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ヨーロッパの財閥と企業グループ 29 欧州財閥の系譜 イタリア財閥

前回に引き続き、イタリアの主な財閥と企業グループを紹介しましょう。日本でも著名なアパレルブランド「ベネトン」。創業者のベネトン一族は、妹が自宅でつくったセーターを兄が売に歩きまわったところからスタートし、世界120ヶ国、5000店舗の販売ネットワークを持つ売上高1兆円企業へと成長しました。イタリア国内では資産高2番目をキープする一族です。


創業者のルチアーノ・ベネトン前会長は現役を退いたものの、創業者一族は大きな影響力を持っているといわれています。1989年にはニューヨークの株式市場に上場し、イタリアのスキーブーツメーカー「ノルディカ」株の7割を購入。ですから正式にいえば、日本でなじみのあるスキーギアで名高いノルディカはすでにイタリアのメーカーということです。90年には、モスクワに最初のベネトンショップをオープン。またアメリカのインラインスケートメーカー「ローラーブレード」、アメリカのテニスラケットメーカー「プリンス」を買収。91年にはオーストリアのスキーメーカー「ケスレー」を買収し、原料を自前で供給するためにパタゴニアに大牧場を購入しました。


なお、この年、F1ではミハエル・シューマッハがベネトン・チームに移籍しています。ちなみに94年、シューマッハはドライバーズ・チャンピオンのタイトルを獲得しています。92年には、ルチアーノ・ベネトンが国会上院議員に選出され、翌年にはベネトンの店舗数は世界で8000店を突破しています。さらに、アウトドア用靴メーカー「アゾロ」、スノーボード・サングラスメーカー「キラーループ」を買収し、ベネトン・スポーツ・システム社を創立。1996年、ローラーブレード社の株式一部を、ニューヨーク・ロンドンの株式市場に上場。1999年には、アメリカの大手小売店シアーズ百貨店をパートナーとし「ベネトンUSA」コーナーをシアーズ450店に1800ヶ所設置しました。ファッション大国のイタリアですが、ベネトン一族は他の追随を許さない規模に成長しました。イタリア・ブランドといえば、「アルマーニ」のジョルジョ・アルマーニや、「プラダ」のミウッチャ・プラダ一族が名高いですが、売上げだけ見てみると、ベネトンは「アルマーニ」の約2倍、「プラダ」の約3倍です。世界に企業グループを築いてきたことでシナジー効果が表われているようです。


伝統的に工業デザインの開発に長けたイタリアには、世界シェアの7割を誇るアイテムがあります。高級メガネです。世界の高級メガネ市場のほとんどをイタリアの眼鏡メーカーが支配しているのです。イタリア眼鏡産業の特徴は、高付加価値製品を大量に世界中に輸出しているということです。
中でも「ルクソッティカ」はイタリアを代表する世界的なメーカーです。レオナルド・ベルベッキオ会長は、世界の長者番付のトップ50にランクインする億万長者。同社は高級ブランドから注文を受け、ライセンス生産で成功しました。具体的には、ブルガリ、シャネル、ウンガロ、エンポリオ・アルマーニ、ジョルジォ・アルマーニ、モスキーノ、フェラガモなど、13の高級ブランドのライセンスを保有。また独自ブランドを全世界向けに販売。2001年には眼鏡の大手チェーン店「レンズクラフター」に続き、「サングラス・ハット」をグループ傘下におさめ、全米に2500店舗以上を有しています。ブランド戦略だけでなく、小売り流通の整備にも着手し、日本にはないビジネスモデルを構築してきたというわけです。


高級チョコレートで著名な菓子メーカーの「フェレーロ」を経営するミケーレ・フェレーロ一族もイタリアの資産家のひとつ。フェレーロは世界で5本の指に入る菓子メーカー。看板商品のチェコレート「ロシェ」はトリフのような形で、まわりにへーゼルナッツがちりばめられた逸品。世界中で販売されている人気商品です。チョコレートペーストをパンに塗って食べる「ヌテラ」は、日本にも輸出されている人気商品。世界にはお菓子で億万長者になった一族もいるのです。


By Master K/益田 慶