンキFRB議長は景気低迷に政策金利の引き下げを示唆した。米国は今後数四半期に渡り、リセッションに陥る可能性が高く、GDPは今年第1四半期に1%まで、第2四半期に2%まで低下する可能性が指摘され、他の先進国の中でも金利引き下げを積極的に実施する可能性が高くなっている。今週も金利引き下げが見込まれる通貨を売り、金利据え置きか、引締めが予想される通貨が買われる動きが続きそうである。
米国は1月30日に0.5%引き下げ、3月18日、4月30日にも0.25%の利下げを実施し、政策金利(FFレート)は3.25%まで急速に下げる予想が支配てきとなっている。カナダは1月22日0.25%の引き下げ、英国は2月7日に0.25%引き下げが予想され売り圧力は強い。一方、オーストラリア、NZ、スウェーデン、日本、ユーロ、スイスは金利据え置きが予想されており、買い圧力が続きそうである。
金利据え置きが予想される通貨の中でも、オーストラリア、NZは商品価格に大きく影響を受け、景気鈍化=商品価格下落の可能性も残り、通貨としては売られやすい通貨に分類される可能性も残っているが、これも商品市場次第で商品市況を見ながら取引をする必要がある。
今週は、米金融機関は14日の週から昨年第4四半期の決算発表を予定しており、業績内容により、株価が変動し、為替が変動するリスクは非常に高く、注意が必要である。また、重要な経済指標が多く値動きの荒い展開になる要因が多い。
メインイベントは、17日のバーナンキFRB議長の下院予算委員会で「米経済の短期的見通し」について証言する。また、30日のFOMCで0.5%の利下げ予想が増加する中で、16日の米地区連銀経済報告(ベージュブック) はその確認の意味で重要となる。
住宅関連の指標に相場が大きく動くことが多く、15日=英RICS住宅価格バランス、16日=豪住宅貸出、17日=米住宅着工・許可が注目さえる。また、インフレ関連では、15日=英CPI、米PPI、16日=独CPI、ユーロCPI、米CPI、17日=NZCPIと数多く控えている。米国の景気先行指数ともなっている、15日=米NY連銀製造業景気指数、17日=米フィラデルフィア連銀業況指数、18日=ミシガン大消費者信頼感指数は重要である。その他、比較的変動リスクが高いのは、18日=NZ小売売上高、英小売売上高も注意したい。
●ドル円
ドル円は、IMM通貨先物市場で円ロングが増加するなど、金融不安の拡大に相対的に円高期待が増加している。ドルやポンドの金利引き下げにより金利差縮小と、経済成長度合いの差によっても円高が維持されやすい環境になっている。一部では本邦金融機関のサブプライム関連の損失が予想されているが、まだ、他よりましで、数少ない好材料の経常黒字が円買いのテーマになる可能性もでている。11月30日の安値107.22円割れは、新たなドル売りの開始となるが、最後のあだ花の円高はどこまで続くことやら・・・・。
ドル円のWeeklyチャートは、下降トレンドを維持し、ラインの中間地点で取引が続いている。上値のポイントは、108.87 110.30円、110.84円、111.31円、111.58円、112.30円。下値のポイントは、108.03円、107.90円、107.21~38円、105.58円、103.93円。RSIは35と横ばいながら下降ラインを続け、トレンドの有る売りが続き、トレンドモメンタムは売りを継続している。トータルの判断は、①107.90円~110.20円のレンジから下値をトライ、②107.90円を割り込み、107.22円を割り込み続落の何れか。Daily=売り、Weekly=売り、Monthly=売り。
●ユーロドル
ユーロドルは、ECBの金利引上げ・据置き観測と、BOEの引下げ見通し+FRBの大幅引下げ見通しに、ユーロの優位性は変わらないと見ているが、その割に上昇力は鈍く、どうも期待外れの横綱である。横綱相撲を見せてくれるには1.5台を完全にクリアする必要があるが、その前の、1.4850をクリアすることを願うだけで、EURGBPが最高値を更新しているとは言え、GBPUSDでドル高の影響もありユーロにとってはマイナス要因で、GBPJPYを見ていると、EURJPYの売りに火がつき、その影響が気が気でならない。
ユーロドルのWeeklyチャートは、上昇ラインの中間から上限で取引が続いている。上値のポイントは、1.4803、1.4882、1.4952、1.4966~87、1.5050、1.5302。下値のポイントは、1.4627、1.4506、1.4309~32。RSIは64と上昇ラインを維持、トレンドモメンタムは買いを継続している。トータルの判断は、①1.4627~1.4970のレンジ、②1.4970を超えたら買いで、1.5台を維持できなければ一時撤退、押し目で再び買いを模索。Daily=買い、Weekly=買い、Monthly=買い。
●ポンド円
ポンド円は、英国経済の落ち込みは深刻で、住宅価格の下落と成長鈍化に、利下げ観測は強く、金利差縮小に売られやすい状況は変わらない。GBPUSDはFRBの継続的な引下げに何れかの時点で底値から反発する可能性もあり、決してポンド全面安の展開が続くとは思えない。むしろ、円に視点が移り円高の相場が続いているだけだが、200週移動平均線212.87円を一時割り込み211.97円まで下落したが、週終値ベースでは212.91円まで値を戻し、サポートが生きている。この水準を割り込み続落が確認できるまでは、下値での売りも手控えたい。
ポンド円のWeeklyチャートは、下降トレンドの下限から中間で取引が続いている。上値のポイントは、217.00えん、217.91円、218.98円、219.19~29円。下値のポイントは、210.20円、209.56円、208.50円。RSIは31と下降ラインを継続、トレンドモメンタムは売りを継続している。トータルの判断は、①209.56~219円のワイドなレンジ、②211.97円~219円のレンジ。Daily=売り、Weekly=売り、Monthly=売り。