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アービトラージ発想法 Round 2 「市場経済」と「見えざる手」

努力なしに結果を求めるのは虫がよすぎる考え方ですが、同じ努力をするなら最小限度の努力で最大限の結果を導きたいものです。アービトラージは、「神さまからの贈り物」です。


神は常に「見えざる手」によってギャップを埋めようとする。人間は「市場経済」において「見えざる手」に気づき、さらに「市場の失敗」についても理解しつつあります。しかし人類の経済は「市場経済」ばかりではありません。


カール・ポランニーは、「すべてのトランザクションは個別である」と言いました。トランザクションとは広義の取引のことですが、取引はギャップのあるところにしか発生しません。「市場経済」では、「等価交換」が前提になっていますが、現実には等価かどうかは取引者同士が個別に決めるものであって第3者が決めることではありません。第3者が決めるのは「株式市場」「青果市場」「魚市場」などのマーケット・プレイスにおける取引ルールの下において決められるのです。


現実の社会では、物理的に、あるいは電子的に存在する市場で取引される「交換物」は大量ではあるが種類は少ないのです。多くの「交換物」は、店頭で相対(あいたい)取引されるか、取引を意識されない形で交換されるのです。


企業の従業員として働く場合、従業員と会社の間では雇用契約の形で労働力が取引されていますが、この取引は日常的に意識されているものではありません。意識されたとしても労働量と報酬といった限られた範囲にすぎないからです。毎日の業務の作業ひとつひとつに単価がついているわけではなく、給料とコストに見合った利益を生み出している労働者もいれば、そうでない者もいます。


例えば靴を作る仕事に従事している人がいたとしましょう。同じ労働をしている場合でも、靴製造会社の靴職人は労働力を会社との間で取引していますが、自営の靴職人は自身の労働力を取引してはいません。彼が取引しているのは、注文主である顧客との間で修理サービスや製品である靴を取引しているのです。会社に勤めている靴職人は職務の内容が規定されて取引の内容も異なれば、取引相手も異なります。会社勤めの靴職人と自営の靴職人、そこにはさまざまなギャップが存在しています。


あらゆるギャップにアービトラージのチャンスが潜んでいます。チャンスがあるところには必ずギャップが存在しているともいえます。ギャップを見つける眼、アービトラージャーとしての眼を養っていきましょう。


By Master K/益田 慶