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ヨーロッパの財閥と企業グループ 36 欧州財閥の系譜 ロシア財閥

今週から数回に渡って、ヨーロッパ経済に大きな影響を及ぼしてきたロシアの財閥と、現在勢いのある新興財閥を紹介します。


まず、「ロシアのロスチャイルド家」として有名なのがグンツブルグ家です。グンツブルグ家は15世紀の古い時代まで家系をたどることができる。


1833年にキエフ地方のユダヤ人家庭に生まれたホレス・グンツブルグは、1871年に男爵位を授けられました。その3年後に、ロシアの鉄道融資に多大な貢献をした父親のヨゼフにも男爵位が与えられました。彼らが19世紀初頭の帝政ロシアを経済的に支配したのです。


そしてペテルブルグ(現サンクペテルブルグ)に設立された「グンツブルグ銀行」が、ロシア全土の金融中枢として機能し、鉄道ばかりでなく、ウラル、アルタイ、シベリアに及ぶ金鉱開発の総本山となっていきます。一族は婚姻関係により世界にユダヤ人富豪のネットワークを築いていきました。


しかし、現在グンツブルグの名を聞く機会は少ないのが現実です。それは資産家かせ財産を取り上げるロシア革命を逃れて欧州に渡ったからだとされています。フランス分家にピエール・ドゥ・グンツブルグという名前の富豪がいます。フランではギンスブルグ、あるいはギンズバーグと表記するので、彼らがかつてのロシアの財閥グンツブルグ家の子孫であることがわかりにくくなっているようです。


さて、現在に話を移しましょう。エリツィン前大統領時代に幅を利かせた大富豪の一人、石油会社シブネフチ社の創業者で自動車会社ロゴバス社の前会長ボリス・ベレゾフスキーは、反プーチンを公言し、イギリスへ亡命。一方、世界最大の天然ガス会社ガスプロム社のトップに君臨していたビャヒレフは権限のない会長職に退きました。


ガスプロム社はロシア政府が38%の株を所有する企業ですが、旧ソ連崩壊直後の1992年に社長に就任したビャヒレフが実権を掌握。会社幹部一族による関連会社経営や資産隠し疑惑などが取りざたされていました。同社の新社長に就任したのは、プーチン大統領の元部下でした。どうやらプーチン大統領は、国家税収の4分の1を提供する巨大企業の主導権を把握したようです。


このようにプーチン政権は、エリツィン時代に台頭した財閥と距離を置いています。それは財閥の政治介入を排除するためであろうと想像できます。
プーチン政権下で勢力を伸ばしたロシアの財閥は、そのほとんどが石油関連ビジネスにかかわっています。富に名高い人物が、ロマン・アブラモビッチ、ワギト・アレクペロフ、ビクトル・ベクセルベルグ、ミハイル・フリードマン、ミハイル・ホドルコフスキーなどです。彼らは、オリガルヒア(新興財閥)と呼ばれています。


『フォーブス』が毎年発表している「世界の億万長者トップ100」の第11位に躍り出たロマン・アブラモビッチは、1966年生まれ。日本ではイングランドの名門サッカークラブ「チェルシー」のオーナーとして有名ですが、彼こそがロシアの若き石油長者の代表なのです。2005年、最大の資産だった石油会社シブネフチ社の株72.6%を1兆4300億円で、前述した世界最大の天然ガス会社ガスプロム社に売却して話題を集めました。これは「ロシア史上最大の企業合併」と呼ばれています。


ロマン・アブラモビッチはもともと石油取引で財を築き、イギリスに亡命した大富豪ボリス・ベレゾフスキーが設立したシブネフチ社やロゴバス社の管理を任された人物です。つまり、ベレゾフスキーと出会って彼の人生は好転したのです。1995年にはベレゾフスキーと共同でP.K.トラスト社を設立。1996年からシブネフチ社の取締役を務め、アルミニウム企業最大手のルースキーアルミニウムの実権も握りました。また、チュクチ自治管区の知事を6年務めました。彼は、ムリティトランス、ペロルトランス、ツェントリオンMなど7社のオーナーであり、13社の企業に共同経営者として経営に参加しています。ロシアでは彼のような新興財閥が台頭し、ロシア政府はもちろん、欧州にも大きな影響を与えています。


By Master K/益田 慶